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湖の男 の商品レビュー

3.8

28件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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2020/10/14

エーレンデュル捜査官シリーズ第4弾。 ハマると同じ作者の、同じシリーズものを、順番に読みたくなるタイプです。笑 その方が登場人物の心情や状況の変化がわかるし、愛着も湧くから。 エヴァやシンドリとのやりとりや、ヴァルゲルデュルとの微妙な関係など、まさにそれが感じられる1冊だった。...

エーレンデュル捜査官シリーズ第4弾。 ハマると同じ作者の、同じシリーズものを、順番に読みたくなるタイプです。笑 その方が登場人物の心情や状況の変化がわかるし、愛着も湧くから。 エヴァやシンドリとのやりとりや、ヴァルゲルデュルとの微妙な関係など、まさにそれが感じられる1冊だった。 読み終わる頃には、エーレンデュルの周りを覆っていた暗く陰湿な空気の中に、少しだけ暖かい光が差し込んだように感じられて、またエーレンデュルという人間が愛おしく思える。 シリーズ4作どれも面白いが、今回の「湖の男」が最も引き込まれた。 第二次世界大戦後の共産主義の国における、支配と抑圧と恐怖。 こんな時代があったのかと、恐ろしく感じる。 (あとがきの”為政者が都合の悪いことは伏せ、あったことをなかったことにして恣意的に民を管理することは、自国が民主的で自由な社会であると多くの人が信じている21世紀のいまのほうが、むしろやりやすいのではあるまいか”という指摘にどきっとした。) それに立ち向かい、イローナを想い続けたトーマスの愛が深いが故に、切ない。 苦しい時代を乗り越えて、アイスランドは一貫して平和外交を築き、世界初の女性大統領が「小さな国にも平和のためにできることがある」との言葉を残したことは、知っておかなければならないことだと思う。 それにしても柳沢氏の訳は、政治的思想や、アイスランドだけではなく冷戦時代の周辺国を扱っているのに読みやすい。 あとがきによると、エーレンデュル捜査官シリーズはすでに15作発表されているらしい。 次作も楽しみ。

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2020/04/01

3月-20。3.5点。 湖の底に、旧ソ連式の盗聴器に縛られた白骨遺体。 エーレンデュル警部たちが捜査。 第二次大戦に端を発する、哀しい物語。 北欧ものにしては、非常に読みやすい。翻訳の力かな。 次作も期待。

Posted byブクログ

2019/07/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アイスランドの作者曰く「灰色の物語」たるエーレンデュルシリーズ。冷たくてサブくて湿気も感じる失踪事件ばかりを扱うし、主人公は家族問題を抱えているし、重くて暗いシリーズだと思ってしまいがちだが、実は妙な温かみとか微笑ましい部分もあったりして愛すべきシリーズもの。 本作もそういった、陰陽あふれる要素はたっぷりあって、読み応え抜群。東西冷戦の遺産が、現在の辺境の小国アイスランドに残されていて、犯人探しというよりは「この歴史の遺物はなんなのか?」がミステリー要素なっているのも面白い。 物語の本筋もたっぷり読ませるが、シリーズ常連登場人物たちの身辺が何やら色々変動しているのも気がかり、この後の作品もおいかけるしかない…と気負っているので、これからも引き続き翻訳出版方よろしくお願いします!

Posted byブクログ

2019/06/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

何をやっているんだろうと途中で思うが、結局はエーレンデュルの行動によって真実が明らかになる。警察の仕事って徒労に終わる可能性もあることを調べていく。大変な事だ。 重く苦しい感じがいつもつきまとうお話だった。

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2019/02/22

冷戦時代のヨーロッパ諸国の学生たちの立場は熱く、そして脆い。一体の死体を巡り現在と過去の物語が進む。登場人物の誰もかれもが心に病を持つものばかりで全体的に暗い。 最初はグダグダとつまらない出だしだったけれど、やがて犯人像が浮かび、問題は死体は誰だ?に焦点が注がれ始めると面白くなる...

冷戦時代のヨーロッパ諸国の学生たちの立場は熱く、そして脆い。一体の死体を巡り現在と過去の物語が進む。登場人物の誰もかれもが心に病を持つものばかりで全体的に暗い。 最初はグダグダとつまらない出だしだったけれど、やがて犯人像が浮かび、問題は死体は誰だ?に焦点が注がれ始めると面白くなる。日本小説と違い、海外小説はとにかく人物像の描写が細かい。それが面白いのだ。 海外小説はいろいろと地雷も多い。書棚からランダムに引き出しで選んだ本があたりだと嬉しい。

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2018/12/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

レイキャビク警察のエーレンデュル刑事、第4昨年。 あらすじ  干上がった湖から男の白骨が見つかる。ドイツ製の機器が結び付けられていた。エーレンデュルたちはまずは行方不明者をあたり、農業機器のセールスマンに目を付ける。彼には公的な記録がなかったのだ。さらにドイツ製の機器が諜報機器ではないかと外務省、ドイツ大使館などを辺り、かつてアイスランドが東ドイツに留学生を送っていたことをつきとめる。当時はどちらも社会主義国だった。  エーレンデュルの娘エヴァは、薬物中毒から抜けきれていない。息子のシンドリスタイルは突然エーレンデュルを訪ねるが醒めている。  同僚のエリンボルクは料理本を出した。 アイスランドは人口30万人の小さな国。そこで湖から殺害された死体が上がった。しかもドイツのスパイ活動と関係があるかもしれない。その割には捜査がすごーくゆっくりでのんびりしている。問い詰める側も吐き出す方も自分のタイミングで行動している感じ。だから捜査の間に誰も彼も色々考えてしまって、それが面白い。本国では15作続いているらしい。次回も楽しみ。

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2018/12/21

アイスランドを舞台にした、エーレンデュル刑事シリーズ、4巻目の話である。 『湿地』『緑衣の女』ときて、私は3巻目の『声』を絶讚していた。 シリーズ最高の素晴らしい1冊だと。 ところがこの『湖の男』である。 これも最高に素晴らしい。 『声』はロマン派だった。美しく悲しい物語...

アイスランドを舞台にした、エーレンデュル刑事シリーズ、4巻目の話である。 『湿地』『緑衣の女』ときて、私は3巻目の『声』を絶讚していた。 シリーズ最高の素晴らしい1冊だと。 ところがこの『湖の男』である。 これも最高に素晴らしい。 『声』はロマン派だった。美しく悲しい物語だった。 『湖の男』は、読みごたえのある物語だった。 テーマは「冷戦時代」。 冷戦時代、特に当時の東ヨーロッパの状勢に詳しければ詳しいほど、面白く読めることだろう。 ライプツィヒでの話が時々差し込まれる。 一読の後、その部分だけを続けて読むのはおすすめだ。 往年の青春小説、ビルドゥンクスロマンBildungsromanの趣がある。 秋の夜長を知的な読書ですごしたい方におすすめする。 なお、事件そのものを楽しみたければ、シリーズのどれから読んでも大丈夫。 エーレンデュルや他の登場人物の私生活も楽しみたければ、1冊目の『湿地』から、ぜひ。

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2018/10/17

アーナルデュル・インドリダソンと翻訳者の柳沢由美子さんの選ばれた言葉たちが重く、そこにある世界をえがく。干上がってきた湖で見つかったソ連製の無線機にくくりつけられていた白骨遺体が誰なのか分からないように書かれていて、最後まで楽しめました。個性的な殺人課の面々と、息子と娘。親子でう...

アーナルデュル・インドリダソンと翻訳者の柳沢由美子さんの選ばれた言葉たちが重く、そこにある世界をえがく。干上がってきた湖で見つかったソ連製の無線機にくくりつけられていた白骨遺体が誰なのか分からないように書かれていて、最後まで楽しめました。個性的な殺人課の面々と、息子と娘。親子でうまく分かりあえればいいのにといつも思う。

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2018/06/28

面白かった。真相にたどり着くまでの構成が素晴らしいです。前作「声」のすぐあとに読んだこともあり、登場人物の状況もすぐに理解できました。湿地、緑衣の女もよかったけれど、この作品には別の重みがあってズシリときました。アイスランドでは旧知の人と出会いやすそうですね。どんな国なのか、この...

面白かった。真相にたどり着くまでの構成が素晴らしいです。前作「声」のすぐあとに読んだこともあり、登場人物の状況もすぐに理解できました。湿地、緑衣の女もよかったけれど、この作品には別の重みがあってズシリときました。アイスランドでは旧知の人と出会いやすそうですね。どんな国なのか、この作品を通して少しわかるような気がします。次の翻訳がとても楽しみです。

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2018/05/01

今回もすごくいい!とても悲しく重いストーリーだった。エーレンデュル捜査官シリーズは4作目。私はこれが一番面白かった。東欧や社会主義諸国の歴史なんて興味をもったこともなかったが、これを読んで多少なりとも学ぶことができたと思う。純粋で勇敢な若者たちが社会体制に翻弄されていく様子は心が...

今回もすごくいい!とても悲しく重いストーリーだった。エーレンデュル捜査官シリーズは4作目。私はこれが一番面白かった。東欧や社会主義諸国の歴史なんて興味をもったこともなかったが、これを読んで多少なりとも学ぶことができたと思う。純粋で勇敢な若者たちが社会体制に翻弄されていく様子は心が痛むが、現代社会を考えると歴史はそう大きくは変わっていないのかもしれない。私は外国文学は苦手なのでこの優れた翻訳者にも感謝する。問題山積のエーレンデュルには幸せをつかんでほしい。シリーズの他の作品も早く邦訳されることを願う!

Posted byブクログ