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睡眠の科学 改訂新版 の商品レビュー

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30件のお客様レビュー

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2020/09/30

「睡眠」とは何かに迫る。脳科学、神経科学のフロンティアを覗く専門的文庫本 ●感想  睡眠に対して「what」から迫った本。ハウツー本は多いが、真摯に「眠る」ことそのものについて語る本は少ないため、貴重。面白いのは「睡眠の研究者にとっても『なぜ眠る必要があるのか』はよく分かってい...

「睡眠」とは何かに迫る。脳科学、神経科学のフロンティアを覗く専門的文庫本 ●感想  睡眠に対して「what」から迫った本。ハウツー本は多いが、真摯に「眠る」ことそのものについて語る本は少ないため、貴重。面白いのは「睡眠の研究者にとっても『なぜ眠る必要があるのか』はよく分かっていない」ということ。ただ、「眠らないと身体に不調をきたす」「眠っている最中は脳で色々と活動が起きている」ことは分かっているようだ。何かしらの方法で脳・身体をメンテナンスしていることは間違いないという。特に、様々な動物が色々な工夫で睡眠時間を確保していることが興味深い。イルカは脳の半分ずつを眠らせて、泳ぎながら眠ることができるという。  身近な「睡眠」だが、まだまだ分かっていないことが多く、神経科学の最先端研究分野なのだなぁ..。 ●本書を読みながら気になった記述・コト ◆「睡眠は進化の過程でどうしても省くことのできなかった機能」 ・野生動物は命をかけて眠る。キリンは立ちながら、鳥は飛びながら、イルカは泳ぎながら眠る。「バンドウイルカは、一度の睡眠では片側の大脳半球のみが眠る。つまり、交互に大脳半球が眠ることによって、どちらかの脳は覚醒した状態を保ったまま睡眠をとっている」 →脳という高度な情報処理機能を維持するためには絶対に必要なもの ・「睡眠は脳が積極的に生み出す状態であり、身体の、とくに脳のメンテナンスに必須の機能である」 ・「睡眠をとらない状態が続くと、動物は感染症や多臓器不全で死亡する」 ◆「睡眠の役割は謎が多いが、メンテナンス作業と情報の整理をする役割がある」 ・脳では、老廃物の処理を血流だけでなく、脳脊髄液という液体が行っている。その処理はノンレム睡眠の最中に行われている、という研究結果がある ・眠らない時間が長時間続くと様々な不調が現れる。しかし、睡眠時間を確保することで、それらの不調は消える ◆レム睡眠時は、脳から身体への命令はインターフェースレベルで遮断される ・レム睡眠時の大脳皮質は覚醒時よりも強く活動していて、それらの状態では、脳を外界と遮断しておかなければ、身体の機能が暴走するのではないか ◆「浅い睡眠」として軽視されがちなレム睡眠を、身体は必ず必要とする ・連続的にレム睡眠の時間を遮断すると、次に寝るときにレム睡眠のとる時間が増える ・レム睡眠には独自の恒常性を保つメカニズムがあり、「ノンレム睡眠の隙間を埋める」以上の生理的な機能を持っている ・筆者の仮説では「ファイルシステム」の整理 ◆夢を夢と判断できないのは、脳の一部分の働きが低下しているから ・「夢を見ているときに奇妙だと気づかないのは、前頭葉の前頭前野背側部という部分の機能が低下しているためである。この部分が十分に機能しないと、見ている現象に関して、反省するとか、「おかしいぞ」と疑問に思うことができなくなるのだ」 ◆なぜ空腹だと眠れないのか ・空腹時は、覚醒物質であるオレキシンを作るニューロンは、活発に活動していると考えられる ・血統度が上がると、オレキシン作動性ニューロンの発火頻度が上がる ・野生動物にとって、空腹は感じ始めたらまず食物を探し始めなければならない。餓死してからでは遅い。そのため、空腹を感じる、身体の血糖度が下がると、食物を探すために動物は覚醒レベルを上げるようになっている ・ご飯を食べると眠くなるのも同じである。血統度が上がると、オレキシン作動性ニューロンの活動が低下する。一時的に覚醒レベルが下がるのである ・食事は就寝の4~5時間前くらいに摂るようにすると、よい眠りをとるコツになる ◆適切な睡眠時間は「あなたが日中に眠気を感じずに過ごせる」かで判断 ◆「寝だめ」はできないが、睡眠負債の返済はできる ◆新生児は「覚醒」「睡眠」のリズムが確立されていない → 夜泣き

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2020/09/04

同じ著者の『「こころ」はいかにして生まれるのか』を昨年の春か夏あたりに読んで面白かった&睡眠をきちんと科学的に検討している本が読みたかったので読んだ。 世に溢れる、参考文献をほぼ挙げず、テクニック的に「いい睡眠の取り方」を紹介している本と異なり、科学研究をたどり、人間に...

同じ著者の『「こころ」はいかにして生まれるのか』を昨年の春か夏あたりに読んで面白かった&睡眠をきちんと科学的に検討している本が読みたかったので読んだ。 世に溢れる、参考文献をほぼ挙げず、テクニック的に「いい睡眠の取り方」を紹介している本と異なり、科学研究をたどり、人間にとって睡眠とはなんなのかを考察している。1,2章あたりは大変面白く読めた。 ただ、やはり私に生化学の基礎的な素養がないため、そういった記述が多くでてくる4,5章あたりは少々難しかった。

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2020/06/18

人はなぜ眠るのかを科学的に検証し結果と考察がまとめられている本。生きるために睡眠は必要なのか。レム睡眠とは何か。夢とは何か。寝だめはできるのか。 ニューロンの仕組みから詳細に書かれており、専門的で難解な内容なので読むのに気合が必要。

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2020/04/14

解明されてない部分も多いけど、睡眠を科学的に説明してみましたっていう話。 『睡眠は死からの負債である。睡眠は生命を維持するため死から借りるものである。』ショーペン・ハウエル

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2020/03/28

 睡眠は、まだまだ分かっていないことが多い。  このように覚醒は、食物などの報酬を探索する行動や、恐怖や不安などの情動に深く関係している。つまり「食っていくため」、そして「食われないため」に、覚醒が必要なのだ。  逆に満腹で、しかも安全な状態であれば、脳や身体を休めるために睡眠...

 睡眠は、まだまだ分かっていないことが多い。  このように覚醒は、食物などの報酬を探索する行動や、恐怖や不安などの情動に深く関係している。つまり「食っていくため」、そして「食われないため」に、覚醒が必要なのだ。  逆に満腹で、しかも安全な状態であれば、脳や身体を休めるために睡眠をとるチャンスである。睡眠は、安全と適切な温度が確保された環境で行われる。睡眠をとるために適した時間は動物の生活環境によって異なるため、概日リズムによっても制御されている。つまり、昼行性の動物では昼間に摂食行動を行い、夜間に休息期が多くなり、夜行性の動物では逆に夜間に主に摂食行動を行い、昼間に睡眠が多くなる。  …ニューロン(神経細胞)は情報処理素子である。樹状突起という部分でさまざまな入力を受けて、軸索という部分でほかのニューロンに出力している。樹状突起が他のニューロンの軸索から情報を受ける部分はシナプスと呼ばれる。軸索の末端からは神経伝達物質という化学物質が分泌され、他のニューロンの樹状突起にある受容体という分子に結合することによってその神経を興奮させたり、抑制したりするわけだ。1つのニューロンは数万ものシナプスを介して情報を受けている。  まずは食事である。オレキシン作動性ニューロンは血糖値の影響を受けることは前に説明した。あまりに空腹になると、オレキシン作動性ニューロンの活動が高まり、眠りにくくなってしまう。かといって、寝る前に食べる習慣がついてしまうと、「食餌同期性リズム」が発動するようになり、その時間の覚醒レベルが上がってかえって眠れなくなる。そこで、食事は適切な量を、就寝の4~5時間前くらいに摂るようにすることが、より眠りをとるためのコツになる。  …  実は、もともと体温、とくに脳を含めた深部の体温と睡眠には強い関係がある。睡眠に入るとき、深部体温は少し下がった状態になっているのだ。ヒトが眠りにつく前、一時的に手足の温度が上がるが、これは手や足の血管を拡張させて、体温を外に放散させることによって深部体温を下げているのだ。こうして脳の温度が少し下がることによって睡眠が開始するのである。…  逆に体温があまり高い状態だと、入眠しにくいこともわかっている。つまり眠る直前にあまり熱いお風呂に入るのは避けたほうがよいかもしれない、ということだ。しかし、手足が冷えていると、血管が収縮してしまい、深部体温の放散が難しくなる。あまり体温を上げず、しかし、暖かくして眠ることが大切だ。  …  眠気を払いたいときは、体温の話を逆に考えて、手足を冷やすとよい。カフェインを含むお茶やコーヒーなども効果があるが、早く眠気を解消したいときはホットで飲むほうが望ましい。アイスコーヒーなどは、消化管粘膜の血管が冷たさで収縮してしまうため吸収が遅れるからだ。

Posted byブクログ

2021/08/08

 睡眠は、まだまだ分かっていないことが多い。  このように覚醒は、食物などの報酬を探索する行動や、恐怖や不安などの情動に深く関係している。つまり「食っていくため」、そして「食われないため」に、覚醒が必要なのだ。  逆に満腹で、しかも安全な状態であれば、脳や身体を休めるために睡眠...

 睡眠は、まだまだ分かっていないことが多い。  このように覚醒は、食物などの報酬を探索する行動や、恐怖や不安などの情動に深く関係している。つまり「食っていくため」、そして「食われないため」に、覚醒が必要なのだ。  逆に満腹で、しかも安全な状態であれば、脳や身体を休めるために睡眠をとるチャンスである。睡眠は、安全と適切な温度が確保された環境で行われる。睡眠をとるために適した時間は動物の生活環境によって異なるため、概日リズムによっても制御されている。つまり、昼行性の動物では昼間に摂食行動を行い、夜間に休息期が多くなり、夜行性の動物では逆に夜間に主に摂食行動を行い、昼間に睡眠が多くなる。  …ニューロン(神経細胞)は情報処理素子である。樹状突起という部分でさまざまな入力を受けて、軸索という部分でほかのニューロンに出力している。樹状突起が他のニューロンの軸索から情報を受ける部分はシナプスと呼ばれる。軸索の末端からは神経伝達物質という化学物質が分泌され、他のニューロンの樹状突起にある受容体という分子に結合することによってその神経を興奮させたり、抑制したりするわけだ。1つのニューロンは数万ものシナプスを介して情報を受けている。  まずは食事である。オレキシン作動性ニューロンは血糖値の影響を受けることは前に説明した。あまりに空腹になると、オレキシン作動性ニューロンの活動が高まり、眠りにくくなってしまう。かといって、寝る前に食べる習慣がついてしまうと、「食餌同期性リズム」が発動するようになり、その時間の覚醒レベルが上がってかえって眠れなくなる。そこで、食事は適切な量を、就寝の4〜5時間前くらいに摂るようにすることが、より眠りをとるためのコツになる。  …  実は、もともと体温、とくに脳を含めた深部の体温と睡眠には強い関係がある。睡眠に入るとき、深部体温は少し下がった状態になっているのだ。ヒトが眠りにつく前、一時的に手足の温度が上がるが、これは手や足の血管を拡張させて、体温を外に放散させることによって深部体温を下げているのだ。こうして脳の温度が少し下がることによって睡眠が開始するのである。…  逆に体温があまり高い状態だと、入眠しにくいこともわかっている。つまり眠る直前にあまり熱いお風呂に入るのは避けたほうがよいかもしれない、ということだ。しかし、手足が冷えていると、血管が収縮してしまい、深部体温の放散が難しくなる。あまり体温を上げず、しかし、暖かくして眠ることが大切だ。  …  眠気を払いたいときは、体温の話を逆に考えて、手足を冷やすとよい。カフェインを含むお茶やコーヒーなども効果があるが、早く眠気を解消したいときはホットで飲むほうが望ましい。アイスコーヒーなどは、消化管粘膜の血管が冷たさで収縮してしまうため吸収が遅れるからだ。

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2020/01/27

神経科学の観点から、睡眠/覚醒時に脳の中で何が起きているのかを解説しています。数種類のホルモンがメインでコントロールしているが、どうやらそれだけではないということで今後もさらなる発見が見込まれるようです。 眠気と食欲がリンクしている、レム睡眠中は覚醒時並みに脳が活動しているなど、...

神経科学の観点から、睡眠/覚醒時に脳の中で何が起きているのかを解説しています。数種類のホルモンがメインでコントロールしているが、どうやらそれだけではないということで今後もさらなる発見が見込まれるようです。 眠気と食欲がリンクしている、レム睡眠中は覚醒時並みに脳が活動しているなど、身近な割に知らなかったことがたくさん紹介されており、とてもおもしろかったです。 最後の「地球上で最も高度な構造物である脳が、メンテナンスを必要としないわけがない」という言葉が印象的でした。これからも脳を大事にしなければ。

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2019/11/02

睡眠に関する本は多数あるが正直どれも書いてあることは似たりよったりです。 しかしこの本は睡眠の本質に迫った革新的な内容だと思います。 最新の研究成果などもふまえ睡眠の謎に迫っていく話はまるでミステリー小説を読んでいるようなワクワク感があります。 非常に面白い内容でした。 ...

睡眠に関する本は多数あるが正直どれも書いてあることは似たりよったりです。 しかしこの本は睡眠の本質に迫った革新的な内容だと思います。 最新の研究成果などもふまえ睡眠の謎に迫っていく話はまるでミステリー小説を読んでいるようなワクワク感があります。 非常に面白い内容でした。 睡眠に興味がある人はぜひ一読をおすすめします。

Posted byブクログ

2019/05/14

「睡眠」研究は、「脳(と身体)」の研究である。 不思議がたくさんあって興味深い。 「記憶」や「学習」にも深い関連があって、能力を発揮したいなら「睡眠」をおろそかにしてはいけないと納得。 質量ともに、より良き睡眠を求めるべし!

Posted byブクログ

2019/03/05

もう少し優しい本かと思ったが、専門用語が飛び交う難しい本だった。 睡眠は生きているものすべてに必要なもの。 脳をアップデートしている。

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