観応の擾乱 の商品レビュー
NHK大河ドラマ「太平記」で描かれていた、ひっちゃかめっちゃかな観応の擾乱期間を、丁寧に解説した本。結局は足利尊氏の「気概」が混乱の原因でもあり、収束の原因でもなかったか、と思わせるもの。いずれにしろ、大河ドラマで描かれていた世相の背景をなんとなく掴むことができた。 ただ、個人的...
NHK大河ドラマ「太平記」で描かれていた、ひっちゃかめっちゃかな観応の擾乱期間を、丁寧に解説した本。結局は足利尊氏の「気概」が混乱の原因でもあり、収束の原因でもなかったか、と思わせるもの。いずれにしろ、大河ドラマで描かれていた世相の背景をなんとなく掴むことができた。 ただ、個人的にはこの手の歴史書には馴染みが薄いため、なかなか理解、整理に及ばなかった。再読したいと思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・後期の建武政権は初期の室町幕府の体制と酷似。後醍醐=尊氏の恩賞充行(創造)、雑訴決断所=直義の所領安堵・庶務沙汰(保全)。 ・1335年:中先代の乱。最後の執権北条高時の遺児時行が建武政権に対して信濃で挙兵。 ・1336年:後醍醐天皇が吉野に亡命。南北朝時代の始まり。 ・高氏は鎌倉幕府でいう内管領(譜代の家人(御内人)のトップ(内管領))のような存在。 ・1347年:直義に男児・如意王が誕生。これが観応の擾乱の大きな原因とする説も。 ・1349年:高師直による直義に対するクーデター。夢窓疎石による仲介。 直冬が西国に下向。直義は直冬を介して西国での自派の勢力拡大を図った。 ・1350年:直義が京都を出奔。これを観応の擾乱の始まりとみなす。 義詮が三条殿に就任。幕府統括者としての直義の権限を吸収。 ・1351年:直義が高氏を誅殺。 ・1352年:直義死去。幕府は東国を尊氏、西国を義詮が分割統治する体制に。メインは義詮の政権であり、尊氏は軍事的下向。創造-保全の役割分担の終焉。 ・観応の擾乱の原因は尊氏-師直の恩賞充行や守護職補任に漏れた武士が直義に接近しつつあったところ、直冬の処遇問題が複雑に絡んだところに求められる。 ・1356年、尊氏の恩賞充行権が義詮に移り、義詮が全権を掌握。
Posted by
「逃げ上手の若君」を読み、中先代の乱の後の時代を知りたいと思い手に取った新書。 予想以上のカオス。1日ごとに敵味方が入れ替わり何が何だか……という状況なのだが筆者の筆が確かに状況を把握させてくれる。 足利尊氏とその執事高師直一派と、尊氏の弟足利直義の一派に分かれて起こった室町時...
「逃げ上手の若君」を読み、中先代の乱の後の時代を知りたいと思い手に取った新書。 予想以上のカオス。1日ごとに敵味方が入れ替わり何が何だか……という状況なのだが筆者の筆が確かに状況を把握させてくれる。 足利尊氏とその執事高師直一派と、尊氏の弟足利直義の一派に分かれて起こった室町時代初期の内乱である。本当に昨日の敵は今日の味方、今日の敵は明日の味方と状況が目まぐるしく変わる。 師直派が優勢になり直義が隠居したと思ったら直義の元に武将が集まって内乱が混沌としていく。 本文にあった通り「こんなにも優劣が変わる内乱はなかなかない」のだ。1年間のうちにあっという間に誰が優勢で誰が劣勢なのかが入れ替わる。巻末の年表がありがたかった。 何故この乱が起こるのかの理由は丁寧に解説されている通りわかる。忠義だけではなく恩賞と領地の安堵の話であると。よく理解できる。 わからないのは何故この乱を防げなかったのか。なんかどこかでこの同族での争いを防げるきっかけがあったように思えるんだけれども、実際どこにもないから短期間であらゆる情勢がめちゃめちゃになる内乱が起きたんだな。 最後が「この乱が起きたことで室町幕府は長期政権を保つことができた」「それだけ統治機構をまるっと変える内乱であった」という結びに少し救いを見た。 足利家関連、南北朝関連の文献を他にも読みたい。
Posted by
「観応の擾乱」とは南北朝時代にあった足利尊氏・直義の兄弟間にあった権力争いである。本書ではこれを多彩な一次資料を引用しながら簡潔にまとめられていて、とても読みやすかった。著者はこれまでにあった「足利尊氏は朝敵」という歴史観に異を唱えており、そこにも共感ができた。
Posted by
権力をめぐる骨肉の争いのストーリーとして、「ゴッドファーザー」や「ゲームオブスローンズ」、「吾妻鏡」なんかと似てる。違うのは勝者が敗者を排除し権力を奪うことなく、敵味方主従問わず勝つ→許して復権→裏切るの繰り返しなところ。煮えきらないところがもどかしい。 個人的に三十年前の大河ド...
権力をめぐる骨肉の争いのストーリーとして、「ゴッドファーザー」や「ゲームオブスローンズ」、「吾妻鏡」なんかと似てる。違うのは勝者が敗者を排除し権力を奪うことなく、敵味方主従問わず勝つ→許して復権→裏切るの繰り返しなところ。煮えきらないところがもどかしい。 個人的に三十年前の大河ドラマの印象が強く、陣内孝則や高嶋政伸、柄本明の顔を思い出しながら読んだ。
Posted by
室町時代の初め、いわゆる南北朝時代に起こった、足利高氏とその弟足利直義による争いが観応の擾乱。一緒に腐った鎌倉幕府を倒して、新しい世の中を作る…はずが、なんで殺し合うような兄弟・家族喧嘩になってるの!?という中世日本史の謎の一つ。そんな観応の擾乱について詳しく解説した新書だ。 個...
室町時代の初め、いわゆる南北朝時代に起こった、足利高氏とその弟足利直義による争いが観応の擾乱。一緒に腐った鎌倉幕府を倒して、新しい世の中を作る…はずが、なんで殺し合うような兄弟・家族喧嘩になってるの!?という中世日本史の謎の一つ。そんな観応の擾乱について詳しく解説した新書だ。 個人的に、「太平記」を見た後だったので、割りとすんなり入り込めたが、応仁の乱と並び、非常に複雑な話だと思うし、中公新書は専門性が高く、易しくはない。 もっと勉強して理解を深めたいと思いました。
Posted by
教科書の説明からすれば、一行程度の出来事。 しかし、そのなかではめまぐるしく勢力が変わる二年間の大混乱。 やる気スイッチが入るのが遅い尊氏。 燃え尽き症候群と微妙なやる気、保守的な弟・直義。 逆にやる気に満ちた一部の周囲。優勢劣勢で流動化の限りを尽くす各将。 所領や官位を目当てに...
教科書の説明からすれば、一行程度の出来事。 しかし、そのなかではめまぐるしく勢力が変わる二年間の大混乱。 やる気スイッチが入るのが遅い尊氏。 燃え尽き症候群と微妙なやる気、保守的な弟・直義。 逆にやる気に満ちた一部の周囲。優勢劣勢で流動化の限りを尽くす各将。 所領や官位を目当てにがんばったのに、それを保証してくれるハズの男は微妙なやる気と現状維持の塊。 そんな不穏な休戦期間に立ち上がるあっちの人やこっちの勢力。 常時殺意と殺気に満ちた南朝。 九州で暴れまわる嫌われっ子(理由不明)・直冬。 突然やる気スイッチの入る尊氏。 叔父とも父親とも仲良くできない義詮。 あまりに当たり前のことだが、歴史は人間によって作られる。 そして、現代社会の「退職理由」第一位は「人間関係」である。 今も昔も人間はあんまり変わらない。 室町時代だろうと、バサラ大名だろうと将軍だろうとそのあたりの面倒臭い人間関係、利害対立は存在していたし、そしてそれが命取りにもなる。 政治的な側面も当然あるが、この面倒過ぎる人々の動きというのもなかなかに面白い。…当人たちは大変だろうが。 あとひとつ面白かったのは、敵方に居た人でもわりと簡単に帰参できていることだろうか。 これが戦国時代なら首を跳ねられて終わり、お家も消し飛びそうだが…やり直しがきくというのは逆に新鮮。 地元にゆかりのある武将も、その許された一人だった。 道理で戦国時代の頭まで続いているわけだ、と思いながらも、地元での紹介では「足利氏に忠誠を尽くし、重んじられた」云々と書かれている。 まあ、直義も足利氏だけどさ…。「忠臣」「幕府の有力者」という印象を与える地元史跡の看板を思い出す。 「尊氏派には反抗したことあるのにね、さらに負けたし…」 となんともいえぬ気持ちになった。 しかし、よく生き抜いた、おらが町の守護大名。
Posted by
日本史は詳しくないし、漢字も覚えづらいから読むのが大変だった。同じく中公新書の「応仁の乱」は泥沼すぎて途中から訳がわからなくなったが、こちらはなんとか流れを追うことができた。戦争の歴史は読んでいて面白いから、それなりに楽しめることができたと、思う。
Posted by
室町初期に起きた観応の擾乱の解説する書籍。観応の擾乱は足利尊氏、直義、直冬、高師直らの対立によるものだが、対立軸が明確でなく、配下の武将もくっついたり離れたりでなかなか複雑でわかりにくい。観応の擾乱が何だったのか一言でいうことはできないが、訴訟、恩賞の制度を革新しつつ将軍に権限が...
室町初期に起きた観応の擾乱の解説する書籍。観応の擾乱は足利尊氏、直義、直冬、高師直らの対立によるものだが、対立軸が明確でなく、配下の武将もくっついたり離れたりでなかなか複雑でわかりにくい。観応の擾乱が何だったのか一言でいうことはできないが、訴訟、恩賞の制度を革新しつつ将軍に権限が集約する過程とのことで、なるほどと思った。
Posted by
<目次> 第1章 初期室町幕府の体制 第2章 観応の擾乱への道 第3章 観応の擾乱第一幕 第4章 束の間の平和 第5章 観応の擾乱第二幕 第6章 新体制の胎動 終章 観応の擾乱とは何だったのか? <内容> 史料にもとづいた事実を淡々と並べ、そこに自分の解釈を挟み...
<目次> 第1章 初期室町幕府の体制 第2章 観応の擾乱への道 第3章 観応の擾乱第一幕 第4章 束の間の平和 第5章 観応の擾乱第二幕 第6章 新体制の胎動 終章 観応の擾乱とは何だったのか? <内容> 史料にもとづいた事実を淡々と並べ、そこに自分の解釈を挟み込む、従来型の歴史学者の本である。これを読むともともとわかりにくい「観応の擾乱」がわかりやすくなるわけではない。混沌はそのままだ。その理由は、足利尊氏にあるだろう。関わる武士たち(高師直にせよ、足利直冬にせよ)は、自分の領地獲得や名誉に固執するが、尊氏に振り回されていることは確かだ。そのことが確認できた。
Posted by
