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わざと忌み家を建てて棲む の商品レビュー

3.5

35件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    7

  3. 3つ

    15

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

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2024/10/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かった。まとめ方にやや力技感のあった前作よりも各エピソードの共通性が単純明快で、怪異もより切迫感がある点で、この作品のほうが作りとしてオーソドックスな感じがする。怪異へのアプローチがメタっぽいところが好み。 ニセ文書を登場させる作品の弱点として、文量と解像度が上がるほどかえって作り物めいてくるという点があると思うんだけど、白い家の怪異はまさにその例で、正直読んでいてしんどかった。そのこと自体がオチにつながっているとしても。 川谷妻華の話が一番恐怖を煽りやすそうなので、淡白な終わり方にはたしかに拍子抜けした。すべてフィクションとして済ませざるを得ないぐらい危機が差し迫っていることを匂わせる演出、というのは深読みか。自分としては各エピソードの面白さが肝だと思ってるので、あまり気にはならないけど。

Posted byブクログ

2023/05/10

昔の金持ちが不吉な土地に事故物件を集めて作ったハイパー事故物件にまつわるホラー・ミステリー。 今はなき九龍城砦のような、増築を重ねすぎて訳がわからなくなっている建物は妙に人の心を惹きつける。人の手で作ったはずなのに、それ自体に有機的なシステムがあるような謎めいた人工のジャングル...

昔の金持ちが不吉な土地に事故物件を集めて作ったハイパー事故物件にまつわるホラー・ミステリー。 今はなき九龍城砦のような、増築を重ねすぎて訳がわからなくなっている建物は妙に人の心を惹きつける。人の手で作ったはずなのに、それ自体に有機的なシステムがあるような謎めいた人工のジャングル。建物内を歩くだけで探検になってしまう。 そこに事故物件の要素が加わったときたらそりゃ大変だ。という訳でワクワクしながら読めた。途中、右とか左とか、建物内を歩き回る単調な描写について行けなくなったりもしたが、古びた見知らぬ家の中を歩いている感じは疑似体験できた。化け物のはっきりしない描写や、不可解な動きをしつつも迫り来る感じだけは確実なのもなかなか怖かった。 ただ、お話よりも作中で紹介されていた二笑亭が気になった。精神を病んだ男が作った不可解な家だそうだ。家主の渡辺金蔵が脳病院に入れられたというからにはとんでもない代物なのではないか、と無駄に期待が高まる。唯一、二笑亭を記録してある本といわれる『二笑亭綺譚』復刻版には赤瀬川源平の名前も連なっていたので、一種のトマソン建築なのだろうか。現存していないのが残念だ。今なら観光地になるだろうに。 九龍城砦も二笑亭も、あと、おそらくはこの烏合邸も、現存してないというのが寿命のある生き物のようでもある。自分たちと同じく、何となく生まれ、成長して、また何となく消えてゆく存在と思うと、恐怖の烏合邸にもどこか切なさを感じる。 あと、古い家というのも、ある意味それだけで謎に満ちた空間だよなと読みながら思った。 よくわからない納戸、戸袋、屋根裏、仏間、物置、薄暗くて狭い階段に建物の端にある厠。昔の人にとっては当たり前でも、今の人には薄暗がりに満ちたジャングルだ。ジブリではそこにマックロクロスケが潜んでいて、本書では黒い謎の化け物がのそのそ歩く。個人の人生が染み込んだ建物すなわち住居という特殊性について考えさせられる。 しかし、変な話、烏合邸の外観描写を読みつつ思い出したのは三鷹にある荒川修作の天命反転住宅だった。あっちはカラフルでボコボコした巨大なオモチャの塊のような集合住宅だ。しかも建築によって天命を反転させるという「住人が死なない建築」なので、コンセプトも真逆なのだが。 古い家、集合住宅、増改築によって成長する有機的建築、なかなか面白いテーマだった。 ところで『どんな家にも怖いものはいる』においても先生と三間坂青年の関係性が良かったが、今作でも2人で楽しそうに乾杯しながらホラーを探求しているのがホラーの箸休めになって良かった。たぶん受付の青山と三間坂はできてない。このコンビでもっと読みたい。

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2023/03/07

三津田先生はお母さんの日記テイストで怖い事書くとほんとにもうとんでもない怖いものができあがってしまいますね

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2023/02/21

今作は特に中盤以降、ちょっと眠かった。残念。怖くない訳ではないのだが、小説として少し退屈だった。 家の間取りが文章だけでは想像しにくかったことや、実話という体なので現実時間の流れとか信憑性を出す為かもしれないが、作者さんの他の本の紹介など、「いるかな?」と感じてしまった。前作は...

今作は特に中盤以降、ちょっと眠かった。残念。怖くない訳ではないのだが、小説として少し退屈だった。 家の間取りが文章だけでは想像しにくかったことや、実話という体なので現実時間の流れとか信憑性を出す為かもしれないが、作者さんの他の本の紹介など、「いるかな?」と感じてしまった。前作はあんまり気にならなかったんだけどなあ。 え、本当に本当の話なの…?と思える程には説得力がなかったし(逆にそこがリアルなのかもしれない…)、エンタメに振り切ってもいないので、微妙であった。 登場する4つの記録の文章は、それぞれ違う人間が書いたものとは考え難い。似てるので。でも実話だとすると、読者に障りが出ないように態と作者が書き直したのかもしれない。とか。 次作で今回のネタは出るのかな?

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2022/09/30

人が死んだ家の一部を蒐集し組み合わせた"烏合邸"。編集者から烏合邸にまつわる情報が主人公の元にもたらされ…。 幽霊屋敷シリーズ2作目。 シリーズ2作目ですが、主人公と編集者三間坂の「頭三会」が怪談について語る形式が同じなだけで、出てくる怪談は前作とは別物です...

人が死んだ家の一部を蒐集し組み合わせた"烏合邸"。編集者から烏合邸にまつわる情報が主人公の元にもたらされ…。 幽霊屋敷シリーズ2作目。 シリーズ2作目ですが、主人公と編集者三間坂の「頭三会」が怪談について語る形式が同じなだけで、出てくる怪談は前作とは別物です。 不吉なことしか起こらなそうですね、烏合邸。 謎解き要素は前作より薄めになったかなぁ

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2022/03/03

忌み家を寄せ集めて建てられた巨大な家についてのお話。そこで過ごした人々の手記が面白かった。すごく怖いというわけでは無いけれど、じわりと怖い。作者の著書の紹介が多数登場するのが?これは現実に起こっている話と思わせる手段なのかな?

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2021/09/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大人になってから読んだホラー小説で、背筋をゾクゾクさせたのは本書が初めてかもしれない。 夏の暑さが急に終わり、曇天の涼しい9月、ひとり家で読んでいると、その静けさも、遠くで聞こえる物音も、何か不気味なものに感じてくる。 それぞれの家の主人公が恐る恐る歩みを進める描写を、まるで自分がそこにいるかのように、怖い、見たくない、進めない、と思いながら読んでいた。 一気読みすることで物語の中にどっぷり浸かれます。 私は大抵のホラー小説・映画・ゲームは平気だが、歩いて進むお化け屋敷は大の苦手。本書の恐怖はそのお化け屋敷をたった1人で進むような恐怖と孤独を感じた。 以下ネタバレ・自分なりの考察 終章で筆者は、烏合邸が本当に存在していたのだろうかと投げかける。 あれだけの規模の家が建っていたのに、四つの家を調べた人たちの記録以外に何も残っていないのはおかしいと。 →描写からして、相当大きな邸宅、日本家屋、歯科医院と住居の建て増した建築物、アパートの一室。現在の建築技術でも、それらを融合するのは不可能なのではないか、また、相当な大きさになるはずなのに、例えば黒い家の日記では近所の人の話題にも出てこない。 あそこに書かれた通りの建物が実在していたとは思えない。しかし、そこで起きた怪異は本物なので、それを読んだ筆者や三間坂氏にも障がでた。 ということは、黒い家に住んだ親子を描写した白い家の手記と同じことが住人に起こっていたのではないか。つまり、そこに滞在した人にはその人たちが描写した通りに見える=家に選ばれた人だから。そういった人たちを住まわせ、あるいは調査させた。しかし、それ以外の人には同じようには見えない。だから怪異は存在したのに記録には何も残っていないのではないかと。 例えば実際は建物の残骸があるだけとか。

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2021/07/01

表紙みたいな怖くて嫌な気持ちになりたかったんだけど、、、 作家が巻き込まれていくのは怖くてよかったけど、終始すっきりしないというか、憶測でそのまま終わり、友達の友達のいとこの同級生に聞いた怖い話、みたいな結局なんだったんですかという気持ち。

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2020/09/24

 最初の「黒い部屋」を読んで、オッこいつはヤベー本を読み始めてしまったぞ!とゾクゾクしました。  「ヤバいと思ったら読むのをやめてください」と脅され、ハハハまたまたそんなこと言って…その手には乗りませんよ…と思いつつも、ズブズブとのめり込むように読んでしまい、気づけば自分も恐ろし...

 最初の「黒い部屋」を読んで、オッこいつはヤベー本を読み始めてしまったぞ!とゾクゾクしました。  「ヤバいと思ったら読むのをやめてください」と脅され、ハハハまたまたそんなこと言って…その手には乗りませんよ…と思いつつも、ズブズブとのめり込むように読んでしまい、気づけば自分も恐ろしい部屋の中に入ってしまったような怖さがありました。  ホラーなのかと思いきや、ミステリーの要素もあり、最後まで一気に読みました。結末は少しあっけなかった気がします。  この本を読んだせいか、顔の見えない男が庭から家に入り込もうとしてくる悪夢を見ましたが、これ報告した方がいいんですかね?

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2020/09/21

人死が起きた曰く付きの家屋を寄せ集めて作られた「烏合邸」。歪な様相を見せるその家に、不幸にも関わってしまった彼らは。前作と同じくやはり、登場人物の手記、日記、記録はぞっとした。間に挟まれた作者と編集者が見舞われた怪異もかなり怖い。中でも特に怖かったのは、作家の手記と学者の記録。そ...

人死が起きた曰く付きの家屋を寄せ集めて作られた「烏合邸」。歪な様相を見せるその家に、不幸にも関わってしまった彼らは。前作と同じくやはり、登場人物の手記、日記、記録はぞっとした。間に挟まれた作者と編集者が見舞われた怪異もかなり怖い。中でも特に怖かったのは、作家の手記と学者の記録。その他の二つも甲乙つけがたいが文章が(設定として)文章がしっかり書き込まれていたので、前者の二つは恐ろしかった。また、前作「どこの家にも怖いものはいる」に比べ、作者と編集者が見舞われた恐ろしい体験も怖さが増していてよかったと思う。

Posted byブクログ