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Aではない君と の商品レビュー

4.2

240件のお客様レビュー

  1. 5つ

    97

  2. 4つ

    95

  3. 3つ

    35

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

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2017/09/10
  • ネタバレ

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息子が殺人容疑で逮捕された父親が主人公のホワイダニット系推理小説。 仕事も恋愛も順調なバツイチ中年吉永のもとに離婚後妻側に引き取られた14歳の息子が友人を殺した容疑で逮捕されたことが伝えられる。しかし、息子はなぜ殺人を犯したのか一言もしゃべらない。主人公で父である吉永は息子とのそれまでの関わり方などを後悔しながら息子のために奮闘していく。 一括りに少年犯罪とはいっても、各犯罪における性質は大きく異ることが多い。非行に走っていたわけでもない息子の翼は、突然殺人という罪を犯してしまう。 こどもは周りの環境、特に家族の影響を受けやすいものである。両親の不仲、離婚、家庭内でのちょっとした出来事でさえ心のバランスを簡単に失ってしまい、その影響は学校や友人関係にも及ぶ。 仕事が忙しい、自分のことで手一杯、大人というのはそこまで立派なものではない、他の人に気を回すことができない時も多い。しかし、事が起きてからでは遅い。そうなる前にきちんと子どもと向き合っていく必要がある。その責任が私たち大人にはある。 「こころを殺すのとからだを殺すのどちらが悪いの」 作中で出て来る翼の言葉だ。人を殺してはいけない。誰もが言われ続けていることだと思う。しかし、なぜ殺してはいけないのだろうか。こころを殺され続けている人は、どんなことをしても耐えなければいけないのか。つらい思いをさせられた人は、何をされても黙っていなければいけないのか。 ことを起こしてからは一生十字架を背負って生きなければならない。反省しているかどうか、ということの意味がわからない。「大変なことをしてしまった。」、「相手に悪いと思っている」。ゴールが決まっている上での議論など何の意味もない。 もちろん理由がある殺人を肯定しているわけではない。しかし、何か違うと私の心が言っている。

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2017/09/05

重い。非常に重い。雫井さんの望みとは違い、確実に罪を犯してしまった子供の親の心情を丁寧に書いている。息がつまるほど。実に読み応えがあった。 いじめの加害者、被害者、誰にでもなりそうで、子供との会話は、仕事をしている私としては、自信がなくなってくるなあ。 最後の方は、母親も登場させ...

重い。非常に重い。雫井さんの望みとは違い、確実に罪を犯してしまった子供の親の心情を丁寧に書いている。息がつまるほど。実に読み応えがあった。 いじめの加害者、被害者、誰にでもなりそうで、子供との会話は、仕事をしている私としては、自信がなくなってくるなあ。 最後の方は、母親も登場させて欲しかったなあ。 親も子もどの読者層にも読んでほしいなあ。

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2017/09/05

なかなか重いストーリーでした。 登場人物みんなが人間味があって、どちらの気持ちもわかる・・っていう感じで、考えさせられながら読みました。 少年犯罪については日常生活でほとんど触れる機会がないので、勉強にもなりました。 暗くて重くて切ないストーリーだけれど、子供の心の闇ってなくなる...

なかなか重いストーリーでした。 登場人物みんなが人間味があって、どちらの気持ちもわかる・・っていう感じで、考えさせられながら読みました。 少年犯罪については日常生活でほとんど触れる機会がないので、勉強にもなりました。 暗くて重くて切ないストーリーだけれど、子供の心の闇ってなくなることはないだろうし、大人としてはともに向き合うしかないのかなぁ・・と切ない気持ちになりました。 読み応えがあって、考えさせられて、怖くて切なくて、すごくいいです。

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2017/09/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

未成年が犯罪を犯した場合、報道などでは本名を隠され、人柄や生い立ちなどの実態は記者の言葉を介して知ることになります(後者は未成年に限りませんが)。そこには少なからず書き手の主観が混じりこみ、必ずしも真実が伝わらない可能性があって、記事で描かれたイメージなどから「少年A」という人格を決め付けているかもしれない……。 罪を犯した息子をメディアを介して知る「少年A」ではなく、「青葉翼」として直接向き合う主人公の姿を見、そんなことを考えました。 また「更生」「罪を償う」ということについて、一つの回答を示していることに驚きました。読み手と書き手の考えが違うと強く批判される要因になりやすいところで、多くの作品で読み手の想像に委ねられる結末になっている印象があったので、これは意外でした。 個人的には本作の結末は「アリ」かと。ちゃんと被害者家族と向き合う翼と彼を支える吉永の言動。翼の告白を聞いたユキオの反応。被害者遺族の藤井の態度。全てに共感するわけではありませんが、それぞれの人物なりの考えに基づいた行動と感じられたので、納得感がありました。 自分はどちらかというと厳罰派ではありますが、周囲に謗られながらも腐らず、真摯に贖罪を続けていく翼たちのような人は、いずれ救われてほしいとも思いました(被害者遺族の救済の方がが優先とは思いますが)。

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2017/09/01
  • ネタバレ

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前回「天使のナイフ」を読んでほかの作品も読んでみたいと思い最新文庫を購入。 ある日突然中学生の息子が同級生を殺したと警察から知らされた親の苦悩。 夫婦仲が悪く離婚し、そろそろ再婚も考えている能天気な少年の父親と、離婚後息子を引き取り生活していくためとはいえ仕事が忙しく自分のことで精いっぱいだった母親。 どちらが悪いとは言えないし、息子はたとえどんなに寂しく、苦しかったとはいえ殺人が許されるわけではない。 ≪物事のよし悪しとは別に、子供がどうしてそんなことをしたのかを考えるのが親だ≫という文中にも出てくる一文がキーワードになっているが、事が起こってからでは遅すぎる。 しかし人はいつだって事が起こってから後悔するものなのだ。 子を持つ親は子供の罪を自分のせいだと感じるだろうし、一生子供とともに罪を背負って生きていかなければならないのだろう。 殺された優斗くんは相当なクソガキだったけれど、 しかし、たとえどんなに卑劣な人間であったとしても、殺されていい理由にはならない。 殺された子供の親の気持ちを思うと胸が痛む。 こちらも、立場によって思いが全然変わってくる小説だ。 重いテーマではあるけれど、いろいろな立場によって読み方も感想も変わってくると思うので 違う目線でもう一度読み返してみたい。

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2017/08/30

分かりやすい文章で、淡々と物語が進んで行くが、 たどり着いたところは、 心を殺された少年の、その心の世界  切ないねえ・・・・・・・・

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2017/10/23
  • ネタバレ

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物語自体もおもしろく、すごく考えさせられる話でした。しかし、自分には正解を見つけられず、苦しくも思いました。 心と体どっちを殺した方が悪いの? その言葉の深さを感じずにはいられない作品です。

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2017/08/28

「提起された問題は読み手の許に届き、読者それぞれが『つけられない結末』を共有出来る仕組みを作り上げた」。京極夏彦氏は(この作品を)このように高く評価している。(京極氏の言葉は西上心太氏のあとがきで紹介されている。) 『つけられない結末』かあ…きっとこれ以上の的確な言葉はないだろう...

「提起された問題は読み手の許に届き、読者それぞれが『つけられない結末』を共有出来る仕組みを作り上げた」。京極夏彦氏は(この作品を)このように高く評価している。(京極氏の言葉は西上心太氏のあとがきで紹介されている。) 『つけられない結末』かあ…きっとこれ以上の的確な言葉はないだろうな。わたしも子の親。ずっしりとおもい宿題を受け取ってしまったようだ。 作者の薬丸岳氏とはどんな人なのだろう。こわいほどすばらしいと思うだけで、つけられぬ結末の中で本作品読了の感想はなかなか言葉にならない。 しかしこの本はすべての親と子が読むべき小説に違いない。

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2017/08/15

離婚した妻と暮らす14歳の息子が同級生を殺した。建設会社での仕事も順調で、部下である恋人との再婚も間近という順風満帆な人生を歩んでいた主人公に突然訪れる事件。 序盤は自分への被害がなるべく少なくなるようにとか、なるべく職場にバレないようにと考える主人公が妙にリアル。 息子がどうし...

離婚した妻と暮らす14歳の息子が同級生を殺した。建設会社での仕事も順調で、部下である恋人との再婚も間近という順風満帆な人生を歩んでいた主人公に突然訪れる事件。 序盤は自分への被害がなるべく少なくなるようにとか、なるべく職場にバレないようにと考える主人公が妙にリアル。 息子がどうして同級生を殺してしまったのかが明らかになっていく過程も読み応えあるが、本作のメインは加害者である息子がどうやって罪を償うのか主人公が悩むところであろう。もちろん答えなんてなく、とても重い結末だった。 被害者少年は、殺されたこと自体はかわいそうではあるが、自業自得な側面も感じてしまう。そういう意味でもスッキリしない終わらせ方だったが、逆に真実味がある。

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2017/08/14
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ストーリーとしてはぐっと引きこまれ、考えさせられる部分があった。けれど後味というか、納得できない部分が残った。結局こころとからだを殺すことのうち、からだを殺す方が悪いと父親は言う。理由は被害者の父親はもう被害者と会話したりできないからだという。それに併せて加害者である息子に生きていてくれてよかったと言う。けれど一方で最終的にはこの十字架は息子一人が背負って生きていくのだと締めくくる。 随分自分勝手だなぁと思った。こころを殺されて、このあとも社会的にも精神的にも殺され続けなければならない息子。ひとりで生きて行かねばならない。それほど人を殺すということは重いことだが、心を殺された「被害」に対する「罰」はどこにいくのか?加害者の息子のした悪行は結局、世間にはしらされない。動物の命を奪わせる残虐な行為を強いておいて、その強いたことに対する罪はお咎めなしというのが納得できない。勿論それが法律であり、法律上はペットを殺されても所詮器物損壊にとどまる。けれどなぜ人を殺して罪になり、愛する「家族」である飼い猫を殺されても罪に問われないのか?私の倫理観がおかしいのかもしれないが、長い間その理由がわからない。 また被害者の父親の心境も理解できない。自分が親だったら殺されて当然のことをしたと思う。むしろ本当の被害者だったのは、心を殺された加害者のほうではないかと思う。

Posted byブクログ