生還者 の商品レビュー
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下村作品、2冊目の読了。 まだ2冊しか手にしていないことにビックリしている自分がいます。 私にとっての下村作品との出会いは「黙過」(2021.10.30読了)、あの衝撃から1年と2ヶ月。 季節が冬へと移り変わったタイミングで雪山を舞台にした山岳物を読みたくなり、手にしました。 山岳ミステリー、一言で表せばこれしかない。 世界で3番目の標高を誇るカンチェンジュンガで雪崩が起き、日本人7人が巻き込まれる。 そこから生還した高瀬と東。 2人の生還者が語るカンチェンジュンガでの事故は正反対に食い違い、どちらが真実を語っているのか? これが本作のミステリーの根幹。 そして、その謎を解き明かすのがW主演の直志と恵利奈。 1つの謎が解けたと思えば、矛盾が生じ、謎解きは思いの外、進んでいきません。 そしてカンチェンジュンガでの真実を求める登山が始まった。 ミステリーとしては非常に面白い。 しかし、山岳物として捉えれば少し物足りなさを感じたが故の☆4つ。 ただ、このまま「失踪者」を続け読みさせようと思う何かが本作にはありました。 説明 内容紹介 ヒマラヤ山脈東部、カンチェンジュンガで雪崩が発生。日本人7名が巻き込まれる惨事となった。犠牲者の一人・増田謙一の弟である直志は、兄の遺品を整理するうち、ザイルに細工がされていたことに気づく。死因に疑問を抱く中、兄の登山隊に関係する二人の男が相次いで奇跡の生還を果たす。真相がわかるかと期待した直志だったが、二人は全く逆の証言をし……。雪山という密室を舞台にいくつもの謎が絡み合う緊迫の山岳ミステリー. ヒマラヤ山脈東部、世界第3位の標高を誇るカンチェンジュンガで大規模な雪崩が発生、日本人登山者7名が巻き込まれる惨事となった。4年前に登山をやめたはずの兄が、なぜかその雪崩に巻き込まれ、34歳の若さで命を落とした。同じ山岳部出身の増田直志は、兄の遺品のザイルが何者かによって切断されていたことに気付く。兄は事故死ではなく何者かによって殺されたのか――? 生存者は絶望視されていたが、高瀬という男性が奇跡の生還を果たす。単独行だった高瀬は、猛吹雪のなか兄たち登山隊に出会い助けを求めたが冷たくあしらわれ、登山隊の加賀谷だけが残って自分を助けてくれたという。行方不明の加賀谷が英雄としてマスコミを賑わせる中、今度は東という男が救助された。東は高瀬が嘘をついていて、加賀谷こそが卑怯者だと証言するのだった。 二人の生還者はどちらが真実を語っているのか? 兄の死の真相を突き止めるため、増田は女性記者の八木澤とともに高峰に隠された謎に挑む! 内容(「BOOK」データベースより) 雪崩で死亡した兄の遺品を整理するうち、増田直志はザイルに施された細工に気づく。死因は事故か、それとも―。疑念を抱く中、兄の登山隊に関係する二人の男が生還を果たす。真相を確かめたい増田だったが、二人の証言は正反対のものだった!ヒマラヤを舞台にいくつもの謎が絡み合う傑作山岳ミステリー。 著者について 下村 敦史 1981年京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい! 2015年版」国内編3位と高い評価を受ける。翌年に発表した短編「死は朝、羽ばたく」が第68回日本推理作家協会賞短編部門候補に、『生還者』が第69回日本推理作家協会賞の長編及び連作短編集部門の候補作となった。他の作品に『真実の檻』『難民調査官』『サイレント・マイノリティ 難民調査官』『失踪者』『告白の余白』がある。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 下村/敦史 1981年京都府生まれ。2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。同作は「週刊文春ミステリーベスト10 2014年」国内部門2位、「このミステリーがすごい!2015年版」国内編3位と高い評価を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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久しぶりに読む山岳ミステリー。 解説にもありますが、やや稚拙さが気になる仕上がり。 けれど下村氏の作品には常に何かしらの新しさを感じます。 登山をやめたはずの兄が雪山の雪崩で死亡。 遺品のザイルに人為的な傷を見つけた増田は兄の死因が本当に雪崩だったのか疑うようになる。 そんな...
久しぶりに読む山岳ミステリー。 解説にもありますが、やや稚拙さが気になる仕上がり。 けれど下村氏の作品には常に何かしらの新しさを感じます。 登山をやめたはずの兄が雪山の雪崩で死亡。 遺品のザイルに人為的な傷を見つけた増田は兄の死因が本当に雪崩だったのか疑うようになる。 そんなとき、同じ雪崩に遭うも生還した2人の男性がメディアの前に現れ、真っ向から食い違う主張をする。 嘘をついているのはどちらか、その理由はー? 「なんでもっと早く気付かないの?」と聞きたくなるような箇所があったり、トントン拍子に話が進みすぎたりするきらいはありますが、構成はよいです。 まずまず楽しめました。 でも「闇に香る嘘」と「法の雨」の方が面白いかな。 2020年38冊目。
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生還するとういうことは喜びだけではなく、苦しみもあるんですね。私の中で山岳小説ほど別世界に連れていってくれる小説はない。
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雪山で遭難死した人。生還者の異なる証言。どちらが正しいのか。 個人的には、なるほど、と謎の回収がとてもすっきりした。 また、適宜なんども、現時点で、どこが食い違っていて、どこが謎なのか、主人公達の会話で振り返ってくれるから、深く考察しながら読んでいるわけではない自分のような読者に...
雪山で遭難死した人。生還者の異なる証言。どちらが正しいのか。 個人的には、なるほど、と謎の回収がとてもすっきりした。 また、適宜なんども、現時点で、どこが食い違っていて、どこが謎なのか、主人公達の会話で振り返ってくれるから、深く考察しながら読んでいるわけではない自分のような読者にもわかりやすいのも良い。 死者がどう思ったのか、どう行動したのか、絶対の正解はないけれど、解釈が納得できるし、残酷すぎず良い。
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サバイバーズ・ギルトがテーマの山岳ミステリー。山岳の中でも厳冬期ヒマラヤ登山を描いた筆者の登山知識には驚きです。まるで登山家が書いた小説のようです。最後、恵利奈じゃなく、葉子で良かった。
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登山に興味ないし、出だしから、彼がとか、男はとかって、って一体誰?って思うと、なかなか読み進められず一年放置してて、再度それを我慢して読み始めると、次々と謎が深まり気がつけば一気に完読。とても楽しい読書の旅でした。 印象に残った一文------- 「生きるためには誰もが様々な選...
登山に興味ないし、出だしから、彼がとか、男はとかって、って一体誰?って思うと、なかなか読み進められず一年放置してて、再度それを我慢して読み始めると、次々と謎が深まり気がつけば一気に完読。とても楽しい読書の旅でした。 印象に残った一文------- 「生きるためには誰もが様々な選択をしている。赦されるもの、赦されないもの。外から判断して責めるのは簡単だろう。だが、果たしてそれは正義だろうか。」
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みんな山が好きな人なのに、極限での選択が悪い方に向いてしまったり、すれ違いによる誤解により罪の意識に苛まれてしまった、切ない話でした。最後は救われる話で良かったです。
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高尾山しか行ったことのない自分でも面白く先が気になり他のことより優先して読んでしまった 「トラストフォール」や「サバイバーズギルト」という言葉を初めて知った 生き残った、よかったよかったとはならない苦悩。 山で命を失った遺族も辛いが、同行していた者の気持ちはどれだけなもの...
高尾山しか行ったことのない自分でも面白く先が気になり他のことより優先して読んでしまった 「トラストフォール」や「サバイバーズギルト」という言葉を初めて知った 生き残った、よかったよかったとはならない苦悩。 山で命を失った遺族も辛いが、同行していた者の気持ちはどれだけなものか 山を大切に思っている人ほど山を舐めている人達のことは許せないんだろうと思う
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初めての山岳ミステリー。 話についていけるかという心配は、全くの杞憂だった。 山岳についての知識が無くても理解しやすい文章のため、安心して読める。 謎が謎を呼ぶ展開が繰り広げられ、ミステリーとしても面白い。 さすが下村さんと言うべきか、意外な事実に驚かされたと思ったところでもう一...
初めての山岳ミステリー。 話についていけるかという心配は、全くの杞憂だった。 山岳についての知識が無くても理解しやすい文章のため、安心して読める。 謎が謎を呼ぶ展開が繰り広げられ、ミステリーとしても面白い。 さすが下村さんと言うべきか、意外な事実に驚かされたと思ったところでもう一撃。 まさに戦慄。
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最後救われて良かったです。 ただ同時に、山を登った者同士にしかわからないなどといった理由(感覚としてあるのかもしれませんが・・・)によって、葉子が報われないというあまりにも身勝手な結果にならなくて良かったとも感じました。
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