世界一訪れたい日本のつくりかた の商品レビュー
「平成の観光業は、日本人のマス向けに作った観光インフラをアジアのマスに使ってもらうというモデルで発展してきた」
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日本をこよなく愛してくれている外国人や、文化や芸術に造詣の深い海外の方など、日本政府はサポートジャパンとして協力をお願いしもっと活躍していただける場を提供すればいいのにと思います。その最右翼が、アトキンソンさんです。経歴を見れば、既に日本政府観光局特別顧問(2017~)として活躍...
日本をこよなく愛してくれている外国人や、文化や芸術に造詣の深い海外の方など、日本政府はサポートジャパンとして協力をお願いしもっと活躍していただける場を提供すればいいのにと思います。その最右翼が、アトキンソンさんです。経歴を見れば、既に日本政府観光局特別顧問(2017~)として活躍されているようですが、2017年の本書の提言からはIRカジノリゾートだけがつまみ食いされている感じがしてしまうのは私だけでしょうか? 最近の官庁がらみの案件は、既得権益や箱物といった昭和の遺物が幅を利かせている色合いが以前よりも強くなっている気がします。莫大な予算が使えるプロジェクトには真剣だが、金を使わないが効果的なアイディアが軽視されるのでは困ります。 本書でも、金をあまりかけないアイディアがたくさんあります。例えば、外国人観光客に日本の課題を解決してもらうボランティア観光という提言です。ともすれば、何かをしてもらうと費用が掛かるという常識に反して、自然保護活動をしている経験豊富な人たちに来日を呼びかけるという発想は斬新です。そのためには、受け入れ態勢の整備や来日活動目的などを含めた魅力あるプレゼンが必要ですが、世界には自分の時間とカネをかけてでも貢献したいと思う篤志家が少なからずいるわけで、お互いにウィンウィンの関係であれば持続性も期待できそうです。 また、観光上客を呼び込みたいのなら、5つ星ホテルのグローバルな視点で整備充実を図れ、というのももっともです。(そもそも、タイには110軒あるが、日本には28軒しかない) また、税金におんぶにだっこの文化財保護についても、文化財自身が管理維持費を稼げるようなサイクル確立が必要だというのも当然です。せっかくの世界遺産が、「でかい負債」ではダジャレにもなりません。こうした体質にしてしまうのも、省庁の権益確保のための補助金という制度が、逆に自治体の自助努力のインセンティブの芽を摘んでしまう結果になっているのは残念です。 現在、武漢ウィルスが猛威を振るい、先日WHOがパンデミック宣言を出して、世界的に観光どころではなくなりましたが、いつか必ず終息して、観光業も復活するわけですので、閑散時だからこそいろいろ準備しておくという将来を見据えた複眼思考も必要です。 頑張れ、日本!
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著者のデービット・アトキンソンは凄い経歴の方だ。元ゴールドマン・サックスにして、現在は国宝、重要文化財の補修を手掛ける会社の取締役社長。日本政府観光局特別顧問なども務めている。 そんな方が様々な統計データを用いて、日本の観光を本気で考える。 昭和的な観光を続けてはダメだという...
著者のデービット・アトキンソンは凄い経歴の方だ。元ゴールドマン・サックスにして、現在は国宝、重要文化財の補修を手掛ける会社の取締役社長。日本政府観光局特別顧問なども務めている。 そんな方が様々な統計データを用いて、日本の観光を本気で考える。 昭和的な観光を続けてはダメだという強いメッセージを感じた。 そして、ハイレベルな5つ星ホテルを増やそうと発信している。カジノありきのIR事業も推進している。 もちろん統計データでロジカルに語ってくる。 日本の観光はものすごい産業になりそうだ。
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我が国の観光政策に少なからず影響を与えたと思われる『新・観光立国論』の続編ともいえる本で、日本に通暁したイギリス人アナリストの著者が、日本の観光業の可能性と課題をデータに基づき分析し、日本を「世界一訪れたい国」にするための具体的な方法論を提示している。 『新・観光立国論』と主張が...
我が国の観光政策に少なからず影響を与えたと思われる『新・観光立国論』の続編ともいえる本で、日本に通暁したイギリス人アナリストの著者が、日本の観光業の可能性と課題をデータに基づき分析し、日本を「世界一訪れたい国」にするための具体的な方法論を提示している。 『新・観光立国論』と主張がかぶるところが多いし、データの解釈に一部腑に落ちないところ(World Economic Forumの国際競争力ランキングに基づく日本の観光業のボトルネックの指摘など)があったり、データに基づかない主張(中国人の爆買いの多くが輸入品であるという指摘)が散見されたり、気になるところはあったが、「ドイツ人など「上客」をターゲットにすべき」、「「横並び」をやめて、客の「満足度」を高めるために何をすべきか考えるべき」、「自然を活かしたアクティビティを充実させるべき」、「情報はネイティブにつくってもらい、必ず「So what?テスト」をすべき」、「「世界標準のサービス」を取り入れた「高級ホテル」を増やすべき」、「文化やスポーツの「観光業化」に力を入れるべき」といった提示されている処方箋は一理あると感じることばかりで、観光政策担当者や観光業関係者が一読する価値のある本だと感じた。本書で主張されているIR推進論も納得のいくものだった。
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遠い国からの観光客が沢山金を使う。イギリス人、ドイツ人を狙え。 安価な大量動員を前提とした昭和の観光業から、高額の消費をする海外観光客を満足させるレベルの高いサービスへの転換 見せるだけの文化による集客は限界。観光客の事前学習を前提としない丁寧な説明が必要。 自然による集客は、長...
遠い国からの観光客が沢山金を使う。イギリス人、ドイツ人を狙え。 安価な大量動員を前提とした昭和の観光業から、高額の消費をする海外観光客を満足させるレベルの高いサービスへの転換 見せるだけの文化による集客は限界。観光客の事前学習を前提としない丁寧な説明が必要。 自然による集客は、長期滞在型の観光客を招くのに最適。そのために長期滞在を前提とした宿泊施設が必要 高級ホテルが足りない 日本人の人件費は、今や高くない。 もっと訓練された人を沢山使って、長期滞在客の宿泊客の多様な要求に答えられるサービスを。 文化も、スポーツも、産業化が必要。
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観光産業は、世界では2015年に全GDPの10%を突破し、自動車産業を上回る規模に成長した。日本の観光客も10年足らずで3倍になったが、自然・気候・文化・食の全てを持つ日本のポテンシャルはまだまだ活かされていない。昭和パターンを脱し、より稼げるように作り変えていくべき。 データ...
観光産業は、世界では2015年に全GDPの10%を突破し、自動車産業を上回る規模に成長した。日本の観光客も10年足らずで3倍になったが、自然・気候・文化・食の全てを持つ日本のポテンシャルはまだまだ活かされていない。昭和パターンを脱し、より稼げるように作り変えていくべき。 データが豊富で説得力がある。ほんとに、これからの産業は観光だって思いました。
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日本は2020年時点のインバウンド4000万人/消費額8兆円、2030年6000万人/15兆円をめざしている 日本のインバウンドは2000万人超え伸びて生きているが、中国・韓国に大きく依存しており、低単価に留まっている 今後日本が目標達成するには上客である欧米の旅行客...
日本は2020年時点のインバウンド4000万人/消費額8兆円、2030年6000万人/15兆円をめざしている 日本のインバウンドは2000万人超え伸びて生きているが、中国・韓国に大きく依存しており、低単価に留まっている 今後日本が目標達成するには上客である欧米の旅行客を狙う必要があり、特に50%のシェアを持つ欧州のターゲットとし、国別の戦略を持つべきである しかし、日本現在の観光コンテンツは、文化観光に依存した昭和時代の観光(マスをターゲットとし、プロダクトアウト型で提供者論理に基づいた多種多様なルール設定等の殿様商売、)を継続しており、特に、景勝地観光、国立公園の整備といった「自然体験」を重視した観光プログラムの充足の他、正確な多言語、高級ホテル、IR整備等が求められる。 国立公園整備で言えば、休憩所/ベンチ、ごみ箱の設置、ボランティアツアー、sowhatに応えるガイドや資料、キャンプ場整備、自然体験によって欧米の上客ニーズを捉えるとともに、滞在期間が延び、より高い産業効果が期待される また、日本は、文化施設、スポーツも産業化ができておらず、観光含めて産業化に向けた体制が肝要になると想定される。 (参考情報) ・観光大国の条件 自然・気候・文化・食 ・世界の観光産業は、世界のGDPの10%以上 ・欧州は世界のアウトバウンドの40%以上 ・世界の1/5が国際観光を楽しむ時代 ・日本のインバウンドの85%はアジア
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・観光は、エネルギーや化学製品に並び、自動車を上回る基幹産業になっている。 ・世界一大きな観光市場である欧州が、日本から遠いというのは非常に有利。 ・一番ターゲットにすべきはドイツ。 ・観光客の満足度を上げて、単価を上げる。何度も行きたくなるリピーターにする。 ・滞在型の自然体験...
・観光は、エネルギーや化学製品に並び、自動車を上回る基幹産業になっている。 ・世界一大きな観光市場である欧州が、日本から遠いというのは非常に有利。 ・一番ターゲットにすべきはドイツ。 ・観光客の満足度を上げて、単価を上げる。何度も行きたくなるリピーターにする。 ・滞在型の自然体験型では、宿泊日数が伸び、支出額が増える。 ・日本の文化財と観光資源は、説明を受けるとその良さが伝わる。 ・外国人に地元の課題を解決してもらう。例:ハンティングツーリズム ボランティア観光 ・整備をしっかりしてから、情報発信に取り組むべき ・ネイティブにゼロから解説文をつくってもらう ・世界の観光客が検索しているキーワードを使った発信が足りない (local gastronomy, local traditions, local people, tourism attractions, fishing, hiking, hunting, golf…)
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イギリス出身で日本にて活躍している著者による観光立国論。学術的とは言えないが、データに基づき論理的に意見を述べている。説得力があるし前向きである。参考となるいい本だった。 「観光大国になる4条件は、自然、気候、文化、食(日本はすべてを満たす稀な国)」p3 「環境産業は、170兆...
イギリス出身で日本にて活躍している著者による観光立国論。学術的とは言えないが、データに基づき論理的に意見を述べている。説得力があるし前向きである。参考となるいい本だった。 「観光大国になる4条件は、自然、気候、文化、食(日本はすべてを満たす稀な国)」p3 「環境産業は、170兆円」p19 「日本の観光インフラは、まだまだ整備が不十分。アクティビティ、ホテル、解説、座る場所などのレベルアップが必要」p52 「(観光最大の支出である宿泊と食事)(訪日客)アジアの平均支出額は1人あたり9万5621円、北米が13万5479円、欧州が16万6317円、オーストラリアが20万9009円でした」p78 「「世界遺産」の肩書は欲しいが、その整備はしたくないとの理論は通用しない」p150 「世界にはお金を払ってでも狩猟をしたいという人が山ほどいる(野生動物の駆除を依頼する)」p172 「文化財を観光すれば、外国人にも理解できるわかりやすい解説は皆無であるにもかかわらず、禁止事項はこれでもかというくらいに羅列されている(外国人の不満)」p182 「日本には、世界の「5つ星ホテル」を常宿としているような富裕層はほとんど訪れていない(5つ星ホテルがほとんどないから)」p250 「アジア各国がカジノという集金エンジンを用いたIR(国際会議場)で国際会議場を続々整備しているという国際的な潮流の中で、日本だけが「カジノなしのIR」で対抗しようというのは、「高級ホテルを作らずに超富裕層を誘致しよう」ということぐらい無理のある話です」p265 「文化財を単に税金を増やす「研究・学習の場」から、「自ら稼げる観光施設」に生まれ変わらせることで、自ら稼いで、施設のメンテナンスや伝統文化の普及を進めていくべき」p297 「文科省からスポーツと文化を切り離すべき」p310 「「自然」「文化」「スポーツ」という産業化できていなかった分野を「観光」という扇の要で結びつけることによって大きな成長を遂げることができ、それによって日本は世界でも稀にみる多様性に富んだ「観光大国」になることができる」p313
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【書評】日本が観光先進国になるための教科書『世界一訪れたい日本のつくりかた』 日本が外国人観光客にお金と時間をかけてでも行きたいと思われる国になるためには、何が足りないのか。 デービッド氏は本書でデータ、事例をもとに今の日本に欠けている部分を分析、そして今後どうするべきかを提案している。 1つ目のポイントは「相手目線」である。 日本人にわかることが、外国人にわかるとは限らない。 同じ言葉でも、国によって受け止め方が異なる。 頭ではわかっていても、日本の情報発信には外国人目線が欠けているものが多い。 これでは外国人観光客が、時間とお金をかけてまで行きたい国にはならないのではないか。 2つ目のポイントは「多様性」である。 日本には幅広い客層が遊べる商業施設がない。 またスポーツ観戦に関しても、他国と比べて幅広い客層に対応できていない。 日本には他国と比べて多様性が足りていないのだ。 外国人観光客が日本におとすお金が少ない所以である。 上記2つのポイントは何も観光業に限った話ではない。 どの業種にも当てはまる話ではないだろうか。 自分の勤めている会社、業界は真の意味で「相手目線」なのだろうか。 幅広い客層に対応できる「多様性」を持たせているだろうか。 現状の観光業を紐解くことで、日本そして我々が見直すべき固定観念が明らかになる。
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