協同組合の源流と未来 の商品レビュー
農協(JA)や生協、県民共済など協同組合はわりあい身近な団体だ。ところが協同組合がどんな目的を持っていて、どのように運営されている組織なのかはさほど知られていないかもしれない。スーパーや食堂と生協は何が違うのか、生保会社と共済組合はどこが違うのか。ひと言で言えば協同組合は「助け合...
農協(JA)や生協、県民共済など協同組合はわりあい身近な団体だ。ところが協同組合がどんな目的を持っていて、どのように運営されている組織なのかはさほど知られていないかもしれない。スーパーや食堂と生協は何が違うのか、生保会社と共済組合はどこが違うのか。ひと言で言えば協同組合は「助け合い」のための組織で、その目的を果たすために購入・販売・共済などの事業を行なっている。構成員は組合員なのだが、組合員だけでなく組合が存在する地域をより良くするというミッションも持つ。 本書はタイトルが示すとおり、そんな協同組合の源流を詳しく解説する--人びとの労働環境や生活状況の改善を目指すべく、生活に必要なものを共同で調達して分け合うしくみが19世紀の英国で生まれた。日本では明治期になってすったもんだの末に産業組合法が成立し、組合が次々に設立される。また戦後に今の農協が生まれるうえで重要なGHQとのやりとりなどにページが割かれている。日本国内での源流として二宮尊徳の思想・活動が紹介されていたのが個人的には興味深い。まったく知らなかった。 国連によって2012年が国際協同組合年に定められた。実際、近年の経済的な危機の中で「一般の企業にはない耐久力や回復力」(204ページ)が注目されているという。利益の追求を目指すのではなく、「助け合い」を理念とする協同組合の重要性が将来はいっそう高まるだろうと、本書を読んで感じる。
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