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ヒルビリー・エレジー の商品レビュー

4.2

71件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2025/02/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

トランプを支持しているという白人労働者階級の人たちのことを知りたくて読んだ。現在の副大統領であるJ・D・ヴァンスの自伝である。当然のことながらやはり生まれ育った地域で受けられる教育や文化資本、それ以外にもその土地に済む大人、つまり自分の親がどういった職業でどれぐらいの賃金を得ているかに違いが出てくる テクノロジーの発展で稼げる産業が移り変わり大企業の工場が撤退するとそこで働いていた人間は働き口を失う。新たな働き先がない状態で世代が続くと、コミュニティやカルチャーが固定化されて、そこ以外の世界があることに結び付けなくなる 変わらぬ地元の風景が閉塞感を生み、それなのに都市部にいるインテリのなかではマイノリティたちの活躍が増える。そうなってくると自分たちにまとわりつく無力感をマイノリティにぶつけたくなる。そしてその感情に目をつけたのがトランプだという トランプのやることはもちろん支持できないし、先人がなんとか積み上げてきたものをぶち壊して楽しむようなことは最低だと思う。でも自分たちの環境や未来に明るい兆しがまるで見えなくて、それなのに都会にいてあらゆることを享受しやすい環境にいるマイノリティがいい暮らしをしていたらそこにフラストレーションをぶつけてしまうという心理は想像できた。というより今の日本でも起こっていることだよなあと思う

Posted byブクログ

2025/01/26

本書は著者が2024年にトランプに共和党副大統領候補に指名される前の2016年に出版された。 本書は著者の回想録であると同時に彼が帰属すると考える「スコッツ=アイリッシュ」の子孫が移住したアパラチア山脈周辺のケンタッキー州ジャクソンで生活した一族の様子からオハイオ州ミドルタウンへ...

本書は著者が2024年にトランプに共和党副大統領候補に指名される前の2016年に出版された。 本書は著者の回想録であると同時に彼が帰属すると考える「スコッツ=アイリッシュ」の子孫が移住したアパラチア山脈周辺のケンタッキー州ジャクソンで生活した一族の様子からオハイオ州ミドルタウンへ移住した祖父母の家族と著者の幼少期から青年期更にその社会からの脱出としての海兵隊入隊、大学、ロースクールを通じて異なる社会への進出が描かれる。 ヒルビリーの生活する文化圏は家族や地域に対する深い愛情と献身の反面、排他的で保守的な傾向が強い。更に虚栄心が強い反面地道な努力や勤労意欲にと欠ける。 結果として多くの白人労働者層で生活改善が行われず、貧困や離婚、薬物依存症、アルコール依存症と言った負の要素を抱え込み益々厭世的傾向に陥る。 そのような社会の中でも典型的(というかそれ以下)な家庭環境で育った著者が、厳格な祖母祖父母の庇護や家族の絆に支えられ成長していく。 ただ海兵隊に入り無気力な生活から脱却し、大学、ロースクールへと自分の帰属する社会から異なる富裕層や知識階級の社会に入る事で自らの人生を客観的に見る目を養い、本書を書くまでに成長する。 それでもかつての自らが帰属するタイトルのヒルビリー=田舎者のメンタルは捨てきれない事を告白する。 本書がトランプを支持する岩盤層の一端を理解するのに役立つということはよくわかるし、更に言えばなぜ民主党から共和党に支持を変えたのかも分る示唆が多い。 著者が副大統領として今後どのような判断、行動をするのか大いに注目される。

Posted byブクログ

2024/12/28

アメリカの副大統領がどんなことを考えているか知りたくて、読んでみた。 タイル会社の倉庫の話(若者は重労働を避け、他人のせいにし、他人がなんとかしてくれると考えている)は、いきなりガツンとくる内容。。。 ドラックに溺れ、男を取っ替え引っ替えしてしまう情緒不安定な母と、学も金もな...

アメリカの副大統領がどんなことを考えているか知りたくて、読んでみた。 タイル会社の倉庫の話(若者は重労働を避け、他人のせいにし、他人がなんとかしてくれると考えている)は、いきなりガツンとくる内容。。。 ドラックに溺れ、男を取っ替え引っ替えしてしまう情緒不安定な母と、学も金もないが、筋を通す祖母、、、貧しい地区でのサバイバル生活。。。 海兵隊での経験から、バイトを3つしながらの大学、ロースクールを卒業し、ベンチャー企業の社長に。。。 2世政治家やセレブ出身者にはわからない、どん底からの成り上がり。トランプが選挙で勝てたのも頷けた。 素敵なフレーズを二つ。 自分たちは世界一すばらしい国で暮らしていると言われながら、育った。さまざまな出来事や混乱に圧倒されて苦しくなった時も、いつかきっと素晴らしい日がやってくると信じることができた。 アメリカ合衆国には感謝しても感謝しきれない。 私の場合、これまでの人生で、欠乏が豊かさに変わる経験をしてきたので、プレゼントを買う行為は、自分がどれだけ幸運に恵まれているかを考えるきっかけを与えてくれる。 まだ若い彼が、トランプと渡り合いながら、副大統領候補として討論会で堂々と話し、地位も名誉もあるにも関わらず、上から目線ではなく語りかける理由が、とてもよくわかった。 彼を、単なる右翼的な人間だと刷り込んだ、日本のマスゴミの皆さんにも、読んで欲しい。

Posted byブクログ

2025/01/05

読んだ理由 アメリカの格差の状況を知りたかった。 感想 環境で全て決まるわけではないが、環境は人の人格形成に大きな影響を与える。 人格形成において、幼少期に安心できる居場所があるか、お手本となるべき人は近くにいるか。というのは大切。 その環境を作るのは地域や個人に委ねられており...

読んだ理由 アメリカの格差の状況を知りたかった。 感想 環境で全て決まるわけではないが、環境は人の人格形成に大きな影響を与える。 人格形成において、幼少期に安心できる居場所があるか、お手本となるべき人は近くにいるか。というのは大切。 その環境を作るのは地域や個人に委ねられており、政策で抜本的に解決するのは難しい。 子育てにいい環境を作ることで、地域全体が向上する。

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2024/09/17

アメリカの白人貧困層の生活とその歴史的背景、名門ロースクールでのエリートの世界、社会の分断の様子が描かれている。日本にも類似の格差はあると思うが、アメリカはその度合いが格段に強いことを理解できた。 オバマ元大統領に対する白人貧困層の評価の描写は当時日本で報道されていたオバマ像と大...

アメリカの白人貧困層の生活とその歴史的背景、名門ロースクールでのエリートの世界、社会の分断の様子が描かれている。日本にも類似の格差はあると思うが、アメリカはその度合いが格段に強いことを理解できた。 オバマ元大統領に対する白人貧困層の評価の描写は当時日本で報道されていたオバマ像と大きく異なりること、実力主義とされる社会でも、実は経済格差が社会関係資本格差及び健康格差を形成していることは、重要な示唆と受け止めた。 一方で、本日がベストセラーになっている背景がまだ理解できていない。本書で描かれている事柄は米国で広く認識されていたことでななく、当時国民に驚きを持って受け止められたから、なのだろうか。

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2024/09/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アメリカの田舎者(ヒルビリー)の貧困者層の日常をリアルに描いた自伝。 低所得者の特徴をアルバイトの目線からよく押さえている。 →急いでいる客ほどインスタント食品や冷凍食品を買っていくが、そういうタイプは貧しい可能性が高い。 またこの時から社会に対する不公平さを感じ、学び始めている。 →私は自分では金がなくてステーキなど買えないのに、合衆国政府に税金を徴収され、私が払ったその税金で他人がステーキを買っているのだ。 本当に不利な立場に置かれた人々 →自分では仕事を見つけられず、人とのつながりや社会的支援といった面では、ほとんど何も提供してくれないコミュニティのなかにぽつんと取り残された人々 私たちのエレジー(哀歌)は、社会学的なモノであるがそれと同時に心理学やコミュニティや文化や信仰の問題でもあるのだ。 どうすれば貧困から抜け出せる? 「オバマやブッシュや企業を非難することやめ、事態を改善するために自分たちに何ができるのか自問自答することからすべてが始まる。」

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2024/08/31

アメリカの労働者階級の白人は仕事がないからダメなのではない。努力しないで薬物やアルコールに逃げている姿を描く。彼自身は幸運にもそう言う環境から抜け出て社会的に成功するが、そうはできない環境がそこにはある。そこに生まれた子供達は貧困であり、そこから抜け出せない。しかしこれを変える方...

アメリカの労働者階級の白人は仕事がないからダメなのではない。努力しないで薬物やアルコールに逃げている姿を描く。彼自身は幸運にもそう言う環境から抜け出て社会的に成功するが、そうはできない環境がそこにはある。そこに生まれた子供達は貧困であり、そこから抜け出せない。しかしこれを変える方策は中々見つからない。政治家のせいにするのではなく、自分自身で向き合うしかない。アメリカで薬物が蔓延する状況はたまにニュースで目にするが、状況は芳しくない。どうやって社会全体の底上げを図れるのか、努力が生活の向上に繋がるのか。ヴァンスはトランプの元で副大統領として選挙戦を戦う。彼がどう国の舵取りを行うか興味が尽きない。資本主義社会の中で左寄りにならずに社会の貧困を無くしていく方策はどこにあるのか。深い課題だと思った。

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2024/08/18

副大統領候補の著書ということで、手にとって見ました。 私も日本の田舎出身なので、「頭脳流出」という現象は実感を伴って理解することができました。アメリカほどの規模ともなると、日本とは比べ物にはならないくらい荒廃が進んでいくのだろうということがよく分かりました。 そのような環境から4...

副大統領候補の著書ということで、手にとって見ました。 私も日本の田舎出身なので、「頭脳流出」という現象は実感を伴って理解することができました。アメリカほどの規模ともなると、日本とは比べ物にはならないくらい荒廃が進んでいくのだろうということがよく分かりました。 そのような環境から40歳にして副大統領候補までのしあがったヴァンス氏はとても立派ですね。このような人が上に立つと、ヒルビリーのような人々のケアも期待され、票を集めるのではないでしょうか。

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2024/07/27

副大統領候補の著作と知り 遅ればせながら読みました 祖父母の懸命なフォローで 何とか負の連鎖から抜け出せた著者 今の日本も決して他人事で終わる話しではない

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2023/04/09

私も日本の辺境で生まれ育ったので、著者が育った環境の閉塞感とか悪循環とよく似た肌感を再体験して辛かった。 ドラッグがないだけ日本の方がマシ、みたいな低い所で比べて安心するのも違う。 とりあえず避妊大事。家族増員は計画的に。 この著者がこの作品の後にトランプから支持を受けて共和党か...

私も日本の辺境で生まれ育ったので、著者が育った環境の閉塞感とか悪循環とよく似た肌感を再体験して辛かった。 ドラッグがないだけ日本の方がマシ、みたいな低い所で比べて安心するのも違う。 とりあえず避妊大事。家族増員は計画的に。 この著者がこの作品の後にトランプから支持を受けて共和党から議員に当選したのも含めてアメリカらしいと思う。

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