神さまのビオトープ の商品レビュー
人を思うことは素晴らしいはずなのに、世間の常識と照らし合わせて、どこか心が傷ついてしまう、本当に人生って難しい。 自分のことなんだから、自分の好きなように人を愛したらいいって思うけど、どうしても周囲から肯定されたいしわかって欲しいって欲求が出てくるし、自分が人と違うことが悪いこと...
人を思うことは素晴らしいはずなのに、世間の常識と照らし合わせて、どこか心が傷ついてしまう、本当に人生って難しい。 自分のことなんだから、自分の好きなように人を愛したらいいって思うけど、どうしても周囲から肯定されたいしわかって欲しいって欲求が出てくるし、自分が人と違うことが悪いことみたいに感じてしまう。 とにかく胸がぎゅーっと締め付けられるお話しでした。
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うる波のように、ずっと浸っていたいような世界でした。 皆のビオトープを覗かせてもらった感覚だけど、特にうる波のビオトープは暖かかった。 てっきり、キッパリとした終わりになると思っていましたが、そうはならなかったのも、抜け出したくなくなる理由かも。 なにを幸せと感じるかは他人が決められない、と絶対的な世界の基準であるように見せて、じゃあ、命の有無、年齢、血縁を無視しても?と。 とても不明瞭で不安定なものが、あたたかい物語に織り込まれていました。 そして、現代では誰でも酒井先生のようになれてしまうなぁと思いました。 欲を言うなら、私も鹿野くんが生きている姿を見たかったです。
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すごく不安になる、不思議な作品だった。 良い意味で清々しさが無い、すっきりとしない感じ。 凪良ゆうさんの作品は、本当にこの不安定さが面白い。 人間に対する不快感がとても上手く書かれていて、読んでいて辛かった。 人間は誰しも秘密を抱えている、というのが強く印象に残る。 パートナーが...
すごく不安になる、不思議な作品だった。 良い意味で清々しさが無い、すっきりとしない感じ。 凪良ゆうさんの作品は、本当にこの不安定さが面白い。 人間に対する不快感がとても上手く書かれていて、読んでいて辛かった。 人間は誰しも秘密を抱えている、というのが強く印象に残る。 パートナーが居る方は特に刺さると思うし、何度も泣きそうになった。
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この本を手に取ったきっかけは題名に神さまとかいてあったから。読んでみると神様は出てこない、唯一「試練に打ち勝てる人のみ、神様は試練を与える」自分も辛い時はそう思って乗り越えることにしている。でも、不公平さを感じることがある。大切な人を亡くした喪失感は想像しただけでも耐え難い。ビオ...
この本を手に取ったきっかけは題名に神さまとかいてあったから。読んでみると神様は出てこない、唯一「試練に打ち勝てる人のみ、神様は試練を与える」自分も辛い時はそう思って乗り越えることにしている。でも、不公平さを感じることがある。大切な人を亡くした喪失感は想像しただけでも耐え難い。ビオトープとは?調べてみると「生き物が生息する場所、または人工的に復元した空間」、この本の中では主人公が幸せに生きるための世界なのかな?個人的にはロボットと安曇君の話が面白かった。西島さんの結末にはビックリです。
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2025.1.31 読了 うる波は事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。 どんなに歪な愛の形でも自分たちさえよければそれでいいと思いながらもどこかで誰かに肯定してほしいといつも願っている。 そんなうる波と鹿野くんを取り巻く人々の胸が苦しくなるような密やかな愛を紡い...
2025.1.31 読了 うる波は事故死した夫「鹿野くん」の幽霊と一緒に暮らしている。 どんなに歪な愛の形でも自分たちさえよければそれでいいと思いながらもどこかで誰かに肯定してほしいといつも願っている。 そんなうる波と鹿野くんを取り巻く人々の胸が苦しくなるような密やかな愛を紡いだ四つの物語。 「秘密のない人なんているわけないでしょう」西島さんの言葉がこんなに重く響くラストは想像していませんでした。 どの話も面白かったけれど「マタ会オウネ」と「彼女の謝肉祭」が特に印象深かったです。
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“ある種の好意は粘性のある蜘蛛の巣に似ていて、必要としていない人間にとっては逃げづらい嫌な構造をしている” “気遣いを見せながら同じ手で傷口を抉るようなことをする。けれど、そういう人は意外に多い。自分の矛盾に気づかないだけで、本人は善良だと思っている” “うる波ちゃんのいると...
“ある種の好意は粘性のある蜘蛛の巣に似ていて、必要としていない人間にとっては逃げづらい嫌な構造をしている” “気遣いを見せながら同じ手で傷口を抉るようなことをする。けれど、そういう人は意外に多い。自分の矛盾に気づかないだけで、本人は善良だと思っている” “うる波ちゃんのいるところが、俺にとっての世界の果てみたい。” “美しかろうが、醜かろうが、夢はひとりで見るものだ。自分の夢は自分の手でしか守れない” “常識人のような顔して、ひっそりと非常識な、夢を見ている人もいる。 自分が望む夢をまっとうできればいい。“ “好きで、好きで、この世の理を踏み越えても、ずっと見ていたいのだ。どんなに心細くても。” “混沌とした世界のあちらこちらから降ってくる弾丸のような激しい『常識』や『正義』や『思い込み』や『決めつけ』に、小さな秋くんは敢然と立ち向かっている” “わたしはわたし。あなたはあなた。適当に楽しくやりましょう。 あなたのためにという言葉は頑固で、真面目で、自らの信念に満ちすぎていて困る。” “ひどく悲しい。さびしい。けれど、それでも、わたしは幸せだ。” 物語の言葉を身体に取り込んでいく。この物語は穏やかな時間に連れて行ってくれる。そして愛しく優しい思いに浸らせてくれる。かなしく。いとしく。おなかの中に溜まっていく。折り重なっていく。 ふたりぼっちの幸せが永遠に続けばいい。溶けてしまう不安に苛まれてしまうそんな時さえ、貴方が隣にいるそれだけで幸せに満ちている。
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流浪の月を映画館で見た時と同じような感情になった。 本人たちが幸せなら、周りにどう思われようとそれでいい、 その人たちだけの幸せが守られますように
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表紙や題名、序からのファンタジー感から優しい話だと思っていたら1話目からぶん殴られた感覚。 幽霊やらロボットとか現実感がないのに心が抉られる。 秘密のない人なんているわけないでしょう。 人に言えない秘密、確かに自分にもある。その秘密が恥ずかしくなく覚悟をもって貫き通せれば幸せに...
表紙や題名、序からのファンタジー感から優しい話だと思っていたら1話目からぶん殴られた感覚。 幽霊やらロボットとか現実感がないのに心が抉られる。 秘密のない人なんているわけないでしょう。 人に言えない秘密、確かに自分にもある。その秘密が恥ずかしくなく覚悟をもって貫き通せれば幸せになれるのかもしれない。 少数派中の更に少数派、独特の嗜好。倫理的問題があっても自分の中に押さえ込めれば問題ない。 心の中まで世間の人に合わせなければいけませんか。 心は自由だと思うわ。 納得。
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愛のかたちはひとそれぞれ、いろいろなひとがいる。世間一般的には不自然だと思われる愛のかたちも、主人公の幽霊との愛のかたちを前にしたらなにも言えないよねってはなし。わたしも夫がなくなったら幽霊になっても一緒に住み続けたい。
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突然亡くなってしまった旦那さんの鹿野くんが、うる波さんにしか見えない形で戻ってきて変わらないような日常を過ごす。 うる波さんにとっては実体もあるけど、周りには見えないし、2人分のご飯は1人分しか減らない。 ふとした瞬間に全て消えてしまいそうな脆さを感じつつも、代えがたい大切なふ...
突然亡くなってしまった旦那さんの鹿野くんが、うる波さんにしか見えない形で戻ってきて変わらないような日常を過ごす。 うる波さんにとっては実体もあるけど、周りには見えないし、2人分のご飯は1人分しか減らない。 ふとした瞬間に全て消えてしまいそうな脆さを感じつつも、代えがたい大切なふたりの幸せ。 周りの人たちもそれぞれの幸せの形があり、時にはそれは他の人から理解されない。けれど、一線を越えない限りはそれぞれのものであって、他の人が否定できるものではない。鹿野くんもうる波さんも、色々な思いはあるけど、否定も肯定もできないことを知っている。 この物語を読んで、自分が見えているものや信じているものだけが世界じゃないのかもしれないな、なんて思った。 凪良ゆうさんのお話はその人たちが過ごしている風景が見えるところが大好き。これまで読んだものの中でも読み終わった後の余韻がよかった。また読み返したいお話の一つでした。
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