テミスの剣 の商品レビュー
読んで 題名の意味がわかる 深いし 目指すところは高い。 中山七里を読んで、法廷物 なんとなくわかって来た気がする。 渡瀬警部のなりたちがあからさまになる。渡瀬の苦悩 現在の渡瀬を知ってるから納得 冤罪という大きなテーマ 隠蔽体質 組織を護ろうとする大きな力 司法という立ち...
読んで 題名の意味がわかる 深いし 目指すところは高い。 中山七里を読んで、法廷物 なんとなくわかって来た気がする。 渡瀬警部のなりたちがあからさまになる。渡瀬の苦悩 現在の渡瀬を知ってるから納得 冤罪という大きなテーマ 隠蔽体質 組織を護ろうとする大きな力 司法という立ちはだかるもの。 渡瀬にエールをおくる。
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自分の信じる正義と組織のなかでの生存と間での葛藤や決断によって起こる反響や軋轢など、軽重は別にしてもいろいろな形で自分たちの社会生活で迫られる選択について考えさせる重いテーマ。他の作品にも登場する渡瀬を主人公に、読み出したら止まらない質の高い作品にしている。中山作品の真骨頂である...
自分の信じる正義と組織のなかでの生存と間での葛藤や決断によって起こる反響や軋轢など、軽重は別にしてもいろいろな形で自分たちの社会生活で迫られる選択について考えさせる重いテーマ。他の作品にも登場する渡瀬を主人公に、読み出したら止まらない質の高い作品にしている。中山作品の真骨頂であるどんでん返し的なエンディングも見事。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
冤罪がテーマ。 主人公は七里作品ではお馴染みの刑事、渡瀬。 若かりし頃、先輩刑事と共に上げた犯人を結果的に死刑に追いやってしまうが、それは冤罪ということが数年後、彼が上げた他の男が真犯人だと暴くことに。 冤罪で死んでしまった青年とその家族が本当に痛々しく、やりきれない気持ちになる。 ダイナミックな一冊。
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ハサミ男は自分は今ひとつでしたが、こちらは傑作です。どんでん返しのストーリー、登場人物の個性など、読み応えあり。
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カエル男から作者の作品に入り 刑事さんに、それも若き時代に 興味をもつからそりゃ読むよね。 底知れぬ能力と魅力を醸し出すベテランの姿と まだ周りに影響されて流される若手時代の姿と 本人以外は読者しか知りえない重荷、十字架を背負う キャラクターの完成までの道のりを追いながら 罪と...
カエル男から作者の作品に入り 刑事さんに、それも若き時代に 興味をもつからそりゃ読むよね。 底知れぬ能力と魅力を醸し出すベテランの姿と まだ周りに影響されて流される若手時代の姿と 本人以外は読者しか知りえない重荷、十字架を背負う キャラクターの完成までの道のりを追いながら 罪と罰、感情と倫理と権力と正義(という思い込み)、 大衆と報道機関、そういった世の中の清濁や もやもやしたり、やりきれない思い、 真犯人探しのミステリーというだけでなく 俗、下衆な大衆を客観視したり、自らを重ねたり 仕掛けはどんでん返しだけではないと思った。
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冤罪と言う重いテーマ。 昔はこうやって無実の人を追い詰めて行って冤罪が生まれたのかな・・って今も?! 最後のどんでん返しまで飽きずに一気読みでした。
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担当した事件が冤罪であったことを知った刑事が贖罪を込めて事実を追求していく。事件としては救いのない物語になっているが、エピローグがあることで希望のある結末になっていると思う。
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テミスは、ギリシア神話に登場する法と掟の女神である。よく「正義の女神」と呼ばれ、そのモチーフから裁判所の彫刻の女神像にもなっている。 さて、そんなテミスの名を冠した表題である本作のテーマは「正義」である。そして、それに付随して現代の司法制度や冤罪、死刑制度などに切り込んだ社会派ミ...
テミスは、ギリシア神話に登場する法と掟の女神である。よく「正義の女神」と呼ばれ、そのモチーフから裁判所の彫刻の女神像にもなっている。 さて、そんなテミスの名を冠した表題である本作のテーマは「正義」である。そして、それに付随して現代の司法制度や冤罪、死刑制度などに切り込んだ社会派ミステリーだ。 冬のある日、浦和インター付近のホテル街にある久留間不動産で主人の兵衛と妻の咲江が何者かに刺殺されているのが発見された。現場の状況は、金庫がこじ開けられ中身が無くなっていたことから強盗犯の仕業かと捜査員たちは検討をつける。 しかし捜査を続けていくうちに、兵衛が違法な高利貸しをしていたことが判明する。そして高利貸で被害を被っていた人物を調べていくうちに、ついに楠木明大という男にたどり着く。顧客名簿のなかで、彼には事件当時のアリバイが唯一なかったのだ。 早速、取り調べを開始する。担当するのは百戦錬磨の鳴海刑事。だが、明大は否認。鳴海が恫喝し続け、違法な取り調べの末、明大の自白を得ることに成功する。 こうして一連の事件は終結し、明大は確定判決を受けたが、獄中自殺してしまう。 ざっと前半のあらすじはこんな感じだ。物語としては非常にシリアス。特に冒頭の鳴海の違法捜査の場面は自分にもいつか降りかかるのではないかと恐怖を感じた。一人の男性の自殺により、様々な人間の歯車が狂い始める。ある者は職を奪われ浮浪者に、ある者は世間から糾弾されて家族ごと社会から抹殺され、そしてある者はキャリアに登りつめた。たった一人の獄中自殺というターニングポイントにより様々な人生の岐路が変わる。その交錯した模様を実に巧みに描いている。色々な人が影響を受けて感情を捨てて、けれど共通して言えるのは皆が決して幸せになっていないということだ。自分の正義を信じて生きていたはずなのに不幸になっていく。そのやるせなさや理不尽さを痛感せざるを得ない。
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ミステリー小説を好んで読んでいると、どんでん返しにも、なんとなくの予想がつくようになってくる。 それでも、読み終わった後に清々しく余韻に浸れるのが、中山七里作品の素敵なところだと思う。
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真犯人に驚きもしたが、その真相が衝撃にまでならなかったのは、この本の根底に流れる「正しいとは何か」「人が 人を裁くとは何か」といった重厚感のあるテーマがあるからだと思う。事件の真相よりも、このテーマに対して誰がどう考えてどう行動するのかの方に興味が湧いて読み進めていた。 冤罪の...
真犯人に驚きもしたが、その真相が衝撃にまでならなかったのは、この本の根底に流れる「正しいとは何か」「人が 人を裁くとは何か」といった重厚感のあるテーマがあるからだと思う。事件の真相よりも、このテーマに対して誰がどう考えてどう行動するのかの方に興味が湧いて読み進めていた。 冤罪の一端を担った主人公、判決を言い渡した裁判官、いずれも巨大な権力を行使できる力を持つ人間だからこその過ちに対する恐怖、苦悩、葛藤は心に迫るものがあった。 何を守るのか。どんな天を見上げているのか。力を持つ人間ほど厳しく己を律し、広く世界を見つめ、正義を考えねばならない。
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