「原因と結果」の経済学 の商品レビュー
以前読んだ著者の一人・中室牧子氏の『学力の経済学』が面白かったので、本書を手に取ってみた。ちょっと予想とは違って本書は「因果推論」の入門書であり、純粋な学術書。 因果推論の根底にある考え方を図やイラスト、そして身近な事例などを踏まえて徹底的にわかりやすく説明するために執筆された本...
以前読んだ著者の一人・中室牧子氏の『学力の経済学』が面白かったので、本書を手に取ってみた。ちょっと予想とは違って本書は「因果推論」の入門書であり、純粋な学術書。 因果推論の根底にある考え方を図やイラスト、そして身近な事例などを踏まえて徹底的にわかりやすく説明するために執筆された本である。 ・健診を受けていれば健康になれる ・テレビを見せると子どもの学力が下がる ・偏差値の高い大学に行けば収入は上がる など、一見して「これはそうなんじゃないの?」と思うようなことがらについて、それが「因果関係」なのか「相関関係」なのかが分かりやすく説明されている。 「因果関係」と「相関関係」を誤って認識してしまうと、全く違った方向に企業戦略や国家戦略が向かってしまうことが往々にしてある。 例えば、Aという政策をやったらBという結果がでた。だから「Aをやれば必ずBになる」のかといえば、そうはならない。 その結果はもしかしたら 1「まったくの偶然」かもしれない 2「第3の要素C」が関係しているかもしれない 3「逆の因果関係」で、BだったからAなのかもしれない ということがあるのだ。 こういったことを踏まえ、本書では日本の各種政策等がきっちりとした検証が行われずに行き当たりばったりで行われているのではないかと思われるような事例も多く紹介されている。 本書は数式など出てこず、非常に分かりやすく説明されており、ビジネスパーソンとしてはマーケティングなどを担当している人が読んだら非常に参考になると思う(もしかしたら、そのような人にとっては「ここに書いてあることは常識だよ!」と言われてしまうかもしれないが・・・)。 本書を読んで、さらに「因果推論」を勉強したいという人には専門書もきっちりと紹介されているので、興味を持った人はそちらも読んでみると良い(僕はいいかな・・・)。
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「ヘルニアが『治った』!」「膝が痛くなくなった!」「狭窄症もこわくない!」 整体業界の「宣伝」は、“個人の経験談の寄せ集め”が少なくない。これらを“データではなく、エビデンスでもありません。個々の話に惑わされずに”と戒めてくれる。 整体師として当事者である私は、特に、「自分の...
「ヘルニアが『治った』!」「膝が痛くなくなった!」「狭窄症もこわくない!」 整体業界の「宣伝」は、“個人の経験談の寄せ集め”が少なくない。これらを“データではなく、エビデンスでもありません。個々の話に惑わされずに”と戒めてくれる。 整体師として当事者である私は、特に、「自分の『サービス』の成果を勘違いしない」強烈な戒めとなった。 因果関係と相関関係を混同しないことの大切さを認識させてくれた、『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』も素晴らしい津川友介さんの、評判にたがわない良書(中室牧子さんとの2年越しの共著)だった。
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「ヘルニアが!狭窄症が『治った』!」「膝が痛くなくなった!」 整体業界の「宣伝」は、“個人の経験談の寄せ集め”が多い。これらを“データでもエビデンスでもありません。個々の話に惑わされるな”と戒めてくれる。 整体師として当事者である私には特に、「自分のサービスの成果を勘違いしな...
「ヘルニアが!狭窄症が『治った』!」「膝が痛くなくなった!」 整体業界の「宣伝」は、“個人の経験談の寄せ集め”が多い。これらを“データでもエビデンスでもありません。個々の話に惑わされるな”と戒めてくれる。 整体師として当事者である私には特に、「自分のサービスの成果を勘違いしない」強烈な戒めとなった。 因果関係と相関関係を混同しないことの大切さを認識させてくれた、『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』も素晴らしい津川友介さんの、評判にたがわない良書(中室牧子さんとの2年越しの共著)だった。
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相関関係があるということは、因果関係があるということを意味しない。 相関関係と因果関係の違いについて、学術的な難しい説明は一切なく、素人にも非常に分かりやすく書いてある概要書だった。 アメリカやメキシコではエビデンスに基づく政策を重視する動きがある。 わが国はどうか。短期的に得票...
相関関係があるということは、因果関係があるということを意味しない。 相関関係と因果関係の違いについて、学術的な難しい説明は一切なく、素人にも非常に分かりやすく書いてある概要書だった。 アメリカやメキシコではエビデンスに基づく政策を重視する動きがある。 わが国はどうか。短期的に得票に結びつくような政策ばかりが議論されてはいないだろうか。
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相関関係と因果関係の違いや、基本的な統計的分析の手法が、多くの具体例を交えつつ紹介・説明された1冊。 各章 要点がまとまっており内容はとても読みやすく、企画やマーケティングを目指す人には初歩として読んでおくと良いかも。
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◯安易に前後比較デザインを用いて政策を評価することは「スケアード・ストレート」のように期待した結果が得られないどころか、むしろ社会的な害悪となる可能性がある政策を高く評価してしまうということになりかねない。(112p) ◯「政治的流行に左右されやすい政策を、エビデンスに基づくも...
◯安易に前後比較デザインを用いて政策を評価することは「スケアード・ストレート」のように期待した結果が得られないどころか、むしろ社会的な害悪となる可能性がある政策を高く評価してしまうということになりかねない。(112p) ◯「政治的流行に左右されやすい政策を、エビデンスに基づくものにする」ことが重要なのではないか(187p) ★因果推論の本。ランダム化比較試験、自然実験、差の差分析、操作変数法、回帰不連続デザイン、マッチング法を説明している。最後に回帰分析についても紹介している。『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』と同じテーマ。どちらも読みやすい。
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相関関係と因果関係 こちらで紹介されていたのでチェック。 https://www.euglena.jp/euglenastance/archives/1080 ファクトフルネスとあわせて、データを見るための基礎知識として知っている必要のある内容でした。 原因は何か? 結果は...
相関関係と因果関係 こちらで紹介されていたのでチェック。 https://www.euglena.jp/euglenastance/archives/1080 ファクトフルネスとあわせて、データを見るための基礎知識として知っている必要のある内容でした。 原因は何か? 結果は何か? 全くの偶然ではないか?交絡因子が存在しないか?逆の因果関係は存在しないか? 反事実はつくれるか。 比較できるように調整。 終わりにより 「研究というのはちょっと変わった仕事である。どれだけ論文を書こうとも、学会で発表しようとも、決して私たちの懐が温かくなることはない。」「しかし、研究から生み出された知見は、知的公共財としてより良い世の中を作り出すことに貢献している。」 クレージージャーニーに出演されていたJAMSTECの方も同内容の発言をされていました。
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統計の話 メタボ健診と死亡率には因果関係はない 特定の病気(大腸がんなど)の検診と死亡率には因果関係がある 女性医師が診察すると死亡率は減少する 出生時体重が重い赤ちゃんはその後の健康状態が良い 保育所定員が増加しても母親の就業率には影響がない 最低賃金を上げても雇用は減らない ...
統計の話 メタボ健診と死亡率には因果関係はない 特定の病気(大腸がんなど)の検診と死亡率には因果関係がある 女性医師が診察すると死亡率は減少する 出生時体重が重い赤ちゃんはその後の健康状態が良い 保育所定員が増加しても母親の就業率には影響がない 最低賃金を上げても雇用は減らない 女性取締役の割合を上げる政策をとると企業の業績が下がる 学力の高い友人に囲まれても自分の学力は上がらない 高齢者の医療費自己負担割合を上げると受診回数が減るが、死亡率は上昇しない
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初めて因果推論に関して触れるには、このくらいの内容でありがたかったです! 数式なんかも出てきませんし、図が多いので直感的に理解しやすく、かなり面白かったです。
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さっと読めるかつ端的にまとまっていて良かった。 統計を扱う上での全体的なアイデアという印象。 「入門の入門」という表現がぴったりな一冊。
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