なかなか暮れない夏の夕暮れ の商品レビュー
本編の主人公と、彼が読んでいる本の内容が自然に往き来してしまうため、初めの頃は何が何だかよく分からなかった。 読み進めていくうちに、どうやら主人公の行動と、本の中の行動が続けて書かれていることに気づく。 そして、全体の物語の中に入っていくことができるようになりました。 さらに物...
本編の主人公と、彼が読んでいる本の内容が自然に往き来してしまうため、初めの頃は何が何だかよく分からなかった。 読み進めていくうちに、どうやら主人公の行動と、本の中の行動が続けて書かれていることに気づく。 そして、全体の物語の中に入っていくことができるようになりました。 さらに物語は淡々と続いて行きます。 本書が終わってからも、そのまま。
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江國さんの小説を久々に読みました。あぁ、そうだった、江國さん、こんな感じだった。 稔と雀の姉弟を取り巻くたくさんの登場人物、稔が読む小説、、、、頭が混乱しましたが、徐々に慣れてきて、稔が読む小説の方が気になったりして。
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複数のモノログの間に、読んでいる小説が挟み込まれ、それぞれの状況が進んでいく。稔と雀の生活は理想的だが傲慢。藤田や藤村は、即物的で高圧的、つまり普通の男の典型。淳子のショックは身につまされる。
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主人公の男は本が大好きだ。 たぶん私も、主人公と同じくらい本を読むことを愛している。 物語の世界に入りこ込んでいるときに、急に現実に引き戻された時の あの『ここはどこ?』みたいな感じ、 周りで起きている出来事も本の中の出来事も 同じように大切に感じる気持ち、 とてもよくわかる。 ...
主人公の男は本が大好きだ。 たぶん私も、主人公と同じくらい本を読むことを愛している。 物語の世界に入りこ込んでいるときに、急に現実に引き戻された時の あの『ここはどこ?』みたいな感じ、 周りで起きている出来事も本の中の出来事も 同じように大切に感じる気持ち、 とてもよくわかる。 だけど、そのことで主人公の元妻は 深く傷ついてしまうのだ。 自分を置いて、物語の世界へ入り込んでしまう夫に、 隣にいても同じ時間を過ごせない淋しさに。 本を読むことは、誰にも迷惑をかけず、 一人で楽しめることだと思っていたのに。。。 なんだか今私は、過去の出来事をあれこれ思い出しては あの時もあの時も、もしかしたら 本を盾に誰かを拒絶してはいなかっただろうかと 不安になっている。
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登場人物の多さと場面展開が半端ないので頭使う。 メモ書きしながら読んだ。 テレビばかり見ている藤田くんみたいな人がウチにもいるので可笑しかった。 子供なのにおとなみたいな波十が、いちばん冷静な感じがした。
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何人か登場人物がいて、皆普通の人なのに少しずつずれている。そのすれ違いが生活だなあと思えて、時折挿入される小説(登場人物が読んでいる)との非日常と対照的だった。
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大きな事件もできごともなく(とはいえ、読み終わってみるとそれぞれに人生は大きく動いたりもしているのだけれど)、登場人物それぞれの生活が穏やかに、みずみずしく描かれていくのが、とても江國香織さんらしくて心地よい。 結局なにがあったの?ときかれると困ってしまうのだけれど、ひとつひとつ...
大きな事件もできごともなく(とはいえ、読み終わってみるとそれぞれに人生は大きく動いたりもしているのだけれど)、登場人物それぞれの生活が穏やかに、みずみずしく描かれていくのが、とても江國香織さんらしくて心地よい。 結局なにがあったの?ときかれると困ってしまうのだけれど、ひとつひとつのエピソードがささやかでありながら息づいていて、彼らと寄り添える時間に茫漠としたゆるやかさがあって、タイトル通りだと実感してしまう。 主人公が読んでいる本のストーリーが随所で描かれていくため、一緒にそちらも読んでしまい、結末が気になって仕方ない。
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主人公は私と同い年の男性、プチブルジョアで、不動産を管理しながら本を読んで暮らす50歳。同い年の親友が資産を管理し、姉は写真家で海外に暮らす自由人。仲が良い。主人公の世界は狭い。別れた妻、娘、店子であるシニアの2人暮らしの女性。従業員に代わり、愛人とそこに生まれた赤ん坊の暮らしの...
主人公は私と同い年の男性、プチブルジョアで、不動産を管理しながら本を読んで暮らす50歳。同い年の親友が資産を管理し、姉は写真家で海外に暮らす自由人。仲が良い。主人公の世界は狭い。別れた妻、娘、店子であるシニアの2人暮らしの女性。従業員に代わり、愛人とそこに生まれた赤ん坊の暮らしの面倒を見たり。淡々と、代々の人間関係の付き合いを律儀にこなしながら、自由な時間は常に、本の世界に入り込む。平凡にして、波乱万丈。日々の暮らしながら、その背景にいろいろな非日常な出来事が起きる。Its 江國ワールド、でした。
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P256夫婦というのはグロテスクだ。結婚して以来何度も考えたことを、渚はまた考えてしまう。互いに相手の考えていることがわからなくても、それどころか、相手の存在を疎ましく感じるときでさえ、夜になれば一緒に眠り、朝になればおなじテーブルにつく。小さな不快さも言葉のすれちがいも、何一つ...
P256夫婦というのはグロテスクだ。結婚して以来何度も考えたことを、渚はまた考えてしまう。互いに相手の考えていることがわからなくても、それどころか、相手の存在を疎ましく感じるときでさえ、夜になれば一緒に眠り、朝になればおなじテーブルにつく。小さな不快さも言葉のすれちがいも、何一つ解決されないまま日々のなかに埋もれ、夜と朝がくり返され、夫婦以外の誰とも共有できない何かになってしまう。世間では、それを絆と呼ぶのだろう。だから、絆というのは日々の小さな不快さの積み重ねのことだ。
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3.5 親の遺産で、日々本を読み暮らす生活をする主人公・稔。 普通を求め別れた妻・渚とその娘・波十。 年下の美しい妻に出ていかれ、三下り半を突きつけられてもまだ理解できない友人・大竹。再会して男女の関係になった淳子。 稔の読む小説が、かなりの密度で作中に挿入されているのが、独特の空気を創り出している。
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