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街場の共同体論 の商品レビュー

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15件のお客様レビュー

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2024/10/06

この欄ではこれまでも何度か同じ言い方をしてきたが、「この本を読んでいるかいないかは大違い」「読まなかったらと思うと怖い」と思う本がある。もちろん、今回ご紹介する本もそう。ここだけインタビュー形式で書かれている「第七講」で聞き手が、「こんなこと、内田先生以外誰も指摘していないんじゃ...

この欄ではこれまでも何度か同じ言い方をしてきたが、「この本を読んでいるかいないかは大違い」「読まなかったらと思うと怖い」と思う本がある。もちろん、今回ご紹介する本もそう。ここだけインタビュー形式で書かれている「第七講」で聞き手が、「こんなこと、内田先生以外誰も指摘していないんじゃないかと……」と言うが、私も全く同感だった。テレビや雑誌などのマスメディアが喧伝するのは、スポンサーや各関係者の意向に沿った、ウケのいい主張ばかり。物事の本質を衝く意見は、少数派として黙殺されるか潰される。結果、私たちは、本質を理解する機会のないまま、流された情報を「そうなのだろう」と思ってしまう。「父親の没落と母親の呪縛」(第一講)も、「消費社会と宗教の解体」(第三講)も、「格差社会の実相」(第四講)も、この本を読むまで、私にはよくはわかっていないことだった。武道家としても知られ、身体の感覚に足場を置く内田氏の論は、生きることの大切さを論拠にしていて明快。耳に痛い言葉も多いが、辛抱して読む価値は大いにある。以下の一節だけでも、私たちの理解が本質には届いていないことがよくわかるのではないか。「コミュニケーション能力とは、コミュニケーションを円滑に進める力ではなく、コミュニケーションが不調に陥ったときに、そこから抜け出すための能力だということです」。(K) 紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2017年2月号掲載

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2024/08/16

・なぜ、お父さんは「クサいからあっち行って」と言われるのか? ー新自由主義システムからの説明  新自由主義がもたらした家父長制の崩壊が、現代日本の過激化するいじめ、貧困、教師の権威失墜、学力低下、その他諸々の根源にあるとの指摘があって、2017年出版の新書だが、10年経ってもそ...

・なぜ、お父さんは「クサいからあっち行って」と言われるのか? ー新自由主義システムからの説明  新自由主義がもたらした家父長制の崩壊が、現代日本の過激化するいじめ、貧困、教師の権威失墜、学力低下、その他諸々の根源にあるとの指摘があって、2017年出版の新書だが、10年経ってもその内容は色褪せていないと感じる(逆に何も好転していないという悲劇でもあるが...)。  その家父長制崩壊の卑近な例が、娘がお父さんに言う「クサいからあっち行って」という敬意もへったくれもない嫌悪の表明なんじゃないかと思う。新自由主義システムの中で権威性を剥ぎ取られた父親は、ちょっとクサいATMに過ぎなくなってしまうのね....。  じゃあ、どうすれば現代の新自由主義的な問題(本書では改革の結果の答えだとされる)に対処できるか?  提示されているのは、街場レベルでの家父長制の復活ということ。個人的にも、まあそうだよなと思う。父親的な権威が地に堕ち、母親的なものに偏りすぎてバランスを失っているから、毒親的で過保護な支配がまかりとおり、息苦しい世の中になっているんじゃなかろうかと。 ・ラッキーな人を見つける  混迷の時代、人は何か「わけがわかっている」人について行きたがっているそう。彼らは無意識に「ざわざわ」を感じ取る。それが運がいいということ  東郷平八郎が退役目前で連合会軍司令官に抜擢されたのも、彼が運が良かったからなんだと。  個人的には運の良し悪しに懐疑的だったのだが、確かに生き残るには「運のいい人」について行った方が何かと都合がよさそうだ。  運がいい人はどこにいても「機嫌良く暮らしている」とのこと。さて自分の周囲にそんな人はいるかな....

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2024/05/28

(2014/9/26) 内田さんのものの考え方にはいつも唸らされる。納得、である。 第1講 父親の没落と母親の呪縛 第2講 拡大家族論 第3講 消費社会と家族の解体 第4講 格差社会の実相 第5講 学校教育の限界 第6講 コミュニケーション能力とは何か 第7講 弟子という生き方...

(2014/9/26) 内田さんのものの考え方にはいつも唸らされる。納得、である。 第1講 父親の没落と母親の呪縛 第2講 拡大家族論 第3講 消費社会と家族の解体 第4講 格差社会の実相 第5講 学校教育の限界 第6講 コミュニケーション能力とは何か 第7講 弟子という生き方 3章の小見出しに 「こども」の数が異常に増殖してしまった というのがある。 え?この少子化時代に何を言っているんだ、と思ったら、読んで納得。 ここでいう「こども」とは年齢による区別ではない。 「こども」はシステムの保全は「みんなの仕事」だから「自分の仕事」じゃないと思う。 「おとな」はシステムの保全は「みんなの仕事」だから「自分の仕事」だと思う。その違いです。それだけの違いです。 7%大人がいれば現代社会制度は何とか回していける、とも言う。15人に1人。 自分がおとなになっているか、こころもとない。うちの近所のおばさんは向こう三軒両隣綺麗にしてくれている。 その分?おしゃべりが多いが、こういう人こそコミュニティには必要なのだろう。おばさんだ。 そういえば向こう三軒、、と言えば、永六輔さんの本で、永さんの子供時代、かっきり自分の敷地の前だけ掃除して怒られ、 では今度はとその起こった人の敷地の前も全部掃除して「俺の掃除する場所がないだろう!」と怒られ、 ちょうどいい塩梅の場所までの掃除になったというのを思い出した。 おとなになるにはいろいろ教わらなきゃいかんのだ。 幼児は「かつての私」、老人は「未来の私」 というフレーズもいい。 今はそれを忘れてしまっているから、幼児虐待もあれば老人差別もある。まあしかし医療の進歩で老人は増えすぎてるとは思うが、、。 自分の思う通りにならない子供に耐えられない親のニュースがどんどん出るのはつらい。 そう思うのは当然だが、そこをどう乗り越えるか、これは周りの協力が不可欠だ。一対一に追い詰めさせてはいけない。 今の教育は商取引になってしまっている、というのも新しい考え方だった。 いかに効率的に学ぶか。目指す大学入学するという目的のために不要な勉強はしない。卒業するため、就職するためにも最短距離を選ぶ。 ある意味目的に対し合理的ではあるが、学問というのは本来そんな浅いものではないわけで。 しかし今はそれですべて動いてしまっている。 私もその考えに染まっているなぁ。 福沢諭吉の逸話で、休憩しようと思って枕を探したが見つからない、そういえばこの一カ月枕を必要とする寝方をしていなかった、 毎日机に突っ伏していた、などという壮絶な話があった。 それほど必死に勉強して海外の知識を翻訳し、欧米列強に負けないよう努めたのだ。 最初の教科書は原初だったが、彼らの活躍で、日本語の教科書になるまでさほどかからなかったという。 ノブレスオブリージュ。 いまはそういう考えがないのだろうな。権利意識ばかり。自分ばかり。 知的好奇心をくすぐられる本であった。

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2023/11/20

雑誌『潮』に掲載された、著者のエッセイやインタヴューなどをもとにして、加筆をおこなった本です。 共同体論がテーマですが、著者の議論の焦点は、現代の日本に浸透している効率的な意思決定を要求する考えかたが、共同体の危機を招いていることにあてられています。著者自身は、そのような時代の...

雑誌『潮』に掲載された、著者のエッセイやインタヴューなどをもとにして、加筆をおこなった本です。 共同体論がテーマですが、著者の議論の焦点は、現代の日本に浸透している効率的な意思決定を要求する考えかたが、共同体の危機を招いていることにあてられています。著者自身は、そのような時代の趨勢に抗して、私塾を立ちあげ弟子たちをそだてるという取り組みをおこなっており、他方で本書のように著述活動を通じてそ著者自身の考えをひろく世のなかに訴えています。本書もそうして刊行された一冊で、「新書版のあとがき」にはこのところ「だいたい同じようなこと」をくり返し語っていることを認めています。 わたくし自身は著者の本はある程度読んでおり、その考えかたにもある程度なじんでいましたが、本書では著者のフェミニズム批判がやや急進的なかたちで提出されているところが気になります。著者がフェミニズム批判を主要なテーマとした本には、『女は何を欲望するか?』(2008年、角川oneテーマ21)が刊行されていますが、本書ではそれよりももうすこしおおまかな印象論のレヴェルで議論がなされており、著者が批判する消費者のマインドがフェミニズムのうちにも流れていると論じられています。おそらく、1980年代の消費社会論の隆盛に、一時的にではあるにせよ上野千鶴子が乗っかったことが、著者のこうした印象を強めたのではないかという気がします。 政治的な立場では上野にある程度近いであろう姜尚中も、日本が消費社会を謳歌していたちょうどそのとき、昭和天皇の死去という出来事によって伝統的な共同体が突如すがたを見せたことに対するショックを語っていましたが、これらの例も含めて、20世紀の終わりから現代にかけての政治・経済状況が、現代の日本の思想にもたらしたものを考えてみることができるのではないかという気がしています。

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2020/08/08

1番最初に書いてあった、今は家族内での父親の威厳がゼロって話が1番印象に残った。うちのお父さんは割とあるような、そこまでないような…?少なくとも私は尊敬してるけどね。 1番最後だったから、子弟関係の話も。メンターみたいなものかな?活発に活動しないと出会えないものなのかな?私も出...

1番最初に書いてあった、今は家族内での父親の威厳がゼロって話が1番印象に残った。うちのお父さんは割とあるような、そこまでないような…?少なくとも私は尊敬してるけどね。 1番最後だったから、子弟関係の話も。メンターみたいなものかな?活発に活動しないと出会えないものなのかな?私も出会いたい。でも、師匠の言ったことをじっくり考えるとか、できるのかな…。もしかすると大学の先生がそんな存在になるかも、って思うと急に学校行きたくなる。 この本が1番伝えたかったことは、個人の競争が煽り立てられてるけど、実際は共同体に属して、その共同体のために動く方が、身の安全は確保できるよ、ってことだと思う。 お父さんが折り目つけてたから、なぜここにつけたのかとか、覚えてるなら聞きたくなった。

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2020/03/09

雑誌の不定期掲載に加筆を施し、まとめた一冊だそうで、各章ごとに異なる印象があった。第6講(章)「コミュニケーション能力とは何か」は必読。コミュニケーション力を「円滑に進める」ものではなく、「不調に陥ったときに、そこから抜け出すための」ものであるとの指摘に納得させられた。

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2018/03/06

最近、日本も日本人もおかしくなってきている。 この、「おかしさ」を言語化することにおいて、内田氏は相当長けていると思う。 毎ページ「そうだよな」という箇所が、たくさんある。 最近の少なくない日本人が、なんでもかんでも、 他人をバッシングするようなメンタリティーになっている。 日...

最近、日本も日本人もおかしくなってきている。 この、「おかしさ」を言語化することにおいて、内田氏は相当長けていると思う。 毎ページ「そうだよな」という箇所が、たくさんある。 最近の少なくない日本人が、なんでもかんでも、 他人をバッシングするようなメンタリティーになっている。 日本社会の通念上で支配的な倫理観や道徳感に照らし合わせて、 個人や集団、組織の「間違い」を見つけて、徹底的に批判するようになっている。 まるで、それが、自分の義務みたいに思っている人も多くなっているんじゃないだろうか。 個人的には、非常に気味が悪い現象だと思う。 その現象の背景にあるのが、完全なる人を求めて、 宗教用語を使えば、逆説的に個人救済を求めているような感じを受ける。 もちろん、この現象の背後には、今の日本のかなり絶望的な状況にある。 改めて言うわけでもなく、もう日本は豊かではない。 貧困率も20年前と比べて高くなり、 経済成長は、この20年でほとんどしていない。 また世帯所得も94年から25%ほど減少している。 また人口減少に直面し、これから日本は、長期的に衰退していく。 現在、日本の社会システムの抜本的な改革や変更が求められているが、 声高に叫ぶものはいるが、その面倒臭い実務的なことを行う実行者は、 圧倒的に不足している。 日本の歴史を見れば、日本社会の変化は、すべて外部の出来事がきっかけだった。 しかし、近代の歴史を振り返れば、「変化」した帰結は、いつも、「崩壊」だった。 今、多くの人が不安になり、個人の安定と救済を求めるのは、 非常に理にかなっていると思うが、現状、手軽な個人の救済はない。 おそらく、無意識的に完全なる誰かを求めて、そうではない人を、 排除する意識が起こっているのかもしれない。 他者と協力する時なのに、日本社会は、排除に向かっている。 この意味で、今の日本の社会状況は、非常に危険な状況だと思う。 排除される人=「そうでない人」は、ほぼ日本人の全てに当てはまる。 他人のミスや欠点を、最大限努力して見つけ出すことが、 エトス(行動様式)となっている。 政治家の名前を挙げて、「こいつのせいだ」と言って、果たして、良くなるだろうか? この行為は、まったく社会的生産性がないと思う。 ただ、この傾向は、おそらくこれからも続いていくに違いない。 内田氏の主張が優れている所は、 今の状況は、誰のせいでもなく、自分達の行った結果であることを、腹の底から認識していることだと思う。 自分が安全地帯にいて、「あいつのせいだ!」と言っていないところに、 非常に共感を覚える。

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2017/11/28

多少違和感はあるものの、いってることはその通りだと思う。アッパークラスの人はほどんどが「いい人」といっており、安倍晋三もそこに名が挙がっていたけど、現在、安倍政権を徹底批判している著者はその後何を考えたのだろう?

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2017/11/25

私塾のような共同体、そして師弟関係の大切さ。キリスト教会のあり方、そして神学研究における脱個人主義のヒントを得た思い。

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2017/11/13

内田樹の本が嫌いな人がいる。 もちろんいてもかまわない。 好き嫌いは人それぞれだから。 でもなんとなくだけれど、内田樹を嫌いな人は、内田樹の本を読んで「責められている」ような気がするからじゃないかと思う。 所謂本書の中で「子ども」や「バカ」と呼ばれている者に、自分が該当するんじゃ...

内田樹の本が嫌いな人がいる。 もちろんいてもかまわない。 好き嫌いは人それぞれだから。 でもなんとなくだけれど、内田樹を嫌いな人は、内田樹の本を読んで「責められている」ような気がするからじゃないかと思う。 所謂本書の中で「子ども」や「バカ」と呼ばれている者に、自分が該当するんじゃないかとそんな気分になるのではないだろうか。 もしそんな人がいるなら言いたい。 内田樹は全体の7%が「大人」であればいいと言っている。 逆に言えば93%は「子ども」でいいということ。 だから自分が「子ども」であることはまったく恥ではない。 むしろそれが当たり前なんだということ。 だから僕は内田樹先生を「師匠」として、甘んじて「子ども」の自分を受け入れようと思う。 でもいつかきっと先生のような「大人」になるだ。 うん、たしかにこれは悪くない立ち位置だな(笑)。

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