ブルマーの謎 の商品レビュー
「宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本」でお勧めされた本、第ニ弾。 書き振りは新聞記者の週刊誌連載のごとくとても分かりやすいのだけど、大学の先生の本なので、とっても実証的。「まえがき」には、キチンと本書の目的と要約が載っている。それを更に要約すると。 学校には、校則と...
「宮部みゆきが「本よみうり堂」でおすすめした本」でお勧めされた本、第ニ弾。 書き振りは新聞記者の週刊誌連載のごとくとても分かりやすいのだけど、大学の先生の本なので、とっても実証的。「まえがき」には、キチンと本書の目的と要約が載っている。それを更に要約すると。 学校には、校則とか、近年注目された活動が幾つかある。学校関係者は、どこと無く活動の廃止には後ろ向きである。理由は、「集団美学が個人のリスクを超えて称揚される空気が、いまだ亡霊のように学校空間の中に漂っている」ためのようだ。加えて、一旦導入されて仕舞えばそのまま継続される奇妙な力学も働く。何故か。「継続するうちにいつの間にか精神性をまとい、道徳性を帯びるようになるからである」(9p)学校では、「民主主義の全線基地」と「家父長的な心情が生きながらえる温床」のねじれが、21世紀に入ってもなお存続している。密着型ブルマーの変遷はその具体例として取り上げた。(10p) 繰り返すが、読み終わるまで大学教授の文ではなく、週刊誌ライターの連載記事だと思っていた。とってもスリリングで面白かった。 60年台終わりから90年代初めにかけて、学校で採用された「密着型ブルマー」は、当初から使用者の嫌悪があったにも関わらず、採用経緯が全然残っていないのにも関わらず、全国に広まった。 著者の調査によると、東京オリンピックソ連女子バレーに憧れたというのは都市伝説であり嘘で、中学体育連盟の資金難を体操服メーカーが協力したという経緯が炙り出される。このメーカーが、なんと岡山県倉敷市(児島)に本社を持つ尾崎商事(ブランドはカンコー学生服)なのである。身近なので恥ずかしいけど、尾崎商事は彼らなりに社運をかけた取り組みだったこともわかる。 そうはいっても、それまでのちょうちんブルマーから恥ずかしさの伴う密着型ブルマーに変わるためには、受け入れ側にもそれなりの理由がなくてはならない。その分析も社会学者らしい実証的なものだった。宮部みゆきさん、これらを背景に小説書いてくれないかな。 2024年2月25日読了 まだ目の視力の不安定が続いていて、スマホの文字が見えにくい時があります。「いいね」返しができないことがあります。既読スルーをお願いします。
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何故、学校で密着型ブルマーが取り入れられ、存続され、 そして廃止されていったのか。各種資料やデータ等を調べ、 考察し、詳細に解き明かしてゆく。 ・はじめに 第1章 ブルマーの謎と来歴 第2章 密着型ブルマーの普及と風説 第3章 中体連とブルマー 第4章 全国中体連の設立と変貌 第...
何故、学校で密着型ブルマーが取り入れられ、存続され、 そして廃止されていったのか。各種資料やデータ等を調べ、 考察し、詳細に解き明かしてゆく。 ・はじめに 第1章 ブルマーの謎と来歴 第2章 密着型ブルマーの普及と風説 第3章 中体連とブルマー 第4章 全国中体連の設立と変貌 第5章 密着型ブルマーの普及過程 第6章 密着型ブルマー受容の文化的素地 第7章 密着型ブルマーの消滅過程 第8章 ブルマーの時代 ・おわりに 注、参考文献一覧有り。 1900年代に女子の体操着としてブルマーが取り入れられ、 特にちょうちんブルマーは戦後しばらくの間使われていた。 が、1960年代に密着型ブルマーが取り入れられるようになる。 GHQの方針、文部省の苦慮と中体連の設立。 全国大会を阻止するのが目的だった中体連は、 東京オリンピックによりスポーツ大日本派や世論に押し切られ、 大会を主催する団体へ変容。しかし資金不足に陥り、 体育衣料メーカーとタッグを組み、支援を受けながら 体育の授業用のジャージや密着型ブルマーの販売を後押しする。 折しも東京オリンピックでの女子体操などの姿に、 健康的な容姿を見い出したのか、学校で密着型ブルマーが 受容される。戦前からの下着とブルマーの二枚ばきの素地も。 だが、セクハラの概念が浸透し、ブルマー強制もセクハラでは ないかとの疑念が生まれ、ハーフパンツ等への移行が始まり、 密着型ブルマーは消滅していった。 普及や消滅の風説についても丁寧に考察したうえで、 密着型ブルマーについての様々な資料から解き明かしてゆく 過程は、なかなかの力作でした。 30年も密着型ブルマーが定着していたことについては、 道徳的意味合いがあったのではと考察していますが、 学校は一度決めた事がなかなか変えられない場であると というのも、あるんじゃないでしょうか? そういえば昔、職員会議の場で、簡易マネキンを準備して、 校長が密着型ブルマーからこのハーフパンツに替えたいと 言ったときは、よく決断したなぁと思ったものでした。 まぁ、体育衣料メーカーの意向もあったのかもしれないけど。
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国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet.nwec.jp/bunken/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=BB11369142&opkey=...
国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet.nwec.jp/bunken/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=BB11369142&opkey=B161706439948081&start=1&totalnum=4&listnum=0&place=&list_disp=100&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0000
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2019.6.22市立図書館 こどものころは当然のように着用させられていたのにいつのまにか消えた(子らは小学校からショート/クオーターパンツ世代)「ブルマー」の謎に迫るレポート。はずかしいと拒否反応をしめすのが当たり前だった当事者の女生徒はいうまでもないが性的感情を喚起しないよう...
2019.6.22市立図書館 こどものころは当然のように着用させられていたのにいつのまにか消えた(子らは小学校からショート/クオーターパンツ世代)「ブルマー」の謎に迫るレポート。はずかしいと拒否反応をしめすのが当たり前だった当事者の女生徒はいうまでもないが性的感情を喚起しないように慎重だったはずの学校体育の現場がなぜ密着型ブルマーを急に受容することになったのか。新聞雑誌から社誌、国会答弁などの徹底的な資料収集と中体連やメーカーへの聞き取りを重ねて、60年代に急速に学校の体操着に採用されるようになって普及してから90年代に姿を消すまでの事情を追う。 普及のきっかけは東京五輪での海外バレーボールチームユニフォームに憧れてというのが俗説の1つだったようだが、それよりもおなじ五輪で女子体操競技のテレビ中継や写真などで体の線が露わなレオタード姿の演技を見られるようになって女性の健康的な美しさを評価することに正当性が与えられたことが大きいのではないか&女性の洋風下着受容の過程で戦前からずっと防寒と風紀上の策として見えてもいいような二枚履きが推奨されてきたせいで受容されやすくなったのでは、というのはなかなか説得力があった。 消滅に関しても、ブルセラショップなど性的な眼差しがきっかけとなったという俗説を退け、「長い間、無視されたり抑圧されてきた反ブルマーの声は、セクハラ概念の浸透によってようやく学校にも届くようになったといえる」と結論づけているのは、このところのハイヒール/パンプスの強制の問題にもつながって説得力とともに希望を感じさせるものだった。 ブルマーの黎明期に関してはちょうど「いだてん」の女子体育の黎明期と重なるところもあってドラマの補足情報のようにおもしろく読んだが、ブルマーの採用を巡って「中体連」という団体の正体を描くために思いがけず「いだてん」でおなじみの体協や陸連/水連なども登場して、戦後の体育教育・スポーツ行政の足取りも予習する形になり、このへんを大河ドラマではどう料理するのだろうかと期待と不安半々な感じ。 ということで、いろんな面でタイムリーに考えながら読める充実の一冊だった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
サブタイトルに引きずられて読み始めたのは否めず(笑)。 しかし、なかなかハイブロウな社会学の本である。 昭和のある時期、ちょうちんブルマーが体にぴったりしたブルマーに代わり、その後わずか数年で汐が引くように廃れた。 うーむ、ジャージ姿が標準だった気もするが、女子が体育の授業とかでぴったりしたブルマーを穿いていた記憶はある。でも、今はそんなもの穿かないのだという。知らんかったわ。 さて、ブルマーの変遷と盛衰に関しては、ちょっと調べてもよくわからないらしい。(だから、こういう本もできた) 学校のことであるから、女子生徒が自分たちで「かわいー」とか「恥ずかしい-」とかで着る物を選べるはずもない中、なぜそのようなことが起こったか。 GHQのサシガネによる「中体連」の創設、スポーツ振興と教育の狭間で肥大していく思惑、企業との密約?などが次第に明らかにされていく。 全体的な印象としては、家父長的男尊権威主義の源流というか、戦後教育のゆがみというか、昨今のスポーツ界のパワハラ問題に通じる何かを見る思いがする。 ちなみに一気に廃れたのは、「ブルセラ」だの「セクハラ」だの体裁の悪い話題が相次ぎ、世間から外的圧力が強まった結果らしい。
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とても面白かった。 多くの資料に導かれて、ブルマーが一世を風靡し急速に消えていった理由に迫っていく。その中で明らかになる全国中体連という組織との関わり。ブルマーが帯びることになったイメージとは······。 とても引き込まれる作品だった。著者のブルマーへのこだわりが伝わってきた。
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ブルマーの広まりの経緯が,中体連や東京オリンピックや繊維販売会社の思惑とともにあり,学校側はそれほど主体性がなかったのが面白い.そしてブルマーへの恥じらいが婦徳派の要件を叶えたというところが,切り口として新鮮だった.
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タイトルと、表紙の装丁はアレですが、いかがわしい本ではありません。大まじめな社会学の本。著者は大学の先生。 なぜ、学校はブルマを体操指定服にしていたのか? どうしていきなり姿を消したのか? そういうものを全国の学校が一斉に選んだ、しかも文科省からの指示通達があったわけじゃな...
タイトルと、表紙の装丁はアレですが、いかがわしい本ではありません。大まじめな社会学の本。著者は大学の先生。 なぜ、学校はブルマを体操指定服にしていたのか? どうしていきなり姿を消したのか? そういうものを全国の学校が一斉に選んだ、しかも文科省からの指示通達があったわけじゃないのに。そのことについて明確な説明ができないのはなぜか。そんなテーマを扱った研究本です。 個人的な話になりますが、私、小学校と中学校、ずっとブルマでした。当時は漠然としか気にしてなかったですが、今考えると違和感がたくさん。 なんでこんなに「お尻がまるまる見える」カタチの服が、体育の指定服だったのか。ブルマが恥ずかしくて、体操着の上着をブルマを覆うように着て、ブルマ自体を隠していました。ノーパンみたいで、逆に恥ずかしい。 なぜブルマは出現し、消えたのか。たくさんの資料と、考察と、根拠を述べて、本一冊分、みっちりと論が展開されています。 疑問を呈する部分はすごく納得がいく。背景事情は興味深い。パンツ二枚履き理論はすごく腑に落ちました。メーカーさんの努力や、中学体育連盟の思惑なんかも面白い。 でも、それでもなお、著者さんが提示する理論には、部分的に納得しづらい部分がある。それも面白いところなんだと思います。一から十まで納得できるものではなく、ここはわかる、ここは私は違うと思う。そういうふうに読める本は、本一冊分以上の刺激があります。 お金が動き、人が動くものっていうのは、まあ、秘めた思惑と、時代の後押しってものがあるよねえ。 いつかまた、ブルマに関する新しい資料が見つかって、新しい論が展開されるんでしょうか。その日が来ることを願ってやみません。
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密着型ブルマーがいかにして広がり、定着し、そして消滅していったかの社会論。 東京オリンピックを契機に、テレビを通じて外人選手を見る機会が増え、強い選手への憧れとしてレオータード(密着型ブルマ)がステータスシンボルとなる。また、戦後スカートの普及に伴い、スカートの下にパンツを二枚...
密着型ブルマーがいかにして広がり、定着し、そして消滅していったかの社会論。 東京オリンピックを契機に、テレビを通じて外人選手を見る機会が増え、強い選手への憧れとしてレオータード(密着型ブルマ)がステータスシンボルとなる。また、戦後スカートの普及に伴い、スカートの下にパンツを二枚ばきする伝統があり、ブルマーに対する抵抗が少なかったとされている。 また、ブルマーの普及に関しては、国威発揚のためにオリンピックで結果を残す必要があり、中学生年代の選手を早くから育成する目的で、中学生の全国大会開催が期待されていた。そこに、中体連が絡み、組織維持運営のために、衣料品メーカーと組み、ブルマーの着用を推薦することによって、一気に普及していった側面があるらしい。 消滅に関しては、セクハラ概念の浸透、犯罪、代替物としてのジャージ系ハーフパンツの台頭があげっられている。 中学、高校共に普及率が50%を超えていたのは、1969年から1975年ごろらしい。まさにこの頃思春期を迎えていた私は、周辺に密着型ブルマーが溢れていて、それが当たり前のように感じていた。 しかし、その背景には本書で綴られていたような事情が複雑に絡んでいたということか。ある意味、時代の産物であった密着型ブルマーは、我々年代の記憶遺産かもしれない。
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ブルマが普及して消滅するまでの流れを理解する事が出来た。ただ細部の歴史的事実は色々間違っているところがあるような気がしたが、大変な労作出会ったことには違いない。
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