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すばらしい新世界 新訳版 の商品レビュー

4.2

141件のお客様レビュー

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2026/04/14

すばらしい新世界。BRAVE NEW WORLD. 1932年刊。 日本では昭和7年。満洲国建国、五一五事件の年。 100年前の作品と思えないほど、現代的な話。 著者のオルダス・ハクスリー、1894年イングランド生まれ。本書は38歳の時の作品。当時の背景は、1908年に発売され...

すばらしい新世界。BRAVE NEW WORLD. 1932年刊。 日本では昭和7年。満洲国建国、五一五事件の年。 100年前の作品と思えないほど、現代的な話。 著者のオルダス・ハクスリー、1894年イングランド生まれ。本書は38歳の時の作品。当時の背景は、1908年に発売されたT型フォードから始まる大量生産 × 高賃金 × 大量消費というフォーディズムという思想がアメリカにおける狂騒の20年代を作り上げ、反動のように起きた1929年の世界恐慌。そして、ファシズムの台頭による第二次世界大戦へと続く時代。 物語の設定は西暦2540年の未来社会。フォード歴632年(1908+632=2540年)らしい。九年戦争という大惨事の経験を経て、真理よりも幸福を選び取った世界の物語。 その世界では、支配が「強制」ではなく「欲望の設計」によって行われる。鞭ではなく飴で支配。市民は自分が支配されているとすら気づいていない。コントロールされてる世界で、自由に生きてるわけではないが、幸福なんだからいいじゃん的な世界。 九年戦争の後、アルファ(エリートの人間?)だけの世界を実験したら、みんな自由に生きるので戦争になっちゃった。要は自由と幸福は両立しない結果となった。なので人工的に、階級別に人間を作るようにして洗脳教育を施した。世界に煩わしいことは何にもなくて、フリーセックスで、ソーマという合法ドラッグで誰もが幸福な生活を送れる世界を作った。そして、物語はその世界に馴染めない人間が進めていく。 この小説は、ディストピア小説というらしい。ディストピア(dystopia)は、ユートピア(utopia) の対義語で、「理想郷に見えるが実は抑圧的・非人間的な社会」を描いたフィクションのこと。 この世界を良いじゃんと思うか、薄気味悪いと思うか。AIが急速に発展する今の時代に、人間という存在って何だろうと改めて考えさせられる物語。人間の思考や創造の多くは、葛藤や不合理の中から生まれてきたんじゃないのか?悩みがない世界では新しい何が生まれるのか?いや、安定が崩れるから生まれなくてもいいのか。AIが知識を司り、ロボットが生産活動を担って労働から解放されたら人間は一体何悩むのか?人間が人間であることに悩むしかなくて、そうなると結論はソーマで解決ということになるのか?うーむ。

Posted byブクログ

2026/03/31

まずこの本が書かれたのが1932年だと知って驚きました。 この世界では、所謂常識や道徳と言ったものが私達の世界とは正反対で尚且つ皆幸せそうでした。 勿論幸せなのは良いことだし、病気にならなかったり見た目がいつまでも若いままというのは、羨ましいなと思う部分もありました。 でもやっ...

まずこの本が書かれたのが1932年だと知って驚きました。 この世界では、所謂常識や道徳と言ったものが私達の世界とは正反対で尚且つ皆幸せそうでした。 勿論幸せなのは良いことだし、病気にならなかったり見た目がいつまでも若いままというのは、羨ましいなと思う部分もありました。 でもやってる事は自然から逸脱した強制的な洗脳だし、選ぶ道も考える事も勝手に他人が瓶の中で決めてしまう。 そして本人達はそれについては何も考えられないから、変えることも出来ない。 これを生きてると言えるのかなって思ってしまった。 そこに至ってしまった人間は、ただ国を回すため、経済を回すため、営みだけを続ける為だけに生まれる、人間に似せた幾らでも替えのきく工場ロボットになってしまっている…そんな気さえしました。

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2026/02/23

ディストピアというが、物質的・精神的には豊かになるようにコントールされているという不思議な感じがした 生まれながらに生き方が規定されているという外の世界を知らない限り誰も疑問を抱かない一見完璧な世界に外からの『野人』が立ち向かう流れで、知らないということは幸福ということなのかも知...

ディストピアというが、物質的・精神的には豊かになるようにコントールされているという不思議な感じがした 生まれながらに生き方が規定されているという外の世界を知らない限り誰も疑問を抱かない一見完璧な世界に外からの『野人』が立ち向かう流れで、知らないということは幸福ということなのかも知れないと感じる コントロールされた世界に立ち向かう構図は同じくディストピアSFの傑作とされる1984年と似ているが一方は幸福を求め、もう一方は不幸を求め戦うという違いが対照的だが、自由を求める共通点もあり面白い 外から見ればアルファ一択だが、この世界ではどの階層も幸せと方向づけられていることからどの階層が良いかのような議論もなく思考停止している 考えることは人として大事なことと改めて感じる

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2026/02/21

知識は最高の善であり、真実には至高の価値がある、他のすべては、それに従属する二次的なものにすぎない、と。たしかに、その当時でさえ、すでに思想が変化しはじめていた。真実と美から、なぐさめとしあわせへ。わが主フォードその人も、この移行に多大な貢献を果たされた。大量生産がこの移行を求め...

知識は最高の善であり、真実には至高の価値がある、他のすべては、それに従属する二次的なものにすぎない、と。たしかに、その当時でさえ、すでに思想が変化しはじめていた。真実と美から、なぐさめとしあわせへ。わが主フォードその人も、この移行に多大な貢献を果たされた。大量生産がこの移行を求めた。社会という車輪を安定的にまわしつづけるのは、万人の幸福だ。真実や美に、その力はない。そしてもちろん、大衆が権力を握ったとき、問題になるのは真実と美ではなく、幸福だった。

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2026/02/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

受精卵の段階から厳然たる階級社会が築かれ、それぞれの人が徹底的に管理・区別されている世界観。あらゆる問題が消え、「幸福」であるとされるこの世界は本当に「しあわせ」と言えるのだろうか、という疑問が読んでいる間頭の中にずっとありました。難解な物語で私には合わなかったですが、この社会に生きる人々はそんな疑問すら抱くことは無いのかと思うと、これを疑問に思える今の世界の方が、私にとっては「しあわせ」だと言えると思いました。

Posted byブクログ

2026/01/15

この作品で描かれるのは完璧な管理によって安定と幸福が実現された世界だが、私はそこに本当の幸福はないと感じた。なぜなら、人々の行動や思考に自由が存在しないから。 嫌なことがあればソーマを飲めばいいが、それは一時的な逃避にすぎず幸福の一部を薬物に依存している状態である。悲しみや怒りな...

この作品で描かれるのは完璧な管理によって安定と幸福が実現された世界だが、私はそこに本当の幸福はないと感じた。なぜなら、人々の行動や思考に自由が存在しないから。 嫌なことがあればソーマを飲めばいいが、それは一時的な逃避にすぎず幸福の一部を薬物に依存している状態である。悲しみや怒りなど負の感情を避けるため芸術や哲学を理解できないことも、非常に悲しく感じた。 また、睡眠学習や胎児の段階からの教育は親が子どもの思想や価値観に影響を与えることと重なるように思えた。 「私はアルファやベータでよかった。ガンマやイプシロンでなくてよかった」という刷り込みは、幼少期の環境によって形成される価値観そのものであり現実世界でも一度刷り込まれた価値観を変えることは非常に困難だと感じた。

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2026/01/11

 時は西暦2540年、共生・個性・安定をスローガンとして形成された文明的な世界が舞台。新世界に住む孤立した青年・バーナードと、保護区で暮らす野人・ジョンとの出会いがきっかけとなり、物語は大きく動き出す。  ディストピア小説という前情報とは裏腹に、想像以上に終始明るい雰囲気で物語が...

 時は西暦2540年、共生・個性・安定をスローガンとして形成された文明的な世界が舞台。新世界に住む孤立した青年・バーナードと、保護区で暮らす野人・ジョンとの出会いがきっかけとなり、物語は大きく動き出す。  ディストピア小説という前情報とは裏腹に、想像以上に終始明るい雰囲気で物語が進んでいくため、そのギャップが興味深かった。社会の幸福を実現するために、芸術・科学・宗教を捨てた世界が、個人的には非常に魅力的に感じてしまった。そのため、ジョンがムスタファ・モンドに「不幸になる権利」を要求する一連のシーンには、確かに胸を打たれながらも、心の底から共感することはできなかった。

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2025/12/27

とても面白かったです もっと早く読めばよかったです 短文が続くシーンと世界統制官と野人が語り合うシーンが印象に残りました

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2025/12/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ジョージ・オーウェルの一九八四年を読んで、解説にハックスリーが出ていたのでこれも。 この世界には出てくる全員が全員、それなりの幸せを用意されている。クローン人間を作って、一部は胎児の時点で意図的に段階的に障害児にして、生まれながらにランク付けそれぞれの仕事につけて…という社会制度。でも、「不安」「怖い」という感情を覚える前に、それを感じない麻薬が配られていたりして、やはり皆はそれぞれが幸せだし、死は隠されているのでそれにすら恐怖を感じない。 まーこれは恐ろしい新世界…と思いながらも、じゃあ何が悪いの?と真っ向否定する材料もないまま読み進め、そしてその世界にターザン的な異邦人が現れて「不幸になる選択肢がない」と虚を突くような視点を提示する。引用されるシェイクスピアも相まって、「楽」「幸せ」といった人間の感情の表面だけをなぞるような世界にやはり嫌悪感がわく…が…、ターザンの命をかけた抗議は新世界の住人に笑い飛ばされて終わる。 でもパンとサーカスの言葉にあるように、私を含めて大体の人間は目の前にぶら下がった「幸せ」という人参を追いかけるのに必死で、一生をそれに費やすことに疑問すら感じないことも多い。だとすれば幸せが用意されているほうが合理的ではないかしら、なんて思ってしまうことも。 まあこの世界は読者が嫌悪感を持つように胎児の操作を始めとして社会主義的な悪の面がきちんと用意されているんだけど、まさに今なんとなく生きてしまってる身としては「社会から与えられるそれなりの幸せ」に抗って、痛みを伴う人生を歩める強さが欲しいと思ってしまった。

Posted byブクログ

2025/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白かったけど徹底管理された幸福が実現した社会というわりには精神安定のほとんどをドラッグに頼っていて結局のところ現実社会とあまり変わりないように思えてしまった 保護区行ったり野人連れてきたり結構ずさんな管理体制 ジョンは文明社会に懲りたらまっすぐに元いた保護区に帰れば良かったんじゃないかな そこまで潔癖に文明社会嫌悪するなら最初から簡単についてくるべきじゃなかったねと思ってしまう あと条件付けの仕方もシンプルすぎて結構つっこみどころが多い 人間にとって何が幸福かということについては考えさせられる

Posted byブクログ