最も危険なアメリカ映画 の商品レビュー
『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』で町山本にハマりかけた時期があった。アメリカのあらゆる方面に巣食う暗部を克明に、そしてエキサイティングに描き出していて、読んでいる分には本当に面白い。 本書も「読んでいる分には…」と言える一方で、ちょっぴり笑えない部分もある。一番分かりやすい例...
『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』で町山本にハマりかけた時期があった。アメリカのあらゆる方面に巣食う暗部を克明に、そしてエキサイティングに描き出していて、読んでいる分には本当に面白い。 本書も「読んでいる分には…」と言える一方で、ちょっぴり笑えない部分もある。一番分かりやすい例で行くと… 「ロバート・ゼメキス監督の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85年)と『フォレスト・ガンプ』(94年)の楽しさの裏側には、60年代の反戦運動や公民権運動に対する強烈な敵意が隠されている。それが甘い菓子に混ぜられた毒だ」(P 5) えぇー…マジすか?フォレストはともかくBTTF好きだし、こないだもロゴ入りのキャップ買っちゃったんですけど。(知らんがな) ベトナム戦争に対する反戦・黒人の公民権運動に湧いた60年代を否定的にとらえ、ひたすら白人の優位性失墜について嘆く…。衝撃以外の何物でもない。あれだけ慣れ親しんだBTTFが危険認定されているのが、笑うに笑えなくしている。 このように政治的・社会的に危険だと見なされるものもあれば、デリケートだったり考えさせられる題材の映像作品が、計20作紹介されている。 ディズニーランドにある スプラッシュ・マウンテンの原作『南部の唄』(1946)は「史実を歪曲して伝えている」という理由でDVD化がされていない。ファンの間でも有名な話である。しかしそれ以前にも、ディズニーは、とんでもない作品を世に放っていたのをご存知だろうか。 『空軍による勝利』(1943)。日本に向けた本土爆撃の必要性を謳ったもので、何とW.ディズニー自らが製作を企画。結果として、チャーチルやローズヴェルトを突き動かしたという。 YouTubeに全編上がっていたのでチェックしてみたが、まぁ日本人からすれば胸糞悪い…。 特に終盤では、ディズニーとは思えないリアルなタッチで、日本の街が完膚なきまでに爆撃を受けている。(アニメーション部分は『バンビ』や『白雪姫』のスタッフが手掛けているんだとか)コメント欄は見渡す限り英語で、アニメーション技術や内容を賞賛する声で持ちきりだった。 2004年に米国内でDVD化されたそうだが、日本には知らされていない。天下のディズニーに冷ややかな一瞥をくれてやるか、「うぅ〜…でも過去は過去!今は今!」と支持を辞めないか…今を生きる日本人にとっては反応が分かれるところかも(!?) 『4リトル・ガールズ』(1997)は、一番考えさせられた作品。教会が爆破され、黒人の少女4名が犠牲となった事件をドキュメンタリーにまとめている。 事件に怒りを覚えた白人学生が猛勉強の末に司法長官となり、犯人を起訴。犯人は黒人へのヘイトを終生取り下げなかったが、二人房で一緒になった黒人の面倒をとてもよく見ていたとの事…。 事件が、4人の少女が、2人の男の良心を呼び起こしたのだろうか。そうした問いが、今も付き纏っている。 先住民や黒人・その他有色人種への差別、インテリの排除に赤狩りetc… 「自由の国」というのは所詮理想論。あんなに広い土地を持っておきながら、どこまでも排他的で窮屈なのが、アメリカって国なんだな。
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実際に観たことがある映画は、 「Back to the Future」と「Forrest Gump」 くらいだったが、色んな見方を知ることができて、 勉強になりました。 でも、アメリカで映画を作ったら、 何をどうやっても人種問題と切り離せない、 となるのでは?とも思う。 「Bac...
実際に観たことがある映画は、 「Back to the Future」と「Forrest Gump」 くらいだったが、色んな見方を知ることができて、 勉強になりました。 でも、アメリカで映画を作ったら、 何をどうやっても人種問題と切り離せない、 となるのでは?とも思う。 「Back to the Future」なんて、 ただただ楽しい映画だったと思うんですけどね…
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一日で全部読み切った。町山さんのこういう観点での映画評論は歯切れが良過ぎて、ちょっと危うい感じもするんだけど、やっぱり面白い。
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知らないことがたくさんあった。町山さんの言う通り、映画は背景を知っている方がもっと面白く見れると思う。もっと勉強しよう…。 読み終えるのにすごく時間がかかってしまった。内容がボリューミーなので、ついていけず寝落ち。の繰り返し。 次にここで取り上げられていた映画を観るときに、自分に...
知らないことがたくさんあった。町山さんの言う通り、映画は背景を知っている方がもっと面白く見れると思う。もっと勉強しよう…。 読み終えるのにすごく時間がかかってしまった。内容がボリューミーなので、ついていけず寝落ち。の繰り返し。 次にここで取り上げられていた映画を観るときに、自分にどんな気付きがあるかワクワクする!
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巨匠グリフィスの「國民の創生」は、映画史に残る傑作と評価されながら、KKKと黒人のリンチを復活させた罪に問われている。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「フォレスト・ガンプ」の楽しさの裏側には、1960年代の反戦運動や公民権運動に対する強烈な敵意が隠されている…。 スリリングな映...
巨匠グリフィスの「國民の創生」は、映画史に残る傑作と評価されながら、KKKと黒人のリンチを復活させた罪に問われている。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「フォレスト・ガンプ」の楽しさの裏側には、1960年代の反戦運動や公民権運動に対する強烈な敵意が隠されている…。 スリリングな映画批評。アメリカ保守の無意識が見事に描き出される。トランプ大統領の誕生は必然だった。そう実感できる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
KKKは白装束の由来まで醜悪だった..。ポピュリズムの落とし穴。ヒュー・ロング、アイン・ランド。黒幕にいるのは誰か。表にいるのは操られている人形に過ぎないのか。ロバート・ゼメキスは懐古主義で白人至上主義かつ反知性主義と知り、結構衝撃。
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最初は面白く、ぐんぐん読んでいたが後半ダレテきた。著者、内容というより題材の時代背景を知らないのでのめり込めなかったのかもしれない。しかし映像、メディアの恐ろしさを再度認識した。『バック トゥー ザ フューチャー』『フォレスト ガンプ』の解析には驚き! 「フォレスト ガンプ』を...
最初は面白く、ぐんぐん読んでいたが後半ダレテきた。著者、内容というより題材の時代背景を知らないのでのめり込めなかったのかもしれない。しかし映像、メディアの恐ろしさを再度認識した。『バック トゥー ザ フューチャー』『フォレスト ガンプ』の解析には驚き! 「フォレスト ガンプ』を見た時の違和感の原因がわかったように思う。 紹介されている映画を観る機会がないのが残念! 【軍産共同体】は、いまだに続いている…。
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アメリカという国は黎明期から深刻な問題を抱えているけれど、戦争はもちろんカルチャー面でも激動の歴史の連続だったのだなと知った。 映画を手掛かりにアメリカ史が簡潔に書かれているのでわかりやすい。 撮り手が語っているのを抜き出しての町山氏の考察も、こんな見方もあるんだなと新しい発見だ...
アメリカという国は黎明期から深刻な問題を抱えているけれど、戦争はもちろんカルチャー面でも激動の歴史の連続だったのだなと知った。 映画を手掛かりにアメリカ史が簡潔に書かれているのでわかりやすい。 撮り手が語っているのを抜き出しての町山氏の考察も、こんな見方もあるんだなと新しい発見だった。
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アメリカ映画の古典的名作といわれている作品から、歴史的背景を読み取り社会にどのような影響を与え合ったのかを考察した一冊。
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アメリカ社会の差別の闇も深いという事を改めて感じる。映画が、その後の社会やまた新たな映画への影響を与えてること、そのエッセンスが入っていることなどは、この本を、読まなければけっしてわからなかった裏話も多かった。
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