沈黙法廷 の商品レビュー

佐々木譲(著者)

2018/05/09

佐々木サンの作品にしては評価がイマイチだったので期待しないで読んだけど全然よかった。
細かい部分で若干ツッコミたくなるとこもあったけど、、全体的には満足。
でも読後感はよくない。
なんだかやり切れない気持ちになりました。

2018/04/09

読みごたえありました。

前半は殺人事件の捜査。
後半はそれの裁判。

限りなくあやしい容疑者がいても、確実な物証がなければ普通は起訴されない。
状況証拠をいくら積み重ねても、決定的な証拠がなければ公判を維持できないからだ。

しかしこの事件の場合、別な事件を追っていた埼玉県警と赤羽署の捜査陣が、同じ人物の家の前で鉢合わせしたことから、様相が変わってきた。
自分たちの持つ状況証拠だけでは公判を維持できなくても、上手くいけば合わせ技で容疑を確定することができるかもしれない。
起訴をあきらめた埼玉地検と、見切り起訴をした東京地検。

この段階では読者である私も、警察の捜査に対する疑問はあるものの、容疑者の行動にも疑惑を感じざるを得なかった。

国選弁護士に対しても、心を開いてすべてを話すわけではない容疑者。
一体何を隠しているのか。

地味な見た目と、地味な生活。
孤独な老人を騙してお金を奪い取るような人物には見えない。そんな生活もしていない。
だけど彼女の周囲で、何人かの老人の不審死が発生しているのも事実。

少しずつ弁護士に対して心を開いていく容疑者。
極めて不利だと思われた公判で、事実を淡々と認めることによって裁判員の心証がよくなってきたと思われた時、突然彼女は証言を拒否し始める。
強盗殺人で起訴されている彼女は、有罪になってしまうと無期懲役か死刑しかない。
そのような状況で、一体なぜ彼女は自分の無罪を証明する証言をやめてしまったのか。

正直言って、そんなことのために証言することができなくなったのか？と思う気持ちもある。
しかし、自分の人生の中で何を大切に思うのか、何を守りたいと思うのかは人それぞれ。
世間的な幸せと縁のない境遇で育ってきた彼女だからこそ、それがとても大切なことだったのだろう。

料理が苦手という彼女が、２口のガスコンロにとてもこだわりを持っていたのが印象的だった。
多分それは、彼女にとって幸せな家庭の象徴だったのだろう。

2018/03/04

　赤羽で一人暮らしの初老男性・馬場幸太郎がマッサージチェアに座った状態で首を絞めて殺されていた。馬場宅にはデリヘル嬢や家事代行サービスの人々が出入りしていたが、やがて独立して1人で家事代行業を営む山本美紀という女性が捜査線上に浮かびあがる。赤羽署の捜査員たちが彼女の逮捕状請求に動く中、彼女の周りでは以前にも不審死が起きており、当初はそれを事件性無しと判断していた埼玉県警も、再捜査を始める。

かなり分厚い本で、やや冗長気味だったのがもったいないが、物語自体は最後まで引き込まれた。警察同士の縄張り争いもあり、被疑者逮捕に急ぐ警察の視点だと限りなく被疑者の彼女はクロに思えるが、後半、いよいよ裁判に入って弁護士や、彼女を以前から知る人物の目線で追うと、「これは無罪やろ」と思ってしまうから不思議。しかし最後、なぜそこまできて黙秘するのか…という理由はあまり腑に落ちなかった。

2017/11/05

17年秋に永作博美主演でWOWOWでやってたものの原作。ドラマを見てから読んだが、ドラマの話の持って行き方の方がいいように感じた。ちょっとあっさり感が拭えない。あ、法廷までの前半が長い。

2017/10/21

法廷の臨場感に引き込まれた。
思いもしなかった終わり方に、ミステリのカタチをした純文学なのかもしれないと感じた。

2017/10/12

老人の殺人で逮捕される介護女性。
年末、仕事探しで泊まったネットカフェで知り合った女性と交際。実家の館山に連れて行く約束。すっぽかされる。
赤羽で老人が絞殺。刑事が被疑者候補に不動産屋。離婚して離れて暮らす息子。家事代行会社からクレーム。デリヘル譲もよんでいた。最後に被害者に会ったのは個人で家事代行会社をしていた女。任意同行で訪ねると埼玉県警が別の事件で女を逮捕。1年前以上の老人が焼死。最後に会ったのが同じ女。国選弁護人から黙秘を指示。状況証拠のみなので拘留がとかれた。赤羽署が逮捕。事件に興味を持ったブラック事務所に勤める弁護士が接見。黙秘を指導。
男がTVで女が逮捕されたのを見る、自分にはナカガワと名乗っていたのが、実名は山本。
男は傍聴の為に会社をクビ。傍聴席に女が初めて、顔をまわした時、老人と自分をみて驚いた。老人は同居を申し出て140万わたした。詐欺の訴えはでていない
自分の部屋に泊まっていたのとかぶっている
判決は無罪。状況証拠しかない・男は弁護士を通じて、釈放後に会う
無罪を信じていた
刑事は手柄を争うので捜査を間違っていた。犯人はデリヘルの運転手。
絞殺で使用した革ベルト工場で働いていた。
中川綾子は実在するのか？
ネット上で名乗ると、信頼され。職が得られるようだ

2017/10/08

前半は捜査、後半は裁判といった内容
本当に警察がこのような捜査内容で逮捕するのならば、たまりません
否認事件を状況証拠だけで起訴されることには、恐怖すら覚えますね
昔はどうだかわかりませんが、現在はこんなに杜撰ではないでしょう

後半の裁判は淡々と進みます
裁判員裁判がどのように進められるかに触れられるのには、興味を覚えます（作者の実際とは違うという注意書きあり）
マスコミ批判には、甚だ同感させられます

結果は当然
しかし、容疑者がひた隠してきたことには、それほどのことではない感じがします
裁判は控訴
怪しい人物は複数登場していますが、真犯人は臭わせるだけ終わってしまいます

2017/10/03

奇抜な事件や名探偵は登場しないが、作中の人物群が丁寧に描かれており、事件を中心とした物語が静かに展開されていく。被告として登場する影のある人物には雰囲気があり惹かれるものがある。法廷の描写は忠実に細部まで表現され、臨場感がある。裁判自体には派手さがないが、人間ドラマがあり、視点の置き方によって物語の中に溶け込んでいく心地良さがある。余韻に浸れる小説である。

2017/09/30

がんばって読みました。長編です。

連続殺人の犯人として逮捕された女性の話。
事前の人となりと、法廷での論争から判決まで。

女性のことは、客観的に書かれていて実際に犯罪を犯していたかどうかは、はっきり書かれていませんでしたが、別に犯人がいたことを匂わせるような終わり方でした。

裁判ってこんな感じなのか…って思いましたが、とにかく長くて、硬くて、少し読み疲れました。

2017/08/16

8月-5。3.0点。
独居老人が殺害される。最後に訪れたのは、
家事代行サービスの女性。その前は性風俗サービスの女性。
犯人とされた女性は、過去や自分を話したがらない。
状況証拠のみで逮捕、起訴へ。真相は。。。

暗いし、少し冗長。読ませるんだけど。