i(アイ) の商品レビュー
この本を買ってから読み始めるまで半年放置していたことを読み終わって、なんとも言えない気持ちになった。 最近自分のなかで考えていたことに似たことが言葉として現れ、なにかうれしかった。 大切な人をおもうことを大事にしていきたい。
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アイという名前の主人公。 両親は日本人とどこだかの国(忘れちゃった)の人。 アイはシリアから養子として引き取られてきたので、両親との血の繋がりもないし、顔も全く違う。 小さい時から、自分の生まれた国は不幸な人がたくさんいるのに、自分は幸福になっていいのだろうか?という疑問を持...
アイという名前の主人公。 両親は日本人とどこだかの国(忘れちゃった)の人。 アイはシリアから養子として引き取られてきたので、両親との血の繋がりもないし、顔も全く違う。 小さい時から、自分の生まれた国は不幸な人がたくさんいるのに、自分は幸福になっていいのだろうか?という疑問を持って生きています。 テーマは、毎日のように世界には戦争もあり震災もあります。 そして犠牲者も出るわけで。 それに対し、祈ることしかできないとなげくより、祈ること、その人たちを思うことでもちゃんと救うことになっているよ(救うまで行かないけれど)ということなのかなと思います。(ちょっと上手く書けませんが……)
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シリアに生まれ、アメリカ人の父と日本人の母の養子になった主人公のアイ。高校時代の数学教師に「この世界にアイは存在しません」と言われ、その言葉の反芻する。自分の存在意義は何なのか。アイデンティティは何なのか。世界で起こる災害や事件などの悲劇と自分の境遇を照らし合わせ、その答えを模索...
シリアに生まれ、アメリカ人の父と日本人の母の養子になった主人公のアイ。高校時代の数学教師に「この世界にアイは存在しません」と言われ、その言葉の反芻する。自分の存在意義は何なのか。アイデンティティは何なのか。世界で起こる災害や事件などの悲劇と自分の境遇を照らし合わせ、その答えを模索しながら成長する物語。 特に心に響いたのは、アイが体外受精で身籠った子を流産してしまった場面。 悲劇を免れた側の人間は、悲劇に目を背けることに罪悪を感じる。しかし、悲劇の本当の苦しみは知りたくない。誰だって悲劇を避けたいし、逃れたいし、選ばれたくない。悲劇に見舞われた人からすれば、そういう人たちに対して「この悲劇を、一度でも体験してみろ」と思うだろう。 この考えは、アイが流産という悲劇の当事者になって初めて気づくのであるが、私も悲劇の本当の苦しみを知ったときに、同じように思うのかも知れないと感じた。「悲劇は同情すればいいってものじゃない」と言われているような気がして、耳が痛かった。
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シリアに生まれ、アメリカ人の父と日本人の母のもとに来たアイ。彼女は自分のルーツと恵まれた環境に不安と罪悪感を抱えていた。 いつしか世界で起きた事件や災害の死者数をノートに記録することが習慣となったアイが、成長するなかで自身を肯定できるようになる物語。 今作では、世界で起きたこと...
シリアに生まれ、アメリカ人の父と日本人の母のもとに来たアイ。彼女は自分のルーツと恵まれた環境に不安と罪悪感を抱えていた。 いつしか世界で起きた事件や災害の死者数をノートに記録することが習慣となったアイが、成長するなかで自身を肯定できるようになる物語。 今作では、世界で起きたことがニュースやノートの文章として時々登場した。そして中盤では、日本で起きた出来事もアイが経験したこととして描かれる。 その箇所を読んだとき、何故だか日本で起きたことが描かれることを想定していなかった自分に気づいた。それは世界で起きたことに心を痛めながらも、自分の身に起きることを想定していなかったアイと近いものがあったのかもしれない。 ラストシーンは、自分の存在を肯定できなかったアイがもう一度生まれ、自分の存在を再確認するかのようなシーンだった。とても素敵で印象的なシーンだったと感じた。 アイの繊細さが周りの人には向けられず自分本意な言動に感じる場面もあったけれど、自分の中に傲慢さや矛盾はあっても、それでも自分自身は自分の存在を肯定しようというメッセージを感じた作品だった。
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秋田はまだ桜は咲いてませんw ってな事で、西加奈子の『 i 』 「この世界にアイは存在しません。」 この言葉に自分の存在意義とは何かと悩むイラン産まれだが、色んな事情がありアメリカ人の父と日本人の母の裕福な家庭に養子として引き取られて育ったアイ。 何不自由無く育て...
秋田はまだ桜は咲いてませんw ってな事で、西加奈子の『 i 』 「この世界にアイは存在しません。」 この言葉に自分の存在意義とは何かと悩むイラン産まれだが、色んな事情がありアメリカ人の父と日本人の母の裕福な家庭に養子として引き取られて育ったアイ。 何不自由無く育てられてきたが、逆に本当の両親と暮らしていたら自分は存在していたのだろうか? 自分じゃ無く他の子が何で選ばれてこの家に養子として来なかったのか? 選ばれなかった子は果たして生きているのだろうか……。 豊かで裕福な生活ほど自分の存在意義に押しつぶされそうになっていくアイ。 高校に入学してからミナに出会ってからアイの人生も変わって行くのだか……。 西さんのマイノリティな内面の表現は何とも堪らない物が有る! 中盤からの感情や気持ちの変化等が胸を打つ。 誰しも色々な悩みがあって生きている。 その悩みにもがきながら死んでいく事もあれば、そのもがきも与えられる事無く奪われる命もある人生の不条理。 生きていく事は大変じゃな。 生かされてる人生に感謝しながら、良い死に方が出来る様にならんとな。 2017年12冊目
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アメリカ人の父、日本人の母のもとで養子として育ったシリア出身のアイ。自分の考えを持つことへの恐怖、世界各地で様々な被害に合う人々のことをかわいそうと思うのは傲慢なことなのか、悩みに悩むアイの葛藤。
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偽善と自己陶酔と歪んだ自己愛に塗れた理想主義者の気持ち悪さをとてもリアルに描いていると思う。 世界には苦しんでいる人がたくさんいるのに、私だけが選ばれて幸せになってしまうのは申し訳ないという気持ちはわからないでもない。 でも、それがいつしか「幸せになっちゃいけない私かわいそう」...
偽善と自己陶酔と歪んだ自己愛に塗れた理想主義者の気持ち悪さをとてもリアルに描いていると思う。 世界には苦しんでいる人がたくさんいるのに、私だけが選ばれて幸せになってしまうのは申し訳ないという気持ちはわからないでもない。 でも、それがいつしか「幸せになっちゃいけない私かわいそう」になっている。 世界中の死者に胸を痛めているのも「繊細な心を持っている私って素敵」という考えが透けて見えている。 世界で一番かわいそうな私を作り出して、なんちゃって自傷行為をして、自分をかわいがっているようにしか見えない。 自分がかわいいだけだから、理想は語っても大した行動は起こさない。自分が本当に被害を受けると周りを憎む。 「子どものことで、私がアイに謝ることはない。社会に対しても、不妊で苦しむ人に対しても、謝る必要はないと思ってる。私の決意と、みんなのからだのことは別のことだから。私のからだは、私のものだから。」 残念だが、世界のどこかで苦しんでいる誰かの不幸は、私のものではない。だから私の生活を捻じ曲げてまで誰かを助ける義務はないし、それを恨まれても困る。理想的でないこの世界では理想は通用しないことが多いため、個人で理想を追い求めるのは立派なことだと思うが、他人を巻き込まないでほしい。 理想を語って何もしない人、自分の理想のために他人を振り回す人は嫌いだ。 それなら現実に屈したほうがマシ。 でもラストのアイのように何かを求めず、ただ心の中で愛をもってこの残酷な世界を受け入れるというのであれば、個人の心のありようとしては美しいのかもしれない。
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星とかつけたくない。この表現が、とか、構成が、とかではなくこの本の存在自体がこれから私を、私の存在を肯定してくれるんだろうと思う。世界はノイズだらけで、私はよくその音にかき消されそうになる。そしてノイズを吹き飛ばせるほどの音量を持ち合わせていない。かつてのアイのように時々存在の価...
星とかつけたくない。この表現が、とか、構成が、とかではなくこの本の存在自体がこれから私を、私の存在を肯定してくれるんだろうと思う。世界はノイズだらけで、私はよくその音にかき消されそうになる。そしてノイズを吹き飛ばせるほどの音量を持ち合わせていない。かつてのアイのように時々存在の価値を疑いたくなる。だけど私は私だけで存在していい。誰に愛されようと愛されなかろうとここに居ていいんだ。
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わなわなと スルスルと 読み進む。 選ばれなかった理由は? 選ばれた理由は? ガチャなんて簡単には言えないよ。 選ばれたとしても選ばれなかったとしても、その国でその立場で生きてゆく。力強く。
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くもをさがすを読み、他の作品もまた読みたくなり本書を手に取った 西さんの言葉は、グサっとささる サラバ!を読んだ時も同じ印象だった気がする 私はわたしである、他の何者でもなく、此処にしっかりと存在する 誰かの存在をとおして自分を認めたり認識するのではなく、自分の足でしっかり立...
くもをさがすを読み、他の作品もまた読みたくなり本書を手に取った 西さんの言葉は、グサっとささる サラバ!を読んだ時も同じ印象だった気がする 私はわたしである、他の何者でもなく、此処にしっかりと存在する 誰かの存在をとおして自分を認めたり認識するのではなく、自分の足でしっかり立っていたいと改めて思った
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