阿蘭陀西鶴 の商品レビュー
現代よりもずっと短い寿命の時代でありながらより濃く生きた人たちの人生に感銘を受けます。おあいの人生に涙。
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5と迷って迷って4にした。そのくらいすごく良かった!! 井原西鶴の盲の娘、おあいの視点から物語は展開していくんだけど、盲のおあいに料理や縫製を叩き込んだ優しい亡き母、可哀想と言われるのを何よりも嫌っていて、いい格好しいの父親が嫌でたまらないおあい、幼い二人の弟、女衆のお玉、出てく...
5と迷って迷って4にした。そのくらいすごく良かった!! 井原西鶴の盲の娘、おあいの視点から物語は展開していくんだけど、盲のおあいに料理や縫製を叩き込んだ優しい亡き母、可哀想と言われるのを何よりも嫌っていて、いい格好しいの父親が嫌でたまらないおあい、幼い二人の弟、女衆のお玉、出てくる登場人物がすごくありありと頭の中で映像化されて、のめり込んだ。 最後は泣きそうになったし、現実がこんな風にあたたかいことを切に願った。
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西鶴の娘おあいが主役。 盲目のおあいだが、家のことは一通りこなせる。 近所への買い物もできる。 同時に、談林派の俳諧師でのちに戯作者になる父西鶴の越し方も描かれる。 元禄のころ。 好色一代男などのヒット作を生み出した西鶴と、その周辺のあれこれが勉強になる。 西鶴の妻、つまりお...
西鶴の娘おあいが主役。 盲目のおあいだが、家のことは一通りこなせる。 近所への買い物もできる。 同時に、談林派の俳諧師でのちに戯作者になる父西鶴の越し方も描かれる。 元禄のころ。 好色一代男などのヒット作を生み出した西鶴と、その周辺のあれこれが勉強になる。 西鶴の妻、つまりおあいの母は早くに亡くなる。おあいの弟たちは他家へ養子に出されるが、おあいは西鶴の手元に残された。 父の気持ちがわからないまま、父と娘の日常生活があり、おあいは父の身の回りの面倒を見る。付き合いの広い父の客のために料理をする。 なかなか大変な生活。 読みどころは、目の見えないおあいの感覚で作られる家庭料理の匂いと味の表現。とてもとても美味しくそう。 いい小説だった。
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小学校の歴史でしか知らなかった「井原西鶴」という人物像を深く知ることができた。娘のあおいの視点で書いているのもよかった。西鶴がどのように生きてきたのかということと、親娘愛という異なった方面から楽しめる本だった。
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大矢博子さんの解説を読んで、そうだったのか!とスッキリした。読み初め、やや物語に入り込めない感があったのだが、「おあい」を見ていた自分が、いつしか「おあい」として見るようになっていき、すっかり作品世界に没入していたからだ。大矢さんが書かれている「思えば、目が見えない ー 映像情報...
大矢博子さんの解説を読んで、そうだったのか!とスッキリした。読み初め、やや物語に入り込めない感があったのだが、「おあい」を見ていた自分が、いつしか「おあい」として見るようになっていき、すっかり作品世界に没入していたからだ。大矢さんが書かれている「思えば、目が見えない ー 映像情報がないということは、テキストのみで構成される小説を読む行為と似ている、と言えるのではないか。さらに本書はおあいを語り手にしたことで、物語の中にも人の目鼻立ちや風景の直接の描写はまったく出てこない。しかし読者の目には、台所に立つおあいの姿がはっきり目に浮かぶ。桜鯛を捌く彼女の手が、彼女が出会った人々の様子が、それぞれの読者の心の中で再現される。」「もちろん、著者の筆力あってこそだが、これが物語の力だ。」という言葉に、非常に納得した。 とはいえ、解説は作品の読後に読んだのであって、このように整理された考えを頭で理解し読み進めていた訳では、もちろん全くない。 徐々に解き明かされ深まっていく親子の時間を共に生きることで、二人の生涯は幸せだったのだなぁと、静かに満たされて本を閉じることができた。世の中が落ち着き文化が成熟していく時代の、大阪の市井の人々の闊達な暮らしぶりがまた、気持ちを晴れやかにしてくれた。朝井まかてさんは、やっぱり面白い。
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大衆小説の創始者 井原西鶴と、盲目の娘 おあいの物語。 ゴッホがそうであったように、創始者はなかなか時代に受け入れられず周囲の人に迷惑をかけつつ己の道を邁進するものなんですね。多くは朝井さんの創作でしょうが、父娘の関係が変わっていく様子は胸を打ちました。 一方で研ぎ澄ますことで道...
大衆小説の創始者 井原西鶴と、盲目の娘 おあいの物語。 ゴッホがそうであったように、創始者はなかなか時代に受け入れられず周囲の人に迷惑をかけつつ己の道を邁進するものなんですね。多くは朝井さんの創作でしょうが、父娘の関係が変わっていく様子は胸を打ちました。 一方で研ぎ澄ますことで道を極める芭蕉のような存在も貴重だと思いますが、間口を狭めることで一部の人たちだけのものになったことが、いつくもの日本の伝統文化が細々としか継承されない結果を招いたのかな。
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井原西鶴と言えば、「好色一代男」を書いた坊主頭の人という知識くらいしかなかったが、読みやすく、登場人物がとても魅力的で非常に面白かった。 盲目の娘おあいの目を通して、父として、また、俳諧師、草子書きとしての井原西鶴を描いている。自尊心が強く何よりも自分が大好きで、自由奔放に人間...
井原西鶴と言えば、「好色一代男」を書いた坊主頭の人という知識くらいしかなかったが、読みやすく、登場人物がとても魅力的で非常に面白かった。 盲目の娘おあいの目を通して、父として、また、俳諧師、草子書きとしての井原西鶴を描いている。自尊心が強く何よりも自分が大好きで、自由奔放に人間臭く生きる西鶴が活き活きとしていて良い。 天下泰平の江戸、将軍綱吉の時代を背景に、俳諧が世間を席巻していくさまは、現代にも通じるワクワク感があり、松尾芭蕉や近松門左衛門など、歴史上の人物も登場し、歌舞伎や浄瑠璃といった文化が熟成されていく過程を垣間見ることができる。 盲目の娘おあいの作る料理の数々も、全部美味しそうでそそられた。ぶぶ漬けや素麺、冷やし飴など、 江戸時代の豊かな食文化に興味が湧く。 俳諧師としてテッペンをとることに執着していた西鶴だが、本当の力量は草子書きで発揮された。 現代で言うところの大衆小説のハシリ。「好色一代男」の何がそんなに凄いのか。読んだことのない私は、怪しげな題名に、あまり良いイメージを持っていなかったが、西鶴の人となりを垣間見ることで、それはリスペクトに変わってしまった。 「好色一代男」読んでみたい。 市井の人々のひきこもごも。「皆、愚かで惨めで、けれど父は彼らを非難していない。ただひたすら、掛け値なしのまなざしを向けていた。」 作者は「世間胸算用」をもって、「お父はんの真骨頂や」とおあいに言わせている。 話の骨には父と子の不器用な愛情が描かれており、何度も泣かされながら、井原西鶴という人物の面白さに魅了された。 「万懸帳埒明けず屋」「よろずかけちょうらちあけずや」だった西鶴。お金を稼ぐ事が目的ではなく、したい事、やりたい事を突き詰めた人生。 自分とは正反対の生き方を貫いた西鶴に、大きな拍手を送りたい。
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井原西鶴とは、文学年表だけの人でした。彼の一人娘が盲目であったことなど知る由もなかった。娘から見た、偉大な父を描くのは著者の得意とするところか。娘に対する父の思い入れは、不器用になるのだが、二人の心の通い合いがとても良く描かれて感動を誘う。今になっては、読み直そうとすることはか...
井原西鶴とは、文学年表だけの人でした。彼の一人娘が盲目であったことなど知る由もなかった。娘から見た、偉大な父を描くのは著者の得意とするところか。娘に対する父の思い入れは、不器用になるのだが、二人の心の通い合いがとても良く描かれて感動を誘う。今になっては、読み直そうとすることはかなわないが、とても興味のある作家であることを教えてくれました。
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身体障害者の身内に、あなたは、どんなふうに接しますか? 西鶴は、ダメな父ちゃん、として接します。 完全護衛もしません。 自分が死んだあとも、娘は生き続けるのだから。
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教科書に出てきた江戸時代の文化人…ほどの知識しかなかったが、テレビで井原西鶴について知り興味を持ってたどり着いた本。 よくありがちな調子のいい道楽者で豪傑みたいな人物像を想像してたけど、物語の主人公である盲目の娘と同様にページが進むにつれ西鶴の情の深さやユーモアのある生き様に魅せ...
教科書に出てきた江戸時代の文化人…ほどの知識しかなかったが、テレビで井原西鶴について知り興味を持ってたどり着いた本。 よくありがちな調子のいい道楽者で豪傑みたいな人物像を想像してたけど、物語の主人公である盲目の娘と同様にページが進むにつれ西鶴の情の深さやユーモアのある生き様に魅せられた。 また読みながら家の中の様子、台所風景が目に浮かぶ美しい文章だった。 西鶴のみならず江戸時代の文芸をもっと知りたいと思った。
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