阿蘭陀西鶴 の商品レビュー
なんとなく購入。 西鶴と芭蕉は同じ時代を生きた俳人で互いに意識しあっていた…というようなドラマを見たことがあったなぁなんてぼんやり思いだしました。 この小説は西鶴の盲の娘視点で描かれた西鶴の姿、ですがいやあ、父娘の確執あるあるだな(笑)娘の気持ちをとんと理解しない父親と父の気持...
なんとなく購入。 西鶴と芭蕉は同じ時代を生きた俳人で互いに意識しあっていた…というようなドラマを見たことがあったなぁなんてぼんやり思いだしました。 この小説は西鶴の盲の娘視点で描かれた西鶴の姿、ですがいやあ、父娘の確執あるあるだな(笑)娘の気持ちをとんと理解しない父親と父の気持ちがまるでわからない娘。近いから故にわからないことってあるよなぁ…なんて思いました。(まあ実際こういう父娘関係だったかどうかはわかりませんが…)でも閉じ込められないだけマシ、という辺りで父の気持ちをわかるというのもなんだかちょっと違うかなぁ…なんて自分は思いました。 矢数俳諧、大衆小説と新しいものを作られた西鶴という人は本当にエンターテナーだったのではないのかなぁ、そんなことを思いました。そして料理が美味しそうだった…
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西鶴と娘、おあいとの物語。 幼い頃母を失い、父と二人で生きていくことになったおあい。 最初は父を身勝手で、自己顕示欲の塊で、盲目の自分を客前に出して自慢するのも、売名のように感じていたおあい。 次第に父の愛情を感じ取れるようになっていく。 談林派の俳諧師から、草紙の作者へ、憑...
西鶴と娘、おあいとの物語。 幼い頃母を失い、父と二人で生きていくことになったおあい。 最初は父を身勝手で、自己顕示欲の塊で、盲目の自分を客前に出して自慢するのも、売名のように感じていたおあい。 次第に父の愛情を感じ取れるようになっていく。 談林派の俳諧師から、草紙の作者へ、憑かれたように創作活動に打ち込み、やがて人の業を描き切ることができないと嘆くようになる、西鶴の創作の軌跡に、おあいはぴったりと寄り添う。 そんな矢先に、二人の暮らしに終焉が訪れる。 その幕引きは寂しく、切ない。 おあいの感覚を通して描かれる人々の姿、街や庭。 どれもが読んでいるこちらの感覚を呼び覚ます。 行ったことのない町、あったことのない人々なのに、手触りのようなものさえ感じる。 作者の確かな描写力に、小説を読む満足を味わわせてもらった。
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文庫で再読しました。前回をふんわりとしか覚えてなかったので、熱量を持って読めました。とても面白かったです。盲目の娘・おあいの語りで描かれる井原西鶴の生涯が生き生きと伝わってきました。2人を取り巻く登場人物たちも生き生きとしていて、読んでいて楽しかったです。初めは俳諧、次に草紙と、...
文庫で再読しました。前回をふんわりとしか覚えてなかったので、熱量を持って読めました。とても面白かったです。盲目の娘・おあいの語りで描かれる井原西鶴の生涯が生き生きと伝わってきました。2人を取り巻く登場人物たちも生き生きとしていて、読んでいて楽しかったです。初めは俳諧、次に草紙と、西鶴の紡ぐ言葉が気になりました。読んだこと無いけど読んでみようかな…と多分前回も書いた気がします。おあいがだんだん西鶴の思いを知っていくのも良かったです。お玉のラスト辺りの台詞も良かったな。こんな生き方もあっていいのですよね。
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面白かった。『眩』より好み。 父と娘という、家族から見た創作の世界という点では、かなり似ている。でも、本人も同じ世界にいるか、全く外にいるかで見え方が違ってくる。 『恋歌』もそうだけど、やはり作家が物書きの話を書くと、同じ創作でも、臨場感が違う。 西鶴から発される熱のようなものに...
面白かった。『眩』より好み。 父と娘という、家族から見た創作の世界という点では、かなり似ている。でも、本人も同じ世界にいるか、全く外にいるかで見え方が違ってくる。 『恋歌』もそうだけど、やはり作家が物書きの話を書くと、同じ創作でも、臨場感が違う。 西鶴から発される熱のようなものに巻き込まれていく。 お玉の言葉に、おあいが、自分で思う自分と他人からの認識のずれを初めて自覚するところが、鮮烈で心に残る。 芭蕉や近松とのやりとりも興味深かった。 意識していなかったけど、この辺は同時代なんだなあ。 井原西鶴、その名だけはよく知りながら、どういう人なのかは全く知らなかった人物。 そういう意味でも、とても興味深い物語だった。
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井原西鶴とその娘おあいの物語。 亡き母親から炊事洗濯を仕込まれた盲目の娘おあい。 見栄っ張りで威勢だけはよく、娘の気持ちを忖度しない父西鶴を嫌っているのだが――。 日常の音や匂い、人の声、季節の気配を繊細にとらえるおあいの一人称で書かれているため、あらゆる描写が新鮮に感じられ...
井原西鶴とその娘おあいの物語。 亡き母親から炊事洗濯を仕込まれた盲目の娘おあい。 見栄っ張りで威勢だけはよく、娘の気持ちを忖度しない父西鶴を嫌っているのだが――。 日常の音や匂い、人の声、季節の気配を繊細にとらえるおあいの一人称で書かれているため、あらゆる描写が新鮮に感じられます。 かたくななおあいの心。 近くにいるのに互いに伝わらない父と娘の気持ち。 物語が進むにつれて変わっていく様子が、温かくも切ない。 すべて読み終えて、帯にある「お父はんのお蔭で、私はすこぶる面白かった」という言葉を見ると、ぐっとくるものがあります。 大阪弁の会話、ってなんかいい。 感情とか情感が加味されて、表現としてずるいなあ、という気もします。
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前半はのらりくらりと面白みなく中盤から面白くなってきた。西鶴の作品を何か読んでみたいと思っていたが、この本を読むとその書かれた背景が描かれていてどれを読んでよいものかますます迷う。
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井原西鶴の娘の視点で書かれてあるので、西鶴の俳句に対する思いや取り組み方などが新しい角度で読む事ができたと思います。 あいという娘に対する気持ちや扱い方で西鶴の愛情の示し方も独特のものがあると思いました。
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西鶴の話なのか娘の話なのか どっちつかずで今ひとつ。 話は淡々としすぎていて、 読んだ後ほとんど覚えていないという読みやすさ。 お勧めはしない。
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正直なところ、あまり面白いと感じずに早く読み終わりたいと思いながら読んでいましたが、最後の1ページから巻外にかけて、ジーンと来ました。 読んで良かった。
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それにしてもエライ父親を持ってしまったものだ。 辛抱の中に時々差す陽の光。 目には見えなくても伝わる体温や匂い。 西鶴の娘 おあいは不幸だったと誰が断言できようか。
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