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その雪と血を の商品レビュー

4.3

28件のお客様レビュー

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2024/08/04

ミステリー小説風ヒューマンドラマというか、主人公の孤独や苦悩が雪の風景とともに描かれている。桜田門外ノ変をドラマの映像で見たせいか、雪と血の描写は妙に印象に残る。

Posted byブクログ

2023/12/27

表紙が印象的な一冊。海外ミステリーは苦手でしたが本書は一気読みでした。 ザ・ハードボイルド。短い文章でさらっとした言い回しがたくさんあり、まるで詩のようです。 例えば 〈いい話というやつは、ありえないほどいい話だと、悪い話になることもある。〉 キザな感じが好き嫌い分かれるかもし...

表紙が印象的な一冊。海外ミステリーは苦手でしたが本書は一気読みでした。 ザ・ハードボイルド。短い文章でさらっとした言い回しがたくさんあり、まるで詩のようです。 例えば 〈いい話というやつは、ありえないほどいい話だと、悪い話になることもある。〉 キザな感じが好き嫌い分かれるかもしれませんが…。個人的には好きなほうです。 人は誰しも自分の〈物語〉を生きている。起こった事実は同じでもそこにどんな意味を持たせるかで物語は全く変わってくる。 そんなことを思い出させてくれる良書でした。 * * 物語とは直接関係ありませんが、主人公の『レ・ミゼラブル』への考察は何かはっとさせられるものがあります。 曰く、《ジャンバルジャンは本当にパンを盗んだだけだったのか?ー》  確かに…。今度読み返してみようかな。

Posted byブクログ

2023/04/01
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ハリー・ホーレ刑事シリーズと同じ作者だったので。 主人公は殺し屋だが、おとぎ話のような、夢の中の物語のような。 殺し屋というか、自己申告の通り「始末屋」といった方が適格だ。 綿密な計画も知ら調べもなく、とりあえず殺す。 冒頭の始末屋以外ができない理由を説明する箇所が印象的だった。 目立たないように車を運転できないので逃走車の運転ができない、 銃口を向けた相手が精神に問題を抱えてしまうので強盗はできない、 意志薄弱だからヤク売人になれない、 女に惚れっぽいのでポン引きにもなれない。 ボーイフレンドの借金のかたになりかけた女性にも惚れた。 ボスに自分の妻を殺せと命じられたが、 見張っているうちに惚れてしまい、浮気相手の男を殺してしまう。 だが、その男はボスの息子だったため、 当然ボスに命を狙われて妻と一緒に隠れることに。 ボスの敵と交渉し、 棺に隠れて地下聖堂でボスを返り討ちにしようとしたのはさすが。 彼が最後に見た幻は美しかった。 暴力と犯罪と破滅の小説をパルプ・ノワールというらしい。

Posted byブクログ

2023/03/19

1977年のクリスマス前後のプロの殺し屋の物語。殺しが職業なので、殺す相手は人間じゃないみたいだ。人間の形さえしていない黒っぽい物体っていう感じがした。文章から浮かぶ景色で色がついてるのは主人公と主人公が愛したのかもと思った二人の女だけに感じた。映像にしたらおもしろいんじゃないか...

1977年のクリスマス前後のプロの殺し屋の物語。殺しが職業なので、殺す相手は人間じゃないみたいだ。人間の形さえしていない黒っぽい物体っていう感じがした。文章から浮かぶ景色で色がついてるのは主人公と主人公が愛したのかもと思った二人の女だけに感じた。映像にしたらおもしろいんじゃないか、と読みながら思った。ばちばち殺しがあって、あまり好みではないドンパチ映画みたいな感じもするのだが、なんだろう、行間の空気に惹かれてしまう。舞台がノルウェーなので寒気を感じるからか。 主人公の男は20代か、痩せている気がする。ウィキで著者のジョー・ネスボを調べたら顔がでてきたが、その顔がこの本の主人公オーラブにぴったり。強盗が逃げる車を運転する主人公の「ドライブ」の世界にちょっと似てるかもと思った。 ノルウェー領、人が住む最北の島スピッツベルゲン島が出てくるのはさすが。 早川ミステリハンドブック2015 「もはや大ジャンル北欧ミステリ」 選ばれてるのは「コマドリの賭け」 2015発表 ノルウェー 2016.10.15発行 図書館

Posted byブクログ

2021/12/09

ハードボイルドの哀しい結末 愛することも愛されることもよく分からないと感じる、 絶望しているわけではなく、不器用に手探りで愛を感じようとする…… 自身の物語を見つけようとする、主人公の悲しさ。 200項に満たない“中編”に、冬の情景をふんだんに盛り込んだ抒情詩のような一片の小...

ハードボイルドの哀しい結末 愛することも愛されることもよく分からないと感じる、 絶望しているわけではなく、不器用に手探りで愛を感じようとする…… 自身の物語を見つけようとする、主人公の悲しさ。 200項に満たない“中編”に、冬の情景をふんだんに盛り込んだ抒情詩のような一片の小説 主人公一人称で描かれるのは主人公の「想像(思い)」でもあり、 見え隠れする「現実」でもある。 最後の章で一人称が外れたとき、夢から覚めたような感覚でいる自分に驚く。 クリスマスの夜、町を覆う雪 「悲しみもやがて温かいベールに包まれる」という幻想 ……残酷です。

Posted byブクログ

2023/09/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

難読障がいを抱えた始末屋、オーラヴ・ヨハンセン。 信条と言うほど偉ぶったものではないが、相応の罪人でないと自らの招く結果にうまく心の整理がつけられない不器用で孤独な気質の男。 かつて、同じ組織のポン引きの上役が聾唖の少女の仕事ぶりを怒鳴りつけている場面に心が騒ぎ、衝動的に助け、資金面で援助し、微かな恋心を抱きつつその後の生活を見守る。そんな男。 あるとき雇い主から不貞をしている妻を殺すよう命ぜられるのだが、なんと彼女の姿に一目惚れ。 不倫自体も彼女が弱みを握られている節があり、相手の男も暴力的。 本能的とも言える行動で相手の男を始末することを選んだが、実はその男は雇い主の息子だった。 さてえらいことに。 『真夜中の太陽』のパラレルストーリーともあって同様の乾いた世界感の中で繰り広げられるパルプノワール。 主人公の決してインテリではなく、どちらかというと難しいことが考えられない、軟派ではないが芯の通ったハードボイルドというほどストイックではない、直感的でフラットな感じがなんとも言えないかっこよさを備えていて、思考の流れをトレースするのが心地よい。 『ヘッドハンターズ』は何だったのだろうと思うほど、作品によって良否の差が大きい作家かなと感じた。

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2019/06/30

レビューを拝見して知った本です。 第八回翻訳ミステリー大賞と第五回翻訳ミステリー読者賞をダブル受賞しています。 今まで読んだ北欧ミステリー(数はそんなに多くないですが)は警察ものが多かったので、ちょっと趣が違いました。 舞台は1997年のクリスマス前夜のノルウェー。 まず、血...

レビューを拝見して知った本です。 第八回翻訳ミステリー大賞と第五回翻訳ミステリー読者賞をダブル受賞しています。 今まで読んだ北欧ミステリー(数はそんなに多くないですが)は警察ものが多かったので、ちょっと趣が違いました。 舞台は1997年のクリスマス前夜のノルウェー。 まず、血染めの雪のシーンから物語は始まります。 主人公は殺し屋のオーラヴです。 初めて殺した人間は自分の父親。 愛読書は、昔、母親が図書館から借りてきてくれた、思い出の本『レ・ミゼラブル』。 殺しを依頼された、雇い主の妻のコリナを好きになってしまい、コリナを殺さずに匿います。 もう一人、キーパーソンとして、聾唖で片足の悪いマリアという女性も登場します。 詩情あふれる、ノワールとクリスマスストーリーを掛け合わせた読みやすい中編のリリカルなミステリーです。 できれば、季節的に、年末に読みたかったと思いました。

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2019/03/13

殺し屋の男が自分のボスの女であり 暗殺の標的である女に惚れてしまうとこから始まるパルプ・ノワール あらすじだけで、どんな結末になるか なんとなくわかってしまうんだけど 寒さが伝わってくるくらいの綺麗な描写が良い。 暴力すらやや和らげてるような印象(ヤワなわけではない) ただただ...

殺し屋の男が自分のボスの女であり 暗殺の標的である女に惚れてしまうとこから始まるパルプ・ノワール あらすじだけで、どんな結末になるか なんとなくわかってしまうんだけど 寒さが伝わってくるくらいの綺麗な描写が良い。 暴力すらやや和らげてるような印象(ヤワなわけではない) ただただ切ない。 余談:パルプ・ノワールってなんなの?とか今なぜ70年代でノワールなの?とか疑問に思ってたことを全て解説してくれてて感動した。

Posted byブクログ

2018/12/25

初ネスボ。最終章のひとつ手前の章で涙したのに、ラストで愕然。切な過ぎるじゃないの。。。面白かったです。

Posted byブクログ

2018/12/07
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※このレビューにはネタバレを含みます

これはね、超切ない作品よ。 殺し屋だけれども、女に乱暴を働く男が 許せない男なの。 それは自分の最初の殺しと関係するけど… それがゆえに本来の任務を逸脱し、 ボスの息子を殺害してしまいます。 結局根回しをして彼は 対立組織を頼りますが… 彼は結局、それがゆえに 命を落とすことになるのです。 残念だけれども。 彼の存在は危険なのもあるけど、 要するに別の女を愛したのが ボスの元妻は許せなかったんじゃないかな。 彼は不思議な魅力を持つ危険な男だったからね。 それを雪のシーンで描くんだぜ。 罪深いこった。

Posted byブクログ