商業空間は何の夢を見たか の商品レビュー
日本と欧米の広場の違いとは何か?から近代における日本の広場空間の発展について述べながらいかにその中で商業空間が進化してきたか、を大きく3パートに分けて記述した1冊。 1960年代に新宿西口地下広場ができたが、その空間は学生運動の集う場として発展したことで本来の意図と違う使い方を...
日本と欧米の広場の違いとは何か?から近代における日本の広場空間の発展について述べながらいかにその中で商業空間が進化してきたか、を大きく3パートに分けて記述した1冊。 1960年代に新宿西口地下広場ができたが、その空間は学生運動の集う場として発展したことで本来の意図と違う使い方をされてしまい、人々が滞留しないような通行導線の一部とすることで、人が集まる空間としての機能が排除された。そしてその通行導線の両サイドに店舗機能が作られ、日本の「広場」は商業的な側面を帯びるものとなり、ショッピングセンターや百貨店に欠かせないものとなっていく。 一方、大阪万博で作られたお祭り広場は日本古来からの「広場」の概念であるその時々で使い方が変わるということに近く、特筆すべきはお祭り広場という空間に存在する来場者が「見る」「見られる」という両側になり得たこと。 これは現代の渋谷スクランブル交差点を舞台として、Qフロントのスターバックスやマークシティ連絡通路から「見る」「見られる」の関係性があり、特異な空間であることと似ている。 そしてそのような商業的な広場空間を施設の中だけではなく、街との連続性を持たせたのが公園通りやスペイン坂を作った「渋谷パルコ」だ。施設自体を舞台化して、街全体から「見られる」を意識させた画期的な施設である。 そんな「パルコ」の理念は新所沢パルコやつかしんなど、日本国内に広がっていった。 ‥がすごくざっくりとした概略。 「広場」という概念が日本でどのように発達してきたかは非常に面白いテーマであった。 一方、特に三浦氏のパートは(パルコ関係者なので当然だが)パルコはこんなにもすご「かった」んだ!という論調が強く、若干引いてしまう。 平成生まれの私としては、西武グループは堤氏の不祥事が物心ついた頃のイメージで、その後グループは瓦解し、パルコとルミネは年齢層の違いこそあれど同じようなファッションビルだし、パルコがカルチャーを産み出す先駆け的な存在‥という認識がないから。 商業空間における広場の発展を語る上では、ラゾーナ川崎や表参道ヒルズ(ランドマークタワーも?)のような施設も考察に値すると思うので、結局はパルコすごい!商業の異端児!って過去のことを自画自賛したいだけだったんじゃん、ってオチになるのが非常に残念。 そういう意味では多少パルコに触れつつも俯瞰した目線で書いている南後氏のパートは面白かった。
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三浦展『システムに対する反抗ー商業施設にとっての七〇年代あるいはパルコ前史』南後由和『商業施設に埋蔵された「日本的広場」の行方』藤村龍至『八〇年代埼玉という場所ー「コンセプトの時代」の一断面』マーケティング、社会学、建築学、ちょっとずつ違う出自の論者が日本の商業空間が求めて来たも...
三浦展『システムに対する反抗ー商業施設にとっての七〇年代あるいはパルコ前史』南後由和『商業施設に埋蔵された「日本的広場」の行方』藤村龍至『八〇年代埼玉という場所ー「コンセプトの時代」の一断面』マーケティング、社会学、建築学、ちょっとずつ違う出自の論者が日本の商業空間が求めて来たものについてバトンを繋いで1960年から2020年までを走り切ります。それぞれに独自のテーマを追求しつつ見事に繋がってそれが過去を振り返るだけではなく未来への視点も指し示していると感じました。最後の章の鼎談で三浦展が『昔は、「形態はファンクション(機能)に規定される」と言われて、今では「形態はファイナンスに規定される」と言われているけど、その途中段階で「形態がフィクションに規定される」という時代が八〇年代にあったのかもしれない。』という発言をしていますがその虚構の中でセゾングループが夢見たものをの影響力の大きさに改めて。70年代後半に初めて渋谷西武に入った時の高揚感思い出します。
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広場と公園の違い 日本的広場のの自然発生性 鉄道会社に依存する生活 郊外所沢論 下町 第一山手 文京 第二山手 牛込四ツ谷丸の内 第三山手 杉並世田谷目黒 第四山手 町田立川所沢 1945-70理想の時代 計画対ゲリラ 70-95虚構の時代 テーマパーク対コンセプト ...
広場と公園の違い 日本的広場のの自然発生性 鉄道会社に依存する生活 郊外所沢論 下町 第一山手 文京 第二山手 牛込四ツ谷丸の内 第三山手 杉並世田谷目黒 第四山手 町田立川所沢 1945-70理想の時代 計画対ゲリラ 70-95虚構の時代 テーマパーク対コンセプト 95-2020 動物の時代 巨大化対スモールビジネス 体制と抵抗の時代にパルコが第3項として文化を導入
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