星々たち の商品レビュー

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24件のお客様レビュー

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2017/03/14

9つの短編から成り咲子、その子千春、その子やや子と3代に渡る話。 話自体は面白く、継続性があり最後まで楽しめましたが、それぞれの行き方に共感できませんでした。 女性の視線で読めばまた違った感想があるのかも。

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2016/12/11

おもしろかった。好きだわ。 全然違う世界なのだが「ポーの一族」みたいだと思った。 9編の中にはいろいろな人々が登場するが、その人たちと関わってくるのが千春という女性。 昭和から平成へ、いろんな時代の人々の前に千春は現れる。 あちこちに現れるエドガーとアランのようではないか。 そし...

おもしろかった。好きだわ。 全然違う世界なのだが「ポーの一族」みたいだと思った。 9編の中にはいろいろな人々が登場するが、その人たちと関わってくるのが千春という女性。 昭和から平成へ、いろんな時代の人々の前に千春は現れる。 あちこちに現れるエドガーとアランのようではないか。 そして「グレンスミスの日記」のように、それを本に著す人物も現れる。 その著書を千春に縁の深いある女性が手にした時の様子には、エディスに出会った時のアランのような気分にさせられた。 我々はみんな不老不死ではないだけで、エドやアランのように旅をしている。

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2016/11/24

章ごとに視点が変わる短編連作で、誰かひとりの人物について描く…という小説は前にも読んだことがあるけれど、こういう感覚は初めてだ。 感動というか、凄い、と唸る感じ。 奔放な実母・咲子とも、2度目の結婚で自分が産んだ娘とも生き別れた塚本千春という女。 ひとつの関係に囚われず北の大地...

章ごとに視点が変わる短編連作で、誰かひとりの人物について描く…という小説は前にも読んだことがあるけれど、こういう感覚は初めてだ。 感動というか、凄い、と唸る感じ。 奔放な実母・咲子とも、2度目の結婚で自分が産んだ娘とも生き別れた塚本千春という女。 ひとつの関係に囚われず北の大地をさすらう千春の、数奇な性と生、そして彼女と関わる人々の、光と闇の物語。 桜木紫乃さんと言えば、幸薄い北海道の女を描かせたら天下一品、というイメージ。 南国ではなく北国だからこその厳しさや寒さ、乾いた空気が、物語全体をモノクロの風景に変えているように感じる。 1冊通して塚本千春という女を描いている。そのはずなのに、最後まで千春が本当はどんな女なのか分からないままの不穏さ。 どんな経過を辿ったのかは描かれているけれど、千春が何を思いどんな風に考えてその道を辿ったのか、そして後悔や悲しみ等はあったのか、というのがまったく分からないところが、独特ですごく良かった。 ひとりの人をただの人として見つめるとき、実際こんなものなのかもしれない、と思ったりした。 言葉で語ったとしても感情の全ては分からないのだから、語られないところにその人の真実を見つけるのは不可能に等しい。「こう思う」「こうだったのではないか」というのは、ただの想像に過ぎない。 北海道のなかで土地は転々と変わるものの、千春と関わった人たちは皆、北の大地でつましく暮らしている。 安定した職に就く人、金に困っている人、夜の世界に生きる人、夫婦で静かに暮らしている人…実際そこらに生きているような人々の、悲しみや小さな幸せや日々の暮らし。 小さく光りながらやがて消滅してゆく命たち。 ドラマチックではないけれど、それぞれに生きた分のドラマがある。 全ての人が共通して語る千春の像は、細い身体にそぐわぬ大きな胸、美人ではないが妙に惹き付けられるような雰囲気、無表情で無口、何を考えているか分からない…。 客観的に見れば明らかに不幸な生い立ちと理不尽な人生。それなのにただの不幸な女とは片付けられない不穏な魅力。 千春もまた、小さく光っていつかは消える“星々”のひとつなのだ。

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2016/10/20

咲子、千春、やや子、三代の女性の物語。主に千春が中心に時代が描かれていく。情が薄いことを自覚する彼女たちは自分たちの心の安寧を一体何に求めるのだろう。最終話、やや子が昭彦に告げる言葉に少しだけ明るい未来があった。最後の最後に心を揺さぶられたのは、自分もまた情の薄さを自覚しているか...

咲子、千春、やや子、三代の女性の物語。主に千春が中心に時代が描かれていく。情が薄いことを自覚する彼女たちは自分たちの心の安寧を一体何に求めるのだろう。最終話、やや子が昭彦に告げる言葉に少しだけ明るい未来があった。最後の最後に心を揺さぶられたのは、自分もまた情の薄さを自覚しているからかもしれない。

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