星々たち の商品レビュー
ある母親、娘、その孫の物語。北海道の田舎町が舞台で、薄暗く風が冷たい冬の空のような空気感。 必死で生きるなかで誰かを思う強い気持ちや煌めくような瞬間がある。 後先考えずに進んでいくタイプの主人公に共感は全然できないけど、こういうタイプもいるのかも知れないとは思う。
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育った家庭環境がその人の性格、とくに性愛に関する傾向によく反映しているなあ、という印象。 生きづらそう、とは思ったが、それは私の価値観で彼女たちの人生を生きたらの話であって、彼女たち自身は至って自然に道を歩いているのだと思う。
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生き辛そうな母娘孫3世代の物語。 でも、当人たちは淡々と逞しく生きて生ききったように思った。 桜木紫乃さんの本は、どんな人をも肯定してくれていて、重苦しい話も不思議と心穏やかに読める。 心に残った一文------- 『優しく捨て合う関係や、愛情という呪いのような押し付けを欲し...
生き辛そうな母娘孫3世代の物語。 でも、当人たちは淡々と逞しく生きて生ききったように思った。 桜木紫乃さんの本は、どんな人をも肯定してくれていて、重苦しい話も不思議と心穏やかに読める。 心に残った一文------- 『優しく捨て合う関係や、愛情という呪いのような押し付けを欲しないことを、わかってくれるだろうか。声に出さず問うてみる。いつものように「わからなくてもいいのだ」という思いが気持ちの曇りをさらっていった。』 誰かに理解されなくても、存分に生きていいと、読み取りました。
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たまに読みたくなる桜木紫乃。 今回もいつものように、うらぶれた町に怪しい男に酒・・・という始まり。 大好きな連作短編集なのだが、千春がねー、もうなんなんだろう。咲子も咲子だったんだけど、みんな短絡的で。 でも千春の書いた詩、ちょっと良かった。どういう人なんだろうと興味をそそられる...
たまに読みたくなる桜木紫乃。 今回もいつものように、うらぶれた町に怪しい男に酒・・・という始まり。 大好きな連作短編集なのだが、千春がねー、もうなんなんだろう。咲子も咲子だったんだけど、みんな短絡的で。 でも千春の書いた詩、ちょっと良かった。どういう人なんだろうと興味をそそられるのはよくわかる。 咲子も千春もあんなだったからやや子にも期待してなかったけど、祖父母に育てられたのが良かったのだろう、負の連鎖からは逃れられそうだ。 しかしこの人の小説はほんといつも曇天のイメージ。
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図書館にて。 暗い。辛い。なんなのだこれは。 貧困、家族の不和や虐待、様々な問題がこれでもかと降り掛かってままならない人生。 選べない、地を這うような毎日を思うと何なのだろうと思う。 ラストにちらりと見えるかすかな希望で少し救われる。 この本の中では人生は悪くないなど簡単に言えな...
図書館にて。 暗い。辛い。なんなのだこれは。 貧困、家族の不和や虐待、様々な問題がこれでもかと降り掛かってままならない人生。 選べない、地を這うような毎日を思うと何なのだろうと思う。 ラストにちらりと見えるかすかな希望で少し救われる。 この本の中では人生は悪くないなど簡単に言えないけれど、それでも生きていかなくてはいけないのだなとうっすら思う。
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読んでいて苦しくなる。それは、この本が生きることの苦しさや不条理や苦しみから目をそらしていないからだ。真っ直ぐに、容赦なく直視している。 だからこそだろうか、身につまされて息ができないくらい一気に読み進めて、先が知りたくてどきどきする。そして、読み終えた後に、寂寥感が残る。それは...
読んでいて苦しくなる。それは、この本が生きることの苦しさや不条理や苦しみから目をそらしていないからだ。真っ直ぐに、容赦なく直視している。 だからこそだろうか、身につまされて息ができないくらい一気に読み進めて、先が知りたくてどきどきする。そして、読み終えた後に、寂寥感が残る。それは人生の、生きるということのどうにもならない虚しさだろうか。
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人は誰しも1人で生きて、1人で死んでいく。 そんな中で紡がれていく命や星々のような人々への愛を感じる作品。
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自分もまた小さな星のひとつー。解説の、限りなく暗い世界をじっと凝視しているとその底に微かに光を発するものが潜んでいることがわかってくる。…そういう感じ。というのがまさしくそんな感じで好きでした。
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やるせない話。だけどリアルで匂い立つ話。 それぞれに楽しみがあって、憂いがあって、悩みがあって、苦しみがある。それでも生きることは人の業であろうか。 そのなかで輝きたいと願うことは過ぎた願いだろうか。 愚鈍な娘、という言葉で片付けてしまえばそれまでかもしれない一人の女性の、ささ...
やるせない話。だけどリアルで匂い立つ話。 それぞれに楽しみがあって、憂いがあって、悩みがあって、苦しみがある。それでも生きることは人の業であろうか。 そのなかで輝きたいと願うことは過ぎた願いだろうか。 愚鈍な娘、という言葉で片付けてしまえばそれまでかもしれない一人の女性の、ささやかでかぼそい人生の輝きを、そのどうしようもない人生に見る。 この人生に意味があるのかないのかわからないけれど、それでも人は、その生自体に自覚的であれ、無自覚的であれ、人生を生きていくし、主体的に選んでそうするのか、はたまた流れ流れてそうなるのかわからないけれど、生きていくのだ。
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北海道、小樽、札幌、旭川、帯広、釧路、根室など北の大地を舞台に、過酷な運命に翻弄される母娘三代の女性、咲子、塚本千春、田上やや子の物語。「星々たち」(2016.10)、連作9話。何とも心にずしりと重くのしかかる桜木紫乃の世界です。客観的には苦労の連続に見える3人、特に咲子と千春、...
北海道、小樽、札幌、旭川、帯広、釧路、根室など北の大地を舞台に、過酷な運命に翻弄される母娘三代の女性、咲子、塚本千春、田上やや子の物語。「星々たち」(2016.10)、連作9話。何とも心にずしりと重くのしかかる桜木紫乃の世界です。客観的には苦労の連続に見える3人、特に咲子と千春、でも、それぞれが生を全うし、むしろ幸せに生きているかに思えるのが不思議です。著者の「力」と思います。彼女たちの辛い人生をなぞっているのに、心はなぜか暖かくなってきます!
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