恋しくて の商品レビュー
アリス・マンローという、カナダのノーベル賞作家が亡くなったらしい。短編の名手だったようだ。ニュース記事でその「おばあちゃん」の顔を見たものの、顔も作品も記憶になく、何か読んでみようと探したところ、ノーベル賞を取り逃している村上春樹編訳の短編集に入っているのを見つけて、図書館ですぐ...
アリス・マンローという、カナダのノーベル賞作家が亡くなったらしい。短編の名手だったようだ。ニュース記事でその「おばあちゃん」の顔を見たものの、顔も作品も記憶になく、何か読んでみようと探したところ、ノーベル賞を取り逃している村上春樹編訳の短編集に入っているのを見つけて、図書館ですぐネット予約して借りた。便利な時代。 結果的に、アリス・マンロー作品(ジャック・ランダ・ホテル)よりも、埋草がわりの村上作品(恋するザムザ)が好みだったわけだが、読めてよかった。スペインで見たジャカランタの花を思い出しながら読んだ。 ところで村上作品を読んだら気になって、今度はカフカの『変身』を電子図書館で借りて読んでいる。記憶にあるよりディテールに富んだ物語、でもそれはまた別の話(レビュー)。
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こういう短編アンソロジーは中身に加えて各作品への編者コメントが面白い。中身に関しては村上春樹が全作翻訳してるので、全体の雰囲気が似てしまうのがちょっと物足りないかも。
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十編のラブストーリーなのですが、ラブと言われないとわからないのがとても良かったです。そこが短編集の醍醐味かも。
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翻訳あんまり読んだことないから馴染みがなくて読み進めるのに時間かかった 最後の村上春樹の話、すごく短かったけどやっぱり1番面白くて恋愛小説の概念覆された
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海外文学プラス村上春樹さんの書下ろし一篇、あわせて十篇の恋愛短編アンソロジー。各章末に村上春樹さんによる短評と甘苦判定星評価付き。 世の中には様々な種類の小説がありますが、やっぱり「王道」でも「ベタ」でも子どもがテーマでも大人がテーマでも、恋を扱う小説って多いですよね。純文学で...
海外文学プラス村上春樹さんの書下ろし一篇、あわせて十篇の恋愛短編アンソロジー。各章末に村上春樹さんによる短評と甘苦判定星評価付き。 世の中には様々な種類の小説がありますが、やっぱり「王道」でも「ベタ」でも子どもがテーマでも大人がテーマでも、恋を扱う小説って多いですよね。純文学でもエンタメでもラノベでも、恋の占める割合は大きい。本書は、選者かつ訳者としての村上春樹さんが、そんな恋愛の短編小説、それも海外のもので未翻訳でそんなに古くないものを選び、さらにアンソロジーにするために努力して探し出した多数の掘り出しもの(?)をくわえて一冊にしたものです。 巻末に村上さん本人が述べていますが、純文学的作家の恋愛作品はストレートじゃない筋の物語ばかりで、さらには恋愛の大人度のとても高いものもあり、さまざまな恋愛レベルの作品が、ある意味ではごちゃっとした印象を持ってしまう集められ方をしています。 でも、どの作品も違う味わいでありながら、その味わい深さがあります。「ははぁ、こういう手の感慨がありますか」「いやぁ、こっちはまたさっきのとはかなり違うけど、これはこれでアリな味わいだね」というふうな連続なのでした。 同級生の少女を尾行する『テレサ』なんかは、腹を抱えてしまうおかしみも出てくるのですが、反対の切なさや辛さといった感情を揺さぶれる部分もあり、短い作品ながら振幅の広さに感心すると同時に、とても楽しめました。 また、『L・デバードとアリエット――愛の物語』は短編でありながらも長大な時間の経過を扱っていて、人生の甘みと苦味を十分に味わえる作品。苦味の部分がほんとうに辛いのだけれど、甘味に当たる部分の、二人が結ばれる直前の少女がモーションをかけている場面などは、文字の書かれた紙という次元にいるはずの自分が、そこをいきなりワープして突き抜ける気分で、頭のなかに「恋心が強く発現しているイメージ」が咲き誇りました。こういうのは読書体験として「なんて最高だ」と思えることの大きなひとつです。 というところですが最後に、あとがきから村上さんの一文を抜き出して紹介し、終わりにします。 __________ でもたしかにいろいろと大変ではあるのだけれど、人を恋する気持ちというのは、けっこう長持ちするものである。それがかなり昔に起こったことであっても、つい昨日のことのようにありありと思い出せたりもする。そして、そのような心持ちの記憶は、時として冷えびえとする我々の人生を、暗がりの中のたき火のようにほんのりと温めてくれたりもする。(p373) __________ どうです、自分の心にも思い当たるなあ、なんて思ったりしませんでしたか?
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再読。良いね。はじめて読んだのは大学2回だったかな、3回だったかな。 どの話もぼんやりと情景を覚えていた。 あの時からいくつも恋をした…ということはないけど、当時は知らない感情を今は知っていたりもするかな。 あと「2人にしか分からない関係」の2人が多すぎて、自分たちの関係だって別...
再読。良いね。はじめて読んだのは大学2回だったかな、3回だったかな。 どの話もぼんやりと情景を覚えていた。 あの時からいくつも恋をした…ということはないけど、当時は知らない感情を今は知っていたりもするかな。 あと「2人にしか分からない関係」の2人が多すぎて、自分たちの関係だって別に変ではないんだ、みんなそれぞれそれなりに変なんだと謎に少し元気が出た。 まだ終わりを考えて恋愛したことないな、とふと思ったりした。気持ちを整理したこともほとんどない、それは手がかかる作業すぎる。
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なかなかイイ短編集? でしたね! 村上氏の小説が一番おもんなかった…(!) 社畜死ね!! ヽ(・ω・)/ズコー 海外の作家が描いた恋愛小説って日本人の感性的にはどうだろ? 理解できないんじゃないか? みたいな不安がありましたけれども、読んでみたら割とすんなり理解できるという...
なかなかイイ短編集? でしたね! 村上氏の小説が一番おもんなかった…(!) 社畜死ね!! ヽ(・ω・)/ズコー 海外の作家が描いた恋愛小説って日本人の感性的にはどうだろ? 理解できないんじゃないか? みたいな不安がありましたけれども、読んでみたら割とすんなり理解できるというか、面白い! と感ずるところも多々あり、良かったですねぇ…社畜死ね!! ヽ(・ω・)/ズコー 確かに解説にもある通り、かなり大人な恋愛模様が描かれている短編もありましたね! 日本のカップルでは起こり得ないんじゃないかっていう…しかしまあ、そうした大人な恋愛風景を頭ん中で描けただけでもその短編を読んだ価値があるってなものですねぇ… さようなら…。 ヽ(・ω・)/ズコー
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「恋」という言葉にはなぜ甘いとか酸っぱいとか、あるいは若さを連想させるような形容詞ばかりつくのだろうか。 わたしたちはたぶん知っている。恋はその言葉ほど甘くも素敵でもないことを。苦(にが)かったり苦し(くるし)かったり(おお、同じ漢字だ)、痛かったりどうしようもなかったり、どちら...
「恋」という言葉にはなぜ甘いとか酸っぱいとか、あるいは若さを連想させるような形容詞ばかりつくのだろうか。 わたしたちはたぶん知っている。恋はその言葉ほど甘くも素敵でもないことを。苦(にが)かったり苦し(くるし)かったり(おお、同じ漢字だ)、痛かったりどうしようもなかったり、どちらかというと手に負えない感情でできていることをみんなたぶん知っている。 さて、訳者のほうの村上春樹の手による、味も噛み応えも余韻もさまざまな10粒の恋愛小説。村上春樹が自ら選んで訳したという、それだけでもなんだか特別感がある短編集だ。ニューヨーカー誌などから選ばれた9粒の作品それぞれの終わりには、村上春樹の簡単なコメントと甘苦度の評価という、ファンとしてはうれしいおまけもついている。さらになんと、10粒目は村上春樹オリジナルの短編を味わうことができる、ほんとうに贅沢な一冊である。 続きはこちら↓ http://blog.livedoor.jp/bunkoya/archives/52598317.html
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10編のラブストーリー。だけど、 よくある、感情移入して読めるタイプのものではありませんでした。村上春樹さんの訳でなければ、私が出会うことはできなかったタイプのお話ばかりで、また、なるほどこれが村上春樹さんの選ぶラブストーリーなんだな、と納得できる作品たちでした。
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村上春樹さんの小説は以前からヨーロッパの映画みたいだなと思っていて、そんなところが好きです。 日本人の作品になんとなくある「湿気」みたいなものがあまり無くて、でもじわっと心が温まるような… そんな村上春樹さんが選んだ海外のラブストーリーを翻訳したアンソロジーです。 この作品もラ...
村上春樹さんの小説は以前からヨーロッパの映画みたいだなと思っていて、そんなところが好きです。 日本人の作品になんとなくある「湿気」みたいなものがあまり無くて、でもじわっと心が温まるような… そんな村上春樹さんが選んだ海外のラブストーリーを翻訳したアンソロジーです。 この作品もラブストーリーのショートムービーを見ているみたいで楽しかったです。 各作品に甘苦度がつけられていて、わたしはやっぱり甘い系の作品が好きです。 恋愛に良し悪しなんてないけれど(当事者にしか分からない最たるものだと思う)「薄暗い運命」という作品よりも「愛し合う二人に代わって」の方が好きなのは、比較的わたし自身がそういうタイプの恋愛しかしてこなかったからかなと思います。 ただ、「薄暗い運命」とか「ジャック・ランダ・ホテル」のような、ちょっと屈折気味の恋愛感情も分かる気がするし、すごく面白いなと思って読みました。 ラブストーリーひとつとってもこんなにバリエーション豊富なんだなあ… ラストを飾る作品は村上春樹さん自身の作品である「恋するザムザ」ですが、 ある意味「人間にとって恋愛とは?」のひとつの見解というか、この本に出てきたラブストーリーたちのまとめ的な位置になっている感じがしました。 だれか有名な作家(太宰治だっけ?)が「恋愛は繁殖するための行為に詩的なニュアンスをつけただけ」みたいなことを言っていたように思うけど(理解の仕方が違うかも?)、 「たしかにそうかもなあ」と納得する一方で、 「じゃあなんで人間だけこんなに複雑なことするんだろ?」って言うのが謎で、 でも「恋するザムザ」を読んで、「恋するっていいな。こんなややこしいことしてる人間っていいな。」と思うことができました。
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