ヨーロッパ・コーリング の商品レビュー
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かなりおもしろかった。イギリス映画が好きな理由が分かったかもとかこの先そんな映画やブリティッシュロックが出てこなくなっちゃうというのはゆゆしきことだとか思ったし,何より全般的な雰囲気というかロックな感じにすごく共感する。「地べたから」というのが貫かれてるからそう思うのかな。 継続して読んでいきたい,と思う人の本だった。
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EU離脱をめぐるイギリスの状況の根っこにあるものは何か。 激動のヨーロッパの今と日本の今はどのようにつながっているのか、いないのか。 20年以上、イギリスで低所得者向けの保育所で働くブレイディさんの最新刊を読めば、もの凄く腑に落ちる。 色々な意見の人がいる分野だから、筆者の意見...
EU離脱をめぐるイギリスの状況の根っこにあるものは何か。 激動のヨーロッパの今と日本の今はどのようにつながっているのか、いないのか。 20年以上、イギリスで低所得者向けの保育所で働くブレイディさんの最新刊を読めば、もの凄く腑に落ちる。 色々な意見の人がいる分野だから、筆者の意見にすべての人が同意するわけではないかもしれない。それでも、筆者の文章が持つ「生活者のリアリティ」を否定する事は難しいと思う。 ジョン・ライドンやモリッシーなど、反骨のUKロッカーを生きる指針にしているブレイディさん。敬愛するアーティストと同じように、 「自分が見た事」「自分が感じたこと」「自分が信じる事」を裏切る事は絶対にしないし、書かない。 その信条が文章の端々から感じられるから、読者は信頼をおいて読む事ができるのだ。 そして、帯にも書いてある「もはや 右 対 左ではない。下 対 上 の時代だ」というメッセージ。 左翼/リベラル勢力や彼らの言葉が、いかに労働者階級のリアルに届かなくなっているかをヨーロッパの現実に即して書いた文章は、参議院選挙を前にした日本の今にもあてはまる。 生活者のリアルに根付かない言葉は、どれほど誠実な政治家の言葉であっても届かない。日本の政治家や表現者が心に刻むべきメッセージ。 それがイギリスのハードな現実を見つめ続けてきたブレイディさんが出会ってきた 魅力的な人物や、ケン・ローチの映画のようなリアルなエピソードと共に伝えられる。 これから、さらに重要性を増すライターだと思う。
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『ヨーロッパ・コーリング』ということで、ヨーロッパ全体を扱ったものだと思っていて読み始めましたが、基本的にはイギリスにフォーカスした一冊でした。ただ、イギリスの状況をあまりよく理解していなかった(あまり知ろうとしていなかった)ので、結果的に面白く読めました。 いわゆる左翼・極左で...
『ヨーロッパ・コーリング』ということで、ヨーロッパ全体を扱ったものだと思っていて読み始めましたが、基本的にはイギリスにフォーカスした一冊でした。ただ、イギリスの状況をあまりよく理解していなかった(あまり知ろうとしていなかった)ので、結果的に面白く読めました。 いわゆる左翼・極左であったり、ポピュリズムであったり、批判的な論説を見かけることが多く自分の理解もそうだったのですが、そういう点でもものの見方を変えてくれました。 イギリスの下層の人たちの現実を肌で感じることができましたが、日本のそういった人たちの暮らしのこと・現実のことを全然知らない、知ろうともしていない自分にも気づけました。人のふり見て、ではないですが、日本のことも知りたいなと感じました。
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2016.12.9 ヨーロッパの政治のことなんてほとんど知らないのになぜこの人の文章はすっと入ってくるのでしょう? 日本はいまだに経済成長とかグローバルとか言ってて、今年は英国のEU離脱とかトランプだとか世界的にはかなり潮目が変わった年で、日本はどうなるんでしょう? ポデモスとか...
2016.12.9 ヨーロッパの政治のことなんてほとんど知らないのになぜこの人の文章はすっと入ってくるのでしょう? 日本はいまだに経済成長とかグローバルとか言ってて、今年は英国のEU離脱とかトランプだとか世界的にはかなり潮目が変わった年で、日本はどうなるんでしょう? ポデモスとかコービンとかスタージョンみたいな影響力のあるカウンター勢力が出現しないのは何故でしょう? アメリカが望んでいないからか。 日本の貧困層が閉じた襖の向こうに居るから見えないというのは良くわかる。政治家も一般の人も自分自身が貧困である人も見ないようにしているように思う。
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久しぶりにエキサイティングな海外事情ものを読んだ。居住歴が長い筆者ならではの観察眼はなかなかないものと思う。スコットランド独立>EU離脱>トランプ当選が一直線で繫がっていることが実感できる。地べたの暮らしが理解できない左派政党の現状が、人々の諦観を生み出し、既成政党離れに帰結する。それはまさに日本も同様だと思えた。今年の必読書の一つ。
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イギリスの保育所で働く著者が、ヤフーニュースに寄稿した文章をまとめた本。友だちに紹介してもらい、その存在を知りました。 EU離脱決定が世界に衝撃を与えましたが、今のイギリス社会の状況が生活者の視点から紹介されており、表面的な報道だけでは知ることできない深部を感じることができまし...
イギリスの保育所で働く著者が、ヤフーニュースに寄稿した文章をまとめた本。友だちに紹介してもらい、その存在を知りました。 EU離脱決定が世界に衝撃を与えましたが、今のイギリス社会の状況が生活者の視点から紹介されており、表面的な報道だけでは知ることできない深部を感じることができました。貧困と格差の広がりはすさまじく大きく、富裕層100人の資産総計が、最下層1800万人(人口の30%)の資産総計と同じとなっていることや、緊縮政策によって未来を奪われる若者や労働者たちの姿は、日本の現状と重なってきました。 その中で、これまでにない政治的主張が取り上げられるようになってきた事実は、昨年来の戦争法反対の運動や市民連合が後押しした野党共闘の方向を考える上でも示唆的だなと思います。 「右」と「左」でなく「上」と「下」の時代になっているという筆者の指摘、新たな方向を模索する社会であるが大きな混乱や揺り戻しが起るとも想定される中、しっかりと考えないといけないですね。 お勧めの一冊です。
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対談 経済にデモクラシーを ── 地べたのポリティクス ブレイディみかこ (英国在住保育士) × 國分功一郎 (高崎経済大学) 世界 2016年11月号
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安保法制反対で国会前にも行ってみたけどなんか違和感あって、ずっと何だろう?って思ってた。「とにかく貧困や格差をなんとかしてほしい。若者が家庭を持って生活していける社会にしてほしい」というスペインの姪の恋人の切実で普遍的な叫び(279ページ)、を感じなかったからのように思った。「日...
安保法制反対で国会前にも行ってみたけどなんか違和感あって、ずっと何だろう?って思ってた。「とにかく貧困や格差をなんとかしてほしい。若者が家庭を持って生活していける社会にしてほしい」というスペインの姪の恋人の切実で普遍的な叫び(279ページ)、を感じなかったからのように思った。「日本の左派の人々には『何でも結局は金の話か」と経済を嫌がるというか、まるで劣ったもののように扱う傾向がある」って、すごく共感!それは政治やってる連中の多くが、僕を含めみな多かれ少なかれ既得権の恩恵をこうむってそれなりの暮らしをおくれてる立場にいる人だからのように感じる。自分はちゃんと食えてる人が貧困の問題を声高に語るような感じ。障害を持つ仲間と僕の間にあった「川の深さ」をまた感じるのだ。
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「すべての武器を楽器に」「すべての人の心に花を」って喜納昌吉さんのメッセージじゃないけど、「争いのあるところに花束を」とバンクシーがヨルダンのパレスチナ分離壁に描いた絵が表紙を飾る。センスいいなあ。欧州、主に英国じゃあ「もはや右(派)とか左(派)とかいうのは、うまくいかなくなった...
「すべての武器を楽器に」「すべての人の心に花を」って喜納昌吉さんのメッセージじゃないけど、「争いのあるところに花束を」とバンクシーがヨルダンのパレスチナ分離壁に描いた絵が表紙を飾る。センスいいなあ。欧州、主に英国じゃあ「もはや右(派)とか左(派)とかいうのは、うまくいかなくなったのは移民のせいだと思うか、金持ちのせいだと思うかの差だけで、彼らは基本的にうまくいかなくなった経済システムを変えたいのだ」そうだ。民族問題も、貧富問題も欧米に比して切迫感に乏しい国で過ごしていて、まったく聞こえていなかった欧州からの呼び声がかすかに届いた。
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