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保守主義とは何か の商品レビュー

3.7

28件のお客様レビュー

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2022/12/04

めちゃくちゃ良い本だった。保守主義とは何を「保守」するのか、フランス革命に対して、社会主義に対して、大きな政府に対して、それぞれの歴史の中での文脈がとてもわかりやすい。ややこしいのはナショナリズム的なイデオロギーや新自由主義との結合、そしてネオコンの登場特に対外介入、東欧からのユ...

めちゃくちゃ良い本だった。保守主義とは何を「保守」するのか、フランス革命に対して、社会主義に対して、大きな政府に対して、それぞれの歴史の中での文脈がとてもわかりやすい。ややこしいのはナショナリズム的なイデオロギーや新自由主義との結合、そしてネオコンの登場特に対外介入、東欧からのユダヤ移民の反共姿勢、各国の具体的なレジーム転換を焦点とするリアリズムなどネオコンの思想の特徴や経緯は簡潔だけどわかりやす。あと、日本における保守が何を保守すべきものなのかという終章の熱のこもった議論に宇野先生の想いと現在の日本政治への危機感を強く感じます

Posted byブクログ

2022/09/10

フランス革命と闘い、社会主義と闘い、大きな政府と闘ってきた保守は今、何と闘っているのか。バークが論じた「偏見の上衣を投げ捨てて裸の理性の他は何も残らなくするよりは、理性折り込み済みの偏見を継続させる方が遥かに賢明である」との言葉に深く考えさせられる。一人一人の人間を考えたときに、...

フランス革命と闘い、社会主義と闘い、大きな政府と闘ってきた保守は今、何と闘っているのか。バークが論じた「偏見の上衣を投げ捨てて裸の理性の他は何も残らなくするよりは、理性折り込み済みの偏見を継続させる方が遥かに賢明である」との言葉に深く考えさせられる。一人一人の人間を考えたときに、偏見なく理性だけで生きている人は存在しない。ゆえにその集合体で考えた時にも、偏見をのぞき理性だけを残すということは、主体が人間であり限り不可能であると思う。人間ではないAIが将来そのような役割を果たすのかもしれないが、それは人間にとって賢明なことなのかどうなのか。「理性折り込み済みの偏見」はどのようなもので、どう継続できるのか時間をかけて考えてみたい。

Posted byブクログ

2022/04/05

先に中島岳志『自分ごとの政治学』を読んでおいて良かったなぁ、という感じ。 「保守」と呼ばれる思想として扱っている範囲が広い分、現在の地平から見た時の整理を先に頭に入れておかないと、混乱する。 特に、ハイエクからリバタリアニズムへの流れは初見だと辛い。 リベラル、伝統主義(『自分ご...

先に中島岳志『自分ごとの政治学』を読んでおいて良かったなぁ、という感じ。 「保守」と呼ばれる思想として扱っている範囲が広い分、現在の地平から見た時の整理を先に頭に入れておかないと、混乱する。 特に、ハイエクからリバタリアニズムへの流れは初見だと辛い。 リベラル、伝統主義(『自分ごとの政治学』の定義では近いのは「原理主義」)と、バーク的な意味での保守との関係をどう捉えていくか、といったところ。 多少、頭の中が整理されてきた感じはする(けど、やはりややこしい)。

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2022/01/30

学生時代に学んだことをおさらいする意味で読んだ。 バークの偉大さを改めて思い知った。時代は変われども彼の思想は現代に生き続ける。オークショット、バジョットもしかり。むしろインターネットで人が考える機会が減ってしまった現代こそ輝くのかもしれない。バークら個別の本を読み直してみたい...

学生時代に学んだことをおさらいする意味で読んだ。 バークの偉大さを改めて思い知った。時代は変われども彼の思想は現代に生き続ける。オークショット、バジョットもしかり。むしろインターネットで人が考える機会が減ってしまった現代こそ輝くのかもしれない。バークら個別の本を読み直してみたい。 なお、保守思想は英米が世界的に影響を与えていることは認識しているが、本書でも触れているフランスやドイツなど大陸系の思想家の本にもあたってみたいと感じた。

Posted byブクログ

2021/11/06

・保守主義の思想は、楽天的な進歩主義を批判するものとして生まれ、発展してきた。  →進歩の理念が失われるにつれ、保守主義も位置付けが揺らぐ ・バークの保守主義 →社会や政治の民主化を前提にしつつ、秩序ある漸進的な変革を目指す 自由を守る ①保守すべきは、具体的な制度や慣習 ②その...

・保守主義の思想は、楽天的な進歩主義を批判するものとして生まれ、発展してきた。  →進歩の理念が失われるにつれ、保守主義も位置付けが揺らぐ ・バークの保守主義 →社会や政治の民主化を前提にしつつ、秩序ある漸進的な変革を目指す 自由を守る ①保守すべきは、具体的な制度や慣習 ②そのような制度や習慣は歴史の中で培われたもの ③大切なのは自由を守ること  →フランス革命には反対(抽象的な理念に基づいて社会の全面的な改造を試みるもの 革命) ・ハイエク →保守主義は未来に向けてのアクセルに欠ける。自由主義は変化を歓迎する。保守主義もまた人間の理性への過信を批判するが、あくまで階層秩序を好む。自由主義はエリートの存在は否定しないが、予め決定することはない。 社会主義を集産主義として批判 法による支配を重視(一般法) ・アメリカの特徴 ー 宗教と反知性主義 →9割以上が神、普遍的な霊魂の存在を信じる  福音派 世俗化、個人化した現代社会への反発 →反エリート主義へ反発 →市場化や民営化、その根底にある小さな政府への強い思考がアメリカ保守主義の特徴。背景にあるのは根強い草の根的な個人主義や反政府感情 ・日本の保守主義 →真の保守主義は根付いていない?敗戦と占領という経験が困難にしている。状況主義的保守⇔押し付け憲法 →戦後経験の思想的反省が求められる ・リベラルとの対立 →グループ、国家を超えたより開かれた平等公正  ⇔自分たちの仲間の平等や公正 今後の保守主義 →何かを守ることについて再考  自分が守らなければ失われてしまう何か 使命感   家族、仲間、地域m、文化、技能、自然

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2021/08/19

フランス革命、社会主義、大きな政府と闘ってきた保守主義だが対する進歩主義が衰退した今日何を守るかが問われている(伝統、権威、職場、家族、地域)日本の保守政党も

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2021/05/18

近年の政治を見ていると、保守=伝統を何がなんでも守る、だとか、場合によってはネガティブなイメージすらあり、その正しい意味が定着しておらず、「保守とは何か?」という問いを改めて考えなければならない。 本書はフランス革命時のバークの思想から今日の保守主義についてその経緯を説明してい...

近年の政治を見ていると、保守=伝統を何がなんでも守る、だとか、場合によってはネガティブなイメージすらあり、その正しい意味が定着しておらず、「保守とは何か?」という問いを改めて考えなければならない。 本書はフランス革命時のバークの思想から今日の保守主義についてその経緯を説明している。 バーク、ハイエクあたりの思想は後で詳しく深掘っておきたい。

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2021/01/29

最近は、自民や維新は「リベラル(改革政党)」で、立憲民主や共産党は「保守(守旧政党)」と認識する若者が増えているらしい。見方を変えればそうであるとも言えないこともないわけで、あらためて「保守主義とは何か」が問われている。 著者は進歩主義が衰退したことにより保守主義が迷走し劣化して...

最近は、自民や維新は「リベラル(改革政党)」で、立憲民主や共産党は「保守(守旧政党)」と認識する若者が増えているらしい。見方を変えればそうであるとも言えないこともないわけで、あらためて「保守主義とは何か」が問われている。 著者は進歩主義が衰退したことにより保守主義が迷走し劣化していると述べる。そして保守主義思想史を概観する事により、その本来持っている価値を洗い出そうと試みる。特徴的なのは西洋政治思想史が専門の著者が日本政治思想史に言及している点であるが、著者の記述は西洋の保守には肯定的で日本の保守には否定的な印象を受ける。 尚、一部の保守陣営から「保守主義思想家」として取り上げられる事もあるトクヴィルではあるが、トクヴィル研究を専門とする著者は数箇所で言及しているものの、主要な思想家としては本書では列挙していない。これは、大衆社会批判は「保守本流」ではないと理解すればよいのだろうか。

Posted byブクログ

2020/11/01

もともとは坂井豊貴と共著していたので名前だけ知っていたところ、ニュースで大々的に取り上げられているのを見て購入した。 文体に若干の特徴がある、人名で索引を引けない、など多少の読みにくさはある。しかし「あとがき」でも書かれている通り、保守主義を語る上では外せない歴史が詰め込まれて...

もともとは坂井豊貴と共著していたので名前だけ知っていたところ、ニュースで大々的に取り上げられているのを見て購入した。 文体に若干の特徴がある、人名で索引を引けない、など多少の読みにくさはある。しかし「あとがき」でも書かれている通り、保守主義を語る上では外せない歴史が詰め込まれていると感じる。立ち位置もニュートラルな印象。 学校科目でいえば「世界史」や「倫理」に対する自分の知識・理解が足りないゆえに吸収し切れていない部分が多いので、高校教科書を一読したうえで再読してみたい。

Posted byブクログ

2019/12/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

まったくね、俺はなんだってこういう本をクリスマスに読んでいるのだろうな・・イブに購入する際、店員の方が必死な 形相で(俺にはそう見えました)「またのご利用を・・!」  本って現実を豊かにするためにあるだろうなと。だけどな こういう街の賑わいを背にするとちょっと切ないですがな! 書評ですが・・・ 普通に読み易い文章ですよね。細かい点はいずれ後に・・・ なんというか、出来の良い学生さんのレポートを拝読して いるような気持ちになりました。 歪みが見当たらないのが最大のアレなんだと思います。 行間に思いの丈を込めるというタイプではありませんが。 敢えて思想的な偏りをなくしていると言いますか。

Posted byブクログ