グーグルマップの社会学 の商品レビュー
2024年でも十分に読み応えがある。 世界を広げてくれるはずのグーグルマップが却って世界を狭めてしまうのではないかという指摘は、目から鱗。
Posted by
序盤の地図が時代によって、どのような位置付けでありそれがどのように変遷して至ったのかの紹介が面白かった。かつては国家の領域や統治のために使用され、境界線によって国民のアイデンティを創造する道具にもなっていた。 また、これまでの平面との違いについても指摘する。紙の地図は全体を表示さ...
序盤の地図が時代によって、どのような位置付けでありそれがどのように変遷して至ったのかの紹介が面白かった。かつては国家の領域や統治のために使用され、境界線によって国民のアイデンティを創造する道具にもなっていた。 また、これまでの平面との違いについても指摘する。紙の地図は全体を表示させその中で自分がどこにいるのか特定する一方、Google MapはGPSを用いて自分を中心に周りを見渡すような仕組みになっている。また、ズームイン・ズームアウトしてユーザーが自由に地図の見え方を変更できることで、全体と生活世界両方を移す出すことに成功しているという。 今後もパーソナルデータを活用してより便利になっていくことが予想されるが、このツールがどのようなサービスになっていくのか。 余談だが、全体の検索エンジンとしてはこれまでGoogle、動画はYoutube、画像はGoogle Imageなどメディア媒体ごとに検索エンジンとサービスを提供してきたことで、より相互のサービス間で共有できるデータが増え、ユーザーが恩恵を受けれるようになってきた。次のGoogle Xは何のか楽しみにしていたい。
Posted by
タイトルに惹かれたが、古いのはともかく期待した内容と違った。さすがに登山で五万図は携行しなくなったが、旅行の際は、るるぶは眺める。地図からマップ。グーグルマップ便利この上なく、「いま、ここ」と「世界」の間を自由に行き来できる神の目は楽しいが、地図を読み、全体を見渡し想像するには紙...
タイトルに惹かれたが、古いのはともかく期待した内容と違った。さすがに登山で五万図は携行しなくなったが、旅行の際は、るるぶは眺める。地図からマップ。グーグルマップ便利この上なく、「いま、ここ」と「世界」の間を自由に行き来できる神の目は楽しいが、地図を読み、全体を見渡し想像するには紙も捨てがたいと思うのは、化石?
Posted by
地図とマップの違い。それは単なる情報の羅列か、目的に合わせて抽出したものか。 ananが食べ歩きマップとか観光マップを発明し、従来の詳細な地図から必要な事項だけを抜き出して再構成した。 しかしそれは出版社などが設定した観点。 Google mapはユーザーが自分で観点を設定...
地図とマップの違い。それは単なる情報の羅列か、目的に合わせて抽出したものか。 ananが食べ歩きマップとか観光マップを発明し、従来の詳細な地図から必要な事項だけを抜き出して再構成した。 しかしそれは出版社などが設定した観点。 Google mapはユーザーが自分で観点を設定する。自分が情報を再構成する。 読了60分
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
グーグルマップが普及することで単純に地図に触れる機会が増えたのはいいことだ(基礎ゼミ江口先生も同感らしい)と思っていたが、それによって地図との向き合い方が大きく変わったのには驚いた。
Posted by
なにかをモチーフに社会を見通す、という本が大好きだ。 古典「砂糖の世界史」や、最近では「給食の歴史」など名著が多いが、本書もかなりのクオリティである。 Googleマップによって、我々の世界観は世界地図から、自分に必要な部分へと断片化していく。それはサイバーカスケード、もしくはフ...
なにかをモチーフに社会を見通す、という本が大好きだ。 古典「砂糖の世界史」や、最近では「給食の歴史」など名著が多いが、本書もかなりのクオリティである。 Googleマップによって、我々の世界観は世界地図から、自分に必要な部分へと断片化していく。それはサイバーカスケード、もしくはフィルターバブルと呼ばれる現象の具現化といえる。そこに偶然性という補助線を引くことに希望を見出す。東浩紀「ゲンロン0 観光客の哲学」などで見られる理論であるが、この本ではGoogleマップという我々にとって身近かつ具体的な事象を軸に進めていくため、分かりやすい。 社会を見通す目を創造するという社会学の真髄を体験するにもおススメ。
Posted by
地図を研究してきた社会学者である著者が、地図の歴史的推移と近代を紐解く事からグーグルマップを語る。グーグルマップのこれまでの進化を整理はしているが新しいビジネスや使い方を生み出す視点ではないので物足りない。実はあまり使ってないのかな。
Posted by
社会学というのは特に興味もなく今までその手の本は読んだことがなかったのですが、グーグルマップということで読んでみました。が、やっぱり社会学的な切り口ではあまり興味がわかず、途中からは流し読みになってしまいました。
Posted by
グーグルマップのことを中心に書いてはあるが、その仕組みよりはこれが社会の人々の考え方にどのような変化をもたらしたかを解説した本、確かにタイトル通り社会学を論じている。言われてみて初めて、グーグルマップが社会に及ぼした影響や自分が受けている影響などについて認識させられるところもあ...
グーグルマップのことを中心に書いてはあるが、その仕組みよりはこれが社会の人々の考え方にどのような変化をもたらしたかを解説した本、確かにタイトル通り社会学を論じている。言われてみて初めて、グーグルマップが社会に及ぼした影響や自分が受けている影響などについて認識させられるところもある。でも読んでいて、同じような内容を繰り返し繰り返し論じて時数とページを稼いでいるように思えてしまった。量はこの1/3でもよかったのではないだろうか。
Posted by
僕自身、昭文社のポケットマップをスマホのアプリに持ち替えたことによって、「思わぬものを発見する」というセレンディピティが減少したことを実感していたところ。 著者は、グーグルマップには個々人の即時的・自己完結的な欲求を充足しようとするアーキテクチャはあるが、他者との有機的な繋がりを...
僕自身、昭文社のポケットマップをスマホのアプリに持ち替えたことによって、「思わぬものを発見する」というセレンディピティが減少したことを実感していたところ。 著者は、グーグルマップには個々人の即時的・自己完結的な欲求を充足しようとするアーキテクチャはあるが、他者との有機的な繋がりを介した全体的な「物語」を紡ごうとする意思がみられないという。しかしその一方で、スマホやGPSの普及により断片化した現実の地域社会には、地域同士を動的かつシームレスに連結するグーグルマップの在り方がより親和的であるとする。 たぶん重要なのは、グーグルマップを狭窄した視野しか持たない自閉的な世界の連続体であるとペシミスティックに捉えるか、または大量消費社会により元より物語性を失いつつある世界を自在にザッピングできる有用なツールであると捉えるかは、それを使う人の意識に大きく依存するということだ。グーグルマップによるセレンディピティ減少を意識できず主体性を喪失するに任せるか、それを他の方法で補いつつ「移動する身体」をグーグルマップで武装するか。それにより今後の「地図」と我々の有り様も大きく変容することになるのだろう。
Posted by
- 1
- 2