私の消滅 の商品レビュー
みなさんが言われてるように、内容は暗く重いです。 半ば状況が理解しきれないまま読み進めると、絡まっていた糸がほどけるように唐突に理解できました。理解できるのと同時に想定外の方向に話が進みます。 読者を取り込む文章がとても魅力的でした。
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主人公は一体誰なのか、一体自分は本当に自分なのか。犯罪者の精神分析、ある精神疾患患者、崩壊の複雑さ、不思議な感覚。私が私である確証がぐらつき不安が大きくなる。もしかしたら、私もとっくに崩壊し、消失してしまったのかもしれない。
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中村文則は初期からだいたい読んでるけど、到達を感じた。幼少期からの屈折、のたうちまわるだけでなく、そういう重い自分から新しい軽やかな自分に憧れ、祈るラストに胸が痛かった。とにかく自分を賭けて書いてる、信用できる作家。 あとがきにいつも書かれる「共に生きましょう」、少し青臭く見られることも承知でストレートに寄せられる一行にいつも力をもらいます。 必要な人には必要な作家。
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期待値高かったからこそ拍子抜けというか、複雑な構造からのある種スムーズな結末。もう二転三転するかと思ってた、って感じ。 初中村文則だったけど、大本命教団X迷うなあ。どうなんだろう。 でも文章自体はすごく読ませる文章だし面白いんだろうなあ
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人の行動を裏付ける人間の暗いところをとことん掘り下げる作家さんなので、行動を起こすまでに至った感情の流れが納得できるように書かれていて、それはそれは重く苦しい。中村さんの作品は取り込まれるように読んでしまいます。ただ、他の軽いミステリーが楽しめなくなってきてしまいました。苦笑
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登場人物の関係性が、絡まった毛糸のようになかなか解けない。読み進める度に人物の関係性を整理しながらよんだので時間がかかった。
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私が誰か判らなくて混乱します~私は母の連れ子として新しい家に入り、下に出来た妹に叩いたと言いつけられては義父に詰られる。母も暴力を振るわれ、そのまま性交に移ることも度々だ。妹が私に付いてきた崖の上から転落し、重傷を負って、母と共に家を追い出され、母はスナックで働きながら、客を連れて帰って暴力を振るわれ、性交に及ぶのを見て生活する。ある日、襖を開けて、客が逃げられた母に怒りがこみ上げ、台所用品に八つ当たりして母に通報され、私は施設に送られた。施設に来た医師は後で考えると、吉見で、ゆかりの診察もした男だったのだ。後に彼の同僚に引き取られ、小さな精神科クリニックを引き継いだ。他のクリニックから紹介された・ゆかりという女性は、不幸にも義父から性的暴行を受け、それを知った母が首を吊り、風俗で働きながら、多くの男から性暴力を受けて、自殺願望を持っていた。ゆかりは私に自分の内面に入って欲しいと云われ、得意でない催眠を施すが聞かず、最後の手段としてECTを試みる。麻酔で眠らせた患者の脳に直接100Vの電気を流し、てんかんと同じ症状を作るのだ。巧く行って記憶がすっぱりなくなったゆかりに、幸せな平凡な記憶を植え付ける。ゆかりが働きたいと言い出して勤め始めた喫茶店の経営者・和久井とは恋愛感情が生まれたが、過去を知る二人の客・木田と間宮が証拠を突きつけて、すっかり思い出したゆかりは母親と同じ様に首を吊った。復讐せねばと和久井は言い、紹介元のクリニックの医師だった吉見はマンションで私への治療を施そうとする。私と和久井は木田と間宮を攫ってきて人気のないクリニックに閉じこめて、私・小塚亮大の人生を植え付けてなぞらせ、最後には殺すことを決める。麻酔なしのETCで木田は廃人となり、間宮には手記を読ませることで私の人生をなぞらせるが,手記は私の書いたモノでなく、内容も誤っている。そもそも吉見は私を治療したと言っているが、性的問題を植え付け、自分の患者が通り魔事件を起こしたことで狂っていた。木田と間宮に情報を流したのも吉見であった。吉見を攫って、木田と一つの部屋にして殺させ、木田も命を落とし、埋めた。さあ、自分の人生を取り戻すために、ECTを自分に施す~宮崎勤にインスパイアされたらしいが、ピンと来ないな。精神科医が情愛に溺れてしまうとか、ソ連やアメリカがやったマインドコントロールとか、オウムも? 一人称をあやふやにする手はもう已めて欲しいな。男がちんぽこを性器とは言わないよね、少なくとも
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『文學界』で読んで、単行本でまた。 文則さんの宮崎勤考。 文則さんならドグラ・マグラ的長編小説を書いてくれそう。しんどいだろうけど読んでみたい。読者って我儘だなあ。
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素晴らしい。 今まで、3〜4冊しか読んでいなかったが、 感覚としては、 「いや、もう、命削り過ぎなのでは?」 と心配になるような読後感だった。 今作も、のたうち回るくらい苦しかったのだけれど、感覚としての読後感は身も心も委ねられたなーって感じ。 これから読む方は、かみ砕くよ...
素晴らしい。 今まで、3〜4冊しか読んでいなかったが、 感覚としては、 「いや、もう、命削り過ぎなのでは?」 と心配になるような読後感だった。 今作も、のたうち回るくらい苦しかったのだけれど、感覚としての読後感は身も心も委ねられたなーって感じ。 これから読む方は、かみ砕くように読み進める事をお勧めします。 まあ、確認のために前の方にページを繰る作業も楽しくない訳ではないのだけれど、 読み進めながら瞬時に繋がったりストンと収まったりすると気持が良いと思うので。 嗚呼。 読み終わった後、表紙を見るとこれまた良し。 もう1回言っちゃうけれど、素晴らしかったー!
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重度の鬱病にかかった女性を愛した精神科医。彼女を死なせないために施した治療は、記憶障害を引き起こす危険を伴うものだった…。「悪意」が世の中に及ぼす影響を突き詰めた衝撃作。『文學界』掲載を単行本化。
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