私の消滅 の商品レビュー
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ある人物に、耐え難い苦しみを与えられたとする。 その人物への復讐として、自分と同じ苦しみを味わわせられるとしたら……。 疑似体験ではない。 その人物に「私」になってもらう。 そして「私」の苦しみを、「自分」の苦しみとして存分に体験しろ、というのだ。 記憶の改ざんによる復讐である。 主人公である精神科医は、医療の知識とスキルを使い、この復讐を成し遂げようとするのだ。 人間の脳や記憶をそこまで自在に操ることが現実にできるとするなら…… 人間にとっての自我とはいったい何なのだろう。 空恐ろしくなる。 作中では「僕」が残した手記を物語の主軸として、「私」「わたし」、そして第三者視点と、一人称が次々に切り替わる。 序盤は戸惑うが、読み進めるうちに自然と理解できてしまう。 その感覚はどこか気味が悪く、同時に心地よい。 難解なようでいて、一気に読ませるスピード感と吸引力があるのだ。 全編を覆うのは重苦しく暗い空気感。 そしてわずかに差し込む不安定な救いが、かえって絶望の濃度を高めていく。 主人公が最後に望んだものが、あまりに平凡で穏やかなものだったことに感じるのは胸の痛みと希望。 そして嫌な予感だ。 ところで、精神疾患や記憶、脳をめぐる物語、錯綜する一人称、手記形態、吉見のマッドサイエンティスト感……。 どうしても『ドグラ・マグラ』を思い出してしまう。
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同作家の『あなたが消えた夜に』の後に読んだ。読みながら続編なのかと何度も思った。『あなたが消えた夜に』の登場人物の内面をこの作品で掘り下げて書いたのかと思うほどだった。 こちらの作品も、壊れていく心理やその背景にある深層心理が描かれていて、また深層心理が表層に現れ行動を伴う様子が...
同作家の『あなたが消えた夜に』の後に読んだ。読みながら続編なのかと何度も思った。『あなたが消えた夜に』の登場人物の内面をこの作品で掘り下げて書いたのかと思うほどだった。 こちらの作品も、壊れていく心理やその背景にある深層心理が描かれていて、また深層心理が表層に現れ行動を伴う様子が書かれている点が似ている。こちらの方が内面が重点的に書かれている(いささか書かれすぎている)ように思い、『あなたが消えた夜に』の方が好みであった。
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この作家の本を読むのは体力を使う どっぷり疲れる だから話題作がたくさんあるのに 今回でに2冊目だ 今回も疲れた 多分またしばらく読まない もしかしたらもう読まないかも しんどかった
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終始暗い あと、バタバタしてて一気読みできず これだけでなんだか 離脱しそうになるはずなのに なぜか離れられず最後まで読了 『去年の冬…』もなんだかこんな気持ちになったような 私にはなんだか合わないとかそういう印象なのに なんだか また図書館から借りてきてしまって 最後まで...
終始暗い あと、バタバタしてて一気読みできず これだけでなんだか 離脱しそうになるはずなのに なぜか離れられず最後まで読了 『去年の冬…』もなんだかこんな気持ちになったような 私にはなんだか合わないとかそういう印象なのに なんだか また図書館から借りてきてしまって 最後までなんだかんだで… あと 頭のいい作家さんなんだろうなぁ…と 私も消したい記憶だけ都合よく消してくれませんかね?
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⚫︎感想 教団X、R帝国などに出てきたモチーフをまた違う物語として描いている。自分の意思と選択で本当に生きているのか、知らないうちに誰かの思い通りに生き、考えているだけではないのか?これは多かれ少なかれ、この世界に生きる上で、人が抱える事象なのだが、それが善意に満ちた事象であれば...
⚫︎感想 教団X、R帝国などに出てきたモチーフをまた違う物語として描いている。自分の意思と選択で本当に生きているのか、知らないうちに誰かの思い通りに生き、考えているだけではないのか?これは多かれ少なかれ、この世界に生きる上で、人が抱える事象なのだが、それが善意に満ちた事象であれば幸せで、それな悪意に満ちた事象であれば破滅に向かう。人間の暗部をとことん見つめて描く著者には、生きることへの潔癖さが見える。 一つの物語として、最初の一行から最後まで引き込まれた。 ⚫︎本概要より このページをめくれば、 あなたはこれまでの人生の全てを失うかもしれない。 一行目に不気味な文章が書かれた、ある人物の手記。 それを読む男を待ち受けるのは、狂気か救済か。 『掏摸 スリ』『教団X』を越える衝撃。 中村文則が放つ、新たな最高傑作!
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3.0/5.0 すみません!よく分かりませんでした。 一作目から順々に読み進めてきて、だんだんと「中村節」に疲れてきてしまっている自分がいます…
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衝撃的な一言から始まる手記を《私》が読んでいきながら、《私》を振り返る物語。 《私》は誰なのか、《彼》はどの彼なのか。 読み手を混乱させつつも、読み進める度に言いようのない不安に襲われてくる不思議な話。不思議だが決してSFなどではなく…。 ページ数は短めで、文体も読みやすい...
衝撃的な一言から始まる手記を《私》が読んでいきながら、《私》を振り返る物語。 《私》は誰なのか、《彼》はどの彼なのか。 読み手を混乱させつつも、読み進める度に言いようのない不安に襲われてくる不思議な話。不思議だが決してSFなどではなく…。 ページ数は短めで、文体も読みやすいためスラスラとノンストップ3時間ほどで読了。 読み終えたあともジワジワと心に侵食してくるような、そんな一冊である。
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成人式にバンジージャンプしたかったw ってな事で中村文則の『私の消滅』 「このページをめくれば、あなたのこれまでの人生の全てをうしなうかもしれない。」 と、恐ろしい始まり方からの内容はドロッドロッのグッチャグチャ! 人間の精神はその人間一人の形成だけでは無く...
成人式にバンジージャンプしたかったw ってな事で中村文則の『私の消滅』 「このページをめくれば、あなたのこれまでの人生の全てをうしなうかもしれない。」 と、恐ろしい始まり方からの内容はドロッドロッのグッチャグチャ! 人間の精神はその人間一人の形成だけでは無く、特に幼い時期の待遇、経験からの影響も大きく関わるのかと……。 教団Xもそうじゃけど、中村文則さんは人間の精神、思考、感覚の奥底の闇をズブズブに探って行く様な感覚になります。 2017年2冊目
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かなり面白かった。ぜひとも二度読みたい作品だった。 復讐のやり方にこんな形があるのかと、思わずしびれた。 中村さんの作品にありがちだと思う、絶望の中のかすかな光も個人的には読み取れた気がする。 人格の形成、崩壊、再生、物語自体はさらっと読めるほどの量だが、無駄な弛みがなく、個人的にはとてもすっきりと言ったら変だが、すっきりする話だった。 また読みます。
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インパクトありすぎてページをめくるのを躊躇ってしまった冒頭 「私」を一人称にして綴られていく話を読み進めるとだんだん「私」が誰なのか分からなくなっていく。 また、実際にあった事件を題材にして『私』とは何なのか。自我とは何かと問いかけてくるような本作。 今作も同氏の作品特有の暗鬱と...
インパクトありすぎてページをめくるのを躊躇ってしまった冒頭 「私」を一人称にして綴られていく話を読み進めるとだんだん「私」が誰なのか分からなくなっていく。 また、実際にあった事件を題材にして『私』とは何なのか。自我とは何かと問いかけてくるような本作。 今作も同氏の作品特有の暗鬱とした感じがあり、読んでいると飲み込まれそうな感覚になる 哲学的な問いかけがあり、読む人、歳、精神状態で感じ方が変わるだろうから時間をあけてまた読んでみたい
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