がん 4000年の歴史(上) の商品レビュー
人類と癌との戦いの歴史がこんなにスペクタクルなものだなんて!ページを捲る手が止まらなかった。 医者や研究者だけではない。 古くは古代の女王から、現代に至ってはロビイストや政治家、そして当然市政の人々、まさしく人類総出となって挑む病との戦いの総力戦だ。 医療という分野で人間の底...
人類と癌との戦いの歴史がこんなにスペクタクルなものだなんて!ページを捲る手が止まらなかった。 医者や研究者だけではない。 古くは古代の女王から、現代に至ってはロビイストや政治家、そして当然市政の人々、まさしく人類総出となって挑む病との戦いの総力戦だ。 医療という分野で人間の底力が発揮されるのはさもありなん、ということに気づかせてくれた本。 人間の叡智や努力が連なり、積み上がり、個々からチームへと結合して難病を攻略していく様にとてつもないカタルシスを感じた。
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人類と癌の戦いの歴史、こんなにいろんな事があって、読んでまだ半分(上巻)か! ガンとの戦いは総力戦、いろんな人が見つけた色んな薬や毒、治療を余す事なく総動員して戦うが、まだ勝ててない(上巻まででは)。 薬の併用療法ではおぞましい数のガン患者が試されてきて、乳ガン根治術でもまたしかり。 医者はずっと、よくわからない相手によくわからない治療を続けてきた。その根気と熱意は狂気とも言える。医者が病的に諦めが悪い事がよく分かる、だがそれでいい。 私の両親は肺がんと白血病にかかり寛解している。この喜びには本書にある無数のガンに負けた人達のお陰でいて、それらの人たちは論文のn=1でしかない。 歴史に埋もれた人の死で今の社会ができているとわかる。下巻で「人類が勝てている」と書かれている事に期待。 あと、イムホテップって映画ハムナプトラでは悪役だよね。乳がんへの対処法無しってある意味「無知の知」ともとれる思想を持ってたすごい医者だったんだね。
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2016年時点では、癌に関する最も興味深く啓蒙的な本の一つだったのではないでしょうか。とても面白かったです。
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日本人の死因のトップになっている、がん。 この病気については、「怖い」という印象ばかりが強く、現在の治療法などについてこれまで、ほとんど学んできていませんでした。 Audibleのラインアップを見ていたら、がんへの取り組みの歴史をまとめた本があることを知りました。 「この機会に...
日本人の死因のトップになっている、がん。 この病気については、「怖い」という印象ばかりが強く、現在の治療法などについてこれまで、ほとんど学んできていませんでした。 Audibleのラインアップを見ていたら、がんへの取り組みの歴史をまとめた本があることを知りました。 「この機会に勉強しよう」と思い、聴くことにしました。 上下巻構成で、上巻は3部に分かれています。 第1部は、古代から20世紀前半にかけての、がんに対する科学的アプローチの歴史が書かれています。 紀元前のエジプトですでに、がんの存在は知られていた。 しかし、がんが原因で亡くなる人は少なく、近代まで有効な治療は行われてこなかった。 ・・・これらの記述には、「意外だな」と感じました。 がんに対して本格的に治療方法が模索され始めたのは、解剖学の知見が蓄積され、麻酔の技術が実際に使えるようになった、19世紀後半以降なのですね。 外科手術が必要だったこと、そしてがん以外の死因が多かったことが、主な理由だったと理解しました。 第2部は20世紀半ば、おおよそ1940年代から60年代にかけて。 メインで取り上げられているのは、化学療法の開発、臨床試験の歴史です。 患者の体が耐えられる範囲で、がん細胞を殺す薬を投与する。 がん細胞の性質上、残ってしまうとふたたび増殖してしまう。 非常に難しいことに、医師たちは取り組んできたのですね。 また、技術的なアプローチをスピーディーに進めていくには、資金集めが必要であること。 効果の得られる方法を早期に見出すためにも、臨床試験は計画的に進めていく必要があること。 これらの理由から、大きな組織で取り組んでいく必要があったのだとも、理解しました。 第3部は、20世紀終盤、1970年以降の取り組みについて。 20世紀半ばからの、がんとの戦いは効果があったのか? 治療の効果というものを統計的に評価するのは難しいmものなのだ、と理解しました。 引き続き、下巻もAudiblで聴きます。 .
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男性の3人に2人、女性の2人に1人が罹患する病。そして、たとえ初期に発見されても、必ず死を意識せざるを得ない病。 そんながんと人類との壮絶な4000年の戦いの歴史。 ボリュームが多目だけど、文章は平易で臨場感があり、理解しやすい。 オーディブルにて。
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多くの人々の命を奪ってきた病、がん。原著のサブタイトルにA Biography of Cancer とあるように、本書は正にがんの伝記である。 がんという病はいつから人類とともにあるのか、この病を人類が正確に認識したのはいつか、その病理が理解され、外科的治療、内科的治療、予防へ...
多くの人々の命を奪ってきた病、がん。原著のサブタイトルにA Biography of Cancer とあるように、本書は正にがんの伝記である。 がんという病はいつから人類とともにあるのか、この病を人類が正確に認識したのはいつか、その病理が理解され、外科的治療、内科的治療、予防へとどのように対策が講じられたのか…。そして、医療者以外の、社会的、経済的、政治的要因。慈善家のラスカー夫妻のエピソードはとても印象的だった。 本書は「がんの伝記」ではあるが、医療者の活動の記録であり、何よりも、著者のムカジーがインタビューで答えているように、がん患者の闘いの記録でもある。現在の我々ががん治療の恩恵を受けられるのも、彼ら無名のがん患者の上に立っているからである。そのことを、本書を読むと強く感じる。 医療職ではないため、読んでいてもわからない単語や薬剤名がないとは言えない。しかし、本書にかぎってはそれは読書を妨げるハードルにはならない。圧倒的なノンフィクションの力が、またおそらくは翻訳の妙が、それらのハードルを取り払ってくれる。 まずは上巻。下巻に進もう。
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人間が個々バラバラに(時にはチームを組んで) 闘ってきたガンとの戦いの歴史を ざっと教えてくれる良書でした。 1940年から以降、やっと 勝利の場面が出てきて、 人類の知恵の蓄積に ありがとうと言いたい。 まだまだ途上であり、まだまだ ガンには泣かされている実情も 俯瞰できました...
人間が個々バラバラに(時にはチームを組んで) 闘ってきたガンとの戦いの歴史を ざっと教えてくれる良書でした。 1940年から以降、やっと 勝利の場面が出てきて、 人類の知恵の蓄積に ありがとうと言いたい。 まだまだ途上であり、まだまだ ガンには泣かされている実情も 俯瞰できました。 怖い思いをすると、心拍数があがり、魂は縮み、 身体の一部も縮みます。 この本読んでいると、上がりまくり、縮みまくりました。 でも読まずにはいられない。 知らないうちが最も恐怖が拡大すると思うんで。
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シッダルータムカジー がん治療史「がん 4千年の歴史」上巻。 がんを知り、がんを攻撃しても 取り除けない歴史。19世紀になって初めて、がんの実体が、細胞の異常増殖であることがわかるが、外科手術によって取り除いても、化学療法や放射線という毒を用いても、転移と突然変異、異常増殖を繰...
シッダルータムカジー がん治療史「がん 4千年の歴史」上巻。 がんを知り、がんを攻撃しても 取り除けない歴史。19世紀になって初めて、がんの実体が、細胞の異常増殖であることがわかるが、外科手術によって取り除いても、化学療法や放射線という毒を用いても、転移と突然変異、異常増殖を繰り返す がん細胞の適応能力の高さ 驚いたのは がん と人類の進化の共通性 *がんは、生物学的に多様〜がんには気性、人格、習性がある *がんは、一個の細胞から分裂し、変異、淘汰、異常増殖のサイクルを繰り返す *どの世代のがん細胞も 親の世代とは 異なる細胞を わずかに作り出し、攻撃に耐えられる 変異クローンだけが生き残る がんの特性や人類の敗北の歴史を知るほど「がんに立ち向かうことは〜人類より適応能力の高い種に立ち向かうこと」という言葉に恐怖を感じる
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人類のガンに対する取り組みについて、紀元前2600年頃のパピルス文書まで遡って述べられている。 実際には19世紀以降の外科的な取組み以降の記述が主となっている。 インタビューにもあるように、普通の読者にも分かるように書かれているのだが、初めて見る名前や医学用語が数多く出てくるし、年代も幾度も遡るので、なかなかついていけない。
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シッダールタ・ムカジー「がん 4000年の歴史」読了。人類は遥か昔からがんに悩まされてきた。がんの専門医である著者がその歴史を丁寧に紐解いていく。異常増殖する細胞に起因するがんに関わった人々の営みと移り変わりにただ圧倒されるばかりであった。
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