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戦地の図書館 の商品レビュー

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36件のお客様レビュー

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2016/10/08

ノンフィクション。 第二次大戦中、ナチスは焚書で一億冊の本を葬ったが、アメリカはさまざまなジャンルの本一億四千万冊を前線の兵士に送り続けた。兵士はそれによって行軍や待機の退屈と焦燥から気を紛らわせ、世界情勢や戦争の意義を学び、残酷で悲惨な日常の中で精神を保ち続けた。 最初は全国か...

ノンフィクション。 第二次大戦中、ナチスは焚書で一億冊の本を葬ったが、アメリカはさまざまなジャンルの本一億四千万冊を前線の兵士に送り続けた。兵士はそれによって行軍や待機の退屈と焦燥から気を紛らわせ、世界情勢や戦争の意義を学び、残酷で悲惨な日常の中で精神を保ち続けた。 最初は全国から寄付された本を、その後は「兵隊文庫」という軍服のポケットにぴったりのペーパーバックを作って終戦まで戦地に送り続けた図書作戦の歴史が淡々と描かれている。兵士は行軍の際も本を離さず、砲弾の飛び交う塹壕の中で読書を続けて正気を保ったという。 母国が戦場になっていないとはいえ物資の乏しい中でこの作戦をやり遂げた国力もすごいし、兵士に幅広い知識を授けることによって士気を高めるやり方もすごい。戦争末期には復員後のことを考えてさまざまな職業の実用書を入れたりもした。読書習慣が身に付いた兵士が復員後に大学へ入学して新たな知識層を形成したという。 ノンフィクションなので派手な盛り上がりはないが、こうした事実を全く知らなかったので感動した。戦争の是非は置いて、この当時のアメリカはかなり素晴らしい国だったと思う。

Posted byブクログ

2016/09/28

第2次世界大戦時、アメリカは戦地へ書籍を送り続けた。「兵隊文庫」として、携帯しやすいように、読み易いように、特別にあつらえた支給品だ。その他にも広く国民から書籍の寄付を集め、戦地へ送り続けた。 戦争映画では時間を持て余した兵士たちは家族からの手紙を読んだり、カードゲームに興じたり...

第2次世界大戦時、アメリカは戦地へ書籍を送り続けた。「兵隊文庫」として、携帯しやすいように、読み易いように、特別にあつらえた支給品だ。その他にも広く国民から書籍の寄付を集め、戦地へ送り続けた。 戦争映画では時間を持て余した兵士たちは家族からの手紙を読んだり、カードゲームに興じたりだが、本書を読む限り、かなりの時間を読書に費やしていたようだ。小説等のフィクションはもちろんだが、復員後を見越して職業訓練的な実用書もラインナップされていたそうだ。 そういった初めて知る史実にも驚くが、何より印象的だったのは、戦場で本を読むことにより、人間性を取り戻したというくだりだ。以下引用。『兵士は人を殺す訓練を受け、前線では筆舌に尽くしがたいほど残忍な行為を目の当たりにした。しかし、「私たちの軍の兵士は、本を読むという行為をしているのだから、(まだ)人間なのだ、と思うことができました。』 ショックだった。本の力と同時に、無力さを知ることになった。

Posted byブクログ

2016/08/25

とてもいい、とてもいいんだけれど、どうしても、”戦地の兵士に本を送る”状況の前にその状況を作らない努力が先でしょう、と思ってしまい、なんとなくモヤモヤしてしまう。 本の力の大きさを改めて感じるけれど、本はおうちや図書館やカフェで読もうよ、戦地で読まなきゃならないような状況を止めよ...

とてもいい、とてもいいんだけれど、どうしても、”戦地の兵士に本を送る”状況の前にその状況を作らない努力が先でしょう、と思ってしまい、なんとなくモヤモヤしてしまう。 本の力の大きさを改めて感じるけれど、本はおうちや図書館やカフェで読もうよ、戦地で読まなきゃならないような状況を止めようよ。。。

Posted byブクログ

2016/07/18

これまではあまり知られていなかった第二次世界大戦の別の側面を示している良書だと思う。訳者の訳も読み易い。 ドイツが行った焚書とアメリカが行った「本は武器」という思想に基づく戦時中の読書活動、コインの裏と表のようなものを感じる。何が正義なのか、自由とは何なのか、そもそもコイン(=...

これまではあまり知られていなかった第二次世界大戦の別の側面を示している良書だと思う。訳者の訳も読み易い。 ドイツが行った焚書とアメリカが行った「本は武器」という思想に基づく戦時中の読書活動、コインの裏と表のようなものを感じる。何が正義なのか、自由とは何なのか、そもそもコイン(=戦争)そのものに正義を論じる余地があるのかどうか、色々な意味で考えさせられた。 本が戦争の、ここでいう思想戦の一助になったことは複雑な気持ちにもなるが、思想の自由を守るうえで必要なことであったことは大いにわかる。「自由と民主主義」を標榜するアメリカらしい活動の展開だ。 兵士に供給し続けた「兵隊文庫」により、兵士の教養は維持でき、戦後の学習意欲の喚起、職業選択など、社会復帰の支援につながったことは、まさに読書という行為の尊さ、本の持つ力を示す内容だと思う。 本を読めば色々な思想に出会うことができる。幅広い考えを受容できなくなってくると国も人もいよいよ危険水域だと思う。偏狭的なナショナリズムに見舞われ、各国が置かれている情勢が厳しくなってきた。 偏った意見をSNSでひたすら主張する人も目についてきた。こんなきな臭い世の中において、これからも読書が有用な作用を起こし続けることを期待したい。

Posted byブクログ

2016/07/16

図書館で借りる。 第二次世界大戦中、アメリカが行った「兵隊文庫」について書かれた図書。当時の兵士のコメントや雑誌の引用が多めで兵隊文庫が説明されている。戦場は気晴らしや娯楽がないので、兵隊文庫が兵士からとても人気だったのははじめて知った。 あと復員した兵たちが兵隊文庫や復員兵の...

図書館で借りる。 第二次世界大戦中、アメリカが行った「兵隊文庫」について書かれた図書。当時の兵士のコメントや雑誌の引用が多めで兵隊文庫が説明されている。戦場は気晴らしや娯楽がないので、兵隊文庫が兵士からとても人気だったのははじめて知った。 あと復員した兵たちが兵隊文庫や復員兵の支援法によって大学の門をくぐり優秀な学生となっていったという話はすごい… 図書館や書物が様々な人の可能性を広げた例になるのかな…と思う。 戦争という特殊な状況だけど…

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2016/07/11

人は「本」を読む生き物である この言葉に象徴されてしまう以上のノンフィクションでした 第二次世界大戦の最中に 「戦場」から消されたナチスの焚書の事実 それとは全く対照的に 「戦場」に送り込まれ、切望されたペーパーバ゙ックスたち 「生と死」の瀬戸際で読まれた「本」の尊さが...

人は「本」を読む生き物である この言葉に象徴されてしまう以上のノンフィクションでした 第二次世界大戦の最中に 「戦場」から消されたナチスの焚書の事実 それとは全く対照的に 「戦場」に送り込まれ、切望されたペーパーバ゙ックスたち 「生と死」の瀬戸際で読まれた「本」の尊さが ひしひしと伝わってくる 「本を読むこと」が単なる「娯楽」を遥かに越えて 「本を読むこと」が「生きること」になっていた そんな史実がここにある

Posted byブクログ