赤へ の商品レビュー
死ぬことだけを切り取って集めた短編集。 自分と不倫していた相手の妻が通り魔に刺され死ぬ。 自死した娘と、その娘婿との一日。 この2つがよかった。 自死した娘〜の実母、この人が何より恐ろしかった。 でも、たくさんいるのだろうなあ。私の母も同じタイプ、私は振り切って出てきたけど。 ...
死ぬことだけを切り取って集めた短編集。 自分と不倫していた相手の妻が通り魔に刺され死ぬ。 自死した娘と、その娘婿との一日。 この2つがよかった。 自死した娘〜の実母、この人が何より恐ろしかった。 でも、たくさんいるのだろうなあ。私の母も同じタイプ、私は振り切って出てきたけど。 本自体の装丁の赤も通常の死ではなく、なんとなく不穏な死を思わせる。
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柴田錬三郎賞受賞作。 死をモチーフにした10編の短編小説集。 「時計」沙月という可愛くてわがままなお姫様のための秘密。 「逃げる」底意地の悪い、ぞっとする話でした。 「ドア」都会的で華やかだけど、どこか病んだ人たち。 「ボトルシップ」先がどうなるのか、すごく気になった話。 「赤...
柴田錬三郎賞受賞作。 死をモチーフにした10編の短編小説集。 「時計」沙月という可愛くてわがままなお姫様のための秘密。 「逃げる」底意地の悪い、ぞっとする話でした。 「ドア」都会的で華やかだけど、どこか病んだ人たち。 「ボトルシップ」先がどうなるのか、すごく気になった話。 「赤へ」ボタンの掛け違いのような話。 「十三人目の行方不明者」結末はよくわかると思いました。 「母のこと」作者のお母さまの実話だと思います。 前半、「時計」「逃げる」「ドア」あたりを読んでいた時は、この短編集はホラーではないかと思う程怖いと思いました。 作者の、荒野さんは完全に大人の目線でぐいぐいと読ませる話ばかりでした。 「母のこと」は実話のようで、母娘関係がさらりと描かれていて素敵でした。一番好きな話でした。 この作者のポジティブな話を読んでみたいと思わされました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
プールにやってくる変わった老婆2人。 双子の妹を殺してしまった幼き姉だけが知らない真実を知ってしまった時、時間は戻せない現実。 交際相手の妻が通り魔に刺された事件当日、妻が普段来ない場所にいた理由。 バーの常連たちのとりとめない会話、実は自殺していた常連のうちの1人。 がん治療をしていた過去、嫌われ者だった亡くなった同級生のこと。 自分で命を絶った娘であり妻。残された母と夫の交差する思い。 庭いじりの参考にしていたブログの著者が闘病の末に止まった更新が語る事実。 災害のどさくさに紛れて行方不明になったいた男。 物静かでいながらも残された人生を母なりに謳歌していた、亡くなった母のこと。 自殺した娘の同級生に残されたいじめのこと、娘のラインから考えたこと。 死んでいった人たち、残された人たち。 どれもミステリアスな雰囲気。 母のこと、は著者のお母様にたいする思いなのかな。 母のことがとても好きだったと、堂々と言ってのける清々しさ、本当に好きだったんだなと、圧倒されます。
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うまい。これだけの人物しか出てこなくて文章に浸っていられる。ストーリーだけの台本文学とはおおきな違いだわ。
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死に対する考え方や受け止めかたって、人によって…又状況によって全くかわるものだけれど、良くも悪しくもしみじみと考えさせられた。声をあげ涙を流すのとは別の、深い哀しみやその受け止めかたを、多かれ少なかれ誰しも経験しているんだと思う。
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帯に、「死」を巡って炙りだされる人間の"ほんとう″ と書かれてあった。 初めて読む作者、ホラー的なのかと、少し構えたが、10話からなる短編集であるが、いつか人が通る人生のような話が、書かれている。 「虫の息」の話は、良さが感じられないで、「時計」を読み進んで行った。 過去の事故...
帯に、「死」を巡って炙りだされる人間の"ほんとう″ と書かれてあった。 初めて読む作者、ホラー的なのかと、少し構えたが、10話からなる短編集であるが、いつか人が通る人生のような話が、書かれている。 「虫の息」の話は、良さが感じられないで、「時計」を読み進んで行った。 過去の事故の話が成長してから聞かされる最後の振り子時計の音に時計の針が、十数分遅れていること気付くと、、、話の展開が、題名にピタリと当てはまり、、次々と読み進んだ。 最後までアッという間に読んでしまったが、頭に残るものが少なかった。 短編であったせいだろうか?
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さすがにこの歳にもなると、知人、友人、親類が少なからず逝った。ときどきに喪失感は異なるが、ヒトの死に直面するたびに何だか心が乾いている自分に戸惑う。本当のところは薄々分かっていて、明らかに感情の起伏が大きいタチだから、人一倍に防衛本能みたいなのが作用しているんだろう。ここに描かれ...
さすがにこの歳にもなると、知人、友人、親類が少なからず逝った。ときどきに喪失感は異なるが、ヒトの死に直面するたびに何だか心が乾いている自分に戸惑う。本当のところは薄々分かっていて、明らかに感情の起伏が大きいタチだから、人一倍に防衛本能みたいなのが作用しているんだろう。ここに描かれるとりどりの死を俯瞰すると、生者の受け入れ方は万別なのに、いずれも絶妙だ。適度な葛藤と悲哀の末に、きちんと見切る。きっぱりとではなく、きちんとで、そんな距離感がいい。生き様はどうあれ、人間の致死率100%か。
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いずれも胸に残る、さすがの作品ばかり。人の心の襞を、こんなにも汲み取ってしまう作者にとって、生きるとは、どんな風なのだろうと思う。気持ちは、いつも波立ったり、震えたりしているのだろうか。孤独に、居ても立っても居られない時間があるのではないか。作品「母」は、大好きな母を亡くしてから...
いずれも胸に残る、さすがの作品ばかり。人の心の襞を、こんなにも汲み取ってしまう作者にとって、生きるとは、どんな風なのだろうと思う。気持ちは、いつも波立ったり、震えたりしているのだろうか。孤独に、居ても立っても居られない時間があるのではないか。作品「母」は、大好きな母を亡くしてからの日々を、回想とともに綴る、自伝的な内容。表題作「赤へ」は、娘を亡くした老女が、婿に付き添われて介護ホームへ引っ越す日の話。登場人物たちが、交代で視点が変わる作品が多かった。
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〜ふいに思い知る、すぐそこにあることに。 時に静かに、時に声高に――「死」を巡って炙り出される人間の“ほんとう"。 直木賞作家が描く傑作小説集〜 (Amazon 内容紹介より引用) 10の短編集。 柴田錬三郎賞受賞。 どの作品も「ちょっと突発的」っていうのが感想。 ...
〜ふいに思い知る、すぐそこにあることに。 時に静かに、時に声高に――「死」を巡って炙り出される人間の“ほんとう"。 直木賞作家が描く傑作小説集〜 (Amazon 内容紹介より引用) 10の短編集。 柴田錬三郎賞受賞。 どの作品も「ちょっと突発的」っていうのが感想。 だけど、「母のこと」は別格。 なんて言うの? 「瑞々しい」とか「輪郭が濃い」とか「流れ込む筆致」とかをひっくるめた大人の何かすてきな言い方はないのかな? 荒野さまのお母さまのことなのかもしれないな・・・と思いながらの読書。 あたしの目指す人生の仕舞い方だった。 親のことも自分の近い未来のことももう想像ではなく覚悟なんだな。 そしてそして、 食べ物に関わる描写がやっぱり好き。
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+++ ふいに思い知る、すぐそこにあることに。 時に静かに、時に声高に――「死」を巡って炙り出される人間の“ほんとう"。 直木賞作家が描く傑作小説集 +++ 表題作のほか、「虫の息」 「時計」 「逃げる」 「ドア」 「ボトルシップ」 「どこかの庭で」 「十三人目の行方不...
+++ ふいに思い知る、すぐそこにあることに。 時に静かに、時に声高に――「死」を巡って炙り出される人間の“ほんとう"。 直木賞作家が描く傑作小説集 +++ 表題作のほか、「虫の息」 「時計」 「逃げる」 「ドア」 「ボトルシップ」 「どこかの庭で」 「十三人目の行方不明者」 「母のこと」 「雨」 +++ 「死」が常に底流にあるのだが、そこは著者らしく、不穏で退廃的な雰囲気はいささかも枯れてはいない。そして、死を意識するからこそ生まれる真実が、ある時は切なく、またある時は物狂おしく、そしてまたある時には潔ささえ感じさせられる。死を迎えようとしているそれぞれのこれまで生きてきた道のりが捜査せるのだろうか。残される人たちとの関わりをも含めて、じわじわと胸に沁みる一冊である。
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