ロボット・イン・ザ・ガーデン の商品レビュー

デボラ・インストール(著者),松原葉子(訳者)

2021/07/23

仕事も勉強もせず親の遺産で暮らすダメ男・ベンが、壊れかけた旧式ロボットのタングと出会うことから始まるお話。アンドロイドが一般家庭にいるような近未来SFなんだけど、全体の印象はSFというよりはダメ男の成長物語だ。
正直、中盤あたりまでは今一つ盛り上がりに欠けると感じた。評判が良いようだけど、そんなに面白いかなあ、と疑問に思いつつ読んでいたが、終盤になると「役にたたない」扱いだったダメ男とぽんこつロボットに変化が見えてきて、良い話だな、と思えるようになった。

2021/07/21

とにかくタングがかわいい！
ただのおんぼろロボットかと思いきや、どんどん愛らしさを増していくタングの描写がとてもうまいなぁと思いました。ご機嫌なときに足をブラブラさせるかわいい姿が目に浮かびます。
そしてベンは、最初あまりにクズ過ぎて読み進めるのが嫌になるほどでしたが、タングとの旅を通じて成長できて何よりです。

2021/07/07

はじめ主人公のベンが、ダメ夫過ぎてイラっとした。
タングは小さい子供のようでかわいい。タングが段々と物事を知り、言葉を覚えていく様は、本当に人間の子供のようだった。
人間の親も同じように、子供とともに自身も成長してくのかも。

嵐のニノで映画化するらしいけど、日本舞台に変更するのか？洋画で観たかったな…

2021/06/23

家電量販店で、掃除や料理をしてくれるアンドロイドが売られている‥‥という、近未来のイギリスのお話。
両親を亡くし悲しみから抜け出せず家に引きこもり状態で妻からも愛想を尽かされているベンの家に、旧式の箱型ロボットが迷い込んでくる。名前はタング。
アンドロイドが活躍している世の中でタングは全く必要とされない存在。
タングに壊れた箇所が見つかり修理が必要だが、旧式のため部品が手に入らず、タングを修理するためにベンとタングは世界中を旅することになる。

ロボットというと、誰もが完璧な知能や技術を想像するのではないでしょうか？でもタングは全然違っていて、駄々をこねる、言うことを聞かない、嫌なことがあると足をバタバタさせる‥‥まるで赤ちゃんに毛が生えたくらいの子どものようなのです。
でも学習機能があるので、ベンに教えられたことをどんどん覚えていく。楽しいとか悲しいという感情も教わっていく。ベンもタングと一緒にいることで少しずつ変わっていき、二人で一緒に成長していく様子がとても心温まります。

タングを修理してくれる人を世界中探し回る‥‥アンドロイドもいるような世界なのに、そんなアナログに探さなくても！とツッコミを入れたくなるのですが、とりあえず行ってみる、というのが冒険物語を子どもに読み聞かせしているような感じがしました。

来年映画化されるそうだけど、親子で観てほっこりできるような感じかなぁと楽しみです。
ちなみにベンの役はニノにぴったりだと思う！

2021/05/22

読み進めていくうちに、どんどんタングが好きになって、タングの動き、表情、声や話し方の想像が膨らんでいく… これは絶対に映像や舞台で生きたタングに会いたい！タング・ロスになりそうなのですぐに続編買いに行きます。

2021/04/23

34歳のダメダメだけどなんだか憎めない主人公ベンの庭に突然現れた、ポンコツだけど愛らしい壊れかけの旧型ロボット、タングとの冒険と愛の物語。

タングの制作者を探すベンとタングの冒険（というより珍道中）には日本も登場します。とにかくロボットのタングがとってもかわいい、癒されるお話です。映画になりそう。タングの中の旧型ロボットvsアンドロイドの感情が微笑ましかったです。

人間は多かれ少なかれ周りの人間に影響されますが、アンドロイドはそういう周りによって自分が変わるっていうことはないのかなーと。でも他のロボットと何か違うタングは人間と同じで相手との関わりで変わる感情を持っている。周りに影響されすぎてダメになるパターンもありますが、人の良いところと悪いところを判断でき、良いところだけを盗んだりもできるのが人間。誰かの影響を受けるって、アンドロイドじゃ簡単に真似できない、人間が持ってる特別なものなんだなぁなんて思いました。

2021/02/25

ジャケ買いした一冊。アンドロイド(ヒューマノイド?)が家事を代行する近未来に、突如庭に現れたレトロなロボット・タング。臆病で人見知りなベンがタングを連れて、西へ東へ動き出す。本質はピュアだけど、こじらせ男子なベン。親の事故死がきっかけで、かわいそうな僕を後生大事に抱え込んで、丁寧にこじらせていった。繊細にもほどがある。タングとともに出た旅は彼にとっては刺激的で、衝撃的。タングを連れて変な趣味を勘繰られたり、お酒を飲んで失敗もするけど、そういうのすべて経験だ。経験と想像力と知識が増えたら、人生も楽しくなる。

2021/02/11

児童書というには、やや内容が大人向けだと思います。しかし、ベンとタングのやりとり・冒険の旅は、ぜひ子どもにも読んでほしい。

社会性が欠如しているベンが、タングとの旅を通して少しずつ他者のことを思いやったり生活能力を身に付けたり自分の本心に気付いたり。ポンコツロボットに見えて、賢いタングのおかげで変化していく姿を応援したくなります。
シャンパンのコルクにまつわるシーンは胸が切なくなります。最後まで切ないままでもよかったけれど。
しかし、新しい命との生活も楽しそう。

シリーズ化されていて、映画や舞台もあるとのこと。しばらくハマりそうな気がします。

2021/02/06

ダメ男とポンコツロボット・タングの珍道中。
ああ、何て幸せな読書。
守るべき存在や互いに認め合える存在の大切さ。それは男性的マッチョ価値観からの脱却かも知れない。きっと誰にもタング的存在が必要だ。

2021/01/27

ＡＩ（人工知能）の開発が進み、家事や仕事に就くアンドロイドが日々モデルチェンジする近未来のイギリス南部の村。弁護士として活躍する妻エイミーとは対照的に、親から譲り受けた家で漫然と過ごす三四歳のベン。そんな夫に妻は苛立ち夫婦は崩壊寸前。ある朝、ベンは自宅の庭で壊れかけた旧型ロボットのタングを発見。他のアンドロイドにはない「何か」をタングに感じたベンは、作り主を探そうと、アメリカへ。中年ダメ男とぽんこつ男の子ロボットの珍道中が始まった…。タングの愛らしさに世界中が虜になった、抱きしめたいほどかわいくて切ない物語。