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横浜 1963 の商品レビュー

3.6

18件のお客様レビュー

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2020/03/18

東京オリンピック前年1963年の横浜。無残な女性の遺体が発見され、外見は西洋人のハーフの警察官、ソニー沢田が担当する事になった。ある米兵将校に行き着くが、その逮捕はあまりにも無謀で、早々に捜査を打ち切られそうになる。日系三世の米軍SPショーン坂口はソニーの熱意にうたれた。人種差別...

東京オリンピック前年1963年の横浜。無残な女性の遺体が発見され、外見は西洋人のハーフの警察官、ソニー沢田が担当する事になった。ある米兵将校に行き着くが、その逮捕はあまりにも無謀で、早々に捜査を打ち切られそうになる。日系三世の米軍SPショーン坂口はソニーの熱意にうたれた。人種差別で辛い幼少期を過ごした2人。妨害もある中、その思いは犯人逮捕へと繋がるのか…?2人の「自分は自国からも組織からもアウトサイダーな人間だ」という心情がヒシヒシと伝わってくる。読み応えのある作品だった。

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2019/12/12

横浜生まれ横須賀育ちの自分でも、へーっと、言ってしまった分描写が、良い。 長者町、ベース、三笠を思い出した。

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2019/08/05

戦国時代がお得意の伊東潤さんによる、近代を舞台にしたミステリー。 東京オリンピック開催を翌年に控え、戦後の復興と戦後の景色が綯い交ぜになっている横浜。 見た目は白人のハーフだが日本人警察官のソニー沢田と、見た目は日本人だがアメリカ海軍憲兵隊のショーン坂口。 互いに身の置き場の無...

戦国時代がお得意の伊東潤さんによる、近代を舞台にしたミステリー。 東京オリンピック開催を翌年に控え、戦後の復興と戦後の景色が綯い交ぜになっている横浜。 見た目は白人のハーフだが日本人警察官のソニー沢田と、見た目は日本人だがアメリカ海軍憲兵隊のショーン坂口。 互いに身の置き場の無い人生を送ってきた二人が、連続女性殺人事件を追う。 戦前~戦後の時代、自分が何人か、どこの民族か、どの血を引いているのかというのはものすごく重要で、それが自分の身の置き場を決定し人生を決めるくらいの大きなことだったことはその時代を知らない私にも容易に想像出来る。 ましてや沢田は見た目は全くの白人だが日本生まれの日本育ち、母親は外国人相手の身を売る商売をしていた女で、それ故に子供時代からどこにいても疎外感をいだき続けている。その見た目を逆手に取って英語を独自に勉強し、その語学力で警察官になったが未だに自分の身の置き場のない辛さを味わっている。 一方の坂口は日系移民である祖父が、白人と日本人労働者との闘いに巻き込まれて命を落としたことから「白人には逆らわない」をモットーに生きてきた男。戦中もひたすらアメリカに忠誠を示し、日本人捕虜の尋問を担当するという辛い任務をこなして来た。 そんな二人が連続女性殺人事件、その容疑者がアメリカ海軍にいることを知りながらどうにも出来ないジレンマを抱えつつ、なんとかこれ以上の犠牲者を出さないためにタッグを組んで極秘捜査を行う。 伊東さんらしく読みやすい。アメリカ軍、引いてはアメリカ人に逆らえない日本社会、日本政府、日本人という当時の状況や、ハーフや日系人の置かれたどこに行っても疎外される状況を交えつつ、ずっと堪えてきた二人がこれだけはと懸命に闘う姿を描いているのが好感持てる。 ミステリーとしても一捻りあって工夫があったが、ラストはちょっといただけない。何となく薄ぼんやりとして解決してしまって、もう少しガッツリとことん書いてほしかった。そこはハードボイルドでもないし社会派ミステリーでもないのだから仕方ないことかも知れないが。 ただ個人的には沢田にはあの彼女と幸せになってほしい。この時代だけに色々ネックはありそうだけど。 見た目白人のハーフというと、五條瑛さんの鉱物シリーズに出てくる葉山を思い出す。鉱物シリーズのようにシリーズ化してみるのも面白いかも。どうも単発っぽいけど。

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2022/02/22

1963年横浜。東京オリンピックを翌年に控え戦後復興に沸き立つなか、横浜港で女性の他殺体が見つかる。腹部はネイビーナイフで切り裂かれ、爪には金髪が残っていたが、捜査員の前に立ちはだかるのは米軍の壁。 たとえ軍人が限りなく疑わしくとも政治的に日本の警察は捜査できず、犯人が本国に召還...

1963年横浜。東京オリンピックを翌年に控え戦後復興に沸き立つなか、横浜港で女性の他殺体が見つかる。腹部はネイビーナイフで切り裂かれ、爪には金髪が残っていたが、捜査員の前に立ちはだかるのは米軍の壁。 たとえ軍人が限りなく疑わしくとも政治的に日本の警察は捜査できず、犯人が本国に召還されるのを指をくわえて見ていなければならない現実。 戦後70年以上たったいま、その辺は真に解消されているのか・・・ 外見は白人にしか見えないハーフの警察官・ソニー沢田と、外見は日本人の日系三世の米軍SP・ショーン坂口が組織の壁を越えバディを組んで捜査を続ける。 二人に共通するのは、どちらもそれぞれの住む世界で疎外感を覚えてきたこと。日本人にも白人にも差別され、どちらのコミュニティの一員にもなれない疎外感。日本人のよそ者を阻害する意識と白人の絶対的な白人優位の意識。これも表面上はどうあれ、根っこのところは今もあまり変わってない気がする。 事件を縦糸として、二人の男の内面を横糸として織り込まれていく物語は、昭和の郷愁と人間の醜さを描いて切なくなる。 タイトルに自分の生まれた年が使われているので手に取った作品は、戦後日本の姿と、今も変わらない問題を浮き彫りにした社会派のミステリーでした。

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2019/07/15

今日ではハーフタレントの影響もあり、混血である事はこの本の中に書かれているほど珍しくはなくなった。しかし、好奇の目で見られたり学生時代等に嫌な思いをする人は多い。 この本に出てくる2人の人間、白人系、日本国籍のソニー沢田とアメリカ国籍の日系人、ショーン坂口も戦後の混乱から国が...

今日ではハーフタレントの影響もあり、混血である事はこの本の中に書かれているほど珍しくはなくなった。しかし、好奇の目で見られたり学生時代等に嫌な思いをする人は多い。 この本に出てくる2人の人間、白人系、日本国籍のソニー沢田とアメリカ国籍の日系人、ショーン坂口も戦後の混乱から国が立ち上がろうとしている時代においてそれぞれの肌の色、国籍、立場に悩みながら進んでいく姿と、そこに巻き起こった殺人というミステリー要素が加わって読み物としては楽しめるし、その当時の時代背景なんかも随所に盛り込まれていて、その時代を知らない人間にも引っかかりなく入る事ができた。 ただ、ラストがボヤッとしたまま終わってしまうのが個人的にはモヤモヤしてしまった。

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2019/04/10

東京オリンピック直前の横浜が舞台。敗戦の色を濃く残す横浜で連続殺人事件が起き、ハーフの警察官ソニーが捜査を始めるが。。。時代の割に読みやすくさくっと読めるけど、ストーリーはちょっと物足りなかった。

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2018/10/15

横浜を舞台に見た目は白人の日本国籍の刑事と見た目は日本人のアメリカ国籍の軍人が、共にoutsideとして苦しみ耐え抜いた環境を共鳴しながら、日本人女性の連続殺害を突き詰めていく。戦後、横浜でのアメリカ人の無法行為など細かい描写が時代背景をうまく浮かび上がらせ、自然とビジュアル化さ...

横浜を舞台に見た目は白人の日本国籍の刑事と見た目は日本人のアメリカ国籍の軍人が、共にoutsideとして苦しみ耐え抜いた環境を共鳴しながら、日本人女性の連続殺害を突き詰めていく。戦後、横浜でのアメリカ人の無法行為など細かい描写が時代背景をうまく浮かび上がらせ、自然とビジュアル化されます。

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2018/06/16

歴史小説作家によるミステリー。 こうやって作品の幅を広げていくことが、作家の寿命を伸ばしていくことになるのであろう。 我々も一つの事ばかりではなく、様々なことに挑戦し、スキルを増やしていく必要がある。 あっ……作品の感想ではなく、伊東潤さんの生き方から感じること、になってし...

歴史小説作家によるミステリー。 こうやって作品の幅を広げていくことが、作家の寿命を伸ばしていくことになるのであろう。 我々も一つの事ばかりではなく、様々なことに挑戦し、スキルを増やしていく必要がある。 あっ……作品の感想ではなく、伊東潤さんの生き方から感じること、になってしまった^^; もちろん、作品は面白かったです!

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2018/03/27

東京オリンピック開催直前の横浜には駐留米軍の影響が色濃く,その中でソニー沢田とショーン坂口が葛藤する物語だが,ソニーは白人そのものの容姿,ショーンは日本人の風貌で対照的.若い女性が殺害された事件をめぐって警察官のソニーが捜査で米陸軍のショーンを尋ねる.白人の潜在的な黄色人種に対す...

東京オリンピック開催直前の横浜には駐留米軍の影響が色濃く,その中でソニー沢田とショーン坂口が葛藤する物語だが,ソニーは白人そのものの容姿,ショーンは日本人の風貌で対照的.若い女性が殺害された事件をめぐって警察官のソニーが捜査で米陸軍のショーンを尋ねる.白人の潜在的な黄色人種に対する蔑視の意識の中で,厚い壁を乗り越えるために苦労して,キャンベルとエイキンスに焦点を絞ってソニーとショーンが暗躍する.当時の状況が目に浮かぶ記述が楽しめた.

Posted byブクログ

2018/02/19

2018.02.19 あのクリフサイドが出て来たわ。懐かしい!ケネディ暗殺もあって問題を投げかけている一冊だった。

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