脳・心・人工知能 の商品レビュー
脳の物理的な働きについての研究の歴史のほか、ニューラルネットワークなど数理モデルで脳の働きを解明を試みる最新の研究成果と、それを理論的な基礎とする現代の人工知能の取り組みを紹介。未来における「シンギュラリティ」の可能性や、「心」は脳と別に存在するのか、といったテーマにも迫る。
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脳というシステムの一部を数理で表現する,脳科学の一アプローチがまとめられる.これが現在の強化学習,deep learningに繋がる.最後に,脳科学への多様なアプローチに触れられており,世界地図の中での研究の立ち位置がよく見え,今後の本分野の発展が垣間見える.
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甘利俊一「脳・心・人工知能」読了。今年のノーベル物理学賞と化学賞が共にAI関連だった事に驚いた。そんな中、誤差逆伝播法の基礎となる多層パーセプトロンによる確率的勾配降下法を確立した先生の著書に惹かれた。脳を数理的な立場から研究した先生の強い意志と戦略性に感銘を受け心から励まされた...
甘利俊一「脳・心・人工知能」読了。今年のノーベル物理学賞と化学賞が共にAI関連だった事に驚いた。そんな中、誤差逆伝播法の基礎となる多層パーセプトロンによる確率的勾配降下法を確立した先生の著書に惹かれた。脳を数理的な立場から研究した先生の強い意志と戦略性に感銘を受け心から励まされた。
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https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000057406
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本書の前に、池谷裕一さんの「単純な脳、複雑な『私』」という本を読んだ。池谷さんは、薬学が専門で、その方面から脳科学を研究されていた。そして、本書の著者・甘利俊一さんは、数理工学という分野から脳科学を研究されていた。 池谷さんも著書の中で、「脳」の研究というと医学部だと思うだろうが、いろんな分野で研究しているんだと言われていた。医学部、薬学部、工学部、以外でも理学部、心理学の側面から文学部、など様々な角度から研究されているようだ。 本書の著者は、脳の働きを数式化して、それで解明していこうとされたのだと思う。「思う」というのは、本書の中にたくさん数式が書かれていたが、その内容についてはチンプンカンプンで、たぶんこんなニュアンスかなといった程度しか理解できなかったからだ。 脳の働きといっても個人や、その時の環境や、様々な条件で違うのだろうが、それを一般化して数式に表して、マクロ的に理解していこうというもののように自分は理解した。 だけどもそういう方法であっても、導き出された脳の特性や働きの理論は、他の角度の研究結果と全く矛盾するものではなく、ある考えの基礎となっていたり、あるいは補完していたりする。著者の初期の研究は、現在の脳科学の研究の先駆け的なものだったようだ。 著者は、若いころに数学の魅力に取りつかれ、そこからそれを脳科学の研究に応用し、本書を著した80歳(傘寿)の年齢まで、精力的に研究を続けてこられた。そして、本書はその傘寿の記念に、執筆されたようだ。 第一章では「宇宙誕生から脳をもつ生物が生まれ、さらに将来どうなっていくか」の歴史の語りからスタートしたが、最後のページでは、ご自身の「80年間の研究人生の歴史とこれから」について記されていたのが面白い。 2045年頃、人工知能が人間の能力を超えるだろうとする「シンギュラリティ」について、軽く述べられていたが、最後のほうでは、人工知能により研究が進み、例えばロボットにも心を持たせることが可能かというようなことに触れられていた。 人間が行う「先読み」と「後付け」の話は興味深かった。人は、情報をもとに先を予測して方策を講ずる(=先読み)。また人は、自分の選んだ行動を後付けで合理化する(=後付け)。 池谷さんの本にもあったが、実験の結果、アクションが先でそのあとに「アクションを行った」という意識が起こっているということが分かっており、これは行われたアクションに対し、人間が後から意味付け、合理化を行っているというものである。 こういう「先読み」や「後付け」の仕組みの研究が深まってくると、そういうことができるロボットを作れそうな気がしないでもない。人間と同じような行為を、コンピュータ上の高速計算で割り出し、行わせることが可能となるかもしれないと感じる。 反面、近いところまで行くが、越えられないような気もする。 本書の中に。AIと将棋のプロの対戦で、「角を成らない」手を人が打った時に、コンピュータが混乱して負けたという話が載っていた。そういう柔軟な発想ができるのが人間の心であって、その結果がなければAIは強く成れないような気もする。 それさえもできるものが2045年にできるのかどうかは不明だが、人間としては、人間優位でいてほしいという願望と、そうならないほうがよいとい危機感みたいなものがなんとなくある。
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AI関係で最近乱発されるようなキャッチーな本より、よっぽど読みやすく、かつ、内容が濃い(深い)。ブルーバックスらしい良書。
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人工知能(ディープラーニング等)を平易に解説した書籍。人工知能研究の第一人者である著者の研究歴にも触れられており、甘利ファン必見の一冊。
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甘利先生による脳と心の話。人工知能に関する前史から、ディープラーニングと基礎とこれからまでを平易に解説した良書。
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神経回路の数理研究の専門家による、脳のメカニズムや人工知能に関する本。数式など完全に理解できたわけではないが、脳のメカニズムや理論、人工知能についての解説は詳しく役に立った。脳の数理的研究の第一人者であり、日本の研究体制についての意見にも説得力がある。 「生命は自己複製、すなわ...
神経回路の数理研究の専門家による、脳のメカニズムや人工知能に関する本。数式など完全に理解できたわけではないが、脳のメカニズムや理論、人工知能についての解説は詳しく役に立った。脳の数理的研究の第一人者であり、日本の研究体制についての意見にも説得力がある。 「生命は自己複製、すなわち自分と同じものを作り出す奇妙な物質である」p16 「生命は揺らいでいる不確実な環境の中で自己を複製するが、ときに複製の誤りが起こる。誤ったものがより頑健で、この環境の中で生存に適していればこれが広まり、前のものは滅びていく。これが自然淘汰で、ダーウィンの唱えた進化論である。この仕掛けにより、生命体は発展していく。それも、驚くほど多様に発展していった」p17 「ニューロンは小さいものでは数μm(ミクロン)、大きいものでも100μmである。100μmであればこれは0.1mmであるから、我々の感覚で分かる範囲にある。コンピューターチップのトランジスターのゲートはいまや数十nm(ナノメートル)の世界に入ったから、脳の素子はコンピューターの素子と比べればとてつもなく巨大といえる」p29 「人間はありのままの情報を蓄えるのではない。必要な情報を再生して作り出す仕掛けを記憶する。これは大変な情報圧縮であるが、うまくいけば大変に融通が利き、あいまいなキーからでも情報を見事に作り出す。ただし、ときに作りすぎて勘違いがあったり、思い込みがあったりする。本人は嘘をついているつもりは毛頭ないのに錯覚することもある」p44 「大脳皮質は二次元に広がり、この上にニューロンがぎっしりと配置されている。ニューロンには多くの種類があり、皮質は6層に分かれている」p109 「脳は記憶そのものを蓄えるのではない。これを思い出すための仕掛けを蓄え、ヒントから復元すべき情報を作り出す。だからときには間違えるし、思い出せないことも起きる。思い違いだってある。その代わり、脳は柔軟である。間違ったヒントや曖昧なヒントからでも答えが出せる。多数のパターンを重ね合わせてしまうから、全体が茫洋としていてどの記憶事項がどこにあるのかわからない。しかし、並列のダイナミックスで働く分散した記憶が実現できるというわけである」p121 「海馬は短期の記憶を実現している」p121 「日本の学界がいまから世界の流行を追って、同じ土俵でgoogleなどと競うのでは、勝てるはずがない。予算の規模も何十倍も違うのである」p187 「(将棋の棋士対コンピュータ)2015年、プロ棋士に奇策がひらめいた。敵陣に突入した角が成らないという、前代未聞の一手である。角は成って損はなくて得するだけであるから、「角不成」という手は常識的にはあり得ない。でもルール違反ではない。コンピュータはこの「あり得ない手」に混乱した。かくてプロが勝利し、コンピュータはあえなく敗れた」p191
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数理工学で脳と心を探求する。 2022.02.04. 再読。以前より内容を理解できたように思う。数理で脳をひも解く面白さが感じられた。 2024.12.15. 再再読。甘利先生の本は興味深い。でも数式が多いところは斜め読み。
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