科学の発見 の商品レビュー
科学的 この言葉をつけるだけであらゆる理論は尤もらしくなる。ビジネスの世界でも、特に文系の人を黙らせる、或いは思考停止に持っていくキラーワードだ。 では科学的とは何か? これは科学哲学の問いだが、この本の著者はホンモノの物理学者。しかもノーベル賞受賞者。彼が言う科学的とは、...
科学的 この言葉をつけるだけであらゆる理論は尤もらしくなる。ビジネスの世界でも、特に文系の人を黙らせる、或いは思考停止に持っていくキラーワードだ。 では科学的とは何か? これは科学哲学の問いだが、この本の著者はホンモノの物理学者。しかもノーベル賞受賞者。彼が言う科学的とは、実際に世界を理解することに貢献するかどうかである。科学哲学では、もっと正確に定義しようとするが、著者は物理学者なので、そんなことはどうでも良い。むしろ、科学哲学の議論を小馬鹿にしている。そうではなく、歴史を振り返り、どうやって理解が進んだか?どんな方法、思考が科学の進歩に役立ったのか?を冷静に分析する。そこには、当時だからしょうがない、といった妥協はない。どんなに今の理論に近かろうと、そこに観測・仮説・検証のプロセスがなければ、ただの空想である。 このような考えのもと、ギリシャ時代からの自然哲学、天文学、数学のさまざまな発見・進歩を丁寧に解説しながら、方法論について辛口コメントを入れる。そして、ついにニュートンによって現代の科学的方法は確立し、そこから科学が大きく発展することになる。 本書は科学的方法がテーマであるが、科学史としても一級である。天文学がどのように地上の運動とつながったのか、数学の果たした役割、自然を説明できた喜び、などなど当時の知的好奇心の熱が伝わってくる。また巻末にはテクニカルノートとして、当時の理論を数学的に説明しており、こちらも高校数学で理解できる範囲で面白い。
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正直、読みにくかった。 何故だろう。 文章のせいか、翻訳のせいか、内容のせいか。 読んで、興味を惹かれる部分もあるけれど、書き方が平板かなぁ。
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ノーベル賞を受賞した物理学者が書いた科学史。古代ギリシアにおける物理学・天文学の発展からアリストテレス、プトレマイオス、ローマ帝国時代、アラブ世界へ。コペルニクス、ケプラー、ガリレオと進んで革命者ニュートンが登場する。ワインバーグの歴史に関する博識と、文章のわかりやすさにびっくり...
ノーベル賞を受賞した物理学者が書いた科学史。古代ギリシアにおける物理学・天文学の発展からアリストテレス、プトレマイオス、ローマ帝国時代、アラブ世界へ。コペルニクス、ケプラー、ガリレオと進んで革命者ニュートンが登場する。ワインバーグの歴史に関する博識と、文章のわかりやすさにびっくりしました。 ワインバーグの視点は、今から見ると間違ったこともあるけど、それぞれの時代の知識で解明できることとそうでないことを見極めること、また、自分の考えや理想に理論を合わせるような科学的でない態度は許せない、ということかなと思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
原題:to explain the world; the discovery of modern science ☆現代の科学の基準で過去を裁くして論争になったもよう。ここで、科学とは、自らの論理を観測・実験によって検証し、さらに論理を発展させることのようだ。 ☆結局、この本では、科学とは何かを問うているのであろう。
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・世界はわれわれにとって、満足感を覚える瞬間という報酬を与えることで思考力の発達を促すティーチングマシンのような働きをしているのである。数世紀かけて、われわれ人類は、どんな知識を得ることが可能か、そしてそれを得るにはどうすればいいかを知った。われわれは、目的というものを気にかけな...
・世界はわれわれにとって、満足感を覚える瞬間という報酬を与えることで思考力の発達を促すティーチングマシンのような働きをしているのである。数世紀かけて、われわれ人類は、どんな知識を得ることが可能か、そしてそれを得るにはどうすればいいかを知った。われわれは、目的というものを気にかけなくなった。そんなことを気にかけていては、求める喜びには決して到達できないからである ・「科学」の基本を満たしているものを積極的に評価する。それは、自らの論理を観測・実験によって検証し、それによってさらに論理を発展させていく、ということである
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科学、物理、哲学、宗教などとの結びつきがわかる。物理の話は文系学部出身には少し難しいが、読んで損はないと思う。
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アリストテレスは何かと賢人として持ち上げられるが、その主張はなにかしっくり来なかった。ものには目的があるといわれてもまあ、そういう見方もしてもいいかくらいの説得力しか私にはなかった。 それはアリストテレスの理論が科学ではなかったからだ。 プトレマイオスの天動説は理論としては間違い...
アリストテレスは何かと賢人として持ち上げられるが、その主張はなにかしっくり来なかった。ものには目的があるといわれてもまあ、そういう見方もしてもいいかくらいの説得力しか私にはなかった。 それはアリストテレスの理論が科学ではなかったからだ。 プトレマイオスの天動説は理論としては間違いだったことがはっきりしているが、当時の観測結果には則しており科学としては妥当なものだった。むしろコペルニクスの地動説は未熟さゆえによく天体を説明できなかった。 理論をたてて観察によって実証するプロセスは普遍的な知にとって不可欠だ。
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基本的な数学等を学んでこなかった自分には難しすぎた・・・ただ、大事なのは正しいとか間違いというよりも、その答えに達するまでに自分の考えだけでなく、しっかりと検証して論理的に答えを導きだそうということが大事であるということ、著者は言っているような気がする。。。
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アリストテレスなとギリシャの古代科学からニュートンまでの現代科学以前を、現代科学の視点でズバズバ評論するって小気味よさを期待してたけど、海外の科学者の書く文章に典型的な、無駄に注釈的な説明を詰め込み、カッコ書きで気の利いたふうな皮肉めいた合いの手(例えばこんなふうな!)が入り、と...
アリストテレスなとギリシャの古代科学からニュートンまでの現代科学以前を、現代科学の視点でズバズバ評論するって小気味よさを期待してたけど、海外の科学者の書く文章に典型的な、無駄に注釈的な説明を詰め込み、カッコ書きで気の利いたふうな皮肉めいた合いの手(例えばこんなふうな!)が入り、とにかく読みづらい。なんでもっと無愛想に書けないのだろうか?
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ノーベル物理学賞受賞者による科学史. 本のこしまきの「本書は不遜な歴史書だ」ばかりが強調されるきらいはあるが,(あたりまえだが)至極まっとうな本である.ワインバーグは,世界の探求の方法を人類が獲得するまでの困難を描き,それを獲得した時の喜びを描く. ふつうなら退屈なギリシャ,アラ...
ノーベル物理学賞受賞者による科学史. 本のこしまきの「本書は不遜な歴史書だ」ばかりが強調されるきらいはあるが,(あたりまえだが)至極まっとうな本である.ワインバーグは,世界の探求の方法を人類が獲得するまでの困難を描き,それを獲得した時の喜びを描く. ふつうなら退屈なギリシャ,アラブの科学史が面白く読めるのはまさにこの姿勢が徹底されたことによるし,ワインバーグが情熱をこめて描く科学革命,とくにニュートンの科学は,なかなか感動的. アメリカではこの本について論争が起こったそうだが,日本でも科学哲学者とか,デカルト研究者とかアリストテレス研究者がこの本について討論するのを聞いていみたい.
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