1,800円以上の注文で送料無料

国家はなぜ衰退するのか(下) の商品レビュー

3.8

34件のお客様レビュー

  1. 5つ

    7

  2. 4つ

    15

  3. 3つ

    9

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2026/04/10

上巻で総論を述べて、歴史をたどりながら具体例を検証していく。その具体例に目新しさや意外性があるのでよいが、骨子の部分は上巻から繰り返しである。 ボツワナの3酋長の話など、まったく知らなかったけど感銘を受けた。 セシル・ローズの魔の手から逃れるため、19世紀末にロンドンを訪れてイ...

上巻で総論を述べて、歴史をたどりながら具体例を検証していく。その具体例に目新しさや意外性があるのでよいが、骨子の部分は上巻から繰り返しである。 ボツワナの3酋長の話など、まったく知らなかったけど感銘を受けた。 セシル・ローズの魔の手から逃れるため、19世紀末にロンドンを訪れてイギリスの保護領になることを訴えて実現した話。ある種の民主政を保持したままで1960年代に独立を果たし、その後にダイヤモンドが見つかっても首長やその一族が独占するのではなく国営にして、それを財源にしてインフラを整備したという。 フランクリン・ローズベルトが裁判所(連邦最高裁)を意のままにしたくて裁判官の定年制と大統領が後任判事を6人まで指名できるようにする、裁判所改革を計画した話も知らなかった。 当時のローズベルトはニューディールの最中で圧倒的な支持を得ており、議会との連携もスムーズで、裁判所だけが邪魔だった。議会の賛同を得られると考えていたようだが、議会はその計画に反対して裁判所の独立を維持した。 アメリカでは人気のある大統領が「思うままに振る舞えるようにする」ことが国民の信頼に応えることだと考える事例がチョクチョク発生するが、彼はそんなに不自由ではなかったと思うのだけど。 ただまあ、戦中だからといって3選を実現した人物なので意外ってわけではない。 最終盤で、中国の現在の繁栄は持続性がないということを書いている。これは上巻でも少し述べていたのだが、本書のキモになる予測なので締めにもってきたのだろう。 改革・開放路線を評価しつつの結論なので、名指しこそしないものの現体制への批判なのだろう。 下巻も読んできて、興味深い内容が多いのは間違いないが、でもやっぱり現状追認的という印象は残る。ある意味ではエコノミストの果たせる役割について謙虚なのかもしれない。

Posted byブクログ

2026/03/31

本書には包括的な経済制度と収奪的な経済制度という二つの制度の対比がよく出てくる。収奪的制度は多数の持つ資源を少数が搾り取る構造で、所有権を保護しないし、経済活動へのインセンティヴも与えない。収奪的政治制度は権力を少数の手に集中させるため、その少数が自らの利益のために収奪的経済制度...

本書には包括的な経済制度と収奪的な経済制度という二つの制度の対比がよく出てくる。収奪的制度は多数の持つ資源を少数が搾り取る構造で、所有権を保護しないし、経済活動へのインセンティヴも与えない。収奪的政治制度は権力を少数の手に集中させるため、その少数が自らの利益のために収奪的経済制度を維持・発展させることに意欲を燃やし、手に入れた資源を利用して自分の政治権力をより強固にする。ただ一つ注意なのは絶対主義だけが収奪的政治制度の唯一の形態ではないし、工業化を阻む唯一の要因でもない。包括的な制度とは政治権力を幅広く多元的に配分し、ある程度の政治的中央集権化を達成できて、その結果、法と秩序、確実な所有権の基盤、包括的市場経済が確立されるような制度だ。包括的な経済制度と政治制度のあいだの正のフィードバックは、収奪的な制度と比べてより公平な資源配分を実現させる。奴隷や農奴制といった最もひどい収奪的経済関係を排除し、独占の重要性を減じ、活力に満ちた経済を作り出す。国家が衰退するのは、収奪的な政治制度に支えられた収奪的な経済制度を持つときだ。収奪的な政治制度は経済成長を鈍らせ、妨害さえするからである。われわれが理解しなければならないのは、一部の社会の政治が経済成長を促す包括的制度に至る一方で、歴史上の大多数の社会における政治が、経済成長を妨げる収奪的な制度に至った、そしていまなお至るのはなぜかということだ。収奪的な経済制度のもとで技術的変化が続かない理由は二つある。すなわち、経済的インセンティブの欠如とエリートによる抵抗である。権力を握るグループ≒エリートは往々にして、経済の発展にも繁栄の原動力にも抵抗するのである。経済成長は変化を生んで状況を不安定にする創造的破壊のプロセスでもあるのだ。創造的破壊への恐怖は、成長を鈍化させる。成長が進むのは、みずからの経済特権の喪失を心配する経済的敗者によって、またみずからの政治権力の毀損を恐れる政治的敗者によって、成長が阻止されない場合に限られるのである。包括的な政治・経済制度は、一定の政治的中央集権制を必要とする。富裕国が豊かなのは、主として、過去300年のいずれかの時点で包括的な制度を発展させることができたからだ。国家が破綻するのは地理的、文化的原因のせいではなく、収奪的制度を受け継ぐせいであり、そうした制度によって権力と富が国家の指導者の手に集まるために騒乱と闘争と内戦へ向かうせいだ。つまり、こんにち国が破綻するいま一つの理由は、国家体制の破綻にある。それはまた、収奪的な政治・経済制度のもとでの何十年にもわたる支配の結果なのだ。国家の政治的・経済的衰退の解決策は、収奪的制度を包括的制度に変える事だが、それは容易ではない。詳細→ https://takeshi3017.chu.jp/file11/naiyou36801.html

Posted byブクログ

2026/03/14

情報量が多くて読むのに苦労した。 でも国がどのような要因で豊かになったり、衰退したりするのかがよくわかった。 今の日本が衰退している理由もよく理解することができた。この流れを押し返すには広範囲に協調して、足掻き続けるしかないということも。 とても勉強になる1冊だった。もう一度読...

情報量が多くて読むのに苦労した。 でも国がどのような要因で豊かになったり、衰退したりするのかがよくわかった。 今の日本が衰退している理由もよく理解することができた。この流れを押し返すには広範囲に協調して、足掻き続けるしかないということも。 とても勉強になる1冊だった。もう一度読み直してみたいと思う。読み応えもかなりあるので、読み通せるか自信はあまりないけれど。

Posted byブクログ

2026/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

国家はなぜ衰退するのか(上)(下)を読了。 国家の繁栄は文化でも地理でもなく「制度」で決まるという大胆な主張。包括的制度と収奪的制度という枠組みで世界史を読み直す一冊。 読んで感じたのは、日本も例外ではないということ。制度は永遠ではない。企業の人事制度や政治の意思決定構造もまた、包括的かどうかが問われているのではないか。 国の未来を本気で考える人に薦めたい。

Posted byブクログ

2025/12/24

国家の様態をこれだけで分類して分析しているのは非常に面白かった。 ここまで綺麗に分類できても歴史は繰り返す…

Posted byブクログ

2025/11/22

下巻になると例が増えるガ、主張は繰り返しかつ一貫しており、収奪的な制度の下にある国は発展しない、あるいは一定の発展はあるが限界学力あるというもの。

Posted byブクログ

2025/10/29

『現代において国家が衰退するのは、国民が貯蓄、投資、革新をするのに必要なインセンティヴが収奪的経済制度のせいで生み出されないからだ。収奪的な政治制度が、搾取の恩恵を受ける者の力を強固にすることで、そうした経済制度を支える。状況によって詳細は異なるものの、国家の衰退の根底には、つね...

『現代において国家が衰退するのは、国民が貯蓄、投資、革新をするのに必要なインセンティヴが収奪的経済制度のせいで生み出されないからだ。収奪的な政治制度が、搾取の恩恵を受ける者の力を強固にすることで、そうした経済制度を支える。状況によって詳細は異なるものの、国家の衰退の根底には、つねに収奪的な政治・経済制度がある。』 各国の収奪的政治や制度の誕生の仕方や続き方は様々だが 結局貧困や衰退や土地や情勢による自然発生ではなく人の選択の連続で起こるものであることがわかる。きっとこれからも人類はこういうことを繰り返していくのだろうと思った。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    

Posted byブクログ

2025/10/09

中央集権から民主制・包括的制度、財産権の保護・経済の環流を促進する方向へ向かうと国家は繁栄する。反面寡占性・上部エリート層の権力抗争によってその国を支配する上部エリートにとって効率的な経済を持たないインセンティブの方が上回ってしまうと技術開発と経済の環流が停滞し、衰退の道を歩む。...

中央集権から民主制・包括的制度、財産権の保護・経済の環流を促進する方向へ向かうと国家は繁栄する。反面寡占性・上部エリート層の権力抗争によってその国を支配する上部エリートにとって効率的な経済を持たないインセンティブの方が上回ってしまうと技術開発と経済の環流が停滞し、衰退の道を歩む。寡占的エリートは現状維持近視眼的視野のため一般1、自分たち7の分け前に固執し経済発展による一般7、自分たち14の分け前になる視点を持ち得ないためこういう事態に陥る。概ね近代化に失敗した場所は人種や風習ではなく、イノベーションの発展による恩恵を収奪や絶対権力・社会的不均衡・大航海時代の奴隷貿易等によって故意に抑えられてきたことによることの方が大きい。

Posted byブクログ

2025/08/11

下巻では上巻で議論した理論を現代の政治経済にあてはめ、なぜ衰退の道を進んでしまう国が制度を変えることができないのか、といった構造的な壁についての議論。エジプトやジンバブエのような権力者が短期的な利益を守るために制度改革を阻む悪循環もあれば、中国の急成長を収奪的制度でも短期的に繁栄...

下巻では上巻で議論した理論を現代の政治経済にあてはめ、なぜ衰退の道を進んでしまう国が制度を変えることができないのか、といった構造的な壁についての議論。エジプトやジンバブエのような権力者が短期的な利益を守るために制度改革を阻む悪循環もあれば、中国の急成長を収奪的制度でも短期的に繁栄は可能としつつも、制度改革が伴わなければ持続不可能との議論もあり、危険と繁栄が包括的制度を挟んで隣り合わせたような印象も受ける。本書の伝えたいことは、変化は困難だが不可能ではないという希望が残り、それを左右するのは制度の質と包摂性であるというメッセージかと思う。

Posted byブクログ

2025/07/30

メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1950533663395115111?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

Posted byブクログ