帰ってきたヒトラー(上) の商品レビュー
あのヒトラーが自殺直前のまま、現代に蘇るという設定で始まるコメディ小説。 コメディとはいいつつも、タブーぎりぎりの発言が出たり、風刺が効いていたりと問題作と言われるのが納得の作品です。 前半はヒトラー復活から、芸人としてテレビ業界に進出するまで
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コメディではない。風刺である。 タイムスリップしたヒトラーが現代文明を勘違いして巻き起こす騒動...だったら駄作になっていたと思う。 本作のヒトラーは誇大妄想のドンキホーテではなく、自分自身を「すでに総統ではなくなっているが、総統になる途上にある人物」と認識しており、復権に向...
コメディではない。風刺である。 タイムスリップしたヒトラーが現代文明を勘違いして巻き起こす騒動...だったら駄作になっていたと思う。 本作のヒトラーは誇大妄想のドンキホーテではなく、自分自身を「すでに総統ではなくなっているが、総統になる途上にある人物」と認識しており、復権に向けて着々と行動している。 彼は、世間から見れば「ヒトラー芸のコメディアン」だが、本人の視点では「マスメディアを通じて国民に影響力を及ぼしている段階」であって、世間の評判などは意に介していない。彼の中では1930年代の大衆も2011年の大衆も本質は変わっておらず、「以前、成功しかかった(「過ち」とは認識していない)道のり」を、現代のツールを使い、過去の経験を踏まえて、忠実な腹心と利用できる同調者を見極めながらリトライしている。 周囲の人物は、彼を過去の「アドルフ・ヒトラー」としては受け止められず(彼は1945年に死んだのだから)、「ヒトラー芸のコメディアン」として理解している。やがて「影響力、すなわち集票力のある人物」として既存政党の接触が始まる。そして、かつての人寄せパンダは「何事かをなそうとしている人間」になり、周囲も彼の主義主張と利害が一致する「支持者」や「崇拝者」に変わっていく...。 彼にとって状況は「二周目」であり、しかも民主主義のルールは変わっていないのである。 風刺というよりはホラーなのかもしれない。
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表紙イラストが秀逸だが…『帰ってきたヒトラー』という題名を視る以前に「ヒトラーの何か?」と思った…が、これは現代の世界を舞台にした、或る種のコメディーの小説で、非常に興味深い作品だった。 これはドイツで登場し、じわじわと話題になってベストセラーということになり、ドイツ語圏に留ま...
表紙イラストが秀逸だが…『帰ってきたヒトラー』という題名を視る以前に「ヒトラーの何か?」と思った…が、これは現代の世界を舞台にした、或る種のコメディーの小説で、非常に興味深い作品だった。 これはドイツで登場し、じわじわと話題になってベストセラーということになり、ドイツ語圏に留まらずに多くの国々で翻訳されているのだという。
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文庫本になるまで待ってやっと購入、積ん読しているうちに映画を先に観てしまった。ちょと難しいから本の方にはなかなか手がのびず。だめなパターン。
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面白くて一気読みです!!ヒトラーが現代にタイムスリップ。噛み合わないようで何故か微妙に表面上噛み合ってく蘇ったヒトラーと現代人の会話に笑い、物語のなかのヒトラーが言う言葉や考え方に妙に納得しちゃうことも。続けて下巻読みます!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これはおもしろい。アドルフ・ヒトラー本人が死亡する瞬間に2011年現代にタイムスリップしてしまうというSF。ドイツの現在の文化や風俗を体験的に理解しているともっと面白いのだろうな、と思う。が、現代一般知識(例えばトルコ移民問題だとか€問題とか)と義務教育社会の教科書レベル知識で十分楽しめる。彼が現代に出現したらこんなに簡単に適応するだろうか?今だからこそあっという間に支持されそうな気がしてしまうのが、しみじみ肝が冷えますねぇ。 下巻が非常に楽しみ。
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単行本が発売されたときから読みたく、早く文庫化されないかなと待っていた本書。 わたしの興味があるワードベスト5に入る『ヒトラー』。 これがタイトルに入っていて読みたくならないわけがない。 文庫化されたという情報を耳にするや本屋さんへ急ぐ。 どこだどこだと探したら、帯に映画化とある...
単行本が発売されたときから読みたく、早く文庫化されないかなと待っていた本書。 わたしの興味があるワードベスト5に入る『ヒトラー』。 これがタイトルに入っていて読みたくならないわけがない。 文庫化されたという情報を耳にするや本屋さんへ急ぐ。 どこだどこだと探したら、帯に映画化とある。へえ、映画化されるんだ。 ヒトラーが突然現代に蘇った。 周囲はヒトラーだとは思わず、ヒトラーの扮装をするコメディアンと思ってしまう。 こう始まり上巻は予想通り現代に蘇ったヒトラーとそうは思わない人々との間で起きる様々が面白く描かれている。 このままコメディで終わるはずはないので下巻でどのように現代を風刺させるか、どのように結末へ運ぶのかが楽しみなところ。 ドイツではタブー視されるヒトラーやナチスを敢えてドイツ人である作者が作品にするところが素晴らしい。 日本人にはなかなか出来ないことだと思う。 日本人は戦争の悲惨さは語るが、あくまでも被害者であろうとする。日本人が行った非人道的行為もきっとあったはずで、そこも含めて考えることが肝要だ。 面白く戦争についてのきっかけを提供する本だと感じた。 下巻へ。
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良く出来てる。日本では現代に蘇るのが宮本武蔵だったり、あるいは自衛隊を過去に送り込んだりしてるが、これをドイツで出せるってのは良い意味でタブーが無いんだろうな。名前を出すのも題材にするのもダメ、っていう言葉狩り的な思考停止に陥ってないのは羨ましい。どのように風呂敷を畳むのか。
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