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マクニール世界史講義 の商品レビュー

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2024/06/29

著者は、世界史は生物圏全体に影響を及ぼす出来事の中に埋め込まれていると論考している。文献研究を中心とする従来の歴史研究から視点を変え、主にミクロ寄生、マクロ寄生というキーワードから世界史全体を俯瞰している。 ミクロ寄生は人体に侵入してひとの個体群をすりつぶす地獄の石臼、マクロ寄生...

著者は、世界史は生物圏全体に影響を及ぼす出来事の中に埋め込まれていると論考している。文献研究を中心とする従来の歴史研究から視点を変え、主にミクロ寄生、マクロ寄生というキーワードから世界史全体を俯瞰している。 ミクロ寄生は人体に侵入してひとの個体群をすりつぶす地獄の石臼、マクロ寄生は人類の大多数にのしかかる地上の石臼だ。ミクロ寄生は農耕や牧畜の開始とともに人類史に大きな影響を及ぼし続けたが、近代における疫学の発達によりその均衡が崩れている。マクロ寄生は人間の集団や階級間の搾取関係に例えられる。狩猟採集から農耕・牧畜の生活へ移行することに伴う富の不均等の発生し、都市化、職業の専門化等により変質する過程を捉えている。

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2024/01/08

途中で呆れて読むのをやめた。先住民と、かれらに対してとられた酷な政策を無視して、「技術的に劣ったほうが優ったほうに勝ろうとする、この原則のうちに社会は革新されてきた」とは……。まったく異なる文明というものを無視していないだろうか?

Posted byブクログ

2021/05/08

世界史というふろしきを広げて、人類という僕たち、文明という社会の姿をその上で描いてみる。 自分がいる社会、隣りにある社会、これまでにないフロンティアとして見出された社会。 その関わり方、その中での立ち方、振舞い方。文明的な、疫学的な序列、強弱のためのバランスによって、それぞ...

世界史というふろしきを広げて、人類という僕たち、文明という社会の姿をその上で描いてみる。 自分がいる社会、隣りにある社会、これまでにないフロンティアとして見出された社会。 その関わり方、その中での立ち方、振舞い方。文明的な、疫学的な序列、強弱のためのバランスによって、それぞれの存在が強められ、弱められ。飲み込まれながら、大きな形となっていく。 寄生している。確かに、人も社会も、寄り掛かることでしか成り立たないことは明らかで。 どんなヒエラルキーも、人間の関係も、強弱という姿が表面に表れているとしても、そのどちらもがなくてはならないものとして成り立っている。マクロでもミクロでも、その俯瞰した視点は世界というものを語るときに必要なもののような気がする。 歴史というものを切り取れば、同じことを繰り返して、あたふたとひとり足掻き続けている、変わることのできない人類、根本的には本能的にしか舵をきれない人類、みたいな滑稽な姿が浮かんでくるような気分に辿り着くけれど、それはたぶん想像力が足りないんだろう。 歴史が示すダイナミズムの中で、たくさんの破錠を超えて、刷新した姿を表してきた人類というもののエネルギーを確かに感じ、未来にもう1度振り向くことが必要なんだと思う。 'この事実を強調し、地球上にこれほど不安定でありながらも壮大に広がる生命体の網の目の一部としての人間の画期的な記録に対する理解を深めることが、今回の講義の目標であり、目的です。お話してきたような人間を取り巻く状況に対する展望が陰鬱で、決定論的で、魅力がないように見えるとしたら、私は残念に思います。私自身はまったく逆の感じ方をしていて、私自身を含む人類と他の生命体との密接な関係を認識することで、一種の高揚感を感じています。社会的相互作用、言語が持つ象徴的な意味、人間の知性は、私たち自身のために、そしてこの地球を共有するすべての動物や植物のために、他の面では見栄えのしないヒトという種に、その身が置かれた環境を何度も何度も変化させることを許したのです'

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2021/05/03

歴史の流れを概観するにはコンパクトかつ専門用語があまり出てこないのでわかりやすいのだと思いました。 ただ、講義録ということもあり、用語の定義が明確でないところも多いのが気になりました。 例えばフロンティア論では、何気なく『価値』や『技能』という言葉が出てきますが、これは資本主義的...

歴史の流れを概観するにはコンパクトかつ専門用語があまり出てこないのでわかりやすいのだと思いました。 ただ、講義録ということもあり、用語の定義が明確でないところも多いのが気になりました。 例えばフロンティア論では、何気なく『価値』や『技能』という言葉が出てきますが、これは資本主義的な生産性を指しているのだろうか?などと考えながら読みました。 読み物としては面白いと思いましたが、当然ですが教科書的なものではなく、著者の歴史観によるものだという認識で読む必要があると思いました。

Posted byブクログ

2021/02/23

グレートフロンティア章が読みやすい。 ヨーロッパで発生した人工構造の変化が、大規模な人口移動を生み出し、世界地図を大きく塗り替える結果になった。って話。

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2020/07/07

複雑な人類の歴史を理解するには歴史の見方が必要だ。ベストセラー「世界史」で知られるウィリアム・H・マクニールは「フロンティア」「感染症」「マクロ寄生」という三つの観点から壮大なる人類の歴史を繙いていく。「世界史」よりはだいぶ短くまとまっているが世界史の好きな人以外にはつまらなく感...

複雑な人類の歴史を理解するには歴史の見方が必要だ。ベストセラー「世界史」で知られるウィリアム・H・マクニールは「フロンティア」「感染症」「マクロ寄生」という三つの観点から壮大なる人類の歴史を繙いていく。「世界史」よりはだいぶ短くまとまっているが世界史の好きな人以外にはつまらなく感じるかもしれない。一般人向けではない感じ。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou28502.html

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2019/09/02

フロンティア論、伝染病、アメリカ原産農作物、ミクロ寄生とマクロ寄生、繰り返す政治や経済の破綻。 講義録で口語調だが、いまいち主張しているところがよくわかりにくかったりする。

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2019/07/31

有名な「世界史」とは直接関係なく、マクニールの特別講演をまとめたもの。 文明の発展の差異が、動物相、植物相、大陸の大きさによる民族の交流によって生じたというのはジャレド・ダイアモンドの有名な主張だが、感染症や文明の伝播という視点は歴史家にとっては昔からあるものだったのだろうと感...

有名な「世界史」とは直接関係なく、マクニールの特別講演をまとめたもの。 文明の発展の差異が、動物相、植物相、大陸の大きさによる民族の交流によって生じたというのはジャレド・ダイアモンドの有名な主張だが、感染症や文明の伝播という視点は歴史家にとっては昔からあるものだったのだろうと感じた。

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2019/01/27

随分前に読んだのでうろ覚えだけど、歴史の入門書的な本だった印象があって、読んでいて面白かった。よく聞く気もするけど、歴史はたしかに交流と衝突の繰り返しでもあるのかもなぁ・・・。

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2017/06/24

マクニール世界史講義 基本的に疫病に対する免疫力の違いという観点で世界史を眺めている。疫病への耐性をミクロ寄生、人間同士の支配関係をマクロ寄生という形で考え、疫病に対する耐性の変化や社会における支配関係の変化を歴史の潮目と捉えている。そうすると、歴史における最初の潮目は人間が食...

マクニール世界史講義 基本的に疫病に対する免疫力の違いという観点で世界史を眺めている。疫病への耐性をミクロ寄生、人間同士の支配関係をマクロ寄生という形で考え、疫病に対する耐性の変化や社会における支配関係の変化を歴史の潮目と捉えている。そうすると、歴史における最初の潮目は人間が食物連鎖の頂点に立ったことであり、そこから人間同士の戦いが始まる。マクロ寄生に関しても、都市化による職業の専門化や、支配階級が聖職者から軍人に変化することなどが基本的な歴史の転換点として考えられる。ハードな支配関係の最たるものとして帝国が誕生し、11世紀ごろから商業的変容によって帝国の官僚的な管理体制と商業システムにおける均衡的な管理体制への移り変わりが全体的にみられる。この変化は長期的には起こるものだが、勿論その反対に人類は11世紀以降も帝国化の欲望とその危機にさらされてきた。15世紀の大航海時代以降もミクロ寄生という観念は機能している。アメリカ大陸の原住民がいとも簡単にヨーロッパに席巻されてしまった理由の最たるものとして、ヨーロッパ人が持ち込んだ疫病に対する免疫の無さが挙げられ、病原菌が世界史の中で持つ重要性に気づかされる。戦争技術の発達という表層的かつ近視眼的な変化に目を奪われることは多々あるが、人間自体がウイルスに対してアップデートされていくという長期的な変化に注目することをマクニールは教えてくれる。生物にも成長と老化という免れない宿命があるように、その生物が作るシステムや歴史にもその宿命がある。歴史の破綻は免れず、しかし、その破綻をもってして新たな成長が生まれる。歴史におけるとても大きな流れを、この本は体感させてくれた。

Posted byブクログ