現代詩人探偵 の商品レビュー
あとがきを読んで、これはミステリだったのか!と驚愕した。書いていて、シンドい物語だったろうと思った。生き続けていくことも、死を選ぶことも、どちらも、もっと苦しい、とは思ったものの、細かく繊細に織り上げられていく情緒が音叉みたいに響く。
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文節が慣れないところで切れるので、読みにくさは否めない。でもそれは迷い惑いながら書かれたことの証左のようで。著者がこの物語を書ききることへの躊躇を、その変に区切られた文節に乗せたようで。 本作では詩人に限定されているけれど、作家と呼ばれる全ての人たちへ思いを馳せずにはいられなかっ...
文節が慣れないところで切れるので、読みにくさは否めない。でもそれは迷い惑いながら書かれたことの証左のようで。著者がこの物語を書ききることへの躊躇を、その変に区切られた文節に乗せたようで。 本作では詩人に限定されているけれど、作家と呼ばれる全ての人たちへ思いを馳せずにはいられなかった。書くことは、書いて生きるということは、こんなにも過酷なことなのですか、と。 そして読む側である私は、書いて生きるということがつらく苦しいばかりでなく、書く側にとっての救いであるようにと願ってしまう。読むことを楽しむ側にしかなれなかった身勝手さで。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
・『現代詩人探偵』読んだ。「どうしてとかなんのためとか、そんなの本当はどうでもいいらしいよ。/でも、考えてしまうね」と綴ったあとがきは感傷的で狡い。作家が「創作」を描くとき、そこにはどうしようもなくメタ的なものが伴ってしまうのだと思った。伴わなくても、そう読まれてしまうのだと思った。 ・死を描き続けた人間は、その死に意味を探される。まるで自らの作品に語られるみたいに。あんまりだと思う。 (…読了直後のツイートより) これは作者のことばだろうか、それとも作中人物である「僕」のことばに過ぎないのだろうか、と悶々と考えさせられる。作家、あるいは創作を行う人間が「創作」を描くというのは、そういうことなのだろうと思う。ならば曲がりなりにも創作を行う側の人間である自分がこれを読むときに、「そういう」読み方をして感傷に浸らされることもまた否応のないことなのかもしれない。 作者が作品を作ると同時、作品は作者を語るし、縛りつける。フィードバックするのだと思った。作品の中に死を探り続けた作者が、自身の死に意味を探られてしまうように。
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