ミナトホテルの裏庭には の商品レビュー
なかなか面白かったです。 設定が良かったと思います。 「互助会」や「我儘書道」というのにとても興味を惹かれました。湊くんの、家族関係はとても複雑で、読んでいて角田光代さんの小説を読んでいるような、そんな錯覚に陥ることがありました。 寺地さんの作品はやはり描写がとても美しいと思いま...
なかなか面白かったです。 設定が良かったと思います。 「互助会」や「我儘書道」というのにとても興味を惹かれました。湊くんの、家族関係はとても複雑で、読んでいて角田光代さんの小説を読んでいるような、そんな錯覚に陥ることがありました。 寺地さんの作品はやはり描写がとても美しいと思います。最後のほうで、陽子さんが遺した我儘で、色とりどりの風船が空に飛んで行くシーンがあります。それを登場人物たちみんな笑顔で見上げている。その場面が頭のなかで鮮明にイメージできて、そこが一番よかったです。
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ミナトホテル。 普通のホテルではなく、何か事情がある人が泊まる。 ホテル自体の描写は少ないのに、そのホテルのシンとした時がとまったようすをおもいうかべる。 裏庭の鍵を探すこと、猫を探すこと、ホテルのフロント、いろんな役割をやることになった芯の目から見た、周りは、それはそれで優しい...
ミナトホテル。 普通のホテルではなく、何か事情がある人が泊まる。 ホテル自体の描写は少ないのに、そのホテルのシンとした時がとまったようすをおもいうかべる。 裏庭の鍵を探すこと、猫を探すこと、ホテルのフロント、いろんな役割をやることになった芯の目から見た、周りは、それはそれで優しい人たちだなあと感じた。
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少し重たくて、考えさせられる話だった。物語自体は淡々としていて波がない。読みやすくはないけど、何となく惹かれて一気読みしてしまった。作者の言葉選びが好きなのかも。以下本文の台詞 「大切な人には、頼ってほしいものなんです。我儘を、言ってほしいんです。大切な人からあなたには関係ないって言われるのがいちばん堪えるんです」 運転しながら桐子さんに、かつての恋人や初瀬のことを話した。彼らの力になることができなかったこと。ふがいない自分のこと。ふがいない自分は、それでも頼ってほしかった、と思っていること。 『キャプテン・ロビン』っていうアニメ、すごいつまんないから観てみて、と初瀬にメールを送った日のことを思い出す。返信はなくてもいい、と思っていたが、翌日に「つまんないから観てってなんだよ。なんだよお前。観るよ」というメールが来た。 「他人に心を開かない者は、他人から心を開いてもらえないのよ、陽ちゃん」 「誰かを助けたい、という気持ちはたしかに尊い。でも鏡を見てみたらいい。自分自身をないがしろにしている人が、誰かを大切にできるわけがない」
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人を大切に思うとは、どういうことか? 教えてくれる物語。 ▶︎読んでほしい人 ・人生詰んだ人 ・家族を亡くした人 ▶︎手に取ったきっかけ ・タイトルの「裏庭」という単語 ・装画(布川愛子さん)のファン
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寺地さんらしく、ふとした1行に泣かされる温かいお話。それぞれの抱えている思いや悩み、後悔。ただ人に話すだけで、ひとつの場所があるだけで楽になれる。そして変わっていける。無償の愛、友情など温かい。
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この二編からなる物語、長い長い一編は二編のためにあったんだろう。 どこに着地するのかわからない不思議な感覚で一編を読み終えたら、二編では一編で何者なんだろうと思っていた人が主人公になっていた。 またしてもヤングケアラーだった。 無意識に引き寄せている時期なのかな。 「他人に心を開かない者は、他人から心を開いてもらえないのよ、陽ちゃん」うん、分かってる。でもどうしたらいいのか分からないの。 「強くても痛いものは痛いんだ」そうか、私の心はずっと痛かったのかと思ったら涙が止まらなかった。 「やりかたが分からない」「馬鹿ね。ただ思ったことを口に出せばいいのよ」そうなんだ。でもそれが一番難しい。 それで生まれたのが「我が儘を言い合い、聞き合う互助会」。いいなぁ、私も入りたいなぁ。 この間読んだ「汝、星の如く」にも出てきたよな互助会。 物語だからこんな都合よく周りに支えてくれる人がいるんだろうと思っている内はきっと私にはまだ互助会は現れないんだろう。
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本を手にした時に優しい気持ちになった。 装丁同様優しい物語です。 「我儘互助会」と名付けて集まる幼馴染の老人達。 そのうちの1人である陽子さんが経営していたミナトホテルはちょっとわけありの素敵なホテルでした。 陽子が亡くなり気落ちする仲間たちが考えた一周忌を仲間の1人・木内が孫...
本を手にした時に優しい気持ちになった。 装丁同様優しい物語です。 「我儘互助会」と名付けて集まる幼馴染の老人達。 そのうちの1人である陽子さんが経営していたミナトホテルはちょっとわけありの素敵なホテルでした。 陽子が亡くなり気落ちする仲間たちが考えた一周忌を仲間の1人・木内が孫の芯に手伝うように命令するのですが…… 木内をはじめ老人達がみな素敵です。 陽子の子供の篤彦、篤彦の片思いの相手の桐子や 芯、芯の会社の花岡さん… みんな何かしらの悩みを持ち日々を過ごしている。 作中に素敵な言葉がいくつも出てきます♪ 「誰かの助けになれるとか守るとか、そんなものは一緒に倒れる覚悟がある相手にしか、ほんとうは言ってはいけないんだ」 「自分をないがしろにしている人が、誰かを大切にできるわけがない」 強くても痛いものは痛い… 人には逃げ場が必要という篤彦の言葉にホッとして肩の力が抜けていきます。
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心があったかくなりました みんな一人では生きられない 頼って頼られて それでいいと思う 初瀬さんにたちなおってほしいなぁ…
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泣いた泣いた。暖かい涙ってこの事だね。 心がぽかぽかしている。 母と息子、叔母と甥、友達、同僚…色んな関係の中に愛が溢れていて、とても暖かい。 芯のお爺さんとその友人達の『互助会』が良かった。いくつになっても支え合う事が出来る友がいるってなんて素敵な事なんだろう。 ⚫「その...
泣いた泣いた。暖かい涙ってこの事だね。 心がぽかぽかしている。 母と息子、叔母と甥、友達、同僚…色んな関係の中に愛が溢れていて、とても暖かい。 芯のお爺さんとその友人達の『互助会』が良かった。いくつになっても支え合う事が出来る友がいるってなんて素敵な事なんだろう。 ⚫「その程度のことでそんなに落ちこむのはおかしいとか、いつまでも引きずるのはおかしいとか、そうやって他人のつらさの度合いを他人が決めることこそおかしい、なんの権利があって他人のつらさを判定しているのだ、君はあれか、つらさ判定員か、そういう職業があるのか、ないよな、えらそうに「たいしたことじゃない」とか言ってんじゃねえよ」 花岡さんが不倫男に振られ、未だに吹っ切ることが出来ていないことを「たいしたことない事」と言い放った芯に対する湊の台詞が印象的だった。 その通りだよなぁ、と思いつつ、『つらさ判定員』という言い回しに少しクスッときてしまう。 寺地はるなさんの作品には、私の中で凝り固まっている「当たり前」とか「常識」に風穴を開けてくれるような、ハッとさせられる文章がたくさん散りばめられている。 色んな価値観があって当たり前なんだよ、色んな人間がいて、色んな生き方があるんだよ、と改めて気付かされるような。 湊の、飄々としているキャラクターなのに、物語冒頭から階段から墜落して足へし折ってる所も、桐子への片思いがだだ漏れな所も、猫に「平田カラメル」っていう苗字付きの名前を付けちゃう所も全部好きだった。 主人公芯の面倒事を避けすぎて不器用な所もとても好き。あ、あと芯のお爺さんの………と、次から次へと登場人物の好きな所を上げていけるくらい皆好きだったな。(もちろん桐子の元旦那と渡部は除く!ぶん殴りてえ) 最近虜になっている寺地はるなさん作品。 この作品が今までで一番好き! 『きれいな花が咲いているね』を頭の片隅に置いて生きていこうと思う。
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大人になると、我儘言っても良いよって言われてもなかなか本音は話せない。 だからあなたの我儘も聞くけど、こっちの我儘も聞かなきゃ駄目よ、なんて言い合える仲間が居るって羨ましい。そんなおばあちゃん生活送りたい。 「大切な人には、頼ってほしいものなんです。我儘を、言ってほしいんです...
大人になると、我儘言っても良いよって言われてもなかなか本音は話せない。 だからあなたの我儘も聞くけど、こっちの我儘も聞かなきゃ駄目よ、なんて言い合える仲間が居るって羨ましい。そんなおばあちゃん生活送りたい。 「大切な人には、頼ってほしいものなんです。我儘を、言ってほしいんです。大切な人からあなたには関係ないって言われるのが、いちばん堪えるんです。」
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