官賊と幕臣たち 列強の日本侵略を防いだ徳川テクノクラート の商品レビュー
マーケッティングの専門家による江戸時代の幕臣を中心とした政治体制の話。官賊と幕臣について分析するのみならず、前半は、特に鎖国や切支丹、さらにオランダ、ポルトガル、イギリス等列強との南蛮貿易をはじめとする外交政策について書かれている。全体的に浅く広く述べられており、焦点がはっきりし...
マーケッティングの専門家による江戸時代の幕臣を中心とした政治体制の話。官賊と幕臣について分析するのみならず、前半は、特に鎖国や切支丹、さらにオランダ、ポルトガル、イギリス等列強との南蛮貿易をはじめとする外交政策について書かれている。全体的に浅く広く述べられており、焦点がはっきりしない。薩長批判等、同意できる内容もあるが、思いつくがままに、都合のよい資料をつなぎ合わせて論理構成がされているように思え、説得力がない。あまり得るものがなかった。 「(薩長)尊王という時代の気分に乗って、その皇であるはずの天皇を政治的な道具として利用しつつ、ひたすら幕府の足を引っ張った。彼らが尊皇攘夷の実践として京で繰り広げた反幕行動としての殺戮は、どうみてもテロリズムと断じざるを得ない。残念ながら、よほどの胆力を以って臨まない限り、いつの世もテロリズムは一定の効果を上げるものである」p10 「(戦国時代の)乱獲りは、放火と人捕り、物取り、強姦がセットになっているのが普通である」p41 「徳川体制になってからの大阪の陣においても、大阪の町中で激しい乱獲りが繰り広げられ、この様子は大阪夏の陣図屏風にもはっきり描かれているから、広く知られているところである」p41 「百姓たちには「御恩」と「奉公」という思想は根付いていない。まして武士道など、精神の埒外であろう。仮に命がけで闘ったとしても、恩賞を与えられるわけでもない。そういう百姓たちを、下人として陣夫として、あるいは侍(雑兵)や足軽として動員するには、時に乱獲り休暇を与え、落城させた後の火事場泥棒のようなご褒美乱獲りを許しておかざるを得なかったのである」p44
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前作の焼き直しのように思えるところは、著者の影響を受けつつあるということかもしれない。(その話なら知ってるよ、の後知恵バイアス。。) 阿部正弘を絶賛しているのが意外だった。 小栗上野介忠順についてもっと知っておきたいと思った。司馬遼太郎も珍しく褒めてた幕臣であるし。
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倒幕は「維新」などというものではなく、関ヶ原の合戦で徳川家に恨みを抱いた薩長2国による武力クーデターであり、特に長州はテロリスト集団であったとする著者による幕末の諸外国との条約交渉についての再評価。 馬関戦争始め、跳ね返りによる武力テロは体制の足を引張るばかりで、何物をも生み出...
倒幕は「維新」などというものではなく、関ヶ原の合戦で徳川家に恨みを抱いた薩長2国による武力クーデターであり、特に長州はテロリスト集団であったとする著者による幕末の諸外国との条約交渉についての再評価。 馬関戦争始め、跳ね返りによる武力テロは体制の足を引張るばかりで、何物をも生み出さないとの著者の指摘は、安重根による伊藤博文暗殺や5.15事件、2.26事件を見てもよく頷ける。 150年続いた薩長史観の命運も、もはやこれまでか。
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教科書レベルでなんとなく知っている明治維新のイメージをひっくり返す本。江戸幕府が無能だったわけでも、薩長が新時代を先取りしてたわけでもなかったことが知れてよかった。もう少し幕府側の視点から幕末について勉強したいなと思う。
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今までの歴史観がまるで違ってきた。 日本人を奴隷として大量に売りさばいていた東インド会社とイエズス会。 幕臣達は有能だった!
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29年3月28日読了。戦国時代の人狩り、人買い、人売り。それに加担するイエズス会の真の姿。オランダ風説書に関わる日本人通詞の仕事。幕末期に薩摩長州のやったこと。知らなかった事もあったけど、作者の薩長嫌いと徳川幕府至上主義っぽい考え方が、半端なかった。まあ、山口県にはいまだに汚い所...
29年3月28日読了。戦国時代の人狩り、人買い、人売り。それに加担するイエズス会の真の姿。オランダ風説書に関わる日本人通詞の仕事。幕末期に薩摩長州のやったこと。知らなかった事もあったけど、作者の薩長嫌いと徳川幕府至上主義っぽい考え方が、半端なかった。まあ、山口県にはいまだに汚い所があるような。観光地の説明板にしても、専門家が間違いを指摘しても、都合が悪かったら直さないとか。これは本当だと、指摘した本人が言ってたから、間違いなし。偽錦旗制作場所なんかも堂々と看板あるし。勝てば官軍だな、やっぱり。私的には、川路さんや、岩瀬さん、浦賀奉行所与力の中島三郎助さんの生き方に、感銘を受けるけど。
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ますます長州藩が嫌いになりました 昨年たくさん本を読んでいて知りえたことが 役立ってます・・・まとまったああああ
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薩摩は幕府の目をかいくぐって密貿易で蓄え、イギリスから最新の武器を購入し、幕府を倒した。幕府は前から密偵を送って薩摩を監視しようとしたが、密偵が生きて帰ることはほとんどなかったといわれる。 八重洲は、リーフデ号の航海士ヤン・ヨーステンの日本名からきている。 戦国時代から、戦争では...
薩摩は幕府の目をかいくぐって密貿易で蓄え、イギリスから最新の武器を購入し、幕府を倒した。幕府は前から密偵を送って薩摩を監視しようとしたが、密偵が生きて帰ることはほとんどなかったといわれる。 八重洲は、リーフデ号の航海士ヤン・ヨーステンの日本名からきている。 戦国時代から、戦争では人々を捕らえて人身売買がよくなされていた。武田軍もそうだし上杉もそう。十万人ほどが東南アジアに売られ、イエズス会が関与していた。それもあってバテレン追放令が出された。 アンボイナ事件のとき、この島には多くの日本人傭兵がいた。この事件でオランダ人は、イギリス人とともに日本人9名を斬首している。 ポルトガル人も追放されたが、唐船をしたてて依然として商品を日本へ運び込んでいた。 幕府はオランダ風説書によってペリー来航やその艦船名まで把握していた。 18世紀末から19世紀にかけて、アメリカ船がオランダ国旗を掲げて出島に来航し、交易を行っていた。 ハリスやオールコックと幕府は為替の件でやりあったが、結局ハリスたちのごり押しで幕府は負けてしまった。ハリスたちは為替の差で大もうけ。 伊藤博文も、おそらく国学者を暗殺している。 幕末はテロがよくおき、殺した人の鼻や手を切断して公家の家に放り込むこともあった。 薩英戦争の前年、なんと薩摩藩はこともあろうにイギリス商人に対して最新鋭のアームストロング砲百問を発注していた。 結局薩長同盟なる正式な同盟はなく、両者を結んだのは坂本ではなくてグラバー商会である。この親会社はジャーディン・マセソン社。これは何かといえば、この前身がイギリス東インド会社で、アヘン戦争で巨額の利益を得た。
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そろそろ、きちんと、近代の歴史を見直すべきなのだろう。主義や位置に影響されず、客観的な資料と、その時代の歴史と地理と力関係をきちんと考慮した。 幕末から、いわゆる戦後まで。あるいは現在まで。 その一助になる一冊だな。 前作ほどのインパクトはないとはいえ、外交面での一面を見ることが...
そろそろ、きちんと、近代の歴史を見直すべきなのだろう。主義や位置に影響されず、客観的な資料と、その時代の歴史と地理と力関係をきちんと考慮した。 幕末から、いわゆる戦後まで。あるいは現在まで。 その一助になる一冊だな。 前作ほどのインパクトはないとはいえ、外交面での一面を見ることができる。 幕臣は、決して旧態ではなく、維新は決して、新時代ではなかった。
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繰り返すが「薩長同盟」なる軍事同盟は存在しない。とんでもない一冊を読んでしまった。これから原田伊織にはまっていくのは間違いない。
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