異類婚姻譚 の商品レビュー
三冠達成おめでとうございます。 凶暴さがなくなった、と言われたそうですが、 確かに芥川賞候補になっていた過去の作品にあったような「最後に大暴れ」の展開はなく、 終わりがない日常の一部が、静かに切り取られてあった。 むしろ川上弘美とか多和田葉子のような妖しさ、艶めかしさがあって...
三冠達成おめでとうございます。 凶暴さがなくなった、と言われたそうですが、 確かに芥川賞候補になっていた過去の作品にあったような「最後に大暴れ」の展開はなく、 終わりがない日常の一部が、静かに切り取られてあった。 むしろ川上弘美とか多和田葉子のような妖しさ、艶めかしさがあって、 あんなにムチャクチャだったあの娘たちもなんとか生きていく方法を見つけたんだな、と、 昔読んだ小説の主人公たちに、勝手にシンパシーを感じたりした。 変わったのは「凶暴さ」だけではなくて、 フラストレーションをただぶつけるだけだった彼女たちが、 「聞き役」に回っていることもそうだろう。 昔の彼女たちの側にはいつも家族や恋人がいて、 生温かい目で見つめるその人たちに、なんだかんだ救われてきた。 今度は彼女たちが、誰かを救う番なのだろう。
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群青11月号にて。 結婚してた時、何気ない仕草や口振りや考え方が、あ、今旦那と同じようだったなとふと感じた時、めちゃめちゃ怖かったのを覚えてる。その感覚を思いっきりブラックにめちゃめちゃニヒルにちょっと山椒を振り掛けた感じ。 私は自分が曖昧なのをしってて、だから他人にすぐ染まる...
群青11月号にて。 結婚してた時、何気ない仕草や口振りや考え方が、あ、今旦那と同じようだったなとふと感じた時、めちゃめちゃ怖かったのを覚えてる。その感覚を思いっきりブラックにめちゃめちゃニヒルにちょっと山椒を振り掛けた感じ。 私は自分が曖昧なのをしってて、だから他人にすぐ染まる事もわかってて、でもそれを怖いと感じる。いっそあなた色に染まりたいと歓喜出来たらいいのに。 無理だった。 でもきっと染まらない結婚も私は出来ない。 だから無理。 つまり再婚無理。 やだ残念。
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群像の2015.11掲載で読了。 「ある日、自分の顔が旦那の顔とそっくりになっていることに気が付いた。」 結婚4年の専業主婦 ―― サンちゃんを主人公に、元は赤の他人である男と女が一つになる「夫婦」という形式の魔力と究極の違和感を毒のあるユーモアと本谷らしい猛毒を込めて描く短編作。まさに人類ではなく異類の婚姻状態の物語だ。
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