小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける の商品レビュー
小中学校の教科書に立ち返って基礎を見直すというのは大いにアリだと思う。佐藤氏のアジテーター的な発言、井戸氏の野党としての立ち位置での発言が気にならなくもないが、全体的には良い本だと思う。
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わかりやすかった。 しかし、野党色が強く、ところどころ首を傾げるところもあった。より合理的な政治を希求すべきなのに、政治に無知な市民を、ただ単に現政府に反対するだけの犬にしたいのだろうか。より合理的に国民が考えられるような内容(そうでなくても政府の今やっていることの悪い面だけでな...
わかりやすかった。 しかし、野党色が強く、ところどころ首を傾げるところもあった。より合理的な政治を希求すべきなのに、政治に無知な市民を、ただ単に現政府に反対するだけの犬にしたいのだろうか。より合理的に国民が考えられるような内容(そうでなくても政府の今やっていることの悪い面だけでなく良い面にも十分に理解できる内容)にしてほしかった。 ・改憲=国体の復活、はあまりにも論理が飛躍しすぎではないか? ・官僚が嫌われるのはよくわかるが、「国民から収奪する者」はあまりにも言い過ぎ。最低賃金のアルバイトと同じくらいの収入で、定時帰りの人以上に働いている官僚へ税金泥棒というイメージは差別的であろう。著者の官僚時代のコンプレックスの表れでは? ・司法権に国民審査がないのは問題だ、とあったが、司法権は少数者を守るために存在するのだから、多数決による国民審査がないのは当然だ。 ・高負担・高福祉がダメだというのなら何か代替策を示してほしい。低負担・高福祉は現実的ではないのは明らかだし、現実的でないということを分かっていない人は多いのでそこについてより説明してほしかった。
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世の中の政治の基本を、小学校社会科の内容を踏まえながら学んでいく。 こうやってみると、小学校の社会科は要点を捉えて簡潔にまとめられているなと感じる。これが中高になると重箱の隅をつつくような知識になってくるかな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「選挙」の章は面白かった。「一票の格差」について、投票価値の平等を追求することが本当に正しいのかどうかは自分も疑問に思っていたので、我が意を得たりの感を持った。『ファーブル昆虫記』を最初に日本語に訳したのが大杉栄だったというのも面白い。
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本書は、作家の佐藤優さんと政治家の井戸まさえさんによる、小学校社会科の教科書を用いて、政治の基礎知識を身につけていくことを主眼に置いた対談本です。 今までに大人に向けて、小学校の教科書で勉強を勧める本を見たことが無かったので、その新たな視点に惹かれて購入しました。 内容として...
本書は、作家の佐藤優さんと政治家の井戸まさえさんによる、小学校社会科の教科書を用いて、政治の基礎知識を身につけていくことを主眼に置いた対談本です。 今までに大人に向けて、小学校の教科書で勉強を勧める本を見たことが無かったので、その新たな視点に惹かれて購入しました。 内容としては、高等学校の政治・経済の教科書ではなく、なぜ小学校社会科の教科書なのかという理由が書かれた序章から始まり、国会、内閣、裁判所、憲法、三権分立、税金、選挙について、教科書の本分の一部を抜き出し、解説を進めていきます。 この本の特徴としては、それぞれの章で「表の教科書」と「裏の教科書」に分かれており、表の教科書では、教科書本文の解説になり、原則論が多く書かれていますが、裏の教科書では綺麗事なしでそのテーマの現実はどうなっているかが書かれており、ただの教科書の解説に終始しないようバランスのよい説明がなされています。 様々な知識が書かれていることは良いことですが、それでも首を傾げる箇所がいくつかありました。一例を挙げますと、ドイツのリサイクルについての件が書かれていますが、そこでナチスが健康にこだわっていたという例をあげます。国民の身体は総統のものだから、国民自身が勝手に処理していいものではなく、健康体を維持しなければならないという考えが当時あり、これは人間という資源の効率的な利用であり、この考え方がいまドイツでは人間ではなく、ごみに向かっている、と佐藤さんは説明されております。しかし、ドイツにおけるごみのリサイクルというのは、戦後ごみの量が増えてきたために、ごみを仕分けしてリサイクルを行い、ごみの量を減らすという目的で始まったはずです。従って、ナチスが国民を資源として効率的に使おうと様々な方針をあげていたことが、戦後ではごみに向かったという思想的な発想よりも、単純にごみの量の増加が原因で、環境に配慮したごみ処理方法を模索していった結果、リサイクルが一般化したと考えるのが合理的ではないでしょうか。ナチスの健康志向とリサイクルの因果関係が結びつくことに疑問符がつきます。書かれていることを全て鵜呑みにのは注意が必要です。
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p.40 ドイツのリサイクルは細かい ・ナチスの思想、身体は総統のものであり、個人が勝手に処理していいものではない、からきている ・人間という資源の効率的な利用 ・禁煙運動もナチスが始めたこと、生涯現役にこだわり、医療費を削減した →いいことのように思えるが、戦争のための資源とし...
p.40 ドイツのリサイクルは細かい ・ナチスの思想、身体は総統のものであり、個人が勝手に処理していいものではない、からきている ・人間という資源の効率的な利用 ・禁煙運動もナチスが始めたこと、生涯現役にこだわり、医療費を削減した →いいことのように思えるが、戦争のための資源としか人を見ていなかったとすると、とても怖い考え p.50 国会の仕事、法律や予算を決めるというのは、いわば、国民の利益を調整する作業 →確かに、法律は人間が作ったものなので必ずどこかに落とし穴がある、それを埋めることが大事 p.64 ・国会議員は国民の代表と書かれているが、 国民の利害は人や世代によって異なる ・政党は、部分の代表。民主党は、全体の代表だと思い込み、失敗した。 ・日本の正統派政権を取ると全たちの代表になろうとする →かといって、部分の代表のマニフェストを出せば、選挙で通るかというと違うような。 電力総連や、電機連合など、労働組合、宗教の利益を考え人を選ぶというのは、ある意味正しい p.70 政党は社会から生まれてくる、私的結社(社会の代表)それに対して、内閣総理大臣は、官僚の長(国家の代表)という地位を持っている。民主党はこの矛盾を解決できずに、総理大臣がすぐ変わった →なるほど。自民党は長く政権にいたことで、この矛盾の調整力に長けていた p.74 大統領とは選挙で選ばれる王様。社会の代表としての規制は議会が行うため、限りなく政府、国家の代表として動ける →ある種、北朝鮮の首領と同じ、独裁可能だが、アメリカ大統領には、三軍の指揮権は与えているが、宣戦布告権はない。 p.90 教科書には、国民は政治的関心を持ち、選挙に行こうと書いてあるが、それは本来の市民社会の論理ではない。 国民は本来、政治をやらずに欲望を追求する。だから代議制がとられ、プロが政治をする。 ・政治の目標は、逆説的だが、国民が政治について考えずに済む世の中にすること ・一番大事なのは平和の維持 p.134 唯名論 ・リンゴはリンゴ、イチゴはイチゴ →果物というのは便宜的につけたものであって、実際には存在しない 実念論 ・認識に先立ってものが存在すると考える →果物があるとして、そのなかに、リンゴやイチゴ、目に見えないけど、果物は確実に存在する →日本の憲法の見方はこちらに近い。 憲法とは別のところに規範がある p.150 小笠原、奄美も、沖縄と同じようにアメリカの管理下に置かれた過去がある。 ただ、沖縄だけは過去になってない。 ・国土の0.6%でしかない沖縄に、米軍基地の74%があるから →構造化された差別だけど、今更どこか他の県が受け入れてくれるはずもない、原発と同じだ p.153 国連の体制で戦争が違法化されて犯罪となり、安全保障理事会が平和維持行為として取り締まる仕組み →イラク戦争も、戦争ではなく制裁行為との位置付け →平和のために戦争に参加しよう p.160 内閣法制局 ・日本政府の法律解釈を決める役所 →日本は国際法上、国家として集団的自衛権をもってはいるが使えない p.195 アマゾンやスターバックス、グーグルの税金逃れは有名 ・アマゾンは本社がアメリカで、日本の法人税が取れない p.196 日本はずっと、低〜中負担で高福祉 ・国家がやる機能は会社が果たしていたから ・それが壊れてしまったのが、問題化している ・低負担、低福祉のアメリカ型か、高負担、高福祉の北欧型でいくのか →福利厚生のよい会社を増やすこと、そのためには企業に体力が必要。
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