消滅世界 の商品レビュー
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村田沙耶香さんの本はいろいろ読んだけど、いつも短編だったので長編は初めて。 生命式にもつながるような、不思議な世界の設定をよく考えつくなぁと毎回感心する。ラストはあんまり好きじゃなかった。お母さんがあんなに呪いをかけたって言ってたからあっちの世界に戻るのかと思いきや、お母さんを監禁しちゃうし。 なんとなく設定は窪美澄さんのアカガミにも似てるなぁと思った。
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"家族"という概念は何か?が問われる本でした。 また極端な世界であり、ジェンダーに関しても極端ですので、好みが分かれると思います。 私はあまり好みではありませんでした。
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ちょっと難しかった。 後味が悪すぎるけど、読んでる間はすれ違う人たちが、実はこういう人達だったら…と想像してしまっていました。(笑) 村田沙耶香さんワールド全開です。 不思議な話でした。
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村田沙耶香さんの「殺人出産」がとても面白かったので、この本にも同じテイストを期待し、たしかにテイストは期待通りだったが、前半が面白く、後半はよく分からんという感想。自分は「殺人出産」の方が、扱うテーマが多めかつ文章量少なめなので好きですが、同じテイストの本を続けて読んだせいかもしれませんね。 前半部分は、家族がセックスをしないのが当然の世界が描かれる。現代でも認知されている「ポルノ中毒」「夫婦間のセックスレス」「不倫」「2次元萌え」といった、現代社会で表出しはじめている男女関係の綻びを、現代人の倫理観を取り払って克服・超越した世界が描かれていて、納得感もあり興味深く読めた。 しかも、今の社会ではこれらの諸問題は主に男性側に原因を求められることが多いが、女性作家がその先にある社会を提案しているのも小気味良く感じた。セックスは妻と?恋人と?それともマスターベーションの方がいい?みたいなことを男性作家が思考実験して小説にしたら、どれだけ真剣に考えてもキモいと言われるし。 後半はさらにエスカレートして、個々人の集団全員が「おかあさん」として、『楽園』内で計画的に産まれる「こどもちゃん」をみんなで育てるという、家族の概念すらなくなった世界が描かれている。 楽園での生活が進むにつれ、主人公の雨音と夫の朔も次第にその異常な社会に染まっていく。読者に戦慄を感じさせようという執筆意図なのかなと感じたが、私としては『楽園』で表現されていた管理社会は、前半に描かれていた、現代社会問題に対する倫理観とっぱらったアンチテーゼみたいな視点の鋭さを感じなかった。 男性の人工子宮を使った出産というのは目新しい。 あと、「吐き気を催す」という、雨音と社会との不一致の表現がやや安直に用いられているように感じた。特に後半は、例えば雨音が友人のまつ毛や口内に吐き気を催すが、その理由が前半ほど腑に落ちなかった。母親を拉致する理由も、物語前半ほどの納得感がなく、最後、母親からの呪いの残滓から14歳の「子どもちゃん」とセックスして物語が終わるのも、あまりスッとしない読後感だった。
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【不気味さに引き込まれる世界観】 ・人間の3大欲求の1つの「性欲」が代替され処理された世界では「家族」・「愛」が共有される。 この「異常な世界」も順応し洗脳され統一されれば「正常な世界」となる 望まない妊娠や望んでいても妊娠出来ない人、十分な教育や食事を与えられない子供がいるなら、この世界を作れば、皆平等に「おかあさん」と「子供ちゃん」になれるだろう。 今、私はこの世界に100%反論することが出来ないでいる。 命の尊さや道徳的に…などと言い訳するには、今の世界は説得力が無さすぎる。
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起承転結があるわけでなく、私たちの知る現実とは違う日常が淡々と流れていきます。 何が怖いって、変化していく主人公の感覚に共感してしまったこと。 "清潔さ"を求めるあたりが、まさに。 新たな思想に開かれそうで、文化レベルですら、こんなにも簡単に揺らいでしまう&q...
起承転結があるわけでなく、私たちの知る現実とは違う日常が淡々と流れていきます。 何が怖いって、変化していく主人公の感覚に共感してしまったこと。 "清潔さ"を求めるあたりが、まさに。 新たな思想に開かれそうで、文化レベルですら、こんなにも簡単に揺らいでしまう"当たり前"の脆弱さに気づきゾッとしました。
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村田沙耶香さんの作品、初読みです。世界大戦を機に、人工受精での出産が日常的となり、夫婦間での性交渉は近親相姦とみなされ、恋人同士での性交渉でさえ嫌悪感を抱く人々が増える‥そんな世の中で家族によらない出産、子育てシステムが構築される‥。 なんだか、考えられないような世界だけど、でも...
村田沙耶香さんの作品、初読みです。世界大戦を機に、人工受精での出産が日常的となり、夫婦間での性交渉は近親相姦とみなされ、恋人同士での性交渉でさえ嫌悪感を抱く人々が増える‥そんな世の中で家族によらない出産、子育てシステムが構築される‥。 なんだか、考えられないような世界だけど、でも有り得る世界‥でも、私はこれ、あったら怖いなぁ〜って感じました!独特な世界観で一気読みしちゃいました。
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村田沙耶香さんの作品を読むのは『コンビニ人間』以来。 独特の世界観に引き込まれ、なんとも言えない感覚になりながら読了。 近未来、こんな世界が現実になってしまったら…と思うとゾクっとする。
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読後、夜中に夢を見たし、朝起きてめまいがした。 出生と自我の消滅に伴う私小説たっちの本は怖い。どう言う怖さかというと、我思う故に我あり、我思わなければ我なし。凪いだ目で彼岸を越えたくなるからだ。
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