色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 の商品レビュー
シンプルにハマった。村上春樹はノルウェイの森以来であったが、今回も同じように主人公の独特な世界観に引き込まれた。 高校時代のいつメン(5人グループ)に、主人公が東京に1人上京して2年経ったときに縁を切られることは主人公の人生を大きく変える。つくる(主人公)は自分に周りの友人にある...
シンプルにハマった。村上春樹はノルウェイの森以来であったが、今回も同じように主人公の独特な世界観に引き込まれた。 高校時代のいつメン(5人グループ)に、主人公が東京に1人上京して2年経ったときに縁を切られることは主人公の人生を大きく変える。つくる(主人公)は自分に周りの友人にあるような色、つまり個性が自分にはないと思い込んでいた。しかし、周りからみたつくるは十分魅力的であったし、実際にグループの中の黒という女の子には好かれていた。もう1人の女の子白は性に対する考え方が人と違い、自分の性を認めたがらなかった。それゆえある時、精神障害をきたしつくるをレイプの犯人に仕立て上げた。周りのメンバーは疑いもったとしてもつくるの肩を持つことができず、次第にグループはバラバラの道に進むこととなる。つくるは好きだった鉄道会社に勤めることになり、社会人生活を送っているなかで沙羅という女性に出会う。だんだんと沙羅への思いを強めていくうちに、封じ込んでいた4人との関係に真摯に向き合おうと努め始める。名古屋へ赤と青を訪ねに、そしてフィンランドまで黒を、
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一個の美しい共同体。 そこから弾かれ色彩を喪った多崎つくるのそれからの人生と、彼の巡礼の年。 真っ暗な死に包みこまれてなお彼は生きた。 生きてまた執着を取り戻していく。 村上春樹の文章はどこか、なにか、確かな手応えを探しているのに似ている。
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カフカや1Q84に感情移入できなかったため、村上氏の文体が読みたいという軽い気持ちで手にとったが、巡礼が始まってからのめり込んで重たい気持ちも乗り移って一気読みした。過去を見つめることは、誰にとっても多かれ少なかれ、もしもを仮想して喪失感を感じてしまうことかもしれない。そんなテー...
カフカや1Q84に感情移入できなかったため、村上氏の文体が読みたいという軽い気持ちで手にとったが、巡礼が始まってからのめり込んで重たい気持ちも乗り移って一気読みした。過去を見つめることは、誰にとっても多かれ少なかれ、もしもを仮想して喪失感を感じてしまうことかもしれない。そんなテーマもさることながら、村上氏らしい生活描写、クライマックスのカタルシス、ほどよい語られない部分、蛇足のない結末、締めの文…本作を氏の代表作とする評判がないことが不思議なくらい、傑作。
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久しぶりの村上春樹。村上春樹にしてはずいぶん読みやすかった。 過去の人との強いつながりと今の自分に対する葛藤のうまく向き合っていく、って感じですかね。 2016.4.17
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文章が読み易くて驚き。 村上春樹感、が薄いように思う。 珍しく、主人公に共感して一緒に旅したような…不思議な余韻。
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久しぶりの村上春樹。特に理由はないけれど15年くらい読んでなかったのですが、そろそろ読もうかと。で、読んだ感想としては、可もなく不可もなくといった感じ。もう少し色々な作品を読んでみないと何とも言えませんね。大崎善生と感じが似ている(正確に言うと、大崎善生が似ている感じと言わねばな...
久しぶりの村上春樹。特に理由はないけれど15年くらい読んでなかったのですが、そろそろ読もうかと。で、読んだ感想としては、可もなく不可もなくといった感じ。もう少し色々な作品を読んでみないと何とも言えませんね。大崎善生と感じが似ている(正確に言うと、大崎善生が似ている感じと言わねばなりませんね)ので、嫌いじゃないとは思いますが。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
数年前に村上作品を読んだ時、 すごく有名で人気のある作家なのに 良さがわからないというか 正直あまり好きになれなくて、 それはきっと自分がまだ 対象年齢じゃないんだろうなと思った。 あれからすこし経って また村上作品を読んでみたけど、 やっぱりどうも肌に合わない…。 部分的に好きなシーンや言葉はあるけど 全体的にみると、"どちらかといえば苦手"なテイスト。
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主人公はさておき、 いつも登場人物の中でお気に入りができます。 今回はアカ。 指をぱちんと鳴らして「鋭いサーブだ。」 主人公をとりまく登場人物たちのキャラが完璧に立っていてしかも、色分けされて親切。 この小説自体が、村上春樹作品のトリセツみたいなほどに。
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村上春樹を読むのに本に没頭して入り込めなかったのは、かつてとは自分が変わってしまったせいか、単に作品との相性が合わなかっただけか。いずれにしても、今回の主人公にはなかなか感情移入ができなかった。歳とったかな~。むしろ、同年代なんだけどなぁつくるくん。 それはそうと。 村上作品を...
村上春樹を読むのに本に没頭して入り込めなかったのは、かつてとは自分が変わってしまったせいか、単に作品との相性が合わなかっただけか。いずれにしても、今回の主人公にはなかなか感情移入ができなかった。歳とったかな~。むしろ、同年代なんだけどなぁつくるくん。 それはそうと。 村上作品を読む時に、毎回楽しみにしているシーンがあります。登場人物が“食べる”シーンと“体を動かす”シーン。このふたつのアクションが人生を豊かにする土台となる事を、僕は村上春樹の小説から教わった気がするんです。『色彩を持たない~』でも少しずつながら素敵なシーンが描かれていて、その点ではひと安心。いや、それだけでもう充分読んだかいはあったのだと思う。 加えて今作では、つくるが父親の形見の腕時計に思いを巡らすシーンもとても気に入りました。お仕事の関係で、自分も時計というものについて考える習慣があるからだね、きっと。ホイヤーの自動巻き時計、工芸品だよね確かに。 【DATA】 東京の鉄道会社で駅舎設計・管理の仕事をする多崎つくる、36歳。彼はかつて学生の頃、完璧な信頼関係を持つ4人の仲間と青春の時を共にしていた。しかし突然に、原因も分からぬまま、グループから絶交を言い渡される。 かくして心に傷を隠したまま大人となった多崎つくるは、歳上の恋人の助言を受け、当時の仲間たちのもとへ真実を手にするための旅まわりへと出るのだが・・・。
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文体はいつもの村上春樹、読み始めた瞬間から。 「あぁ、かわらないなぁ」 でも、この作品が僕には一番。心に染み込みました。 何故だろう…全く分からない。
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