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犬の心臓・運命の卵 の商品レビュー

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23件のお客様レビュー

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2026/02/07

『犬の心臓』 1924年。野良犬のコロは、医師プレオブラジェンスキー教授とその助手ボルメンタール博士によって、人間の睾丸と下垂体を移植される。やがてコロは徐々に人間化し、言葉を話すようになり、共産主義思想に染まり、教授や博士のようなブルジョワ階級を嫌悪するようになる。そして「コロ...

『犬の心臓』 1924年。野良犬のコロは、医師プレオブラジェンスキー教授とその助手ボルメンタール博士によって、人間の睾丸と下垂体を移植される。やがてコロは徐々に人間化し、言葉を話すようになり、共産主義思想に染まり、教授や博士のようなブルジョワ階級を嫌悪するようになる。そして「コロフ氏」として市民権を得るのだった。 共産主義者となったコロフ氏は、自分こそがこの家、この国の主役だとばかりに傲慢になり、女性を騙して結婚しようとしたり、それを止められると医師たちを当局に密告しようとしたりする。そんな彼にうんざりした教授と博士は――。 語り口が少し不思議で、最初は犬の視点で物語が進み、やがて手術のあたりから三人称に切り替わる。作者ブルガーコフは、ロシア当局から「生かさず殺さず」のような監視を受けていたと言われており、この語りの不安定さは意図的な手法というよりも、発表の見通しも立たない中で、共産主義体制や粛清を風刺したいけれど、あまりに露骨にはできないという事情がにじみ出た“メモ”のような作品なのかもしれない。 『運命の卵』 1928年。動物学で両生類・爬虫類研究のペルシコフ教師は特別な赤い光線を発見した。卵細胞にこの光線を当てるとあっという間に孵化し、急成長する。だが大変狂暴で貪欲になる。 光線の噂は広まり、政府情報機関発行紙を名乗る記者もやってくる。 そのころロシアで鶏の疫病が流行した。政府は卵の売買、食べることを禁じるが人間にも被害が出てあっという間に国中に広まる。ついに国中の鶏が殺傷処分された。(『鶏ペスト」と書かれるけれど今で言えば鳥インフルエンザでしょうか) ペルシコフ教授のところに政府公文書を持ったロックという男(ロックは『運命」と発音が同じ)がやってくる。教授の光線機械を鶏復興のために使用するというのだ。教授は『まだ研究の途中だ。それに両生類・爬虫類で研究をしているのだから、鶏に使ったらどうなるかもわからない」というが、鶏ペストの混乱を「資本主義国家からの攻撃」と認定する国家とは何が何でも養鶏を復興させなければいけないのだった。 ロックは、音楽家から革命軍に加わり、今では国営農場長になっていた。つまり動物学には全く不案内。農場に光線機械を持ち帰り、外国から届いた卵を機械に掛ける。 だがその卵は、本来ならペルシコフ教授が発注した実験用大蛇(ボア)の卵だった。教授のものが農場に、農場にいくはずのものが教授のもとに届いたのだ。 卵から孵った大蛇たちは、にゅるにゅるして狂暴で光線の作用であっという間に繁殖して国中大パニックに! === この小説が書かれたのは1924年。ロシアでは1920年代から30年代にかけて設置されたトロイカ(行政や司法執行のため特別な権限を持つ委員会)が、スターリンの大粛清の後押しとまった。 時代背景がわかればもっと直接的に何を象徴しているか、何を皮肉っているのかわかるんだろうなあ。 研究だけで浮世離れした教授、研究結果だけが欲しくて熟練者は不要の国家、門外漢を役職につけて全く不案内な専門的なことをやらせる(そして失敗)、GPU(ゲーペーウー。国家政治保安部で秘密警察でKGBの前身)の監視、物はすべて国家の物なので取得物は委員会に提出するシステム、思わぬ役職に就いた者の時代遅れの服装、国家の肩書を持った者同士の探り合い。

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2024/06/01

コロフの訴え、感情の強度が本を飛び出してきた。 ソ連時代の当時の様子を知ることができることも良かった。共同体や家の考えとか。

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2024/02/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

犬の心臓の方は、これまで聞いたことない発想のお話でおもしろかった。人間の言葉を話し始めた、生意気な犬と手術をした医者のかけあいがおもしろい。 運命の卵も、発想がかなりユニークでおもしろくて怖い。どっちもいわゆるSFのジャンル。 ソ連政権に対する批判が隠れてるというが結構わかりやすいと思う。 どっちも当時のソ連の人たちの生活が垣間見られて面白い。

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2023/11/25

ウクライナ出身(当時はソ連)の作家による、ソ連の政策などを風刺を交えて痛烈に批判しながらも、それだけには飽き足らずSFなどいろんな要素をぶっ込んで生み出された傑作。と私は思う。 読むのになかなか時間がかかったが、当時のソ連の情勢について詳しくなかったから、ところどころ注で解説して...

ウクライナ出身(当時はソ連)の作家による、ソ連の政策などを風刺を交えて痛烈に批判しながらも、それだけには飽き足らずSFなどいろんな要素をぶっ込んで生み出された傑作。と私は思う。 読むのになかなか時間がかかったが、当時のソ連の情勢について詳しくなかったから、ところどころ注で解説してくれたので、面白かった。 当時のソ連の状態を風刺しているが、ソ連だけでなく、人類全体への警告と捉えてもいいかもしれないと読みながら思った。 犬の心臓は、コロフが気の毒で、なんとも言えない読後感だった。フランケンシュタインを連想させた。 運命の卵は山椒魚戦争を連想させた。 しっかり理解し切れたとは全く言えないけれど、物語として読み継がれるべき本だと思う。

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2023/01/23

 コロフが、周囲に影響されて、それを半ば鵜呑みにしている存在であるように見せかけて、実際は軍務をはっきり拒否したように、何のイデオロギーにも流されず、その時の自分にとって必要な思想や主張を取捨選択しているのだろうなと思った。だからこそ、結末の後味の悪さが際立っていた。  「運命の...

 コロフが、周囲に影響されて、それを半ば鵜呑みにしている存在であるように見せかけて、実際は軍務をはっきり拒否したように、何のイデオロギーにも流されず、その時の自分にとって必要な思想や主張を取捨選択しているのだろうなと思った。だからこそ、結末の後味の悪さが際立っていた。  「運命の卵」では、卵から孵った生物の生々しさが印象的だった。  全体を通して、自分がいかに資本主義に取り囲まれているかを感じた。全方位に批判の目を向けながら、ニヒリズムには陥らないという態度が一貫して見られる2作だったと思う。

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2022/09/24

とにかくシニカルでユーモアたっぷり。ソ連時代の連邦内の国々の複雑な関係性も興味深い。解説を読んで、設定の奥深さにさらに唸る。ガルシアマルケスが師と仰ぐ作家というのもうなづける。

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2022/06/19

「犬の心臓」とあるので、犬の心臓を移植するのかと思いきや、人間の下垂体を犬に移植するという話だったので、ちょいと驚き。 飢え死にする手前だった犬の「コロ」が、医者によって拾われ、悪魔の実験により「コロフ」という名の人格を認められる。 けれど、彼の使う語彙は、それまで彼の耳に入っ...

「犬の心臓」とあるので、犬の心臓を移植するのかと思いきや、人間の下垂体を犬に移植するという話だったので、ちょいと驚き。 飢え死にする手前だった犬の「コロ」が、医者によって拾われ、悪魔の実験により「コロフ」という名の人格を認められる。 けれど、彼の使う語彙は、それまで彼の耳に入ってきた猥雑で汚いものばかりだったというのは皮肉。 それは「失敗」だったのだとしたら、一体何が「成功」だったというんだろう。 人を新たに作り出すことの、倫理と狂気の境目は、少しずつ曖昧になってきているように思う。 「運命の卵」では、偶然発見された赤い光線を当てると、生き物の成長速度が極端に早まり、また子孫を多く残した上、その形質は子孫にも保有されることが分かる。 カエルの実験を成功させたペルシコフの元に、公文書がもたらされ、赤い光線の実験がソフホーズで展開されることになる。 作品自体はフィクションだけど、これ、ウイルスって考えたら……という話だよなぁ。 人間が生み出したものを、人間では手に負えなくなる、よくあるテーマだけどソヴィエトという社会背景と織り混ぜて、上手く描かれている。 確かに発禁処分なるだろうし、仕事もらえなくなるよな、この作家さん。と思いながらも、自分専用に生かしておいたスターリンも、ヤバい。

Posted byブクログ

2022/06/12

ソ連政府をどう皮肉ってるのか全然分からなかったけど、分かるようになった瞬間の爽快感がたまらない! 来週から少し時間的な余裕が生まれるので、 「犬の心臓」は映画観てみようかなぁーーー ロシア語で、ロシアを舞台とした映像で観てみたい。

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2021/06/17

100年も前のロシア文学。 今の人が読むと、設定がB級映画っぽいかもしれない。 風刺小説。 当時のロシアの歴史背景が分かると見方が変わると思います。

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2021/06/08

風刺小説だからこそ、このエンタメ性。広く読んでもらわないと意味ないし、、と思いきやソ連で発禁本になった。いちいちぶっ飛んでて面白い。犬に人間の睾丸と脳下垂体を移植するって設定がギャグだよ。

Posted byブクログ