誕生日を知らない女の子 の商品レビュー
この本が開高健ノンフィクション賞をとって多くの人に知られるようになって良かったなと思った。 虐待を受けた子供たちのその後を追ったノンフィクション。恵まれない家庭の子供たちの力になりたいと里親制度に興味があってこちらを読んだが、幼少期に受けた心の傷は消えないどころか発達障害のように...
この本が開高健ノンフィクション賞をとって多くの人に知られるようになって良かったなと思った。 虐待を受けた子供たちのその後を追ったノンフィクション。恵まれない家庭の子供たちの力になりたいと里親制度に興味があってこちらを読んだが、幼少期に受けた心の傷は消えないどころか発達障害のようになるケースが多く、その障害とどう付き合っていくかが問題、というのがよく分かった。 最初に登場する4人の子供の話を読んだ時は子供たちの親に怒りが湧いたが、最終章に登場する元被虐待児の女性の話を読んで、そう単純な話ではないというのがよく分かった。 虐待の記憶に苦しみながら、今まさに自分の子供に虐待を行っている女性のルポタージュは本当に読んでいて苦しくなるが、この作品の真髄という気がした。 部外者は、恵まれない家庭にいた人は自分の家庭を持つことで幸せになれるのでは?なんて思うけど、実際は自分が得られなかったことを我が子にしてあげることの苦しみ、愛情のかけ方が分からないが故の葛藤などが生じる。これまで漠然としか理解していなかった虐待問題の根深さや想像もしていなかった問題について、この本で知ることができた。 また、里親の方々の器の大きさにも感動した。育てられない親にまで寄り添ってあげ、どんなに酷いことを里子に言われても愛情をかけ続ける姿を見て、自分の子育てについても考えさせられた。
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私、全然わかってなかった。 虐待のその後にどんなことが待っているのか、考えたこともなかった。 残酷だけど、多分今はもっと増えているんだと思う。少子高齢化で子供の出生率は年々減っているけれど、虐待児の割合は増えているんじゃないかと思ってしまう。 話に出てきた紗織さんのように、苦しむ...
私、全然わかってなかった。 虐待のその後にどんなことが待っているのか、考えたこともなかった。 残酷だけど、多分今はもっと増えているんだと思う。少子高齢化で子供の出生率は年々減っているけれど、虐待児の割合は増えているんじゃないかと思ってしまう。 話に出てきた紗織さんのように、苦しむ親だっているはずだ。社会全体でもっと考えていきたい。子は国の宝だと言うのなら、守っていける社会にしていきたい、親も子も。私に出来ることはないかと思ったがそんなに大きなことはできないと思う。 でも、この本を読んでこう言う気持ちになれたことは一歩進んだとではないかと思う。 もっと目を向けていこうと思いました。多くの人に読んで欲しい知って欲しい世界がここにある、知れて本当に良かったです。
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「それまで私は、虐待を受けた子どもは、児童相談所によって保護されて親から離されれば、それでひとまず問題は解決すると思っていた」(本文より) 私もどこかでそう思っていた。というか、あまり真剣に考えたことがなかったのかもしれない。虐待する親から離れられてよかったね、これからは幸せに...
「それまで私は、虐待を受けた子どもは、児童相談所によって保護されて親から離されれば、それでひとまず問題は解決すると思っていた」(本文より) 私もどこかでそう思っていた。というか、あまり真剣に考えたことがなかったのかもしれない。虐待する親から離れられてよかったね、これからは幸せになれるね――と。 けれど、虐待によって心身に大きな傷を負わされた子どもたちがその後の人生にどれだけの重石を背負わされるのか、本書を通じてほんの少しだけ感じ取ることができたような気がする。 そして、その子たちを支える人々の努力と愛情の偉大さも。 昔、里親になりたいと思ったことがある。 私の能力では正直難しいかもしれないが、少しずつでも自分にできることをしていきたい。
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黒川祥子さんの作品で、前から読みたいなぁ…と思っていたのがこの作品でした。前に読んだ「8050問題」もそうでしたが、重いテーマなんだけれど読みやすくてわかりやすいんです。 この作品のテーマは「虐待」だけれど、「虐待」を受けた子どもたちのその後を明らかにしていくものです。「虐...
黒川祥子さんの作品で、前から読みたいなぁ…と思っていたのがこの作品でした。前に読んだ「8050問題」もそうでしたが、重いテーマなんだけれど読みやすくてわかりやすいんです。 この作品のテーマは「虐待」だけれど、「虐待」を受けた子どもたちのその後を明らかにしていくものです。「虐待」が明るみになると、「虐待」を受けていた子どもたちは保護され施設に入所するのだと思っていた私…それも間違えではなかったけれど「里親」と新たな生活を送るようになったり、「ファミリーホーム」で受け入れたりするんですね…。私、今まで「ファミリーホーム」を知りませんでした。「ファミリーホーム」とは、少人数の子どもたちを同時に受け入れ、里親さんたちが自らの子と同じようにあたたかい家庭環境で育てていく生活の場です。 でも、「ファミリーホーム」の里親さんたちは、新たに引き受けることになった「虐待」を受けて傷ついた子どもたちに沢山の愛情を注ぎますが、「虐待の後遺症」が立ちはだかります。里親さんたちは、悩みながら子どもたちにとってできうる最大の支援をしますが、それをどう受け止めていいのかわからない子どもたち…。「保護」できたらそれでおしまいじゃなく、「保護」してからもあまりにも大きすぎる心の傷を受けているために、その後の支援を困難なものにしていることを知りました。 『子どもには希望がある。この子たち、沢山の夢がつまってるの。どんな子でも希望があり、輝かせるものをいっぱい持っている。それを大人がつぶしてはいけない。輝かせることができるかできないかは、大人の責任』と、ある里親さんは言います。本当にそうだなぁ…と感じました。私に何ができるだろう…まずは、知ることができたこと、この作品を手にできてよかったです。
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タイトルで想像はできた。 苦しくなるのはわかっていたけど、「その後の」ことを知りたいと図書館で手に取った。 そしてやはり苦しくなった。つらくて読み飛ばした個所もある。でも、これは私のようなおばさんではなく、まだ世の中の事を何も知らない、世界が私の何分の一かである小さなからだのこ...
タイトルで想像はできた。 苦しくなるのはわかっていたけど、「その後の」ことを知りたいと図書館で手に取った。 そしてやはり苦しくなった。つらくて読み飛ばした個所もある。でも、これは私のようなおばさんではなく、まだ世の中の事を何も知らない、世界が私の何分の一かである小さなからだのこどもたちが実際に受けたことだ。 あまりにツライ現実だけど、これは氷山の一角に過ぎないのだろうと みんな救いたい。でも自分に何ができる? 里親になるには覚悟が足りなさすぎる甘い自分に。 実際の事件のこともちらほらと出てくる。発行は2013年だけど、それから10年、何か変わっただろうか。優しいお母さんの声やにおいを知らない子供たちは減っただろうか 衝撃なのは、性的虐待を受けたこどもが「自分が悪かった」と思ってしまう、という思考に陥るということだ。
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コルベットさんの本棚から図書館予約 うっすらと知っていると思っていた とんでもないことだと改めて知った これは小説ではない ルポだ 現実なんだと言い聞かせながら読んだ 五人の少年少女 親からの激しすぎる虐待、性被害、厳しい施設での暮らし どこにも救いがなく、身を縮ませ、脳をシ...
コルベットさんの本棚から図書館予約 うっすらと知っていると思っていた とんでもないことだと改めて知った これは小説ではない ルポだ 現実なんだと言い聞かせながら読んだ 五人の少年少女 親からの激しすぎる虐待、性被害、厳しい施設での暮らし どこにも救いがなく、身を縮ませ、脳をシャットアウトさせるしかなかった彼らの日々 生き延びた彼らに表れる様々な後遺症 そこに手をさしのべる医師、ファミリーホームのパパ、ママや家族 私は何を? せめてこの本を薦めようと思う ≪ 鬼の母 それでも私は 帰りたい ≫
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暴行や暴言にしろ、放置にしろ、その場の現象のみでは語れないのが虐待の難しいところ。解離や発達障害、そして負の連鎖という現実は知らない人も多いし、目を背けている人も少なくないのが現実ではないだろうか。育てられないのならなぜ産んだのかと問うても後の祭り。せめてセーフティーネットが有効...
暴行や暴言にしろ、放置にしろ、その場の現象のみでは語れないのが虐待の難しいところ。解離や発達障害、そして負の連鎖という現実は知らない人も多いし、目を背けている人も少なくないのが現実ではないだろうか。育てられないのならなぜ産んだのかと問うても後の祭り。せめてセーフティーネットが有効に機能する社会であってほしいものだ。
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虐待を受けてきた子どもたちの「その後」が、よくわかる本だった。こういう子どもたちの面倒を見、親身になって世話をしてくれている方々には頭が下がる思いになる。 ただ、いくつか引っ掛かることがあった。それは、文中に登場する精神科医たちの言葉である。なんとなく、被虐待児の心理に対する推察...
虐待を受けてきた子どもたちの「その後」が、よくわかる本だった。こういう子どもたちの面倒を見、親身になって世話をしてくれている方々には頭が下がる思いになる。 ただ、いくつか引っ掛かることがあった。それは、文中に登場する精神科医たちの言葉である。なんとなく、被虐待児の心理に対する推察が、無理やりこじつけている様な気がしてしっくりとこなかった。 この本を読んで収穫だったのは、一番の問題は、実は児童虐待に携わる支援者側にある「思い込み」なのではないのかと感じた。 虐待を専門とする専門家でさえ、自らの思い込みの中で被虐待児を治療しているのかと思うと、この問題の解決がますます遠のくような気がして眩暈がした。 著者には、もう少し、精神科医たちにも切り込んで欲しかったというのと、他の精神科医たちにも取材をして、異なる意見も拾い上げて欲しかったということで、星3にした。
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改めてエッセイっていいなと思った。 こんな世界が、こんな傷を負った子供が沢山居るなんて、全く知らなかった。過去に負けず生きている子供たちも、見守っているファミリーホームの方々も本当にすごい。 社会の責任だ、という言葉が強く印象に残った。
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ファミリーホームで育つ子供や、大人になった被虐待児から聞いた話やその後をまとめたノンフィクション。 虐待された子供を保護しても、「良かった。めでたしめでたし」とはいかない問題の根深さを感じました。知的な遅れや問題行動に、いつまでも癒えない心の傷。虐待は連鎖すると聞きますが、断ち...
ファミリーホームで育つ子供や、大人になった被虐待児から聞いた話やその後をまとめたノンフィクション。 虐待された子供を保護しても、「良かった。めでたしめでたし」とはいかない問題の根深さを感じました。知的な遅れや問題行動に、いつまでも癒えない心の傷。虐待は連鎖すると聞きますが、断ち切ることの難しさを改めてしれた気がします。 また、ファミリーホームの「パパ」「ママ」の活動も知ることが出来ました。子供が好きというだけでは到底続けられないお仕事ですね……。本当に、頭が下がります。
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